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世界展望

世界展望

世界展望

2000年に,世界じゅうで推定830万人が結核にかかり,200万人近い患者が死亡した。その大半は低所得の国の人々である。―オーストラリア医学ジャーナル誌。

「現在1,000万人の若者がHIVに感染している。世界じゅうで毎年新たに感染する490万人のうち半数以上は,15歳から24歳である」。―国連人口基金。

衛星を使った追跡装置により,ワタリアホウドリの世界一周の旅が記録された。一番速い鳥は,わずか46日で地球を一周した。―サイエンス誌米国。

「毎日,1時間ごとに1億㌦(約110億円)余りが兵士や武器や弾薬につぎ込まれている」。―「バイタル・サイン 2005」,ワールドウォッチ研究所。

僧職者に対する暴力が増えている?

2005年,ロンドンのデーリー・テレグラフ紙は,「[英国]において,司祭は極めて危険な職業の一つである」と伝えた。2001年に行なわれた政府の調査によると,調査対象となった僧職者のほぼ4分の3が,それまでの2年間に虐待や暴行を受けていた。1996年以来,少なくとも7人の僧職者が殺されている。マージーサイドの大都市圏では,「1,400ある礼拝堂のいずれかで,毎日平均1件の暴行や強盗や放火」が起きた。

驚くべき生物の多様性

熱帯雨林が破壊されているとはいえ,「ボルネオ島の内陸部では,驚くほど豊かな生物の多様性が保たれている」と,ニューヨーク・タイムズ紙は述べている。「世界自然保護基金」によると,1994年から2004年にかけて,生物学者たちは,ブルネイ,インドネシア,マレーシアの領土となっているその島で,361の新種の動植物を発見した。その内訳は,昆虫260種,植物50種,魚30種,カエル7種,トカゲ6種,カニ5種,ヘビ2種,ヒキガエル1種である。しかし,熱帯産の硬材,ゴム,ヤシ油の需要が高まって森林伐採が進むことにより,島の内陸部の熱帯雨林は脅かされる可能性がある。

迷信を信じる人の増加

「工業技術や科学が発達したこの時代にあっても,迷信はいまだに強い影響力を失っていない」と,ドイツのアレンスバッハ世論調査研究所は伝えている。長期にわたって行なわれた研究によると,「人々の間には,吉凶に関する不合理な考えが根強く残っている。実際,そうした考えを持つ人は四半世紀前よりも増えている」。1970年代には22%の人が流れ星は自分たちの生活に影響を及ぼすと考えていたが,今では40%の人がそう信じている。現在,大人でどんな迷信も信じない人は,3人につき1人しかいない。ドイツの大学生1,000人を対象にした別の調査では,その3分の1が車やキーホルダーに付けたお守りの力を信じていることが分かった。

後退する南極の氷河

ブエノスアイレスの新聞「クラリン」によると,「過去50年間に,南極半島にある244の氷河の87%が後退した」。それは専門家が以前に考えていたよりも速いスピードである。また,その地域の氷河を初めて総合的に分析した結果,過去50年間に気温が2.5度以上も上昇したことが分かった。英国南極調査隊のデービッド・ボーンは,広範囲に及ぶ後退はおもに気候変動によって生じたとしている。さらに,「その責任は人間にあるのだろうか」と問いかけ,「確かなことは言えないが,我々はこの重要な問いの答えに一歩近づいた」と述べている。