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争点 ― その始まり

争点 ― その始まり

争点 ― その始まり

米国オハイオ州ストラットンは,オハイオ州とウエスト・バージニア州を隔てるオハイオ川に近い小さな集落です。村とされており,村長がいます。1999年,人口300人にも満たないこの小さな集落が,にわかに論争の中心になりました。村当局が,とりわけエホバの証人を対象にして,聖書の音信を携えて住民の家を訪ねるに先だって許可証を得ることを義務づけようとしました。

なぜそれが重要な争点なのでしょうか。記事を読んでゆかれれば,自治体によるこの種の条例や規制が,単にエホバの証人だけでなく,米国に住むすべての人の言論の自由を制約するものであることがお分かりになるでしょう。

衝突のいきさつ

ストラットンの住民は,長年,地元のエホバの証人の,ウェルズビル会衆の奉仕者による訪問を受けていました。しかし,エホバの証人と一部の地元当局者との間には,そうした家から家の宣教に関連して,1979年以来,問題が起きていました。1990年代の初めには,地元の一警察官が,「お前たちの権利など構っていられない」と言って,証人たちのグループを村の外へ追い出しました。

1998年,事態は深刻になりました。ストラットン村の村長自身が4人のエホバの証人に立ち向かったのです。4人は,聖書に基づく話し合いに関心を示した住民たちと話すために再びそこを訪ねた後,村から追い出されました。反対を受けた女性の一人によると,村長は,もしお前たちが男だったら刑務所に入れてやるところだ,と言いました。

最近の衝突の原因は,「私有地での望まれない行商ないし勧誘行為に関する規制」という村の条例です。それは,戸別訪問を行なうことを望む人すべてに,村長から無料の許可証を得るように求めるものでした。エホバの証人はその条例を,言論の自由,宗教の自由な実践,および出版の自由を侵害するものとみなしました。そのため,この条例の施行を修正することを村が拒んだ後,本件を連邦裁判所に提訴しました。

1999年7月27日,オハイオ州の南部地区を管轄する米国地方裁判所の判事は,訴訟を審理し,村の許可条例の合憲性を支持しました。その後,2001年2月20日には,第6巡回区の米国控訴裁判所も,その条例の合憲性を確認しました。

ニューヨークのものみの塔聖書冊子協会と地元のエホバの証人のウェルズビル会衆は,この論争点を解決するために,米国最高裁判所に再審査を求めました。

[3ページの地図/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

ロサンゼルス

ニューヨーク

オハイオ州

ストラットン