1. ダビデはエホバについて何と言いましたか。

エホバが謙遜であると言うのは正しいでしょうか。正しいです。ダビデはこう言っています。「あなたは救いの盾を私に下さる。私が優れた者になれるのはあなたが謙遜だから」。（サム二 22:36。詩 18:35）ダビデは，預言者サムエルがイスラエルの次の王に油を注ぐため，自分の父の家に来た時のことを思い出していたのかもしれません。ダビデは，8人の息子のうち一番下でしたが，サウル王の後任としてエホバに選ばれました。（サム一 16:1，10‐13）

2. この記事ではどんなことを考えますか。

² ダビデは，エホバについて詩編 113編に書かれている事柄に同意したに違いありません。「神は身をかがめて天と地を見る。立場が低い人を地面から起き上がらせる。貧しい人を……引き上げる。そして高貴な人たちと共に座らせる」。（詩 113:6‐8）この記事では，エホバが謙遜さをどのように表しているか，そこから何を学べるか，という点を取り上げます。次に，慎みについて，サウル王，預言者ダニエル，イエスから学べる点も取り上げます。

3. エホバは私たちをどのように扱いますか。エホバについてどんなことが分かりますか。

³ エホバは，ご自分に仕える不完全な人間に対して謙遜さを示しておられます。私たちの崇拝を受け入れるだけでなく，私たちを友と見てくださっています。（詩 25:14）私たちがエホバの友となれるようエホバがまず行動してくださいました。私たちの罪を許すための犠牲として，自分の子を差し出してくださったのです。エホバは本当に憐れみ深く，思いやりがある方です。

4. エホバは私たちに何を与えましたか。なぜですか。

⁴ エホバが謙遜である証拠はほかにもあります。人間を造った時に，どう生きるかを選ぶ能力を与えないこともできました。しかし，ご自分に似た者として私たちを造り，自由意思を与えてくださいました。エホバと比べれば立場の低い私たちが，心からエホバを愛するゆえに仕えるとき，それを喜んでくださいます。エホバに従うことが自分のためになると理解して仕えてほしいと思っておられます。（申 10:12。イザ 48:17，18）エホバがここまで謙遜であることに感謝できます。

5. エホバは謙遜であるよう，私たちをどのように教えておられますか。（表紙の絵を参照。）

⁵ エホバは私たちに対する行動や態度により，謙遜であるよう教えておられます。エホバは宇宙で最も賢い方ですが，他の者の考えを喜んで取り入れます。例えば，全てのものを創造した時，自分の子からの助けを受け入れました。（格 8:27‐30。コロ 1:15，16）また，全能の神でありながら，他の者に権限を委ねます。実際，イエスを王国の王として任命しました。さらに，イエスと共に統治する14万4000人の人々にも権限を与えます。（ルカ 12:32）エホバはまず，イエスを王また大祭司となれるよう訓練しました。（ヘブ 5:8，9）イエスの共同統治者たちをも訓練します。とはいえ，務めを与えた後に細かいところまで仕切ろうとはしません。ご自分の望むことを行ってくれると信頼します。（啓 5:10）

6‐7. 権限を委ねる方であるエホバからどんな点を学べますか。

⁶ エホバは誰の助けも必要としないのに，他の者に権限を委ねます。であれば，私たちはなおのことそうすべきです。あなたが家族をまとめる立場にあったり，会衆の長老だったりしたらどうでしょうか。務めを委ねたら細かいところまで仕切ろうとしないことによってエホバに倣えます。そうすれば，仕事が完成するだけでなく，訓練し自信を持たせることにもなります。（イザ 41:10）エホバから権限を与えられている人たちがほかにも学べる点がありますか。

⁷ 聖書によれば，エホバは自分の子である天使たちがどのように考えているかに関心を持っています。（王一 22:19‐22）親はどのようにエホバの手本に倣えますか。差し支えない場合に，家の仕事のやり方について子供の意見を聞くのはいかがですか。問題がなければ，子供の意見を聞き入れてください。

8. エホバはアブラハムとサラに対してどのように辛抱しましたか。

⁸ エホバは謙遜な方なので辛抱されます。エホバに仕える人々が，エホバの決めた事柄に異議を挟むとしても，辛抱強く接します。ソドムとゴモラを滅ぼすということを聞いて心配したアブラハムの意見をよく聞きました。（創 18:22‐33）アブラハムの妻サラに対する接し方はどうでしたか。高齢者である自分に子供ができるという約束を聞いて笑ったサラに対し，エホバは気を悪くしたり怒ったりしませんでした。（創 18:10‐14）サラの尊厳を重んじました。

9. 親や長老はエホバの手本からどんなことを学べますか。

⁹ エホバの手本から親や長老はどんなことを学べますか。あなたが決めた事柄に異議が挟まれるとき，どのように反応しますか。すぐに却下しますか。それとも，なぜ反対するのかを理解するよう努めますか。親や長老がエホバに倣うとき，家族や会衆に恩恵が及びます。ここまでで，エホバの謙遜さの手本にどのように倣えるかということを考えました。次に，聖書中の例から慎みについて考えましょう。

10. エホバは何を使って私たちを教えますか。

¹⁰ 「偉大な教師」エホバは，私たちを教えるための実例を聖書の中に残しています。（イザ 30:20，21）慎みを示して神に喜ばれた人についての記述を思い巡らすと，大切な点を学べます。慎みを示さなかった人の例からも教訓が得られます。（詩 37:37。コリ一 10:11）

