賞を奪い取られないようにしてください
「賞を奪い取られてはなりません」。コロ 2:18
1,2. (イ)神の僕たちはどんな賞を得ることを楽しみにしていますか。(ロ)賞に目を向け続けるうえで何が助けになりますか。(冒頭の挿絵を参照。)
使徒パウロと同様,今日の油そそがれたクリスチャンには「上への召し」という「賞」を受ける輝かしい見込みがあります。(フィリ 3:14)天の王国でイエス・キリストと共に支配し,人類を完全な状態になるよう助けます。(啓 20:6)何と素晴らしい希望でしょう。ほかの羊は地上での永遠の命という賞を得ることを楽しみにしています。それも素晴らしい希望です。(ペテ二 3:13)
2 パウロは,油そそがれたクリスチャンが神への忠実を保って賞を得られるよう,「上にある事柄に自分の思いを留めなさい」と勧めました。(コロ 3:2)彼らは天での輝かしい報いに思いを留めなければなりませんでした。(コロ 1:4,5)天的な希望を持つ人も地的な希望を持つ人も,エホバが約束してくださっている祝福を思い巡らすなら,賞に目を向け続けることができます。(コリ一 9:24)
3. パウロはどんな危険について警告しましたか。
3 パウロは兄弟たちに,賞を奪い取られないよう警告しました。どんなものによって賞を奪い取られる危険があったでしょうか。コロサイ人への手紙によると,偽クリスチャンに注意する必要がありました。彼らは,キリストに信仰を働かせることではなく律法を守ることによって神の恵みを得ようとしていたからです。(コロ 2:16‐18)ほかにも危険がありました。不道徳な欲望,兄弟姉妹との問題,家族の問題などです。どうすればそうしたものに賞を奪い取られずにすむでしょうか。パウロが与えた助言は今日のわたしたちにとっても有益です。では,コロサイ人への手紙に記されている警告について調べてみましょう。
不道徳な欲望を死んだものにする
4. 不道徳な欲望が危険なのはなぜですか。
4 パウロは将来の素晴らしい希望について述べた後,こう書きました。「ですから,淫行,汚れ,性的欲情,有害な欲望,また強欲……に関して,地上にあるあなた方の肢体を死んだものとしなさい」。(コロ 3:5)不道徳な欲望は非常に強力です。それに屈するなら,エホバとの良い関係や将来の希望を失いかねません。ある兄弟は不道徳な欲望に負けてしまいました。後に会衆に戻ることができましたが,こう述べています。「欲望の力は非常に強く,気づいた時にはもう手後れでした」。
5. どんな状況に注意する必要がありますか。どのように自分を守れますか。
5 エホバの道徳規準に従うのが難しくなるような状況では,特に注意する必要があります。例えば,交際する男女は,触れることやキスすること,2人きりになることなどについて,初めから明確な制限を設けておくとよいでしょう。(箴 22:3)出張の時や異性と仕事をする時にも,問題が生じるかもしれません。(箴 2:10‐12,16)自分を守るために何ができるでしょうか。自分がエホバの証人であることをはっきり伝え,クリスチャンにふさわしい振る舞いをしましょう。思わせぶりな言動は悲惨な結果につながりかねません。落ち込んでいる時や寂しく感じている時にも注意が必要です。自分を気遣ってくれる人が恋しくなるからです。感情的な支えが欲しくて,だれでもいいから慰めてほしい,と思うかもしれません。そのような時は,エホバと兄弟姉妹の助けを求めてください。賞を奪い取られないようにしましょう。(詩編 34:18; 箴言 13:20を読む。)
6. 娯楽を選ぶ際,どんな点を思いに留めるべきですか。
6 不道徳な欲望を死んだものとするには,不道徳な娯楽を避けることが必要です。今日の娯楽の多くは,ソドムとゴモラを思い起こさせます。(ユダ 7)娯楽産業は,性的不道徳をごく普通で無害なことのように思わせています。ですから,警戒を緩めてはなりません。どんな娯楽を楽しんでも構わないと考えるのは危険です。娯楽を慎重に選び,命の賞から目をそらされないようにしてください。(箴 4:23)
