1. イエスは天にある宝についてどんなことを述べましたか。

宝の中には目に見えないものもあります。極めて貴重な宝は目に見えません。イエスは山上の垂訓の中で，お金や物よりもはるかに優れている，天にある宝について述べています。そして，「あなたの宝のある所，そこにあなたの心もあるのです」と言いました。（マタ 6:19‐21）私たちは，心が引かれているもの，宝のように大切に見ているものを手に入れようとします。「天に宝を蓄え[る]」とは，神からの良い評価を得ることです。イエスが述べた通り，そのような宝は朽ちたり盗まれたりしません。

2. （ア）パウロはコリント第二 4章17，18節で，何に目を留めるよう勧めていますか。（イ）この記事ではどんなことを考えますか。

² 使徒パウロは，「見えないものに目を留め[る]」よう勧めています。（コリント第二 4:17，18を読む。）「見えないもの」には，宝ともいえる，エホバが新しい世界で与えてくださる良いもの全てが含まれています。この記事では，私たちが今得られる4つの見えない宝について考えます。（1）エホバとの友情，（2）祈り，（3）聖なる力，（4）エホバ，イエス，天使が伝道で助けてくれることです。それらの見えない宝への感謝をどのように表せるか，ということも考えます。

3. 見えない最も貴重な宝は何ですか。私たちがそれを得られるのはなぜですか。

³ 見えない最も貴重な宝は，エホバとの友情です。（詩 25:14）聖なる方であるエホバが，罪深い人間の友になれるのはなぜですか。イエスの贖いの犠牲が「人類の罪を取り去る」からです。（ヨハ 1:29）エホバは，ご自分の子によって人類を救うという考えが決して失敗しないことを知っていました。ですから，キリストが死ぬ前に生きていた人たちとも友になれたのです。（ロマ 3:25）

4. エホバの友となったキリスト以前の人々には誰がいますか。

⁴ エホバの友となったキリスト以前の人々について考えてみましょう。アブラハムは際立った信仰を持っていた人です。死んでから1000年以上たっても，エホバから「私の友」と呼ばれました。（イザ 41:8）エホバから見て，アブラハムは生きています。（ルカ 20:37，38）死によってエホバとの友情が絶たれることはありません。ヨブも友と見られていました。エホバは集合した天使たちの前でヨブのことを褒めました。「神に忠誠を尽くす正直な人で，神を畏れ，悪から離れている」と言いました。（ヨブ 1:6‐8）ダニエルもいます。異教の神々が崇拝される国で80年ほどエホバに仕え続けました。エホバはダニエルのことをどう見ていましたか。天使は3度，高齢のダニエルがエホバにとって「大切な人」であると言いました。（ダニ 9:23; 10:11，19）エホバは亡くなった友たちを復活させたいと願っています。（ヨブ 14:15）

5. どうすればエホバの親しい友になれますか。

⁵ 罪を受け継ぎながらもエホバの親しい友となっている人は，今どれほどいますか。何百万人もいます。世界中であらゆる年齢の大勢の人がエホバの友であることを行動で示しています。エホバは「正直な人たちを親しい友と」します。（格 3:32）親しい友となれるのは，イエスの贖いの犠牲に信仰を持っているからです。贖いの犠牲があるので，エホバに献身し，バプテスマを受けることができます。この重要なステップを踏むなら，すでにエホバの友となっている何百万人もの人々と同じように，宇宙で最も偉大な方の「親しい友」となれるのです。

6. エホバとの友情を宝と見ていることをどのように示せますか。

⁶ エホバとの友情を宝と見ていることをどのように示せますか。100数十年にわたってエホバに仕えたアブラハムやヨブのように，エホバに仕え続ける必要があります。今の古い体制でエホバに長く仕えてきた人も例外ではありません。ダニエルのように，エホバとの友情を命よりも大切にする必要があります。（ダニ 6:7，10，16，22）エホバの助けがあるので，どんな試練にも耐えることができ，エホバとの親しい友情を保てます。（フィリ 4:13）

