前書き

前書き

「私​は​北部​州​の​ある​小さな​村​で​育ち​まし​た」と,シエラレオネ​に​住む​ドーダ​は​言い​ます。「私​が​子供​の​とき​の​こと​です​が,ある​とき​私​の​家族​と​別​の​家族​が​土地​の​こと​で​争っ​て​い​まし​た。両方​が​同じ​土地​の​所有​権​を​主張​し​て​い​た​の​です。この​問題​を​解決​する​ため​に,まじない​師​が​呼ば​れ​まし​た。まじない​師​は​もう​一​人​の​男​に​鏡​を​渡し,その​男​に​白い​布​を​かけ​まし​た。しばらく​する​と​布​を​かぶっ​た​その​男​は​震えだし,汗​を​かき​始め​まし​た。そして​鏡​を​のぞき込ん​で​叫び​まし​た。『老人​が​近づい​て​くる​の​が​見える。白衣​を​着​て​いる。背​が​高く,年​を​とっ​て​い​て,頭​は​白髪​だ。少し​前かがみ​に​なっ​て​歩い​て​いる』。

「その​男​は​祖父​の​特徴​を​述べ​て​い​た​の​です。それ​から​彼​は​異常​に​興奮​し,『もし​わたし​の​言葉​が​信じ​られ​ない​なら,こっち​に​来​て​自分​で​見る​が​いい』と​大声​で​言い​まし​た。もちろん,私たち​は​だれ​も​そんな​こと​を​する​勇気​は​あり​ませ​ん​でし​た。まじない​師​は,ひょうたん​の​中​に​入れ​て​おい​た,葉​と​水​の​不思議​な​混ぜ物​を​振りかけ​て,その​男​を​なだめ​まし​た。

「“祖父”は​鏡​を​持っ​た​男​の​口​を​通し​て,その​土地​は​私たち​の​家族​の​もの​だ​と​言い​まし​た。それ​から​祖母​に​対し,心配​し​ない​で​その​土地​を​耕す​よう​に​と​言い​まし​た。もう​一方​の​家族​も​この​裁決​を​了承​し,問題​は​解決​し​まし​た」。

西​アフリカ​で​は,この​よう​な​こと​が​よく​あり​ます。世界​の​ほか​の​地域​と​同様,この​西​アフリカ​で​も​非常​に​多く​の​人々​が,死者​は​霊界​に​移っ​て,そこで​地上​の​人々​の​生活​を​観察​し,影響​を​及ぼす​こと​が​できる​と​信じ​て​い​ます。この​考え​は​正しい​でしょ​う​か。死者​は​本当​に​生き​て​いる​の​でしょ​う​か。もし​生き​て​い​ない​の​で​あれ​ば,死者​の​霊​で​ある​と​唱え​て​いる​の​は​だれ​でしょ​う​か。これら​の​質問​に​対する​正しい​答え​を​知る​の​は​非常​に​大切​な​こと​です。これ​は​生死​に​かかわる​問題​な​の​です。