研究記事9

エホバはあなたの心を落ち着かせてくださる

エホバはあなたの心を落ち着かせてくださる

「心配事で圧倒されそうな時,あなたは私を安心させ,落ち着かせてくださった」。詩編 94:19

68番の歌 助けを求める祈り

を学ぶか *

1. 不安の原因にはどんなものがありますか。不安を抱くと,どう考えてしまうかもしれませんか。

不安 *に悩まされたことがありますか。誰かに言われたりされたりしたことで傷ついたからですか。自分が言ったり行ったりした事柄を考えて不安になることもあります。もしかしたら,何かの過ちを犯して,エホバに許していただけないと思い悩んでいるでしょうか。不安に圧倒されているのは,信仰が足りず,駄目な人間だからだ,と考える人もいます。この考え方は正しいでしょうか。

2. 信仰が強い人でも不安を抱くことがあります。どんな例がありますか。

2 聖書中の例を取り上げましょう。ハンナは,強い信仰を持っていました。それでも,家族の1人からひどい扱いを受けたために不安を抱えました。(サム一 1:7)使徒パウロも強い信仰を抱いていましたが,「全ての会衆についての心配」がのしかかっていました。(コリ二 11:28)ダビデ王も強い信仰を持つ人で,エホバにとても愛されていました。(使徒 13:22)しかし,自分の過ちのせいで思い悩んだ時期があります。(詩 38:4)エホバはこの3人を安心させ,落ち着かせました。3人の例から何を学べますか。

忠実なハンナから学べること

3. 人に言われることが不安の原因になる,どんな例がありますか。

3 誰かにきついことを言われたり不親切なことをされたりすると,不安になります。親しい友や親族からそのような扱いを受けると,特にこたえます。気持ちが晴れず,もう仲良くやっていけないかも,と感じます。中には,悪気なく傷つけるようなことを言う人がいます。剣で突き刺されたと感じるでしょう。(格 12:18)わざと傷つけるようなことを言う人もいます。ある若い姉妹は,そのような経験をしました。「数年前,仲良くしていた子がネット上で私のことを中傷するようになりました。傷つき,悲しくなりました。そんなことを平気でできるのが信じられませんでした」。親しい友や親族に傷つけられたことがあるなら,ハンナから大切な点を学べます。

4. ハンナはどんな問題を抱えていましたか。

4 ハンナは幾つかの難しい問題を抱えていました。長い間,子供ができませんでした。(サム一 1:2)昔のイスラエルでは,子供ができないのは神から災いを受けているからだ,と考えられていました。ハンナにとって屈辱的なことでした。(創 30:1,2)しかも,夫のもう1人の妻ペニンナには子供がいました。ペニンナはハンナをライバルと見て,「傷つけようとして……しきりにあざけ[り]」ました。(サム一 1:6)初めのうち,ハンナは参ってしまっていました。つら過ぎて,「泣いて,食事をしようと」せず,「非常に苦しんで」いました。(サム一 1:7,10

5. ハンナは祈った後,どうなりましたか。

5 ハンナはどうしましたか。ハンナはエホバに祈り,気持ちを全て打ち明けました。祈った後,大祭司エリに事情を説明しました。するとエリは言います。「安心して行きなさい。あなたが願い求めたことをイスラエルの神がかなえてくださいますように」。どうなりましたか。ハンナは「そこを離れて,食事をした。もう沈んだ顔ではなかった」とあります。(サム一 1:17,18)ハンナは祈ったので,気持ちが落ち着きました。

どうすればハンナのように気持ちが楽になりますか。(6‐10節を参照。)

6. 祈りについてハンナから何を学べますか。また,フィリピ 4章6,7節から何を学べますか。

6 り強く祈るなら気ちが落ち着きます。ハンナは天のお父さんに長く祈りました。(サム一 1:12)私たちも,不安や恐れや自分の弱さについて,じっくり祈ることができます。祈りの言葉が詩のようにきちんと整っているかどうかを気にする必要はありません。苦しい胸の内を語りながら涙し,言葉が続かないこともあるでしょう。そういう時でも,エホバはひたすら耳を傾けてくださいます。悩みについて祈るだけでなく,フィリピ 4章6,7節のアドバイスを心に留める必要もあります。(読む。)パウロは感謝の祈りを捧げるようにと,はっきり述べています。エホバに感謝できることはたくさんあります。命を与え,数々の美しいものを創造し,揺るぎない愛を示し,素晴らしい希望を与えてくださいました。