7. （ア）格言 15章8節によれば，私たちが祈る時，エホバはどう感じますか。（イ）エホバは祈りにどのように答えますか。

⁷ 祈りも見えない宝です。親しい友には，自分の考えや気持ちを伝えるものです。エホバとの友情についても同じことがいえます。エホバは聖書を通してご自分の考えや気持ちを伝えています。私たちは祈る時，エホバに奥底の考えや気持ちを伝えます。エホバはそのような祈りを喜んで聞いてくださいます。（格言 15:8を読む。）エホバは友なので，祈りを聞くだけでなく，祈りに答えてくださいます。祈りの答えがすぐに与えられることもあります。気に掛かる事柄について祈り続けなければならないこともあります。それでも，祈りの答えは，一番良い方法で良い時に与えられます。もちろん，願った形で答えが与えられるとは限りません。試練を取り除くのではなく，「耐え切れるように」知恵と力を与えるという形で答えてくださることがあります。（コリ一 10:13）

8. エホバに祈る機会に対する感謝をどのように表せますか。

⁸ エホバに祈るという貴重な機会に対する感謝をどのように表せますか。1つの方法は，エホバが勧めている通り「絶えず祈[る]」ことです。（テサ一 5:17）エホバは祈るよう強要したりはしません。私たちの自由意思を尊重しつつ，「粘り強く祈りましょう」と勧めています。（ロマ 12:12）それで，私たちは毎日，何度も祈ることによって感謝を表せます。祈る時には，エホバへの感謝や賛美の気持ちを忘れずに伝えましょう。（詩 145:2，3）

9. ある兄弟は，祈る機会についてどんなことを言っていますか。あなたはどう感じていますか。

⁹ エホバに長く仕えてきた方は，エホバが祈りに答えてくださるという経験を重ねてきたことでしょう。祈る機会に対する感謝も深まっているに違いありません。全時間奉仕を47年行ってきたクリス兄弟は，こう言っています。「朝早く，エホバにじっくり気持ちを申し上げると，気持ちが落ち着きます。朝日が差し込み始め，露がきらめくのを見ながらエホバに語り掛けると，すがすがしい気持ちになります。エホバが与えてくださったもの一つ一つについて感謝を伝えます。祈る機会に対する感謝も伝えます。1日の終わりにも祈り，晴れ晴れとした気持ちで床に就きます」。

10. 聖なる力を宝と見るべきなのはなぜですか。

¹⁰ 神が送り出す力も，見えない宝です。イエスは，聖なる力を求めて祈るよう勧めています。（ルカ 11:9，13）エホバは聖なる力を送り出すことにより，力を与えます。「普通を超えた力」を与えてくださることもあります。（コリ二 4:7。使徒 1:8）聖なる力によって，私たちはどんな試練にも耐えることができます。

11. 聖なる力は，どのような働きをしますか。

¹¹ 聖なる力は，エホバから与えられた奉仕を果たせるよう助けてくれます。私たちの才能を伸ばし，能力を高めてくれます。私たちは，聖なる力のおかげでクリスチャンとしての務めを果たせます。努力して良い結果が得られるとしても，自分の力で成し遂げたのではないことを認めます。

12. 詩編 139編23，24節にある通り，私たちはどんなことを祈れますか。

¹² 聖なる力を宝と見ている人は，心の中に間違った感情や欲求がないかどうかを調べてください，という祈りをエホバに捧げます。（詩編 139:23，24を読む。）そのように祈るなら，エホバは聖なる力を使い，私たちが間違った考えや傾向に気付けるようにしてくれます。気付いたなら，間違った考えや欲望に抵抗できるよう，エホバに聖なる力を祈り求めましょう。聖なる力が受けられなくなるようなことはしたくない，という決意を表せます。（エフェ 4:30）

13. どうすれば聖なる力に対する感謝が深まりますか。

¹³ 今の時代に聖なる力によって成し遂げられている事柄を考えるなら，聖なる力に対する感謝が深まります。イエスは天に昇る前に，弟子たちにこう言いました。「聖なる力があなたたちに働く時，あなたたちは力を受け，……地上の最も遠い所にまで，私の証人となります」。（使徒 1:8）この言葉の通りのことが起きています。聖なる力の働きによって，世界中で850万人ほどの人がエホバを崇拝するようになっています。しかも，1つの家族のように結ばれています。聖なる力が私たちの間に愛，喜び，平和，辛抱強さ，親切，善良，信仰，温和，自制を生み出しているからです。（ガラ 5:22，23）聖なる力は貴重な宝です。

