「統治体からのうれしいお知らせです。地元当局の制限がない限り，全ての会衆は，じかに集まる集会を4月1日の週から再開できます」。このお知らせは，2022年3月の初めにjw.orgに載せられました。世界中のエホバの証人はこの知らせを聞いて，とても喜びました。でも新型コロナウイルスのパンデミックが終わっていたわけではありません。 a 集会に出席する人たちをウイルスの感染から守るために，どんな調整をしなければなりませんでしたか。どんな備品や設備が必要になったでしょうか。2年ほど王国会館を使用していませんでしたが，安全に集会を開くことはできるのでしょうか。

 兄弟たちは王国会館での集会を再開するために，何カ月も前から準備を進めてきました。

 2020年にじかに集まる集会が中止になったわずか1カ月後，ニューヨーク州ウォーウィックにある国際設計建設部門（WDC）は，コロナ感染症が王国会館の使い方にどのように影響するか，安全に集まるにはどんなことをする必要があるかを分析し始めました。

 国や地域によってニーズはさまざまです。WDCで奉仕するマシュー･デ･サンクティス兄弟はこう言っています。「国によっては，手を洗う場所を確保することが課題になっています。王国会館に水道がない場合，水を購入したり，近くの川や井戸から運んできたりする必要があります。また，政府の要請に従って空調や換気を調整したり，衛生に関する注意書きを張ったりしなければならない国もあります」。

 兄弟たちはこうした問題にどのように取り組んだのでしょうか。多くの場合，「シンプルで低コストの方法で，十分効果があることが分かりました」とマシュー兄弟は言います。例えばパプアニューギニアでは，20リットルのポリタンクに蛇口を取り付けた簡易手洗い場が作られました。その費用は，王国会館1棟につき40ドル（約5600円）しかかかりませんでした。アフリカでは，アジアの業者から簡易手洗いユニットを6000以上購入し，王国会館に設置しました。

 ほかにも，王国会館の換気を良くするために，ファンや換気扇を設置したり交換したりする必要がありました。多くの会衆では，マイクを手渡さなくて済むようにマイク用のポールを購入しました。ウイルスの感染を防ぐために，ドアの取っ手や水道の蛇口にはなるべく触らないような工夫をし，小まめに消毒してきました。自動で水が出るセンサー付きの蛇口をトイレの手洗いに設置した会衆もあります。チリでは，こうした調整を行うのに王国会館1棟当たり平均1400ドル（約19万6000円）かかりました。

 王国会館の感染症対策を優先しながら，寄付を有効活用する努力も払われました。例えば，国によっては感染症対策に関する税の優遇措置を利用して，簡易手洗い場やマイク用のポールを購入した所もあります。また，複数の支部が協力して，消耗品を通常よりも大量にまとめて購入することで費用を節約しました。さらに，各支部とグローバル･パーチェシング部門が連携してメーカーから直接買い付けることにより，価格を抑えられただけでなく，納期も短縮できました。

 王国会館での感染症対策が徹底されたので，兄弟姉妹は感染から守られ，じかに集まる集会に安心して出席できるようになりました。ペルーのドルシーネ姉妹はこう言っています。「パンデミックが始まってからすぐにコロナに感染してしまいました。それで，王国会館に行ったらまたコロナに感染してしまうのではないかと心配でした。でも実際に王国会館に行ってみると，長老の兄弟たちがしっかりと感染症対策をしてくださっていました。手指の消毒液を置いたり，マイク用のポールを使ったり，集会前後に会場を徹底的に消毒したりしていました。これなら大丈夫だと思いました」。 b

 ザンビアのサラ姉妹は別の問題にぶつかりました。こう言っています。「数カ月前に夫がコロナで亡くなりました。それで，独りで集会に出席したらどんな気持ちになるだろう，と不安になりました」。今ではどう思っているでしょうか。姉妹はこう続けます。「じかに集まる集会に行って本当に良かったと思います。この終わりの時代にエホバが共にいてくださるのがよく分かりました。今では，長老たちやほかの兄弟姉妹が私に必要な愛や励まし，支えを与えてくれていることを，より一層実感することができています」。

 世界中のエホバの証人は，王国会館で再び集まれるようになったことを喜んでいます。皆さんの寄付に感謝しています。寄付はdonate.pr418.comを通して行うことができます。皆さんの寄付のおかげで，王国会館は快適で安心して集まれる場所になっています。