愛と親切を「身に着けなさい」
7. クリスチャン会衆内でどんな問題が生じるかもしれませんか。
7 わたしたちは皆,クリスチャン会衆の一員であることをうれしく思っています。集会で聖書を学び,互いに愛と親切を示し合うことは,賞に目を向け続ける助けになります。とはいえ,兄弟姉妹との間で誤解が生じ,仲良くやっていくのが難しくなることがあります。問題を解決できないと,憤りを感じるようになるかもしれません。(ペテロ第一 3:8,9を読む。)
8,9. (イ)賞を得るうえでどんな特質が役立ちますか。(ロ)兄弟姉妹に感情を害された時,どんなことは平和な関係を保つ助けになりますか。
8 憤りを抱き続けるなら,賞を失いかねません。パウロはコロサイのクリスチャンにこう勧めました。「神の選ばれた者,また聖にして愛される者として,優しい同情心,親切,へりくだった思い,温和,そして辛抱強さを身に着けなさい。だれかに対して不満の理由がある場合でも,引き続き互いに忍び,互いに惜しみなく許し合いなさい。エホバが惜しみなく許してくださったように,あなた方もそのようにしなさい。しかし,これらすべてに加えて,愛を身に着けなさい。それは結合の完全なきずななのです」。(コロ 3:12‐14)
9 愛と親切という特質があれば,互いに許し合うことができます。兄弟姉妹の言動に傷つけられたなら,自分が不親切な言動をしてしまった時のことを思い出すとよいでしょう。間違いを見過ごしてくれた兄弟姉妹の愛と親切をうれしく思っているのではないでしょうか。(伝道の書 7:21,22を読む。)わたしたちは,キリストの親切のおかげで真の崇拝者たちが集められ,一致していることに深く感謝しています。(コロ 3:15)わたしたちは皆,同じ神を愛し,同じ音信を伝え,同じような問題にぶつかります。愛と親切を示し,他の人を許すなら,クリスチャンの一致に貢献し,命の賞に目を向け続けることができます。
10,11. (イ)ねたみを抱くことが危険なのはなぜですか。(ロ)どうすれば,ねたみを抱いて賞を失うことを避けられますか。
10 ねたみを抱くなら賞を失う危険があります。聖書には警告となる例が記されています。例えば,カインは弟のアベルをねたみ,殺しました。コラ,ダタン,アビラムはモーセをねたみ,モーセに反抗しました。サウル王はダビデの成功をねたみ,ダビデを殺そうとしました。聖書の次の言葉のとおりです。「ねたみや闘争心のあるところには,無秩序やあらゆるいとうべきものがあるからです」。(ヤコ 3:16)
11 愛と親切を培うなら,ねたみの感情に簡単に屈することはないはずです。聖書は,「愛は辛抱強く,また親切です。愛はねた[みません]」と述べています。(コリ一 13:4)ねたみの感情が心に根づかないようにするには,神がご覧になるような仕方で物事を見る必要があります。兄弟姉妹を会衆という同じ体の一部と見るのです。「ひとつの肢体が栄光を受ければ,ほかのすべての肢体が共に歓ぶのです」と聖書は述べています。(コリ一 12:16‐18,26)他の人が祝福を受けたなら,ねたむのではなく,喜びましょう。サウル王の息子ヨナタンのことを思い出してください。ヨナタンは,王になるよう任命されたダビデをねたむどころか励ましました。(サム一 23:16‐18)あなたはヨナタンのように親切で愛情深い人になれますか。
家族で賞を得る
12. 家族で賞を得るには,聖書のどんなアドバイスに従う必要がありますか。
12 家族の一人一人が聖書の原則を当てはめるなら,家庭は平和で幸福な場所になり,家族で賞を得ることができます。パウロはコロサイ人への手紙の中で,家族に関するアドバイスを与えました。こうあります。「妻たちよ,夫に服しなさい。それは主にあってふさわしいことだからです。夫たちよ,妻を愛しつづけなさい。妻に対して苦々しく怒ってはなりません。子供たちよ,すべての事において親に従順でありなさい。これは主にあって大いに喜ばれることなのです。父たちよ,あなた方の子供をいらいらさせて気落ちさせることのないようにしなさい」。(コロ 3:18‐21)今日でも,パウロのアドバイスを当てはめることは,夫や妻や子どもたちにとって有益です。