7. ハンナは夫と共にどんなことを習慣にしていましたか。

7 ほかにもハンナから学べることがありますか。ハンナは悩みを抱えていましたが,エホバを崇拝する場所があるシロに夫と共に行くことを習慣にしていました。(サム一 1:1‐5)ハンナは大祭司エリから,エホバが祈りをかなえてくださいますように,と言ってもらえました。ハンナは幕屋に来ていたので,そのような励ましが得られ,慰められました。(サム一 1:9,17

8. 集会に出席するとどんな助けが得られますか。

8 に出し続けるなら気ちが落ち着きます。集会を始める際の祈りではよく,聖なる力が注がれることを願います。平和は聖なる力が生み出すものの1つです。(ガラ 5:22)ストレスを感じていても集会に出席するなら,エホバと兄弟姉妹から励ましが得られ,気持ちが穏やかになります。祈りと集会は,エホバが私たちの気持ちを落ち着かせるための大切な手段です。(ヘブ 10:24,25

9. ハンナの場合,どんな状況は変わりませんでしたか。どのようにしてから気持ちが楽になりましたか。

9 ハンナから学べるもう1つの点を取り上げましょう。ハンナの場合,不安の原因はすぐにはなくなりませんでした。幕屋でエホバを崇拝してから家に帰ると,ペニンナとのいつもの生活が待っていました。ペニンナが態度を改めたとは,聖書には書かれていません。ですから,わざと傷つけるようなことを言われるのを耐えなければならなかったでしょう。それでもハンナは気持ちが楽になりました。注目できるのは,エホバを信頼したため,不安に圧倒されないで済んだことです。エホバがハンナを安心させ,落ち着かせました。やがて祈りが聞かれ,ハンナも子供を持つことができました。(サム一 1:19,20; 2:21

10. ハンナの例からどんなことを学べますか。

10 の原がなくならないとしても,穏やかな気ちでいられます。真剣に祈り,集会に欠かさず出席していても問題が続くことがあります。それでもハンナの例から分かるように,エホバが心を落ち着かせてくださいます。エホバは私たちのことを忘れません。忠実に仕え続けるなら,必ず報いてくださいます。(ヘブ 11:6

パウロから学べること

11. パウロはどんなことに不安を抱いたかもしれませんか。

11 パウロも不安の要因を幾つも抱えていました。兄弟姉妹のことを深く愛していたパウロは,仲間が抱えていた問題を自分のことのように感じていました。(コリ二 2:4; 11:28)伝道した時には,反対者たちに殴打され,拘禁されました。「貧しい生活」も経験し,不安の要因となったことでしょう。(フィリ 4:12)さらに,少なくとも3度難船しているので,船に乗るたびに不安になったとしても不思議ではありません。(コリ二 11:23‐27

12. パウロはどのようにして気持ちが楽になりましたか。

12 パウロはどのように対処しましたか。パウロは難しい状況にある兄弟姉妹のことを心配していましたが,自分で全て何とかしようとは考えませんでした。慎みがあったので,他の兄弟たちに会衆の世話をお願いしました。テモテやテトスといった信頼できる兄弟に権限を委ねました。それらの兄弟に助けてもらえたので,気持ちが楽になったことでしょう。(フィリ 2:19,20。テト 1:1,4,5

パウロに倣い,どうすれば不安に圧倒されないで済みますか。(13‐15節を参照。)

13. 長老はどのようにパウロに倣えますか。

13 けを求めましょう。今日,多くの長老はパウロのように仲間を思いやり,試練に遭っている兄弟姉妹のことを深く気に掛けています。しかし,長老1人にできる事柄は限られています。慎みがあれば,資格を持つ兄弟たちと責任を分担します。また,若い兄弟たちを訓練し,神の羊を世話してもらえるようにします。(テモ二 2:2

14. パウロはどんなことを心配しませんでしたか。パウロから何を学べますか。

14 えが必なことを認めましょう。パウロは謙遜だったので,自分から友に頼んで励ましてもらいました。友の支えが力になったことを認めるなら弱い人と見られてしまう,と心配したりはしませんでした。フィレモンに対してこう書いています。「あなたの愛について聞き,私はとてもうれしくなり,慰められました」。(フィレ 7)パウロは,たいへんな時に力づけ,助けてくれた兄弟たちの名前をほかにも挙げています。(コロ 4:7‐11)私たちも,助けが必要であることを謙遜に認めるなら,兄弟姉妹は喜んで支えてくれるでしょう。

