研究記事6

お父さんエホバは私たちを深く愛しています

お父さんエホバは私たちを深く愛しています

「このように祈らなければなりません。『天におられる私たちの父よ』」。マタイ 6:9

89番の歌 エホバの温かな呼びかけ ―『我が子よ,賢くありなさい』

を学ぶか *

1. 昔,ペルシャで王に会うためにはどうする必要がありましたか。

今から2500年前,ペルシャで生きていたとしましょう。国王にぜひ伝えたいことがあり,王宮のあるシュシャンまで旅をします。しかし,まずは王に会う許可を得なければなりません。許可を得ずに王に近づくなら命を落とすことになるからです。(エス 4:11

2. エホバは私たちから話し掛けられる時,どう感じますか。

2 エホバがペルシャの王のようではないというのは,うれしいことです。人間のどんな統治者よりもはるかに高い地位にあるのに,いつでも話し掛けることができます。私たちが気兼ねなく何でも話すことを望んでいるのです。「偉大な創造者」,「全能者」,「主権者である主」といった称号を持つ高貴な方なのに,「父よ」と呼び掛けるよう勧めています。(マタ 6:9)私たちからお父さんと見られることを望んでいます。そのことを知ると温かい気持ちになるのではないでしょうか。

3. エホバはお父さんであるといえるのはなぜですか。この記事ではどんなことを考えますか。

3 エホバに,お父さんと語り掛けるのは正しいことです。命を与えてくださったからです。(詩 36:9)「父」なので,子供である私たちがエホバの言うことを聞くのは当然のことです。エホバが求めていることを行うなら今後,素晴らしい経験ができます。(ヘブ 12:9)天で,または地上で永遠に生きることもできます。今受けている恩恵もあります。この記事では,エホバが優しいお父さんであり,私たちを決して見捨てないとなぜいえるのかを学びます。まず,私たちを深く愛し気に掛けていると信じることができる理由を考えましょう。

私たちのことを気に掛ける優しいお父さん

優しいお父さんが子供と一緒にいたいと思うように,エホバも私たちのそばにいたいと思っている。(4節を参照。)

4. エホバをお父さんと見るのを難しく感じる人がいるのはなぜですか。

4 エホバをお父さんと見るのを難しく感じますか。エホバと比べれば自分はちっぽけな存在だと考える人もいます。全能の神が自分個人のことを気に掛けているとは思えない,と感じるのです。優しいお父さんエホバは,私たちがそのように感じることを望んでいません。命を与えたので,親子の絆を持ちたいと思っています。使徒パウロはアテネの人たちに話した時,エホバに関するこうした事実を述べてから,エホバは「私たち一人一人から遠く離れてはいません」と言いました。(使徒 17:24‐29)子供はお父さんの所に駆け寄って気持ちを伝えようとします。その子供のように私たちが気持ちを伝えることをエホバは望んでいます。

5. ある姉妹の経験からどんなことを学べますか。

5 実の父親から愛情をあまり示されなかったため,エホバをお父さんと見るのを難しく感じる場合もあります。ある姉妹はこう言っています。「父からひどく扱われていたので,聖書を学び始めた頃,エホバを天のお父さんとして受け止めることに抵抗がありました。でもエホバがどんな方かを知ってから,考えが変わりました」。この姉妹の気持ちがよく分かりますか。姉妹のような経験をしても,エホバは最高のお父さんだと感じられるようになるでしょう。

6. エホバを優しいお父さんと見ることができるよう,エホバはどんなことをしましたか。マタイ 11章27節にはどんなことが書かれていますか。

6 エホバを優しいお父さんと見ることができるよう,エホバは,イエスの言葉と行動を聖書に残しました。マタイ 11:27を読む。)イエスはエホバの性格に完璧に倣ったので,「私を見た人は,父をも見たのです」と言いました。(ヨハ 14:9)イエスはよく,エホバがどんな父親かを話しました。イエスがエホバを「父」と呼んだ箇所は,4福音書に200回近くあります。「父」という言葉を多用したのは,1つとして,エホバが優しいお父さんであることを分かってほしかったからです。(ヨハ 17:25,26

7. エホバはイエスにどのように接しましたか。

7 エホバがどんな方であるかは,子であるイエスへの接し方からも分かります。エホバはイエスの祈りをいつも聞きました。聞くだけでなく,祈りに答えました。(ヨハ 11:41,42)イエスは非常に厳しい試練の中でも,エホバが愛し支えてくださることを実感していました。(ルカ 22:42,43

