文字を使わずに翻訳する

文字を使わずに翻訳する

エホバの証人は聖書に基づく情報を900以上の言語に翻訳してきました。普通に翻訳するだけでも大変ですが,手話翻訳はさらに手間がかかります。ろう者のほとんどは手の動きや顔の表情を使い,考えを視覚化してコミュニケーションを図るので,手話翻訳者は文章を映像化します。これまで,エホバの証人は90以上の手話言語で翻訳を手掛けてきました。

どんな人が翻訳していますか

エホバの証人の翻訳者は,翻訳する言語に通じています。手話翻訳者も例外ではありません。その多くはろう者で,小さいころから手話を使ってきたか,耳は聞こえるものの,家族のだれかがろう者という背景を持っています。そして,聖書を熱心に勉強している人です。

翻訳者になったばかりの人は,まず翻訳の仕組みをしっかり学びます。アンドリューはこう述べています。「小さいころから,ろう者の学校で手話を使ってきました。でも,翻訳者としてトレーニングを受けたことで文法の構造が理解できるようになりました。ほかの翻訳者たちも,意味が正しく伝わるように,手話の出し方,表情,身振りをスキルアップさせてくれました」。

高品質な翻訳を求めて

翻訳者はチームで作業を行ないます。メンバーはそれぞれ,翻訳,チェック,校正を担当します。そして,可能な範囲で,いろんな背景を持つろう者にその動画を見てもらいます。その意見を基に翻訳をブラシュアップしていきます。この手順を踏むことで,自然で正確かつ明瞭な手話の動画が出来上がります。

フィンランド手話の翻訳チームが作業を行なっている。

手話翻訳者の多くは,手話で行なわれる聖書の集会に参加します。また,エホバの証人ではないろう者と聖書研究を行なうこともあります。このようにして,生きた手話ができるようにしています。

ブラジル手話の翻訳者が仮の翻訳を録画している。

そこまでして翻訳する理由

聖書によると,「すべての国民と部族と民と国語」から来た人が聖書の希望と慰めの言葉を受け入れます。(啓示 7:9)その中には当然,手話を使って話す人も含まれています。

翻訳者たちは時間や能力を喜んで使い,この尊い仕事を行なっています。トニーという翻訳者はこう言います。「わたしは耳が聞こえないので,ろう者の直面する苦労がよく分かります。聖書の真の希望をできるだけ多くのろう者に伝えたいと心から願っています」。

手話翻訳チームで働いているアマンダも,「聖書のメッセージをろう者に伝える,今の翻訳の仕事のほうが,前の仕事よりもずっと大きな達成感が得られます」と言います。

手話ビデオを見つけるには

jw.orgの「手話のコンテンツを探す」から,手話ビデオを見つけるためのチュートリアルをご覧いただけます。