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霊的に強い家族を築く

霊的に強い家族を築く

霊的に強い家族を築く

「エホバの懲らしめと精神の規整とをもって育ててゆきなさい」。―エフェソス 6:4

1 家族に関して,神はどんな目的を持っておられましたか。しかし,それに反して,どんなことが生じましたか。

『子を生んで多くなり,地に満ちよ』。(創世記 1:28)エホバ神は,アダムとエバに対するこの言葉をもって,家族の取り決めを創始されました。(エフェソス 3:14,15)その最初の夫婦は前途を展望し,地が自分たちの子孫で満ち,完全な人間で成る大家族が楽園の地で喜びにあふれた生活を送り,一致のうちに偉大な創造者を崇拝する様子を思い描くことができました。しかし,アダムとエバは罪に陥り,地は,神に恐れを抱く義にかなった人々で満ちるようにはなりませんでした。(ローマ 5:12)それどころか,家族生活の質は見る見る低下し,憎しみ,暴虐,「自然の情愛」に欠けた態度などが広まりました。特に,この「終わりの日」においてそうなっています。―テモテ第二 3:1-5。創世記 4:8,23; 6:5,11,12

2 アダムの子孫はどんな能力を持っていましたか。しかし,霊的に強い家族を築くには何が求められましたか。

2 アダムとエバは神の像に創造されており,アダムは罪人となったものの,子どもをもうけることをエホバから許されました。(創世記 1:27; 5:1-4)アダムの子孫は,自分たちの父と同様,道徳的な受容力を持ち,正邪を見分けることを学び得る者でした。創造者を崇拝する方法について,また心と魂と思いと力をこめて神を愛することの重要さについて,教えを受けることができました。(マルコ 12:30。ヨハネ 4:24。ヤコブ 1:27)さらに,「公正を行ない,親切を愛し,慎みをもって……神と共に歩む」よう訓練を受けることもできました。(ミカ 6:8)とはいえ,罪人であったので,霊的に強い家族を築いてゆくにはかなりの意識的な努力が求められました。

時を買い取る

3 親は,クリスチャンの子どもを育てるため,どのように『時を買い取る』ことができますか。

3 非常に複雑な,この危機の時代にあって,子どもたちが,本当に『悪を憎み』,「エホバを愛する者」となるには,多大の努力が求められます。(詩編 97:10)賢明な親は,この課題に取り組むために「時を買い取り」ます。(エフェソス 5:15-17)親の皆さんは,どのようにしたら,そうできるでしょうか。まず,物事の優先順位を定め,「より重要な事柄」に注意を向けてください。その中には,お子さんを教え,訓練することも含まれます。(フィリピ 1:10,11)次に,生活の仕方を簡素にしてください。あまり必要でない活動は後回しにしなければならないでしょう。維持管理に時間のかかる不要な所有物を手離す必要があるかもしれません。クリスチャンである親は,神に恐れを抱く子どもを育てるために努力を払ったことを,決して後悔しないでしょう。―箴言 29:15,17

4 どうすれば家族の一致を保てますか。

4 子どもと共に時間を,とりわけ霊的な事柄を中心にした時間を過ごすことは,努力を払う価値が十分にあり,家族の一致を保つ非常に良い方法です。とはいえ,成り行きに任せないようにしましょう。一緒に過ごす時間を予定の中に含めてください。これは,みんながただ同じ家にいて,それぞれ好きな事をしている,ということではありません。子どもは,毎日個人的に注意を向けてもらうと,すくすく伸びてゆきます。愛と関心を惜しみなく示してもらう必要があります。夫婦は,子どもを持つかどうかを決める前に,この大切な責任を真剣に考慮すべきです。(ルカ 14:28)そうすれば,子育てを単なる仕事と考えるのではなく,むしろ,祝福された特権とみなすようになるでしょう。―創世記 33:5。詩編 127:3

