エホバの主権を支持しましょう!
「エホバ,わたしたちの神よ,あなたは栄光と誉れと力を受けるにふさわしい方です。あなたはすべてのものを創造し……たからです」。―啓 4:11。
1,2. わたしたちはどんな事柄の根拠を調べる必要がありますか。(冒頭の挿絵を参照。)
前の記事で学んだように,悪魔は「エホバは正当な主権者ではない。人間は自分たちで支配したほうが幸せになれる」と主張しています。サタンの主張は正しいのでしょうか。仮に,人間が自分たちで支配し,永遠に生きられるとしましょう。神の支配を受けるよりも幸せになれるでしょうか。あなたは神から完全に独立して永遠に生きるほうが幸せになれるでしょうか。
2 こうした点について,一人一人がじっくり考えなければなりません。そうすれば,神が正当な主権者であることがはっきり分かるはずです。神の支配は最も優れています。わたしたちは心から神の主権を支持すべきです。なぜそう言えるでしょうか。聖書にはその根拠が記されています。まず,エホバが正当な主権者であると言える理由を調べてみましょう。
エホバは支配する権利を持っておられる
3. エホバだけが正当な主権者である,と言えるのはなぜですか。
3 エホバは全能の神また創造者なので,宇宙の正当な主権者です。(代一 29:11。使徒 4:24)啓示 4章11節の幻の中で,天でキリストと共に支配する14万4000人の者たちはこう述べています。「エホバ,わたしたちの神よ,あなたは栄光と誉れと力を受けるにふさわしい方です。あなたはすべてのものを創造し,あなたのご意志によってすべてのものは存在し,創造されたからです」。エホバはすべてのものを創造されたので,天と地のすべての者を支配する完全な権利をお持ちです。
4. 神の主権に逆らうことが自由意志の誤用と言えるのはなぜですか。
4 サタンは何も創造していません。ですから,宇宙を支配する権利などありません。サタンと最初の人間夫婦がエホバの主権に反逆したのはごう慢なことでした。(エレ 10:23)自由意志があったので,神からの独立を選ぶことはできました。しかし,そうする権利があったわけではありません。人は自由意志を与えられているので,毎日様々なことを自分で選択できます。だからといって,創造者であり命の与え主である方に逆らう権利があるわけではありません。エホバに逆らうことは,明らかに自由意志の誤用です。人間はエホバの正しい支配に従うべきなのです。
5. 神の決定は正しく公正であると確信できるのはなぜですか。
5 エホバが正当な主権者であると言える別の理由は何でしょうか。完全に公正な仕方で権威を行使されるからです。神はこう述べておられます。「わたし[は]エホバであり,愛ある親切,公正そして義を地に行なう者である……。わたしはこれらのことを喜びとする」。(エレ 9:24)エホバは,何が正しく公正かを,不完全な人間の法律に基づいてお決めになることはありません。ご自身が公正に関する完全な規準をお持ちです。神はその規準に基づいて,人間に律法をお与えになりました。詩編作者は「義と裁き[または,公正]は[神]の王座の定まった場所」と述べています。ですから,神の律法,原則,決定はすべて正しいと確信できます。(詩 89:14; 119:128)サタンはエホバが支配者として失格だと言っていながら,自分では世界を公正な場所にすることなどできていません。
6. エホバが宇宙を支配する権利を持っておられると言えるもう一つの理由は何ですか。
6 エホバが正当な主権者であると言えるもう一つの理由は,エホバが宇宙を支配するのに必要な知識と知恵をお持ちである,ということです。例えば,神はイエスに,医師にも治せない病気をいやす力をお与えになりました。(マタ 4:23,24。マル 5:25‐29)エホバにとってそれは奇跡ではありませんでした。人体の仕組みを熟知しておられる神は,どんな病気も治すことができます。死者を復活させることも,自然災害を防ぐこともできます。
7. エホバは,サタンの世のだれよりもはるかに優れた知恵をお持ちです。なぜそう言えますか。
7 サタンの世において,人々は国内の紛争や他の国々との対立を解決する方法を模索しています。しかし,世界平和をもたらす知恵を持っておられるのはエホバだけです。(イザ 2:3,4; 54:13)エホバの知識と知恵について知ると,次のように述べた使徒パウロと同じように感じるはずです。「ああ,神の富と知恵と知識の深さよ。その裁きは何と探りがたく,その道は何とたどりがたいものなのでしょう」。―ロマ 11:33。
エホバの支配は最も優れている
