内容へ

目次へ

贈収賄 ― どれほどはびこっているか

贈収賄 ― どれほどはびこっているか

「うちの会社は,ある地方自治体の仕事をしています。報酬は,二,三か月後に支払われるのが普通です。ところが最近,そこの職員から電話がありました。『支払いを早めることもできますよ。幾らか手数料をいただければね』と言うのです」。―ジョン。 *

あなたも,賄賂を求められたことがありますか。上のような経験はないとしても,贈収賄や汚職など,“腐敗”の影響を被っていることは,まず間違いありません。

トランスペアレンシー・インターナショナルの2011年度版の腐敗認識指数 *によれば,「世界の183の国および地域のかなり多くが,0(腐敗度が最も高い)から10(腐敗度が最も低い)までの評価尺度で5未満と算定され」ました。それより2年前にもこの団体は,2009年度の報告で腐敗まん延の実態が明らかになり,「腐敗の危険を免れている地域など世界のどこにもないことがはっきりした」と述べていました。

「腐敗とは,公的な権力を私利私欲のために乱用することであり,だれにとっても害となる。人々の生活や生計や幸福は,権力を持つ人たちの誠実さに依存しているのである」。―トランスペアレンシー・インターナショナル

贈収賄は悲惨な結果につながる場合があります。例えば,タイム誌(英語)によれば,2010年にハイチを襲った巨大地震で膨大な数の人命が奪われた原因の少なくとも一部は,「汚職と不注意」にありました。つまり,「建物は,技術者の指導を受けなくても,いわゆる政府の検査官に多額の賄賂を払えば,建つ」ということです。

こうした汚職に対する永続的な解決策はあるでしょうか。その答えを得るには,贈収賄の基本的な原因を理解する必要があります。次の記事でその点について考えましょう。

^ 名前は変えてあります。

^ 「腐敗認識指数とは,国々の公共部門の腐敗の認識レベルに基づいて各国を評価したものである」。―トランスペアレンシー・インターナショナル。