言葉と手本によって教える

5 (イ)エホバを愛することを子どもに教える出発点となるのは何ですか。(ロ)申命記 6章5-7節は,親たちにどんな助言を与えていますか。

5 エホバを愛することをお子さんに教える出発点は,エホバに対するあなた自身の愛です。神に対する強い愛に動かされて,あなたは神のすべての指示に忠実に従いたいと思うことでしょう。それには,「エホバの懲らしめと精神の規整とをもって」子どもを育ててゆくことも含まれます。(エフェソス 6:4)神は親たちに,子どもの手本となり,子どもと意思を通わせ,教えるようにと助言しておられます。申命記 6章5-7節にはこうあります。「あなたは,心をつくし,魂をつくし,活力をつくしてあなたの神エホバを愛さねばならない。そして,わたしが今日命じているこれらの言葉をあなたの心に置かねばならない。あなたはそれを自分の子に教え込み,家で座るときも,道を歩くときも,寝るときも,起きるときもそれについて話さねばならない」。何度も訓戒することと繰り返すことにより,お子さんに神のおきてを教え込むことができます。そうすれば,お子さんはエホバに対するあなたの愛を感じ取り,それに影響されて,自分も神に対して親密な気持ちを抱くようになるでしょう。―箴言 20:7

6 親は,子どもが手本から学ぶという事実をどのように活用できますか。

6 子どもは学ぼうとする意欲を持っています。一心に聴き,観察し,すぐにあなたの手本に倣います。お子さんは,あなたが物質主義的でないのを見て,イエスの助言に従う方法を学びます。あなたは,物質的な事柄を思い煩わずに『神の王国を第一に求める』ということを教えているのです。(マタイ 6:25-33)聖書の真理,神の会衆,任命された長老たちなどについて,健全で築き上げる事柄を一緒に話すなら,お子さんに,エホバを敬い,霊的な備えを高く評価するよう教えていることになります。子どもはすぐに矛盾を見抜くので,口頭による教えは,霊的な物事に対するあなた自身の深い認識を反映する行状や態度によって裏打ちされていなければなりません。自分の良い手本によって子どもの内にエホバに対する心からの愛が育ったのを見る親は,なんと幸せなのでしょう。―箴言 23:24,25

7,8 幼いころから子どもを訓練することの価値を示すどんな実例がありますか。成功の誉れを受けるべきなのはだれですか。

7 ベネズエラのある実例は,幼いころから子どもを訓練することの価値を示しています。(テモテ第二 3:15)フェリクスとマイヤーリンという若い夫婦の経験です。二人は開拓奉仕を行なっています。息子のフェリトが生まれた時,エホバの真の崇拝者として育てるため,できることは何でも行なおうと考えました。マイヤーリンは,エホバの証人の発行した「わたしの聖書物語の本」をフェリトに読んで聞かせることにしました。フェリトは,かなり幼いうちから,その本に出てくるモーセや他の人物を見分けているようでした。

8 フェリトは,ごく小さいころから自分で証言するようになりました。願いどおりに王国伝道者になり,後にバプテスマを受け,やがて正規開拓者になりました。両親はこう述べています。「息子の成長を見ていると,それがエホバとエホバの教えのおかげであることがよく分かります」。

霊的に成長するよう子どもを助ける

9 忠実で思慮深い奴隷級を通して与えられる霊的な教えに感謝すべきなのはなぜですか。

9 子育てに関するアドバイスを提供する雑誌はたくさんあり,書籍やインターネット・ウェブサイトに至っては数え切れません。子どもに関するニューズウィーク誌の特別号(英語)は,往々にして「情報は食い違っている」,「特に当惑させられるのは,信頼できると思っていた情報が全く間違っていた,という場合である」と述べています。家族を教え,霊的に成長させるための備えをエホバがあふれるほどに設けてくださっていることに,本当に感謝できるのではないでしょうか。あなたは,忠実で思慮深い奴隷級を通して備えられているものすべてを十分活用しておられますか。―マタイ 24:45-47