11. サウルの悪い例からどんなことを学べますか。

¹¹ サウルの例を考えましょう。若い頃のサウルは慎みがありました。自分の限界を強く意識していたので，より重い責任を担うことはできないと考えていました。（サム一 9:21; 10:20‐22）そのサウルはやがて出過ぎた行動を取るようになりました。王になって間もなく，良くない傾向が芽生え始めました。ある時，預言者サムエルが来るのを待ち切れなくなりました。本来は自分の限界をわきまえ，エホバが民のために行動してくださるに違いないと考えるべきでした。しかし，権限が与えられていないのに全焼の犠牲を捧げてしまいました。結果としてエホバの好意を失い，やがて王権も失ってしまいました。（サム一 13:8‐14）警告として書かれているこの実例から教訓を学び，出過ぎた行動を取らないようにしましょう。

12. ダニエルはどのように慎みを示しましたか。

¹² 対照的な例として，ダニエルの手本を考えてみましょう。ダニエルは若い時も年を取ってからも謙遜で，慎みがあり，いつもエホバの導きを求めました。例えば，ネブカドネザルが見た夢の意味を解き明かした時，そのことを自分の功績にしませんでした。慎みを示し，エホバの導きによって解き明かしたことを認めました。（ダニ 2:26‐28）何を学べますか。演壇でした話を褒められたり，伝道で良い経験ができたりしても，全てはエホバのおかげであることを忘れないようにしましょう。エホバの助けなしには行えないという慎みのある見方をすべきです。（フィリ 4:13）そうするなら，イエスの手本に倣っていることにもなります。なぜそういえますか。

13. ヨハネ 5章19，30節によれば，イエスはどんな考え方をしていましたか。

¹³ イエスは神の子で，完全でしたが，いつもエホバに頼りました。（ヨハ 5:19，30）エホバの権限を奪おうとはしませんでした。フィリピ 2章6節によれば，イエスは「神の立場を奪って神と同等になろうなどとは考えませんでした」。自分は子であり，父エホバに従う立場にあることを理解していました。

14. イエスは自分に権限のないことをするよう頼まれた時，どうしましたか。

¹⁴ ヤコブとヨハネが母親と共に近づいてきて，イエスに与える権限のないものを求めた時，イエスはどうしましたか。イエスは，王国で誰が自分の右と左に座るかはエホバしか決められない，と即答しました。（マタ 20:20‐23）イエスは自分の限界をわきまえていました。慎みがあったのです。エホバから権限を与えられていない事柄は，決してしませんでした。（ヨハ 12:49）イエスの手本にどのように倣えますか。

15‐16. コリント第一 4章6節の勧めをどのように実行できますか。

¹⁵ コリント第一 4章6節の「書かれている事柄を越えてはならない」という勧めの通りにするなら，イエスに倣っていることになります。誰かにアドバイスを求められたとき，自分の意見を押し付けたり，思い付くままに答えたりすることのないようにしましょう。聖書や出版物に載っているアドバイスに注意を引きましょう。そうすれば，自分の限界をわきまえていることを示せます。私たちは慎みを示し，全能の神の「規定の正しさ」に注目させるようにします。（啓 15:3，4）

¹⁶ エホバをたたえたいということ以外にも，慎みを示すべき理由があります。謙遜であり，慎みを示すなら，幸せな気持ちになり，他の人と良い関係を保てます。そのことを次に考えましょう。

17. 謙遜で慎みのある人が幸せな気持ちになれるのはなぜですか。

¹⁷ 謙遜であり，慎みを示すなら幸せな気持ちになれるといえるのはなぜですか。自分の限界を意識しているなら，ほかの人が与えてくれる助けを素直に喜べるからです。イエスが重い皮膚病の人10人を癒やした時のことを考えましょう。そのうちの1人は，感謝するためにイエスの所に戻ってきました。自分では到底治せない病気を癒やしてもらえたことを強く意識していたからです。この男性は謙遜で慎みがあったので，与えられた助けに感謝し，神をたたえました。（ルカ 17:11‐19）

18. 謙遜で慎みがあると，なぜ他の人と良い関係を保てますか。（ローマ 12:10）

¹⁸ 謙遜で慎みのある人は，他の人と良い関係を保ち，親しい友情を築きやすくなります。なぜですか。そのような人は他の人の良いところによく気付き，相手を信頼するからです。謙遜で慎みのある人は，他の人が能力を発揮して務めを果たすのを喜び，その人を目ざとく褒め，敬います。（ローマ 12:10を読む。）

19. 高慢にならないよう気を付けるべきなのはなぜですか。

¹⁹ 逆に，高慢な人は他の人を褒めようとしません。自分が称賛されたいと思っています。自分を他の人と比べ，張り合おうとします。誰かを訓練して権限を与えるよりも，仕事を“きちんと”果たすには，つまり自分の望むように果たすには，自分でやるしかない，と考えます。高慢な人は，野心的で嫉妬しがちです。（ガラ 5:26）そのような人と親しくなりたいと思う人は少ないでしょう。自分に高慢なところがあることに気付いたなら，「考え方を新しくする」ための助けをエホバに真剣に祈り求めましょう。高慢な考え方が自分に根付いてしまわないようにするためです。（ロマ 12:2）

20. 謙遜さと慎みを示すべきなのはなぜですか。

²⁰ エホバが謙遜さの手本を示してくださっていることに感謝できます。エホバはご自分に仕える者に対して謙遜です。私たちはエホバの謙遜さに倣いたいと思います。さらに，慎みを持ってエホバと共に歩んだ聖書中の人物の手本に倣いたいと思います。栄光と栄誉を受けるのにふさわしい方であるエホバを，これからもたたえていきましょう。（啓 4:11）そうすれば，私たちは天の父エホバと共に歩むことができます。エホバは，謙遜さと慎みを示す人を愛されるからです。