15. パウロは気持ちが張り詰める状況で,どのようにして慰めを得ましたか。

15 から力を得ましょう。パウロは聖書から慰めを得られることを知っていました。(ロマ 15:4)聖書からは知恵も得られ,そのおかげでどんな試練にも立ち向かうことができます。(テモ二 3:15,16)パウロはローマで2度目に拘禁された時,もうすぐ処刑されるということを察しました。気持ちが張り詰める状況で,どうしましたか。テモテにすぐ来てくれるよう頼み,「巻物」を持ってきてほしいとも言いました。(テモ二 4:6,7,9,13)何のためですか。「巻物」はヘブライ語聖書の一部だったと思われます。自分で聖書を学ぶために使いたかったのでしょう。パウロに倣い,聖書を学ぶことを習慣にしましょう。そうすれば,どんな試練に遭っても,エホバは聖書を使って私たちを落ち着かせてくださいます。

ダビデから学べること

重大な過ちを犯したなら,ダビデに倣って,どんなことができますか。(16‐19節を参照。)

16. ダビデはどんなことで苦悩しましたか。

16 ダビデは良心にさいなまれました。それも当然です。バテ・シバと姦淫を犯し,バテ・シバの夫を死なせ,自分の悪事を覆い隠そうとしていたからです。(サム二 12:9)初めは良心の声を押し殺そうとしました。そのため,エホバとの絆が損なわれ,心も体も疲れ果てました。(詩 32:3,4)自分の失敗のために苦悩したダビデは,どのように対処しましたか。私たちも重大な過ちを犯した場合,どうすればよいでしょうか。

17. 詩編 51編1‐4節のどんな表現から,ダビデが罪を心から悔いていたことが分かりますか。

17 しを求めて祈りましょう。ダビデはやがて,エホバに祈りました。罪を心から悔いて,自分がしたことを全て告白しました。 51:1‐4を読む。)そうしてついに,心が安らぎました。(詩 32:1,2,4,5)重大な罪を犯したなら,覆い隠そうとしてはなりません。エホバに祈り,罪を告白しましょう。良心に責められていたなら,気持ちが少し楽になるでしょう。

18. ダビデは矯正された時,どうしましたか。

18 でもエホバとの友情を修復するには,祈るだけでは十分ではありません。を受け入れましょう。エホバは預言者ナタンを遣わしてダビデの罪を暴きました。ダビデは自分を正当化したり,罪を軽く見たりはしませんでした。自分の行動がバテ・シバの夫に対する罪であるばかりか,エホバに対する罪であることをすぐに認めました。ダビデはエホバからの矯正を受け入れました。エホバはダビデを許しました。(サム二 12:10‐14)重大な罪を犯したなら,私たちを世話するためエホバから任命された人たちに助けを求める必要があります。(ヤコ 5:14,15)自分を正当化したくなる気持ちを抑えましょう。与えられる矯正を受け入れて実行すれば,それだけ早く平和と喜びを取り戻せます。

19. 私たちは,どんなことを決意する必要がありますか。

19 じ過ちを繰り返さないことを決しましょう。ダビデは,同じ罪を繰り返さないためにはエホバの助けが必要であることを知っていました。(詩 51:7,10,12)エホバに許された後は,良くないことを考え続けたりはしないと決意しました。こうして気持ちが楽になりました。

20. エホバから許されることの価値を認めている人は,どのように行動しますか。

20 エホバから許されることの価値を認めている人は,許しを求めて祈り,矯正を受け入れ,同じ過ちを繰り返さないことを決意します。この3つのステップを踏むなら,気持ちが楽になります。重大な罪を犯したジェームズという兄弟は,この通りであることを知りました。こう言っています。「罪を長老たちに告白した時,肩の荷が下りたように感じました。気持ちが楽になりました」。次の言葉は大きな励みとなります。「エホバは心が傷ついた人のそばにいる。打ちのめされた人を救ってくださる」。(詩 34:18

21. エホバはどのように私たちの心を落ち着かせてくださいますか。

21 今の終わりの時代は,もうすぐ終わります。それまでの間,不安の原因は増えていくでしょう。不安な気持ちになる時は,すぐエホバに助けを求めて祈りましょう。聖書をよく学んでください。ハンナ,パウロ,ダビデの手本に倣いましょう。「自分がなぜ不安なのか教えてください」と天のお父さんに祈りましょう。(詩 139:23)自分の力ではどうにもならない重荷をエホバに委ねてください。そうすれば,エホバに向かって歌った詩編作者と同じ経験ができます。「心配事で圧倒されそうな時,あなたは私を安心させ,落ち着かせてくださった」。(詩 94:19

22番の歌 「エホバはわたしの牧者」

^ 5節 自分が抱える問題のために不安を覚えることがあります。この記事では,不安と闘いながらエホバに仕えた3人の例を取り上げます。エホバが3人をどのように安心させ,落ち着かせたかも考えます。

^ 1節 の説: 不は,心配したり思い悩んだりすることです。原因は,お金,健康,家庭の問題などさまざまです。過去の過ちのことで思い悩んだり,難しい状況が予想されて不安を抱えたりすることもあります。