「ヤハを賛美せよ!」
「あなた方はヤハを賛美せよ。……それは快いことだからである ― 賛美はふさわしい」。詩 147:1
歌: 104,152
1‐3. (イ)詩編 147編はいつ書かれたと思われますか。(ロ)詩編 147編からどんなことを学べますか。
立派な特質を示した人や良い仕事を成し遂げた人は称賛を受けます。では,エホバ神についてはどうでしょうか。エホバは計り知れない力を用いて宇宙を創造されました。人類に深い愛情を示し,イエスを贖いの犠牲として与えてくださいました。エホバは確かに賛美を受けるべき方です。
2 詩編 147編の作者はエホバを賛美せずにはいられませんでした。他の人にもエホバを賛美するよう勧めています。(詩編 147:1,12を読む。)
3 この詩編作者がだれかは分かりません。でも,エホバがイスラエル人をバビロン捕囚から解放し,エルサレムに連れ戻されたころに生きていた人と思われます。(詩 147:2)詩編作者は,神の民が真の崇拝の場所に戻るのを見て,エホバを賛美したいと思ったのでしょう。詩編作者がエホバを賛美した理由はほかにもあります。どんな理由ですか。わたしたちには「ハレルヤ」つまり「ヤハを賛美せよ」と言うべきどんな理由があるでしょうか。(詩 147:1; 104:35,脚注)
エホバは心の打ち砕かれた者をいやされる
4. イスラエル人は捕囚から解放された時,どう感じたに違いありませんか。なぜですか。
4 バビロンで捕囚になっていたイスラエル人は,どんな気持ちだったでしょうか。バビロニア人からは「我々のためにシオンの歌を一つ歌え」とあざけられました。イスラエル人にとって歓びのおもな理由であるエルサレムは荒廃していました。(詩 137:1‐3,6)とても歌う気分にはなれなかったでしょう。心が打ち砕かれ,慰めや励ましを必要としていました。後に彼らは,神の預言どおり,ペルシャの王キュロスを通して救出されました。バビロンを征服したキュロスはこう宣言しました。「エホバは……エルサレムにご自分のために家を建てることをわたしにゆだねられた。すべてその民の者であなた方の中にいる者はだれでも,その神エホバがその人と共におられるように。それゆえ,その人は上って行くように」。(代二 36:23)バビロンに住んでいたイスラエル人はどんなに喜んだことでしょう。
5. エホバはどのようにわたしたちを慰めてくださいますか。
5 エホバはイスラエル国民全体だけではなく,個々の人も慰められました。今日でもそうです。詩編作者はこう述べています。「神は心の打ち砕かれた者をいやし,その痛む所を包んでくださる」。(詩 147:3)エホバは,病気の人や気持ちが沈んでいる人を気遣い,助けてくださいます。そのような人を慰め,力づけたいと願っておられます。(詩 34:18。イザ 57:15)問題に対処するための知恵や力を与えてくださいます。(ヤコ 1:5)
6. 詩編 147編4節からどんなことを学べますか。(冒頭の挿絵を参照。)
6 次に詩編作者は天体に注意を向け,「神は星の数を数えておられ,そのすべてを各々の名で呼ばれる」と述べています。(詩 147:4)詩編作者はたくさんの星を目にしましたが,その数を知りませんでした。今では当時よりはるかに多くの星を観測できます。天の川銀河には1000億以上の恒星があり,宇宙全体には何兆もの銀河があると言われています。まさに無数の星です。創造者はそのすべてに名前を付けておられます。エホバにとってはどの星もそれぞれ異なるものです。(コリ一 15:41)では,エホバは地上の人間をどうご覧になっているでしょうか。それぞれの星がいつどこにあるかをご存じの神は,わたしたち一人一人がどこにいるか,今どんな気持ちか,何を必要としているかを正確に知っておられます。
7,8. (イ)エホバはどんなことを理解してくださいますか。(ロ)エホバが思いやり深く助けてくださることを示す例を挙げてください。