8. あなたはエホバの支配の仕方についてどう思いますか。
8 聖書には,エホバが支配する権利を持っている理由が記されているだけではありません。エホバの支配が最も優れている理由も説明されています。1つの理由は,神が愛に基づく支配を行なわれるということです。エホバは「憐れみと慈しみに富み,怒ることに遅く,愛ある親切と真実とに満ちる神」です。(出 34:6)人間の尊厳を重んじ,親切に接してくださいます。神はわたしたちのことを,わたしたち以上に深く考えてくださっているのです。忠実な崇拝者たちに良いものを何も差し控えられません。悪魔の主張とは正反対です。エホバはわたしたちが永遠に生きられるよう,ご自分の大切な子イエスをさえ与えてくださったのです。神の主権の行使の仕方について知ると,温かい気持ちになるのではありませんか。―詩編 84:11; ローマ 8:32を読む。
9. 神がわたしたち一人一人を気遣っておられることを示す,どんな例がありますか。
9 エホバはご自分の民全体を気遣っておられるだけではありません。一人一人にも深い関心を示されます。1つの例に注目しましょう。エホバは約300年間,裁き人たちを用いてイスラエル国民を導き,圧制者たちから救出されました。その動乱の時代,個々の人にも目を向けられました。ルツはその一人です。外国人でしたが,大きな犠牲を払ってエホバの崇拝者になりました。エホバはルツを祝福し,ルツが夫と出会い,息子を持てるようにされました。それだけではありません。将来ルツを復活させます。その時ルツは,自分の息子の家系からメシアが生まれたことを知って驚くでしょう。また,聖書に自分の名前の付いた書があり,自分のライフ・ストーリーが記されていることを知って,感激するに違いありません。―ルツ 4:13。マタ 1:5,16。
10. エホバはどんな支配を行なわれますか。
10 エホバの支配は,圧政的で厳しい支配ではありません。人々が自由と喜びを感じられる支配です。(コリ二 3:17)ダビデはこう述べました。「尊厳と光輝は[神]のみ前にあり,力と喜びはその場所にある」。(代一 16:7,27)詩編作者エタンもこう記しました。「喜びの叫びを知る民は幸いです。エホバよ,彼らはあなたのみ顔の光のうちを歩みつづけます。彼らはあなたのみ名によって一日じゅう喜び,あなたの義のうちに高められるのです」。―詩 89:15,16。
11. どうすれば,エホバの支配が最も優れているという確信が強まりますか。
11 エホバの善良さについて熟考すると,エホバの支配が最も優れているという確信が強まります。次のように述べた詩編作者と同じように感じるはずです。「あなたの中庭における一日は,ほかの場所における千日にも勝[りま]す」。(詩 84:10)愛情深い設計者また創造者であるエホバは,わたしたちが幸福になるために何が必要かをご存じであり,その必要を豊かに満たしてくださいます。エホバが求めておられることを行なうなら,必ず益が得られます。そうするために幾らか犠牲を払うとしても,最終的には大きな喜びを味わえます。―イザヤ 48:17を読む。
12. わたしたちがエホバの主権を支持したいと思うのはなぜですか。
12 聖書によると,キリストの千年統治の後,ある人々はエホバの主権に反逆します。(啓 20:7,8)獄から解き放された悪魔が人類を惑わそうとして,またしても利己心に訴えるのでしょう。エホバに従わずに永遠に生きる方法がある,と信じ込ませようとするかもしれません。もちろん,そんな主張は偽りです。でも大切なのはあなたがどう反応するかです。サタンの言葉に魅力を感じるでしょうか。もしエホバを愛しているなら,また,エホバが善良な方で宇宙の正当な主権者であることを確信しているなら,サタンの主張は不快極まりないものだと感じるはずです。わたしたちは,愛情深い正当な主権者エホバの支配のもとで生きたいと心から願っています。それ以外の生き方など考えられません。
神の主権を忠節に支持する
13. どのように神の主権を支持することができますか。
13 わたしたちはエホバの主権を心から支持すべきです。これまで考えたとおり,エホバは支配する権利を持っておられ,エホバの支配の仕方が最も優れているからです。神に忠誠を保ち,忠実に仕えるなら,神の主権を支持していることになります。ほかにもどんな方法で神の主権を支持できますか。エホバの方法で物事を行なうことです。エホバの物事の扱い方に倣うなら,エホバの支配の仕方を愛し,支持していることになります。―エフェソス 5:1,2を読む。