14. 伝道を行う時，誰と働いていることになりますか。

¹⁴ エホバ，イエス，天使たちと「共に働く」ことも見えない宝です。（コリ二 6:1）伝道を行う時，エホバと働いていることになります。パウロは，自分や兄弟姉妹が「神と共に働く者」だと言いました。（コリ一 3:9）伝道を行う時，イエスと共に働いていることにもなります。イエスは「全ての国の人々を弟子としなさい」と命じた後，「私は……あなたたちと共にいる」と言いました。（マタ 28:19，20）また，天使たちと働いていることにもなります。天使は，「地上に住む人々……に伝える，永遠の良い知らせを携えて」います。（啓 14:6）天使に導かれて働けるのはうれしいことです。

15. 伝道にエホバが大きく関わっていることを示すどんな例が聖書にありますか。

¹⁵ 天からの助けによって何が成し遂げられていますか。王国の知らせという種をまく時，良い土に落ちた種は成長します。（マタ 13:18，23）真理の種が成長し，実を結ぶのはなぜですか。イエスは，「父が引き寄せてくださらない限り」誰もイエスの弟子になれない，と言っています。（ヨハ 6:44）聖書にはこのことを示す例が挙げられています。パウロはフィリピという町の外で，集まっていた女性たちに話をしました。その中にいたルデアという女性について，「エホバは彼女の心を大きく開いて，パウロが話す事柄を受け入れるようにした」とあります。（使徒 16:13‐15）何百万もの人がルデアのようにエホバに引き寄せられてきました。

16. 伝道で良い結果が得られたとき，どう考えたらよいでしょうか。

¹⁶ 伝道で良い結果が得られたとき，どう考えたらよいでしょうか。パウロは，コリントの会衆に宛てた手紙の中で次のように述べています。「私は植え，アポロは水を注ぎました。しかし，成長させたのは神です。ですから，大切なのは，植える者でも水を注ぐ者でもなく，成長させる神なのです」。（コリ一 3:6，7）伝道で良い結果が得られたら，パウロのように，エホバのおかげであることを忘れないようにしましょう。

17. エホバ，イエス，天使たちと「共に働[ける]」ことへの感謝をどのように表せますか。

¹⁷ エホバ，イエス，天使たちと「共に働[ける]」ことへの感謝をどのように表せますか。良い知らせを人々に熱心に伝えることによってです。いろいろな方法があります。「人々の前で，また家から家へと」伝道します。（使徒 20:20）いつでも機会を捉えて伝えている人たちもいます。出会う人に気さくにあいさつし，そこから会話が始まる場合もあります。相手が話に乗ってきたら，聖書の話題を上手に持ち出すことができます。

18. 真理の種を植えた後，どのように水を注ぎますか。

¹⁸ 「神と共に働く者」である私たちは，真理の種を植えるだけでなく，水を注ぐ必要もあります。関心を示す人がいたら，自分が再び会って話すか，誰かに連絡を取ってもらうようにします。そのようにして，聖書レッスンにつなげる努力を払います。レッスンが進むにつれて，学んでいる人の心をエホバが動かし，その人が考え方を変えるようになるのを見て，喜べるでしょう。

19. エホバはある男性をどのように助けましたか。

¹⁹ 南アフリカの呪術医ラファララニの例を取り上げましょう。この男性は聖書レッスンを楽しんでいましたが，先祖と交信することについての聖書の見方を知って，大きな壁にぶつかりました。（申 18:10‐12）少しずつ，エホバの考えに自分の考えを合わせていきました。やがて，生計の手段である呪術医の仕事を辞めました。現在60歳のラファララニはこう言います。「兄弟姉妹はいろいろと支えてくれました。仕事も見つけてくれました。本当にありがたいです。何よりも，生き方を変えられるようエホバが助けてくれたことに感謝しています。今ではバプテスマを受けて，エホバの証人として奉仕に参加できています」。

20. この記事を学んで，あなたはどうしたいと思いましたか。

²⁰ この記事では，見えない4つの宝について考えました。最も貴重な宝は，エホバを一番親しい友にできることです。エホバを友とすると，見えないほかの宝も手に入ります。エホバに祈れること，聖なる力の助けが得られること，エホバやイエスや天使が伝道で助けてくれることです。これらの見えない宝への感謝を，これからも深めていきましょう。素晴らしい友でいてくださるエホバに，いつまでも感謝しましょう。