10 効果的な家族の聖書研究は,親子双方にどんな益をもたらしますか。

10 くつろいだ雰囲気で行なわれる,定期的で一貫した家族の聖書研究は非常に重要です。教訓的で楽しく,励みの多い研究とするには,良い準備が求められます。親は,子どもの内面を引き出すことによって,子どもの心と思いに何があるかを知ることができます。家族研究が効果的なものとなっているかどうかは,家族の全員がそれを楽しみにしているかどうかを見ると分かります。

11 (イ)親は,どんな目標を定めるよう子どもを援助できますか。(ロ)ある日本の少女が目標に向かって努力した結果,どうなりましたか。

11 同様に,聖書にかなった目標を持つことも,家族を霊的に強めるのに役立ちます。親が,目標を定めるよう子どもを援助するのはよいことです。ふさわしい目標としては,毎日聖書を読むこと,良いたよりの定期的な伝道者になること,献身とバプテスマの段階まで進歩することなどがあります。また,開拓者,ベテル奉仕者,宣教者としての全時間奉仕も目標にできるかもしれません。あゆみという日本の少女は,小学生の時に,同級生全員に証言するという目標を立てました。先生と同級生の関心を高めるため,許可を得て,図書棚に聖書関係の出版物を何冊か置かせてもらいました。その結果,小学校の6年間に13件の聖書研究を取り決めることができました。聖書研究生の一人と,その家族の幾人かは,バプテスマを受けたクリスチャンになりました。

12 どうすれば子どもはクリスチャンの集会から最大の益を得られますか。

12 霊的に強く健康であるためには,集会に定期的に出席することも必要です。使徒パウロは仲間の信者に,『ある人々が習慣にしているように,集まり合うことをやめたりしない』よう訓戒しました。そのような習慣に陥らないようにしましょう。年齢を問わず,すべての人は,クリスチャンの集会に定期的に出席することから大きな益を得られるのです。(ヘブライ 10:24,25。申命記 31:12)しっかり耳を傾けるよう子どもたちを教えましょう。集会の準備も肝要です。注解して積極的に参加するなら大きな益を受けるからです。幼い子どもは最初のうち,二,三の単語を述べたり,節の一部を読んだりすることしかできないかもしれませんが,自分で答えを見つけ,自分の言葉で述べるよう訓練を受けるなら大きな益が得られるでしょう。親の皆さんも,いつも意味深い注解をして,手本を示しておられますか。また,家族一人一人が,聖書と歌の本,および聖書の討議に用いる出版物を持つのも良いことです。

13,14 (イ)親が子どもと一緒に宣教奉仕を行なうとよいのはなぜですか。(ロ)野外奉仕を子どもにとって有益で楽しいものとするため,何ができますか。

13 賢明な親は,若さあふれる子どもの活力をエホバへの奉仕に向けさせ,宣べ伝える業を生活の重要な部分とするよう助けます。(ヘブライ 13:15)親は,子どもと一緒に宣教奉仕を行なうことによって初めて,「真理の言葉を正しく扱う,何ら恥ずべきところのない」奉仕者となるのに必要な訓練を,その子に確実に受けさせることができます。(テモテ第二 2:15)では,あなたはいかがですか。親の皆さんは,お子さんの野外奉仕の準備を手伝っておられますか。そうするなら,子どもにとって宣教奉仕は楽しく,意義深く,産出的なものとなるでしょう。

14 親子が一緒に宣教奉仕を行なうと有益なのはなぜでしょうか。それによって,子どもは親の良い手本を見て,それに倣うことができるからです。一方,親は,子どもの態度,行状,能力を観察できます。是非,お子さんと一緒に宣教奉仕の様々な分野に参加するようになさってください。できれば一人一人に自分用の伝道かばんを持たせ,それを見苦しくないようきちんとしておくことを教えましょう。一貫した訓練と励ましを与えるなら,宣教奉仕に対する真の認識が育ち,子どもは,宣べ伝える業を神と隣人に対する愛を示す方法と考えるようになるでしょう。―マタイ 22:37-39; 28:19,20

