研究記事3
どうすれば心を守れますか
「守るべき他のすべてのものに勝ってあなたの心を守れ」。箴言 4:23
52番の歌 あなたの心を守りなさい
何を学ぶか *
1‐3. (ア)エホバがソロモンを愛されたのはなぜですか。ソロモンはどんな祝福を得ましたか。(イ)この記事ではどんな点を考えますか。
ソロモンは若い時にイスラエルの王になりました。その統治の初めごろ,エホバは夢の中でソロモンに現われ,「あなたに何を与えるべきか,願い求めなさい」と言われました。ソロモンはこう答えます。「私は小さな少年にすぎません。私は出入りするすべを知りません。……ですから,あなたの民を裁[く]ために,従順な心をぜひこの僕にお与えください」。(王一 3:5‐10)「従順な心」とは,何と慎み深い願いでしょう。エホバがソロモンを深く愛されたのも当然です。(サム二 12:24)エホバはソロモンの答えを聞いて喜び,「賢くて理解のある心」をお与えになりました。(王一 3:12)
2 ソロモンは神に忠実に仕えていた間,たくさんの祝福を得ました。「イスラエルの神エホバのみ名のために」神殿を建てるという栄誉を与えられました。(王一 8:20)神から豊かな知恵を与えられたため,人々に広く知られるようになりました。ソロモンが神の導きを受けて述べた言葉は,聖書の3つの書に記されました。その一つが「箴言」です。
3 「箴言」には,心について100回ほど述べられています。例えば箴言 4章23節には,「守るべき他のすべてのものに勝ってあなたの心を守れ」とあります。ここで述べられている「心」とは何でしょうか。この記事ではその点に加え,次の2つの点を考えます。サタンはどのようにわたしたちの心を腐敗させようとするでしょうか。どうすれば心を守れますか。こうした点を知ることは,神への忠実を保つために不可欠です。
「心」とは何か
4‐5. (ア)詩編 51編6節によると,「心」とは何であることが分かりますか。(イ)人の内面が大切なのはなぜですか。体の健康の例を使って説明してください。
4 箴言 4章23節にある「心」は,「内なる所」や「秘められた自分」を表わしています。(詩編 51:6を読む。)つまり,「心」とはその人の考え,感情,動機,願望を指しています。外見だけでは分からない,人の内面のことです。
5 人の内面は大切です。体の健康の例で考えましょう。第一に,体の健康を保つには,健康に良い食事をし,定期的に運動しなければなりません。同様に,エホバとの良い関係を保つには,エホバからの教えを学び,エホバへの信仰を行動で示さなければなりません。学んだことを当てはめ,自分の信仰について語ることが必要です。(ロマ 10:8‐10。ヤコ 2:26)第二に,外見では自分が健康だと思っていても,体の内部で病気が進行していることがあります。同様に,クリスチャンの活動を行ない,強い信仰を持っているように見えても,内面では間違った欲望が育っていることがあります。(コリ一 10:12。ヤコ 1:14,15)サタンはわたしたちの考えを汚そうとしています。どのようにでしょうか。どうすれば自分を守れますか。
サタンはどのように心を汚そうとするか
6. サタンはどんなことを願っていますか。どんな方法を使いますか。
6 サタンは,エホバの規準を無視し,利己心のままに行動する反逆者です。わたしたちのこともそのような者にしたいと思っています。しかしサタンは,自分のように考えたり行動したりするよう強制することはできません。それで他の方法を使います。例えば,心を腐敗させられた人たちと一緒に時間を過ごさせようとします。(ヨハ一 5:19)悪い交友は考えや行動を「損な[い]」,「腐敗させ」ます。(コリ一 15:33; 脚注)ソロモン王はそのわなにかかってしまいました。大勢の異教の女性と結婚して大きな影響を受け,心が「しだいに……傾[き]」,エホバから離れてしまったのです。(王一 11:3)
7. サタンは自分の考え方を広めるために,どんな方法も使いますか。それに注意しなければならないのはなぜですか。