8. エホバはイエスに必要なものを与えるお父さんです。なぜそういえますか。

8 イエスは,命を与え支えてくださっているのがエホバであることを認め,「私[は]父によって生きている」と言いました。(ヨハ 6:57)エホバに全面的に頼りました。エホバも,生きていく上で必要なものをイエスに与えました。何よりも,エホバとの絆を保てるよう助けました。(マタ 4:4

9. エホバは優しいお父さんとしてイエスのことを愛し気に掛けました。なぜそういえますか。

9 優しいお父さんエホバは,いつも支えていることをイエスが感じ取れるようにしました。(マタ 26:53。ヨハ 8:16)全く危害に遭わないよう守るということはしませんでしたが,試練に耐えられるよう助けました。イエスも,危害を受けるとしてもその影響は一時的なものに過ぎない,ということを知っていました。(ヘブ 12:2)エホバはイエスを愛し気に掛けていたので,祈りに耳を傾け,必要なものを与え,訓練し,支え続けました。(ヨハ 5:20; 8:28)では,私たちをどのように気に掛けてくださいますか。

私たちのことをどのように愛し気に掛けるか

優しいお父さんが(1)話を聞いている。(2)必要なものを与えている。(3)訓練している。(4)支えている。優しい天のお父さんも同じように気に掛けてくださる。(10‐15節を参照。) *

10. エホバは私たちを愛しています。ペテロ第一 3章12節には,そういえるどんな証拠が挙げられていますか。

10 りを聞く。(ペテロ第一 3:12を読む。)エホバは,祈りを規制したりはせず,頻繁に祈るよう勧めています。(テサ一 5:17)いつでも,どこでも,敬意を込めて祈れます。エホバが忙し過ぎて祈りを聞けない,ということはありません。いつでも注意を払ってくださいます。エホバが祈りを聞いてくださることを知ると引き寄せられます。詩編作者も,「私はエホバを愛する。私の声を……聞いてくださるから」と言っています。(詩 116:1

11. エホバは祈りにどのように答えますか。

11 お父さんエホバは,祈りを聞くだけでなく,答えてくださいます。使徒ヨハネは,「神は,私たちが神の意志に沿って願い求めることは何でも聞いてくださる」と言っています。(ヨハ一 5:14,15)もちろん,私たちの望み通りにするとは限りません。何が私たちにとって最善かを知っているので,答えは「ノー」だったり「待ちましょう」だったりする場合があります。(コリ二 12:7‐9

12‐13. エホバは私たちに必要なものをどのように与えてくださいますか。

12 なものを与える。エホバは,父親に行うよう求めていることを自分でも行います。(テモ一 5:8)子供である私たちが生きていく上で必要なものを与えます。衣食住のことで心配しないでほしいと思っています。(マタ 6:32,33; 7:11)優しいお父さんなので,私たちに必要なものが将来全て賄われるようにしてくださいました。

13 最も重要な点として,私たちが神との絆を保つために必要なものを与えてくださいます。聖書を通して,神はどんな方か,どんな考えを持っているか,人が生きる意味は何か,将来はどうなるのか,といったことを明らかにしています。私たちが真理に初めて接した時から関心を払い,神について親や他の人から学べるようにしました。会衆の長老や経験ある兄弟姉妹を通して親切に助けてくださっています。集会でも私たちを教え,兄弟姉妹と共に学べるようにしてくださいました。ほかにもさまざまな方法で,私たち全てに父親として関心を払っています。(詩 32:8

14. エホバが私たちを訓練するのはなぜですか。どのように訓練しますか。

14 たちを訓する。私たちはイエスとは違い,不完全です。優しいお父さんエホバは,私たちを訓練するために,必要に応じて矯正を与えます。「エホバは愛する人を矯正する」と書かれている通りです。(ヘブ 12:6,7)エホバはいろいろな方法で私たちを矯正します。聖書を読んだり集会で話を聞いたりして考え方が正されることがあります。必要な助けが長老から与えられる場合もあります。エホバからの矯正はどんな形を取るにしても,私たちを愛しているからこそ与えられるものです。(エレ 30:11