7 エホバはわたしたちに関心を持っておられるだけではなく,わたしたちの直面する問題を理解しておられ,助ける力をお持ちです。(詩編 147:5を読む。)わたしたちにはとても手に負えない問題に思えるかもしれません。でも神はわたしたちの限界をご存じで,「わたしたちが塵であることを覚えておられ」ます。(詩 103:14)不完全なわたしたちは同じ間違いを繰り返します。言うべきではないことを言ってしまったり,他の人をうらやんだりすることがあります。間違った欲望が生じることもあります。エホバにはそうしたことはありませんが,わたしたちのことを深く理解しておられます。計り知れない理解力をお持ちだからです。(イザ 40:28)
8 あなたも何かの問題に直面し,エホバの力強い手によって助けられた経験があるかもしれません。(イザ 41:10,13)開拓者の恭子は,割り当てられた会衆に移動した後,精神的に落ち込んでしまいました。でもエホバは姉妹の状況を理解しておられました。移動先の会衆やその近くに,姉妹の気持ちを理解してくれる兄弟姉妹が何人もいたのです。姉妹はエホバからこう言われているように感じました。「わたしはあなたが開拓者だからではなく,わたしの献身した娘だから愛しているのですよ。わたしの証人としての生活を楽しんでください」。あなたの場合はどうでしたか。全能の神は,「語り尽くすことができない」理解をどのように示してくださいましたか。
エホバは必要なものを与えてくださる
9,10. エホバはどんな助けを与えてくださいますか。例を挙げて説明してください。
9 わたしたちは衣食住を必要とします。十分な食べ物が手に入るかどうか心配な時,どんなことを思い起こせますか。エホバが自然のサイクルを定め,植物を成長させておられる,ということです。おなかを空かせた幼い渡りがらすにさえ食べ物を与えておられます。(詩編 147:8,9を読む。)ですから,わたしたちのことも養ってくださると確信できます。(詩 37:25)
10 最も大切な点として,エホバは強い信仰を保つのに必要なものを与えてくださいます。「一切の考えに勝る神の平和」も与えてくださいます。(フィリ 4:6,7)陸奥夫と妻は,エホバの支えを経験しました。2011年に東日本大震災が起きた時,2人は自宅の屋根に上り,辛うじて津波から逃れました。物をほとんど失い,損壊した自宅の2階の部屋で暗くて寒い夜を過ごしました。翌朝,聖書や出版物を探しました。力を得たいと思ったのです。見つかったのは「2006 エホバの証人の年鑑」だけでした。本を開くと,「史上最悪の津波」という見出しが目に留まりました。2004年のスマトラ島沖地震で生じた,史上最も破壊的な津波について書かれていました。2人はそれを読み,声を上げて泣きました。まさにその時に必要としていた励ましでした。神の愛と優しさを感じました。エホバは兄弟姉妹を通して救援物資も与えてくださいました。特に力になったのは,神の組織の代表者たちが会衆を訪問してくれたことです。陸奥夫はこう述べています。「まるでエホバがそばにいて一人一人を気遣っているように感じ,心から慰められました」。神は,わたしたちにとって最も大切なもの,つまり強い信仰を保つのに必要なものを与えてくださいます。そして,身体的に必要なものも与えてくださいます。
神の助けを得る
11. 神の助けを得ることができるのはどんな人ですか。
11 エホバはいつでも「柔和な者たちを助け」たいと願っておられます。(詩 147:6前半)どうすれば神の助けを得られるでしょうか。神との良い関係を持っている必要があります。そのためには,柔和さを培わなければなりません。(ゼパ 2:3)柔和な人は,神が悪を正し,苦しみを終わらせてくださるのを待ちます。エホバはそのような人を喜ばれます。
12,13. (イ)神の助けを得るには,何を避けなければなりませんか。(ロ)エホバはどんな人を喜ばれますか。
12 しかし,神は「邪悪な者たちを地に卑しめ」られます。(詩 147:6後半)エホバの憤りを買わないようにし,神から忠節な愛を示していただくには,神の憎まれるものを憎む必要があります。(詩 97:10)例えば,性的不道徳を憎むべきです。ポルノなど,性的不道徳を犯すきっかけになりかねないものを一切避けなければなりません。(詩 119:37。マタ 5:28)大変な闘いが求められるかもしれませんが,努力する価値があります。エホバの祝福を得られるからです。
