マラリアについて知っておきたいこと
世界保健機関の推定によると,2013年にマラリアに感染した人の数は1億9800万人を超え,それによる死者数はおよそ58万4000人です。亡くなった人のほぼ8割は5歳未満の子どもでした。世界中でその病気に脅かされている国や地域は100ほどに上り,約32億人が危険にさらされています。
1 どんな病気か
マラリアは,寄生虫感染症の一種。症状には,高熱,寒け,発汗,頭痛,体の痛み,吐きけ,嘔吐などがある。そうした症状は48時間ないし72時間ごとに繰り返し現われる場合があり,そのパターンは,寄生した原虫の種類や感染後の期間によって異なる。
2 体内でどのように殖え広がるか
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ハマダラカの雌に刺され,人体の血流にマラリア原虫という原生動物が入る。
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その原虫が,人の肝臓の細胞に入り込み,そこで増殖する。
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その肝細胞が破裂すると,多数の原虫が放出されて,今度は赤血球に侵入し,そこで引き続き増殖する。
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原虫の増殖した赤血球が破裂すると,多数の原虫が放出されて,さらに多くの赤血球に侵入する。
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原虫が赤血球に侵入して赤血球が破裂する,というサイクルが続く。感染した人には,赤血球が破裂する度にマラリアの典型的な症状が現われる。
3 どうすれば予防できるか
マラリアが風土病となっている地域に住んでいる場合
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次のような蚊帳を使用する。
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殺虫剤を染み込ませたもの。
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穴や破れ目のないもの。
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丈が寝床の下に挟み込める長さのもの。
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家の中全体に,屋内残留性の殺虫剤を噴霧する。
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できれば,戸口や窓に網か網戸を取り付ける。蚊がとどまりにくくなるようエアコンや扇風機を使う。
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肌を完全に覆う明るい色の服を着る。
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なるべく,蚊の群がる茂みや,蚊の繁殖場となるたまり水に近づかない。
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感染したら,すぐに治療を受ける。
マラリアが風土病となっている地域への旅行を計画している場合
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出発する前に最新情報を得ておく。マラリア原虫の種類は地域によって異なる場合があり,効き目のある薬の種類も違ってくる。また,自分の既往歴に関連して知っておくべき事柄を,かかりつけの医師に尋ねておくとよい。
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現地にいる間は,この記事の中で示されている,マラリアが風土病となっている地域の人々のための指針に従う。
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感染したら,すぐに治療を受ける。症状は,感染してから1週間ないし4週間後に現われる場合もある,ということを知っておく。