1‐2. （ア）ハルマゲドンが良い知らせであると言えるのはなぜですか。（イ）この記事ではどんな質問を考えますか。

「ハルマゲドン」と聞いて，核戦争や環境破壊による人類の滅亡を思い浮かべる人がいます。しかし，聖書によればハルマゲドンは良い知らせであり，人々に希望を与えます。（啓 1:3）ハルマゲドンの戦いによって人類は滅びるのではなく，救われるからです。

² ハルマゲドンの戦いで人類が救われると言えるのはなぜですか。人間による支配が終わることになるからです。悪い人が取り除かれ，正しい人が保護されます。地球の環境が損なわれることはもうありません。（啓 11:18）このような点について理解を深めるため，次の4つの質問を考えましょう。ハルマゲドンとは何ですか。ハルマゲドンの前にどんなことが起きますか。どうすればハルマゲドンの時に救われますか。ハルマゲドンが近い今，どうすればエホバへの忠実を保てますか。

3. （ア）「ハルマゲドン」という言葉は何を指していますか。（イ）ハルマゲドンは文字通りの場所ではないことが，啓示 16章14，16節のどんな説明から分かりますか。

³ 啓示 16:14，16を読む。「ハルマゲドン」という言葉は聖書に1回しか出てきません。「メギドの山」という意味のヘブライ語に由来する言葉です。（啓 16:16，脚注）メギドは古代イスラエルの町の名前です。（ヨシュ 17:11）でも，ハルマゲドンは地球上の特定の場所を指すわけではありません。ハルマゲドンは厳密には，「全世界の王たち」が招集されてエホバに敵対する情勢を指しています。（啓 16:14）この記事では，全世界の王たちが招集されるとすぐに行われる戦いも指しています。ハルマゲドンが象徴的な場所だと言えるのはなぜですか。第一に，メギドの山という文字通りの山はないからです。第二に，メギドの周辺は「全世界の王たち」の軍隊や戦いの装備を収容するには狭過ぎるからです。第三に，ハルマゲドンの戦いは世界の「王たち」がエホバに仕える人々を攻撃する時に始まりますが，その時，エホバの民は世界中にいるからです。この点は，後ほどさらに考えます。

4. 最終的な大いなる戦争がメギドと結び付けられているのはなぜですか。

⁴ 最終的な大いなる戦争がメギドと結び付けられているのはなぜですか。メギドと付近のエズレルの谷で多くの戦いが行われてきたからです。エホバがその場所での戦いに介入したこともあります。イスラエルの裁き人バラクが，エホバの助けによってカナン人の長シセラの率いる軍隊を撃破したのは，「メギドの流れのそば」でのことでした。バラクと女預言者デボラは，奇跡的な勝利を与えたエホバに感謝し，こう歌いました。「星が天から……シセラと戦った。キションの激流が彼らを流し去った」。（裁 5:19‐21）

5. ハルマゲドンの戦いとバラクの戦いにはどんな大きな違いがありますか。

⁵ バラクとデボラの歌は，こう結ばれています。「エホバ，このように，あなたの敵は皆滅びますように。あなたを愛する人たちは，輝き昇る太陽のようになりますように」。（裁 5:31）ハルマゲドンの戦いの時も，神の敵は滅び，神を愛する人は救出されます。でも，この戦いとバラクの戦いには1つの大きな違いがあります。ハルマゲドンの時に神の民は戦いません。武器を持つことさえしません。「平静を保ち」，エホバと天の軍勢を「信頼する」ことによって「力を得る」のです。（イザ 30:15。啓 19:11‐15）

6. ハルマゲドンで敵を打ち負かすため，エホバはどんな方法を使うかもしれませんか。

⁶ ハルマゲドンで，エホバはどのように敵を打ち負かしますか。いろいろな方法を使うことが考えられます。例えば，地震やひょうや稲妻を使うかもしれません。（ヨブ 38:22，23。エゼ 38:19‐22）敵が同士打ちをするよう仕向けるかもしれません。（代二 20:17，22，23）天使が悪い人を除き去るようにするかもしれません。（イザ 37:36）どんな方法を使うにしても，エホバは完全な勝利を収めます。敵は皆滅び，正しい人は皆救われます。（格 3:25，26）

