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世界展望

世界展望

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子どもにジャンクフードを売り込む

東京で発行されているヘラルド朝日紙(英語,2003年8月5日付)によれば,「子どもの食習慣をだめにして肥満にならせる宣伝攻勢」をかけているとして,ファーストフード会社を非難する栄養学者が増えている。同紙によると,「テレビは,子どもに製品を売り込むメディアの中でも相変わらず最も強力である」が,それに加えて,食品会社は「社名が子どもの目に入るようにするため,考えうるあらゆる方法を編み出している」。映画,ゲーム,インターネット・サイト,算数の本,様々な人形やおもちゃなどに食品会社の宣伝が入っている。子どもを対象に宣伝するのはなぜだろうか。「子どもたちは最大のマーケットだ」と述べるのは,テキサスA&M大学のマーケティングの教授ジェームズ・マクニール。しかし,ハーバード大学公衆衛生学部のウォルター・ウィレット教授はこう述べている。「メーカーが販売する大半の商品は,ジャンクフードである。我々は果物や野菜の宣伝をどれほど目にするだろうか」。

水筒の安全

ベターホームズ・アンド・ガーデンズ誌の伝えるところによると,カナダのカルガリー大学による調査の結果,「洗わずに繰り返し使われている水筒から,危険なレベルのバクテリア」が検出された。その調査では,小学校の児童が用いている水筒の13%余りが,バクテリアに関する安全レベルに達していなかった。それらのバクテリアには,糞便からのものも含まれていたが,それはおそらく,手を洗う習慣が児童たちに定着していないためと思われる。ある研究者は,水筒を熱湯と洗剤で定期的に洗い,飲み物を入れる前に完全に乾かすことを提言している。

音楽のレッスンと記憶

「音楽のレッスンを受けている子は,受けていない子に比べて記憶力がかなりよく,語彙も非常に豊富である」ことが最近の研究から分かった,とカナダのグローブ・アンド・メール紙は伝えている。香港<ホンコン>中文大学の陳瑞燕博士によると,音楽の勉強は左脳を刺激し,脳の機能全体を向上させると共に,言語習得など他の作業における脳の働きをも高める。6歳から15歳までの児童・生徒90人を対象に,言語と視覚の記憶テストを行なったところ,音楽のレッスンを受けている子どもは,そうでない子どもよりもかなり多くの単語を思い出すことができた。音楽のレッスンを長く続けていた子どもほど,言語習得能力は高かった。「それは脳のクロストレーニングのようなもの」と,陳博士は述べている。音楽を勉強している子どものほうが「学校の勉強に付いてゆきやすいだろう」というのが同博士の考えである。

星は幾つある?

ロンドンのデーリー・テレグラフ紙によれば,望遠鏡で「地球から見える星の数が700垓 ― 7の次に0が22個続く数 ― に上ることを天文学者たちは導き出した」。米国,オーストラリア,スコットランド出身のそれら天文学者たちは,「地球近くの,ある小さな宇宙領域に存在する銀河をすべて数え」,それぞれの銀河に含まれる星の数を算出し,得られた数字から,天空の残りの部分に見える星の数を推定した。「これは宇宙の星の総数ではなく,望遠鏡で見える星の数である」と,研究チームのリーダー,オーストラリア人のサイモン・ドライバー博士は述べた。「普段から膨大な桁の数字を扱い慣れているプロの天文学者にとっても,これは気が遠くなるような作業である」。肉眼で星を見る場合,光源のない暗い場所でも数千個,大都市だと100個ぐらいしか見られない。

空気圧の低いタイヤ

「幹線道路上での死亡事故の17件に1件は,タイヤの状態に直接起因する」との報告がフランスの雑誌「バルール・アクチュエル」に掲載された。タイヤ会社のミシュランが行なった調査によると,「2002年に自動車の3台に2台は,少なくとも一つのタイヤの空気圧が定常的に低かった」。ミシュラン社のテクニカル・コミュニケーション部主任ピエール・メネンデスはこう語る。「ドライバーの間には,空気圧が高すぎるとタイヤが破裂する可能性があり,空気圧が低すぎる場合よりも危険という見方があるが,これは誤解である。実際は全く逆である」。タイヤの空気圧が標準よりもかなり低いと,ブレーキのききが悪くなり,カーブでのグリップ力が低下し,この報告が述べているように,「急ハンドルを切った時に制御不能になりかねない」。さらに,空気圧が下がるとタイヤが変形するため,タイヤの構成材料が熱を持ち,その結果タイヤは突然破損するかもしれない。

衰えるフランス人の信仰

フランスでは「宗教的な慣行が消えつつある」と,フランスの日刊紙「ル・モンド」は伝えている。フランス人の73%は,宗教を持っていると述べているが,神の存在を「確か」と考えている人は24%にすぎなかった。さらに34%の人が「多分」と答えたものの,19%は「疑わしい」,22%は「あり得ない」と述べた。質問を受けた人のうち,少なくとも週に1回礼拝に行く人はわずか12%で,「毎日」もしくは「頻繁に」祈っている人は25%だった。社会学者のレジス・ドブレによると,人々は宗教を選ぶ際,信条を中心にしていたのだが,人とのつながりを中心にするようになってきた。「宗教は身分証明書のようなものになりつつある」とドブレは述べている。

ほらがい

「古代ペルー人がソデボラ科の巻き貝から作ったほらがいは,遠くまで合図を送るのに用いられていたのかもしれない」と,ニュー・サイエンティスト誌は伝えている。研究者たちは,ペルーで20個の装飾されたほらがいを発見した。いずれも加工されていて吹き口があった。そのほらがいからは,実験室で111デシベルの音 ― 杭打ち機と同レベルの音 ― が出た。同誌によれば,「アンデスの静かな丘陵地帯では,耳をつんざくようなこのほらがいの音が少なくとも4㌔先にまで届いたと思われる」。

キャッシュレスで結婚祝い

伝統的なトルコの結婚式では,花嫁は宝石や貴金属で,花婿はお金で飾りつけられ,祝福される。しかし,他の多くの国と同様,トルコでもクレジットカードが普及しており,フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙の伝えるところによれば,アンタリヤで最近行なわれた結婚式では,新郎新婦が,持ち運びタイプのクレジットカード読み取り機を式に持参した。友人や親族は,その機械に自分のクレジットカードを通して新郎新婦の銀行口座にお金を送り,その領収書で花嫁と花婿を飾りつけた。

ハチの巣の暖房

ミツバチは,寒い冬を越すために「飛翔筋を震わせて」熱を発する,とフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙は伝えている。しかし,巣の中の温度は均一ではない。ハチの平均体温は,中心にいる場合およそ30度だが,外部に近い場所では12度かそれ以下になる。オーストリアのグラーツ大学の科学者たちは,巣の真ん中にいるハチが,外壁近くのハチよりも盛んに身を震わせることを発見した。そのようにしてミツバチは,外部に逃げる熱量を減らし,冬季の食糧消費を抑えている。とはいえ,次のような疑問が残る。暖かくて快適な巣の中心部にいるミツバチは,外部近くのハチよりも多くの熱を発しなければならないことをどのようにして知るのだろうか。