13. どうすれば未信者の夫を真理に引き寄せることができますか。
13 クリスチャンである妻が未信者の夫から大切にされていないと感じる場合,どうしたらよいでしょうか。夫に不満をぶつけたくなるかもしれません。でも,それで状況は良くなるでしょうか。夫はあなたの言うとおりにしてくれるかもしれませんが,聖書を学ぶ気にはならないでしょう。他方,あなたが夫の頭の権に敬意を示すなら,家庭の平和を保ち,エホバに賛美をもたらすことができます。夫は真理に引き寄せられ,夫婦で賞を得ることができるかもしれません。(ペテロ第一 3:1,2を読む。)
14. 未信者の妻から敬意を示されていないと感じる場合,どうすべきですか。
14 クリスチャンである夫が未信者の妻から敬意を示されていないと感じる場合,どうしたらよいでしょうか。自分が頭であることを示すために怒鳴りつければ,敬意を示してくれるでしょうか。神は,夫がイエスに倣って愛情深く頭の権を行使することを願っておられます。(エフェ 5:23)イエスは会衆に対していつも愛と辛抱強さを示しています。(ルカ 9:46‐48)夫がイエスの手本に倣うなら,妻は真理に引き寄せられるかもしれません。
15. クリスチャンである夫は,妻を愛していることをどのように示せますか。
15 聖書にはこうあります。「夫たちよ,妻を愛しつづけなさい。妻に対して苦々しく怒ってはなりません」。(コロ 3:19)愛情深い夫は妻を大切に思っているので,妻の意見に耳を傾け,意見を述べてくれたことに感謝します。(ペテ一 3:7)もちろん,妻の希望どおりのことを行なえない場合もあります。でも,妻に相談するならバランスの取れた決定を下せるでしょう。(箴 15:22)愛情深い夫は,敬意を示すよう妻に要求したりしません。むしろ,妻が心から敬意を示せる夫になるよう努めます。夫が妻と子どもを愛するなら,家族は幸福にエホバに仕え,命の賞を得ることができるでしょう。
若い皆さん,賞を奪い取られないでください!
16,17. 親に不満を感じる時,どうすれば穏やかさを保てますか。
16 十代の皆さんは,クリスチャンである親に気持ちを分かってもらえないとか,自由を奪われていると感じているかもしれません。いらいらが募り,エホバに仕えても幸せになれないとさえ思うかもしれません。でも,エホバに仕えることをやめてしまったら,親や会衆の兄弟姉妹以上に自分を気遣ってくれる人などいないことに気づくでしょう。
17 あなたが何か悪いことをしても,親から何も言われないとしたらどうですか。自分のことを心配してくれていない,と思うのではありませんか。(ヘブ 12:8)もしかすると,あなたは親のしかり方に不満を感じているかもしれません。でも,親の気持ちを理解するよう努めてください。すぐにかっとなるのではなく,穏やかさを保ちましょう。「自分のことばを控える者には知識があり,識別力のある人は霊を冷静に保つ」と聖書は述べています。(箴 17:27)助言がどんな仕方で与えられても,それを冷静に受け止め,自分の成長に役立てましょう。(箴 1:8)エホバを心から愛する親がいるのは感謝すべきことです。親はあなたに命の賞を得てほしいと思っているのです。
18. あなたが賞に目を向け続けたいと思うのはなぜですか。
18 天で永遠に生きる希望を持つ人も,地上の楽園で永遠に生きる希望を持つ人も,命の賞を得ることを心待ちにしています。それは創造者ご自身の約束に基づく確かな希望です。神は「地[が]必ずエホバについての知識で満ちる」と述べておられます。(イザ 11:9)地上に住む人は皆,神の教えを受けるのです。命の賞を得るために努力することには大きな価値があります。では,これからもエホバの約束に思いを向け続けましょう。賞を決して奪い取られないようにしてください。
「ものみの塔」(研究用)