7‐8. （ア）テサロニケ第一 5章1‐6節によれば，世界の指導者たちはどんな異例な宣言をしますか。（イ）この宣言が大きな害を及ぼすと言えるのはなぜですか。

⁷ 「平和だ，安全だ！」という宣言が行われ，「エホバの日」がそれに続く。（テサロニケ第一 5:1‐6を読む。）テサロニケ第一 5章2節の「エホバの日」は，「大患難」を指しています。（啓 7:14）大患難がいつ始まるかを私たちはどのようにして知るのでしょうか。聖書は，極めて異例な宣言が行われると述べています。その宣言は，大患難が間もなく始まるというしるしになります。

⁸ 世界の指導者たちは，なぜ「平和だ，安全だ！」と宣言するのでしょうか。宗教界の指導者たちも一緒にそう宣言するのでしょうか。その可能性はあります。でも，この宣言は実際には邪悪な天使が広めているうそです。しかも，非常に大きな害を及ぼします。人類史上最大の患難が差し迫っているのに，人々に偽りの安心感を抱かせるからです。そのため「人々は，……突然滅ぼされることになります。妊婦に起こる陣痛と同じように突然で[す]」。では，エホバに忠実に仕える人々はどうなりますか。エホバの日が急に始まるので驚くかもしれませんが，備えはできています。

9. エホバは，サタンの世全体を一度に取り除きますか。

⁹ エホバは，ノアの時代に行ったように，サタンの世全体を一度に取り除くことはしません。サタンの世の滅びには，2つの大きな局面があります。エホバはまず，大いなるバビロン，つまり世界中の間違った宗教全てを滅ぼします。次に，ハルマゲドンの時にサタンの世の他の部分を滅ぼします。政治，軍事，商業の体制が滅ぼされるのです。この2つの局面を詳しく調べてみましょう。

10. エホバが大いなるバビロンを滅ぼすのはなぜですか。啓示 17章1，6節と18章24節には，どんな理由が挙げられていますか。

¹⁰ 「大娼婦に対する処罰」。（啓示 17:1，6; 18:24を読む。）大いなるバビロンは，エホバの名に大きな非難をもたらしてきました。エホバについてうそを教えてきました。人間の政府を支援することにより，あたかも「娼婦」のように，エホバを裏切ってきました。圧力をかけて信者からお金を巻き上げてきました。また，エホバに仕える人を含め，多くの人の命を奪ってきました。（啓 19:2）エホバはどのようにして大いなるバビロンを滅ぼしますか。

11. 「緋色の野獣」とは何ですか。その野獣はエホバの考えに従って，どのように行動しますか。

¹¹ エホバは「大娼婦」を「緋色の野獣」の「10本の角」によって滅ぼします。緋色の野獣は国際連合を表しています。10本の角は，国際連合を支持する政府を表しています。エホバが定めた時に，これらの政治勢力は大いなるバビロンに襲い掛かります。財産を強奪し，邪悪さを暴くことにより，「破滅させて裸に」するのです。（啓 17:3，16）あたかも1日のうちに速やかに滅びるのを見て，間違った宗教を支持した人たちは衝撃を受けます。「私は女王の座についている。やもめなどではない。決して悲しむことはない」と豪語した組織が壊滅するからです。（啓 18:7，8）

12. エホバに仕える人はどうなりますか。なぜですか。

¹² エホバは，ご自分に仕える人々が「野獣」によって滅ぼされないようにします。その人たちは，エホバの名で呼ばれることを誇りに思い，エホバの命令に従って大いなるバビロンから逃げたからです。（使徒 15:16，17。啓 18:4）また，そこから逃げるよう人々に一生懸命呼び掛けています。ですから，間違った宗教に臨む「災厄に巻き込まれ」ないで済みます。それでも，強い信仰を持っていなければなりません。

13. （ア）ゴグとは何ですか。（イ）エゼキエル 38章2，8，9節によれば，ゴグはどんな行動を取りますか。

¹³ ゴグの攻撃。（エゼキエル 38:2，8，9を読む。）間違った宗教全てが壊滅した後，エホバに仕える人々は嵐の後に残された1本の木のように目立つ存在になります。サタンは怒り狂います。「汚れた息」，つまり邪悪な天使たちの宣伝によって諸国家を唆し，エホバに仕える人々を襲わせます。（啓 16:13，14）諸国家の連合体である「マゴグの地のゴグ」がエホバに仕える人々を攻撃すると，ハルマゲドンの戦いが始まります。（啓 16:16）