7 サタンは映画やテレビ番組などのエンターテインメントを使って自分の考え方を広めています。映画やドラマのストーリーが,どのように考え,感じ,行動すべきかを人に教えることを知っているのです。イエスはよくストーリーを使って教えました。親切なサマリア人や,家を出て相続財産を浪費した息子のたとえ話などがあります。(マタ 13:34。ルカ 10:29‐37; 15:11‐32)サタンの考え方の影響を受けた人は,わたしたちの心を腐敗させるためにストーリーを使います。クリスチャンはバランスの取れた見方を持たなければなりません。映画やテレビ番組の中には,楽しくてためになり,考えを汚さないものもあります。しかし,十分注意することが必要です。エンターテインメントを選ぶ時には,こう自問しましょう。「この映画やテレビ番組は,悪い欲望のままに行動しても構わないと教えていないだろうか」。(ガラ 5:19‐21。エフェ 2:1‐3)ある映画やテレビ番組がサタンの考え方を広めていることに気づいたら,どうしますか。感染症を避けるように,それを退けてください。
8. 親は,子どもが心を守るようどのように助けられますか。
8 親の皆さんには,子どもがサタンに心を汚されないように守る特別な責任があります。皆さんは,子どもが病気にかからないよう,できる限りのことをするはずです。家を清潔にし,自分や子どもを病気にさせるようなものは捨てるでしょう。同様に,サタンの考え方を広める映画やテレビ番組やゲームやウェブサイトから,子どもを守る必要があります。エホバは皆さんに,子どもがエホバの友になれるよう助ける責任をお与えになりました。(箴 1:8。エフェ 6:1,4)聖書の教えに基づく家のルールを決めてください。どんな映画やテレビ番組を見てはいけないかを子どもに伝え,その理由を理解できるよう助けてください。(マタ 5:37)子どもの成長に合わせ,エホバの規準に従って,自分で良いことと悪いことを見分けられるよう教えてください。(ヘブ 5:14)子どもは皆さんの言葉よりも行動から多くを学ぶ,ということも忘れないでください。(申 6:6,7。ロマ 2:21)
9. サタンはどんな考えを広めていますか。その考えが危険なのはなぜですか。
9 サタンは,エホバの考え方ではなく人間の知恵を信頼させることによっても,わたしたちの心を汚そうとします。(コロ 2:8)サタンが広めている考えを1つ取り上げましょう。人生の主な目的は財産を築くことだという考えです。実際にお金持ちになる人もいればそうならない人もいますが,どちらにしても,そのような考え方をするのは危険です。一生懸命にお金を稼ごうとし,健康や家族や神との関係を犠牲にすることさえあるからです。(テモ一 6:10)深い知恵を持つ天の父エホバは,わたしたちがお金に対してバランスの取れた見方を持てるよう助けてくださっています。(伝 7:12。ルカ 12:15)
どうすれば心を守れるか
10‐11. (ア)心を守るために何をする必要がありますか。(イ)古代の見張りの者は何をしましたか。わたしたちの良心はどんな点で見張りの者に似ていますか。
10 心を守るためには,危険を見分け,すぐに行動する必要があります。箴言 4章23節の「守る」という言葉は,見張りの者の務めを連想させます。ソロモン王の時代,見張りの者は都市の城壁の上に立ち,危険が近づいているのを見ると警告を発しました。その様子を思い描くと,サタンに考え方を腐敗させられないために何をしなければならないかが分かります。
11 古代の見張りの者は,都市の門衛と協力して務めを果たしました。(サム二 18:24‐26)見張りの者と門衛は,敵が近くに来るとすぐに門を閉め,都市を守りました。(ネヘ 7:1‐3)聖書によって訓練された良心 *は,サタンがわたしたちの心に侵入しようとする時,つまり,考えや感情や動機や願望に影響を与えようとする時,見張りの者のように警告を発します。良心が警告を発したなら,すぐに注意を向け,いわば門を閉じる必要があります。
12‐13. どんな誘惑を受けることがありますか。どのように行動すべきですか。
12 どうすればサタンの考え方の影響を受けずにすみますか。1つの例を考えましょう。エホバは,「淫行[または,性的不道徳]やあらゆる汚れまた貪欲が口に上ることさえあってはな[らない]」と教えておられます。(エフェ 5:3)では,同僚やクラスメートが不道徳なことを話し始めたらどうしますか。わたしたちは「不敬虔と世の欲望とを振り捨てるべき」であることを知っています。(テト 2:12)見張りの役割を果たす良心が警告を発するかもしれません。(ロマ 2:15)では,その警告に従いますか。それとも,誘惑に負けて,同僚やクラスメートの話に耳を傾けたり,写真を見たりするでしょうか。そのような時には,話題を変えるかその場を立ち去るかして,いわばすぐに門を閉めましょう。