13 この闘いに勝つには,自分ではなくエホバに頼る必要があります。エホバに喜ばれたいなら,「馬の力強さ」に助けを求めるべきではありません。自分や他の人の力で何とかしようとして,「人間の脚」に頼ってもなりません。(詩 147:10)むしろ,エホバに祈り,助けを求めましょう。エホバは人間のカウンセラーとは異なります。わたしたちが何度祈っても,もう聞き飽きたなどとは思われません。「エホバは,ご自分を恐れる者たち,ご自分の愛ある親切を待ち望む者たちを楽しみとしておられ」ます。(詩 147:11)エホバは忠節な愛を示してくださいます。わたしたちから決して離れず,悪い欲望に勝てるよう助けてくださるのです。
14. 詩編作者はどんなことを確信していましたか。
14 エホバはわたしたちが問題に直面する時,必ず助けてくださいます。詩編作者はエルサレムの回復についてこう述べました。「神はあなたの門のかんぬきを強固にされたからである。神はあなたの中にいるあなたの子らを祝福してくださった。神はあなたの領地に平和を置いておられ[る]」。(詩 147:13,14)詩編作者は,神がエルサレムの門を強固にし,崇拝者たちを守ってくださることを確信していました。
15‐17. (イ)自分の問題についてどう感じることがありますか。エホバは聖書を用いてどのように助けてくださいますか。(ロ)「み言葉[が]速やかに走る」ことを示す例を挙げてください。
15 難しい問題に直面して不安になる時はどうでしょうか。エホバは対処するための知恵を与えてくださいます。詩編作者は,「神はみことばを地に送っておられ,そのみ言葉は速やかに走る」と述べています。また,「神は雪を……与えておられ,白霜を……散らされる。神はその氷を……投げておられる」とも述べ,「だれがその寒さの前に立ち得るだろうか」と尋ねています。そして,「神はみ言葉を送り出して,それらを溶かす」と述べています。(詩 147:15‐18)豊かな知恵と力を持たれる神は,雪や雹を制御することができます。そうであれば,わたしたちがどんな問題も乗り越えられるよう助けてくださるはずです。
16 今日,エホバはみ言葉 聖書を用いて助けてくださいます。「み言葉は速やかに走る」とあるとおり,必要な指針をすぐに与えてくださいます。聖書,「忠実で思慮深い奴隷」の出版物,JW Broadcasting<ブロードキャスティング>,jw.org,長老たち,兄弟姉妹を通して,どれほど助けられてきたかを考えてみてください。(マタ 24:45)エホバは速やかに助けてくださったのではないでしょうか。
17 シモーンは神の言葉の力を実感しました。自分には価値がなく,神に喜んでいただけないと感じていました。でも落ち込んだ時には,ひたすらエホバに祈り,助けを求めました。また,聖書を一生懸命に学びました。こう述べています。「エホバはいつもわたしを力づけ,必要な励ましを与えてくださいました」。シモーンはエホバの助けを得て,頑張ろうという気持ちを奮い起こしています。
18. わたしたちが神の恵みを受けていると言えるのはなぜですか。あなたが「ヤハを賛美」したいと思うのはなぜですか。
18 詩編作者は,イスラエル国民がどれほど恵まれた民かを知っていました。彼らは神の「言葉」と「規定と司法上の定め」を与えられた唯一の国民でした。(詩編 147:19,20を読む。)今日,わたしたちは神のお名前によって呼ばれている唯一の民です。これは大きな誉れです。エホバを知り,神の言葉を与えられ,神との親しい関係を持てるようになりました。こうしたことを考えると,わたしたちも詩編 147編の作者と同様,「ヤハを賛美せよ!」と言わずにはいられません。これからもエホバを賛美し続けましょう。そして,他の人もその賛美に加わるよう励ましましょう。
「ものみの塔」(研究用)