14. ゴグはどんなことを思い知らされますか。

¹⁴ ゴグは「人間の力」である軍事力に頼ります。（代二 32:8）私たちはエホバ神に頼ります。ゴグの目には愚かに映るでしょう。大いなるバビロンはかつては強力でした。それなのに，大いなるバビロンの神々は，「野獣」と「10本の角」による攻撃に対抗できなかったからです。（啓 17:16）ゴグは簡単に勝てると考えます。「土地を覆う雲のように」，エホバに仕える人々を攻撃します。（エゼ 38:16）しかし，わなに掛かったことにすぐに気付きます。ファラオが紅海で悟ったように，エホバと戦っていることを思い知らされるのです。（出 14:1‐4。エゼ 38:3，4，18，21‐23）

15. キリストはハルマゲドンの時に何をしますか。

¹⁵ キリストと天の軍勢は，エホバに仕える人々を守り，ゴグの軍隊を粉砕します。（啓 19:11，14，15）エホバの主要な敵サタンはどうなりますか。サタンは，諸国家をけしかけてエホバに仕える人々を攻撃させた張本人です。イエスはサタンと邪悪な天使たちを底知れぬ深みに投げ入れ，1000年間閉じ込めます。（啓 20:1‐3）

16. （ア）「神を認め」ている人は，どのように行動しますか。（イ）エホバを認めている人は，ハルマゲドンの時にどうなりますか。

¹⁶ これまでどれほどの期間エホバに仕えてきたかに関わりなく，ハルマゲドンで救われるには，「神を認め」，「私たちの主イエスについての良い知らせに従[って]」いなければなりません。（テサ二 1:7‐9）「神を認め[る]」には，エホバ神が何を好み，何を嫌うかなど，エホバの基準を知る必要があります。エホバを愛し，エホバに従い，全くの専心を示す必要もあります。（ヨハ一 2:3‐5; 5:3）そうするなら「神に知られ」，喜んでいただけます。（コリ一 8:3）その結果，ハルマゲドンの時に救われます。

17. 「私たちの主イエスについての良い知らせに従[う]」人は，どのように行動しますか。

¹⁷ 「私たちの主イエスについての良い知らせ」には，聖書に記されているイエスの教え全てが含まれます。良い知らせに従うには，学んだ事柄を当てはめる必要があります。エホバへの奉仕を生活の中で第一にし，エホバの道徳基準を守り，神の王国について伝道するのです。（マタ 6:33; 24:14）重い責任を担っていて，キリストの兄弟として天に行くよう選ばれた人たちを支援する必要もあります。（マタ 25:31‐40）

18. 天に行く人たちは，「ほかの羊」の親切にどのように報いますか。

¹⁸ 天に行く人たちは間もなく，「ほかの羊」の親切に報います。（ヨハ 10:16）ハルマゲドンの戦いが始まる時には，14万4000人全員が天に復活し，不滅の存在になっています。14万4000人は，天の軍勢に加わってゴグを粉砕し，羊のような「大群衆」を守ります。（啓 2:26，27; 7:9，10）大群衆には，天に行く人たちがまだ地上にいる間にその人たちを支援する，という素晴らしい機会が開かれているのです。

19‐20. ハルマゲドンが近い今，どうすればエホバ神への忠実を保てますか。

¹⁹ 終わりの時代である今，エホバに仕える多くの人も試練を経験しています。でも，忍耐し，喜ぶことは可能です。（ヤコ 1:2‐4）そのためには，心を込めて祈らなければなりません。（ルカ 21:36）聖書を毎日学び，思い巡らす必要もあります。今の時代に関する驚くような預言も，学ぶべき事柄です。（詩 77:12）宣教を熱心に行うなら，強い信仰を持ち，希望をしっかり保てます。

²⁰ 大いなるバビロンが取り除かれ，ハルマゲドンの戦いが終わった時，どんなに気持ちが高揚していることでしょう。何よりも，エホバの名と主権が完全に立証され，最高の幸福を味わえます。（エゼ 38:23）ハルマゲドンは，エホバ神を認め，イエスに従い，終わりまで耐え忍ぶ人にとって，まさに良い知らせです。（マタ 24:13）