内容へ

目次へ

美しくなることで頭がいっぱい

美しくなることで頭がいっぱい

美しくなることで頭がいっぱい

マリア *は社会的にも成功している若い女性で,感じの良い家族に恵まれています。でも,幸福だとは思っていません。なぜでしょうか。自分の容姿に不満を感じているのです。家族からどれほど褒められても,自分はちっともきれいではないと思っていて,そのことで落ち込んでいます。

ホセは良い家柄の青年で,幸福の条件はそろっているように見えます。それなのに,自分のような者に良い相手は見つからないと思っています。どうしてでしょうか。自分はさえない容貌で,不器量だとさえ感じているのです。ふさわしい女性で,こんな自分に注目してくれる人などいないと思い込んでいます。

8歳のルイスは学校が好きで,なかなか社交的な男の子です。友達とも楽しく遊んでいます。けれども,友達に太っちょとからかわれて,よく泣きます。

これらは珍しい例ではありません。単に自尊心が弱い人たちの問題として片づけられない面もあります。実際,容姿のせいで人に受け入れてもらえない辛さなど,だれも味わいたくはないでしょう。

とはいえ,この社会には,容姿を重く見すぎる傾向があります。実際,人の成功が顔立ちの良さで決まるかに思えることも少なくありません。例えば,容姿端麗な人は就職の機会が広いように見えます。「中南米カリブ海地域女性健康ネットワーク」の理事の一人,ピラル・ムリエダスは,女性にとって「見た目の良さは成功の重要な条件」と述べています。ラウラ・マルティネス博士によると,「就職時には[結局のところ]容貌が大いに物を言う」ことを女性たちは知っています。

もちろん男性の中にも,“完全な”肉体を作ろうと躍起になっている人がいます。確かに,男性でも女性でも,美しくなるためにどんな努力も惜しまないという人は多くおり,食事を抜き,理想の顔や体形のために痛い手術を我慢する人もいます。そのように奮闘することには本当に価値があるのでしょうか。何の危険もないでしょうか。

[脚注]

^ 2節 名前は変えてあります。

[3ページの図版]

容姿だけで成功の道が開けるように思えるかもしれない