霊性を維持する

15 家族の霊性を維持することは非常に重要ですが,そのためには何を行なえますか。

15 家族の霊性を維持することは肝要です。(詩編 119:93)そのための一つの方法は,機会あるごとに霊的な事柄を家族で話し合うことです。あなたは,日々の聖句の討議を家族で行なっておられますか。「道を歩くとき」に,野外奉仕での経験や,最新号の「ものみの塔」誌と「目ざめよ!」誌の内容を語り合うことが習慣となっていますか。「寝るときも,起きるときも」忘れずに,その日一日の命と豊かな備えについてエホバに感謝の祈りをささげておられますか。(申命記 6:6-9)お子さんは,あなたのすることすべてに神への愛が表われているのを見るとき,真理を自分のものとするよう助けられるでしょう。

16 自分で資料を調べるよう子どもを励ますことにはどんな価値がありますか。

16 子どもが,生じる問題や状況に首尾よく対処するための導きを必要とする時もあるでしょう。どうすべきかをいつも教える代わりに,自分で資料を調べるよう励まし,問題点に関する神の見方を探し出す方法を示すのはいかがですか。『忠実な奴隷』を通して備えられている道具や出版物すべてを活用することを教えるなら,子どもはエホバとの親密な関係を築いてゆけるでしょう。(サムエル第一 2:21後半)そして子どもが,聖書を調べて得た益を家族の他の人たちにも分かつなら,家族の霊性はいっそう強められるでしょう。

全面的にエホバに頼る

17 子どもをクリスチャンとして育てる面で,ひとり親があきらめるべきでないのはなぜですか。

17 ひとり親家庭の場合はどうでしょうか。そうした家庭は,子育ての面でさらに別の課題に直面します。とはいえ,ひとり親の皆さん,気を落とさないでください。成功を収めることは可能です。事実,多くのひとり親が,神に依り頼み,神の助言を従順に当てはめて,霊的に強い立派な子どもを育ててきました。(箴言 22:6)もとより,ひとり親であるクリスチャンは全面的にエホバに頼る必要があり,助けを備えていただけるという信仰を抱いていなければなりません。―詩編 121:1-3

18 親は子どもの心身両面のどんな必要に注意を向けるべきですか。しかし,何を重視すべきですか。

18 賢明な親は,『笑うのに時があり,跳び回るのに時がある』ことをわきまえています。(伝道の書 3:1,4)子どもが心身両面で成長するには,くつろぎの時間や,平衡の取れた健全なレクリエーションも欠かせません。築き上げる音楽,特に神を賛美する歌を歌うことは,子どもが健やかな態度をはぐくむ助けとなり,そうした態度は,エホバとの関係を強める点で重要な役割を果たします。(コロサイ 3:16)若い時代は,神に恐れを抱く大人となり,楽園となる地で永遠に生活を楽しむための準備をする時期でもあるのです。―ガラテア 6:8

19 親が,子育ての努力に対するエホバの祝福を確信できるのはなぜですか。

19 エホバは,クリスチャンの家族すべてがそれぞれ一つの単位として霊的に強くなってゆくことを望んでおられます。わたしたちが心から神を愛し,最善を尽くしてみ言葉に従おうとするなら,神はその努力を祝福し,霊感による指導に従うのに必要な強さを与えてくださいます。(イザヤ 48:17。フィリピ 4:13)お子さんを教えて訓練できる機会はいつまでもあるわけではなく,やり直しはきかない,ということを忘れないでください。最善を尽くして神の言葉の助言を当てはめてください。そうすればエホバは,霊的に強い家族を築こうとするあなたの努力を祝福してくださるでしょう。

何を学びましたか

● 子どもを訓練する面で,時間を買い取ることが非常に重要なのはなぜですか

● 親の良い手本が必要なのはなぜですか

● 霊的に成長するよう子どもを助けるための,どんな良い方法がありますか

● どうすれば家族の霊性を維持できますか

[研究用の質問]

[24,25ページの図版]

霊的に強い家族は,定期的に神の言葉を学び,クリスチャンの集会に出席し,共に宣教奉仕に参加する