15. エホバはどのように私たちを支えてくださいますか。

15 に遭うときに支える。優しい父親は,子供が困難にぶつかるとき,乗り越えられるよう助けます。エホバも,私たちが試練に遭うときに支えます。聖なる力を与え,私たちが神との絆を失わないよう守ってくださいます。(ルカ 11:13)気持ちがめいってしまわないようにも守ってくださいます。そのためにも素晴らしい希望を与えてくださいました。将来に希望を持てるので,苦しい状況に耐えることができます。どんなにつらいことが起きるとしても,エホバは,私たちが受けた被害をなくしてくださるのです。どんな試練も一時的なものに過ぎません。一方,エホバが与えてくださる祝福は永遠に失われません。(コリ二 4:16‐18

お父さんエホバは私たちを決して見捨てない

16. アダムが父エホバに背いたことで,どんな結果が生じましたか。

16 エホバは私たちを愛しています。子供である最初の人間が問題を起こした時の対応の仕方に,エホバの愛が表れています。アダムは天の父エホバに背いた時,エホバの幸福な家族ではなくなりました。まだ生まれていない子孫も道連れにしました。(ロマ 5:12; 7:14)しかし,エホバはアダムの子孫に救いの手を差し伸べました。

17. アダムが反逆した後,エホバは直ちにどんなことをしましたか。

17 エホバはアダムを処罰しましたが,まだ生まれていない子孫に希望を与えました。神に従うなら神の家族になれる,という約束を直ちに発表したのです。(創 3:15。ロマ 8:20,21)この約束を果たすため,最愛の子イエスを贖いとして与えました。最愛の子を与えたのは,私たちを深く愛している証拠です。(ヨハ 3:16

エホバから離れてしまった人でも,悔い改めるなら,優しいお父さんエホバに心から喜んで迎えてもらえる。(18節を参照。)

18. エホバから離れてしまった人のこともエホバは子供として迎えたいと思っています。そういえるのはなぜですか。

18 私たちは不完全ですが,エホバは私たちを家族に迎えたいと思っています。私たちを助けるのは面倒だ,とは考えません。エホバを悲しませたり,一時的にエホバから離れたりしてしまっても,エホバは私たちを見捨てません。イエスは,エホバが私たちをどれほど深く愛しているかを示すため,いなくなっていた息子の話をしました。(ルカ 15:11‐32)この話の父親は,息子がいつか戻ってくるという希望を捨てませんでした。戻ってきた息子を温かく家に迎えました。エホバから離れてしまった人でも,悔い改めるなら,優しいお父さんエホバに心から喜んで迎えてもらえるのです。

19. エホバは,アダムのせいで起きた悪いことをどのようになくしますか。

19 エホバは,アダムのせいで起きた悪いことを全てなくします。アダムが反逆した後,エホバは人間の中から14万4000人を養子とし,イエスと共に天で王および祭司として治めさせることにしました。新しい世界では,イエスと14万4000人が人間を治め,神に仕える人たちが完全になるのを助けます。その後,人々は神に従うかどうかが最終的に試され,従った人たちには永遠の命が与えられます。地球には,完全になった神の子供たちが大勢住みます。その様子を見て,エホバは喜びます。本当に素晴らしい時代になるのです。

20. エホバは私たちを深く愛しているので,どんなことをしてくださいますか。次の記事ではどんなことを考えますか。

20 エホバは私たちを深く愛しています。理想のお父さんです。私たちの祈りを聞き,生きていく上でも神との絆を保つ上でも必要なものを与えます。私たちを訓練し,支えます。将来,素晴らしいことをたくさんしてくださいます。エホバが私たちを愛し,気に掛けてくださっていることを知ると,胸がいっぱいになります。次の記事では,神の子供としてどのように神を愛せるかを考えます。

18番の歌 神の忠節な愛

^ 5節 エホバというと創造者,主権者というイメージがあります。でも,子である私たちを気に掛ける優しいお父さんでもあります。なぜそういえるかをこの記事で考えます。エホバが私たちを決して見捨てないといえる理由も学びます。

^ 59節 や挿: 父親が子供と一緒にいる4つの場面。(1)息子の話をよく聞いている。(2)娘に食事をさせている。(3)息子を訓練している。(4)息子を抱き締めて励ましている。4つの場面の後ろにエホバの手が描かれている。エホバが同じように愛し気に掛けてくださっていることを示している。