13 悪いことを考えたり行なったりさせようとする圧力に抵抗するには,勇気が必要です。エホバはわたしたちの努力に目を留め,サタンの考えを退けるのに必要な力と知恵を与えてくださいます。(代二 16:9。イザ 40:29。ヤコ 1:5)しかし,わたしたちにも行なうべきことがあります。どうすれば心を守り続けることができるでしょうか。
警戒し続ける
14‐15. (ア)何に対して心を開く必要がありますか。どのようにそうできますか。(イ)箴言 4章20節から22節によると,どのように聖書を読むべきですか。(「 どんなことを思い巡らすか」の囲みも参照。)
14 心を守るには,悪い影響を受けないよう門を閉めるだけではなく,良い影響を受けるために門を開く必要もあります。古代の門衛は,敵の侵入を防ぐために門を閉めましたが,それ以外の時には門を開け,食べ物などの物資が都市に入るようにしました。門が閉まったままだったら,住民は飢えてしまったでしょう。同様に,わたしたちも心の門を定期的に開き,神の考えを取り入れる必要があります。
15 聖書にはエホバの考え方が記されています。ですから,聖書を読む時にはいつでも,エホバの考えを取り入れる努力を払いましょう。エホバの考え方や感じ方や行動に倣うためです。どのように聖書を読めばいいのでしょうか。まず,祈ることが大切です。ある姉妹はこう述べています。「聖書を読む前にエホバに祈り,『くすしいことを見る』ことができるよう助けてくださいとお願いします」。(詩 119:18)読んだことを思い巡らす必要もあります。祈り,読み,思い巡らすなら,聖書の言葉が「心の中」に達し,エホバの考え方を愛するようになります。(箴言 4:20‐22を読む。詩 119:97)
16. JW Broadcastingはどのように役立ちますか。
16 神の考えを取り入れる別の方法は,JW Broadcastingを見ることです。ある夫婦はこう述べています。「これまで何度も,マンスリープログラムはわたしたちの祈りに対する答えだと感じました。悲しい時や寂しい時,力や励ましをいただきました。家ではよくオリジナルソングを流しています。料理や掃除をする時,お茶を飲む時などに聞いています」。JW Broadcastingは心を守るのに役立ちます。どうすればエホバの考え方に倣えるかを学べます。サタンの考え方を受け入れさせようとする圧力に抵抗する力も得られます。
17‐18. (ア)列王第一 8章61節によると,エホバの教えに従うなら,どんな結果になりますか。(イ)ヒゼキヤ王の例から何を学べますか。(ウ)ダビデが詩編 139編23,24節で祈ったように,わたしたちもどんなことを祈れますか。
17 正しいことを行なって良い結果になるのを見ると,そのたびに信仰が強まります。(ヤコ 1:2,3)エホバにとって誇らしい子どもの一人になれるのでうれしくなります。エホバに喜ばれたいという願いも強まります。(箴 27:11)試みを受けるたびに,自分が中途半端な気持ちで父エホバに仕えているのではないことを実証できます。(詩 119:113)何があってもエホバの命令に従い,ご意志を行なうことによって,エホバを全き心で愛していることを示せるのです。(列王第一 8:61を読む。)
18 不完全なわたしたちは皆,間違いをすることがあります。そのような時は,ヒゼキヤ王のことを思い出しましょう。ヒゼキヤは間違いを犯しましたが,悔い改め,「全き心をもって」エホバに仕え続けました。(イザ 38:3‐6。代二 29:1,2; 32:25,26)では,サタンによって考えを汚されないようにしてください。「従順な心」を持てるようエホバに祈りましょう。(王一 3:9。詩編 139:23,24を読む。)ほかの何よりも心を守るなら,エホバに忠実であり続けることができるのです。
65番の歌 「これが道である」
^ 5節 わたしたちはエホバに忠実であり続けることができるでしょうか。それとも,サタンの誘惑に負けてエホバから離れてしまうでしょうか。それは,わたしたちがどれほど厳しい試練に遭うかではなく,どれほどしっかりと心を守るかにかかっています。「心」とは何でしょうか。サタンはどのようにわたしたちの心を腐敗させようとするでしょうか。どうすれば心を守れますか。この記事では,そうした点を取り上げます。
「ものみの塔」(研究用)