14. 長老や家族の頭はどのようにエホバに倣えますか。
14 聖書を読むと,エホバが愛ある仕方で権威を行使されることが分かります。ですから,エホバの主権を愛している長老や家族の頭は,自分に主権の一部があるかのように他の人に要求的になったりしません。むしろ,エホバに倣います。パウロも神とイエスに倣いました。(コリ一 11:1)パウロは他の人に無理強いしたり,劣等感を抱かせたりはしませんでした。むしろ,正しいことを行なうように懇願しました。(ロマ 12:1。エフェ 4:1)これがエホバの方法です。エホバを愛し,エホバの支配の仕方を支持する人は皆,エホバの物事の扱い方に倣うべきです。
15. エホバの支配の仕方を愛していることをどのように示せますか。
15 あなたは,神がお定めになった頭の権をどう見ますか。頭の権を与えられている人たちに敬意を払い,協力するなら,エホバの主権を支持していることになります。ある決定を十分に理解できない場合や決定に同意できない場合でも,神権的な秩序を重んじましょう。これは世のやり方とは全く異なります。でも,エホバの支配を受け入れる人は頭の権に従います。(エフェ 5:22,23; 6:1‐3。ヘブ 13:17)そうすることはわたしたちの益になります。神はわたしたちにとって最善のことを願っておられるからです。
16. 神の主権を支持する人は,どのように個人的な決定を下しますか。
16 個人的な決定を下す時にも,神の主権を支持していることを示せます。エホバは,生活上の様々な事柄について細かな命令を与えたりはされません。ご自分の考えを明らかにすることによって導いてくださいます。例えば,クリスチャンの服装について細かな規則を設けておられません。むしろ,クリスチャンにふさわしい,慎みのある服装や身なりをしてほしい,という願いを聖書に記しておられます。(テモ一 2:9,10)他の人をつまずかせたり,不快にさせたりする服装をしてほしくない,とも願っておられます。(コリ一 10:31‐33)それで,個人的な決定を下す際,自分の好みだけで決めるのではなく,エホバのお考えや願いをよく考慮して決めるなら,エホバの支配の仕方を愛し,支持していることになります。
17,18. 夫婦はどのようにエホバの主権を支持できますか。
17 クリスチャンの夫婦がどのようにエホバの主権を支持できるかを考えましょう。結婚生活が思っていたより大変だったり,失望させられることがあったりしたら,どうしますか。時間を取って,エホバがイスラエル人にどのように接したかを考えるとよいでしょう。神はご自分をイスラエル国民の夫と呼んでおられます。(イザ 54:5; 62:4)エホバにとって大変な“結婚”でした。しかしエホバはすぐにあきらめたりはされませんでした。何度も許し,イスラエル人との契約を忠節に守られました。(詩編 106:43‐45を読む。)忠節な愛の神エホバに引き寄せられるのではないでしょうか。
18 エホバを愛する夫婦は,エホバの物事の扱い方に倣います。難しい問題に直面しても,安易に結婚を終わらせようとはしません。エホバが自分たちをくびきで結ばれ,互いに「堅く付[く]」ことを願っておられることを知っています。聖書によれば,人が離婚し,再婚する自由を得られるのは,配偶者が性的不道徳を犯した場合だけです。(マタ 19:5,6,9)状況を改善するためにできる限りのことを行なうなら,エホバの支配の仕方を支持していることになります。
19. 間違いを犯したなら,どうすべきですか。
19 わたしたちは不完全なので,エホバをがっかりさせてしまうことがあります。エホバはそのことをご存じであり,愛情深くもキリストを贖いとして与えてくださいました。ですから,間違いを犯したなら,エホバに許しを求めましょう。(ヨハ一 2:1,2)自分を責め続けるのではなく,間違いから教訓を学ぶよう努めましょう。エホバのもとにしっかりとどまるなら,エホバはわたしたちを許し,立ち直らせてくださいます。将来同じような問題に直面した時,賢明に対処できるようにも助けてくださるでしょう。―詩 103:3。
20. 今,エホバの主権を支持すべきなのはなぜですか。
20 新しい世では,すべての人がエホバの支配を受け,エホバの正しい物事の行ない方を学びます。(イザ 11:9)とはいえ,わたしたちは今もエホバのお考えや物事の行ない方について多くのことを学んでいます。エホバの主権の問題は着々と解決に向かっています。今は,エホバに忠誠を示し,忠実に仕え,エホバの物事の行ない方に倣うことによって,神の主権を支持すべき時なのです。
「ものみの塔」(研究用)