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真夜中の太陽 ― どうして?

真夜中の太陽 ― どうして?

真夜中の太陽 ― どうして?

「太陽が沈まないなんてことがあるのですか」。フィンランド出身の私は,パプアニューギニアで宣教者として奉仕しており,よくそのような問いを耳にします。熱帯地方では,昼間の長さがどの月もほとんど変わりません。ですから,熱帯地方に住む人にとって,北極地方で太陽が何か月も沈まないというのは,ぴんと来ないようです。さらに,冬には太陽が昇らないことを説明しようとすると,ますます混乱する人も少なくありません。

そもそも,真夜中にも太陽が出ているのはどういうわけでしょうか。興味深いこの現象は,地球が太陽の周りを1年かけて公転する際に,地軸が23.5度傾いていることと関係があります。このため北半球では,夏のあいだ北極が太陽の方に傾き,冬には逆の方向に傾きます。地球は1日に1回自転するので,北極圏の端のほうでは年に一晩 ― 6月21日ごろ ― は太陽が沈みません。また,年に1日 ― 12月21日ごろ ― は太陽が昇りません。もっともその日の正午には,空に夜明け前のような薄明かりがさすことでしょう。

実のところ,北極圏を北上するにつれて,真夜中に太陽が輝く夏の日は多くなり,太陽が昇らない冬の日も多くなります。北極点と南極点では,昼が6か月続き,その後の6か月は夜です。 *

極地で生活する人は,夏のあいだどのようにして眠るのでしょうか。また,夜が長くなる冬にはどうするのでしょうか。かつて,ある文化圏では,冬に夏の倍以上の時間が睡眠に充てられていました。人々が現代的な生活様式を取り入れたことにより,多くの場合,睡眠時間の差は縮まりました。とはいえ,極北の地に住む人にとって,昼間の時間が長い夏は,いっそう活動的になる時期です。アラスカに住むパトリックはこう言います。「午後11時でも,太陽がさんさんと輝いていると寝る気がしませんね。外に出て草刈りや他の雑用をすることもあります」。

一方,昼の明るさや夜の暗闇が何か月も続くと,身体的にも精神的にも参ってしまうことがあります。そのため,夏には寝室に日の光がさし込まないように,また冬には光を浴びるように工夫している人もいます。睡眠のリズムが崩れないようにし,極度の疲労やうつ状態を防ぐためです。そうした苦労もありますが,真夜中に太陽が出ているという体験は,住人にも旅行者にも忘れがたいものと言えるでしょう。―寄稿。

[脚注]

^ 4節 南極圏でも同じ現象が見られますが,南極圏が夏なのは,北極圏が冬のときです。

[31ページの図/図版]

(正式に組んだものについては出版物を参照)

極点は地軸の傾きのために,夏はずっと日の光に照らされ,冬はずっと闇に包まれる(図は北半球の例)

秋 ←

● ● ● ● ●

● ◯ ●

→ 春

● ● ● ● ●

地球は1日に1回自転する

[31ページの図版]

微速度撮影による真夜中の太陽

[クレジット]

© Paul Souders/WorldFoto