1‐2. 伝道 11章6節は，王国の良い知らせを伝える活動にどのように当てはまりますか。

世界のある国々では，聖書から良い知らせが伝えられると人々は快く耳を傾けます。ずっと知りたいと思っていたことだからです。一方，人々が神や聖書に無関心な国もあります。あなたの住んでいる国ではどうですか。人々の反応がどうであれ，エホバはご自分が良いとご覧になるまで私たちが伝道を続けることを望んでいます。

² エホバが決めた時に伝道は終了し，「終わりが来ます」。（マタ 24:14，36）それまでの間，どうすれば「手を休めてはならない」 * という言葉の通りに行動できますか。（伝道 11:6を読む。）

3. この記事ではどんなことを考えますか。

³ 前の記事では，人を集める漁師になる上で役立つ4つの要素を考えました。（マタ 4:19）この記事では，どんな状況でも伝道する決意を強めるための3つの方法について考えます。（1）打ち込む，（2）辛抱する，（3）信仰を強く保つ。これらのことはなぜ大切ですか。

4. エホバから与えられた仕事に打ち込む必要があるのはなぜですか。

⁴ イエスは，終わりの時代に起きる事柄を予告しました。弟子たちの注意を伝道からそらしかねない事柄です。それで弟子たちに「ずっと見張っていなさい」と言いました。（マタ 24:42）ノアの時代，人々は毎日の生活に気を取られ，ノアの警告に注意を払いませんでした。私たちも，同様の事柄のために気を取られかねません。（マタ 24:37‐39。ペテ二 2:5）ですから，エホバから与えられた仕事に打ち込む必要があります。

5. 使徒 1章6‐8節では，伝道がどんな規模で行われることが述べられていますか。

⁵ 王国について伝道するのは，真剣に考えるべき事柄です。イエスは，自分の死後にこの活動が大々的に行われ，長期間続くことを予告しました。（ヨハ 14:12）とはいえ，イエスの死後，弟子たちの幾人かは漁の仕事に戻ってしまいました。復活したイエスは奇跡を行い，弟子たちが大量の魚を捕れるようにしました。その際イエスは，人を集める漁師としての仕事がどんな仕事よりも大切であることを教えました。（ヨハ 21:15‐17）イエスは昇天する直前，自分がいなくなった後に弟子たちがイスラエルだけでなくもっと遠くまで伝道することになる，と言いました。（使徒 1:6‐8を読む。）それから数十年後，イエスは使徒ヨハネに幻を見せ，「主の日」 * に何が起きるかを示しました。ヨハネは目を見張るような次の光景を見ました。天使の指示の下で「永遠の良い知らせ」が「あらゆる国や民族や言語や種族の人々」に伝えられる，という光景です。（啓 1:10; 14:6）今の時代に行われている世界的な伝道活動が完了するまで，私たちが伝道を続けることをエホバは望んでいます。

6. どうすれば伝道に打ち込めますか。

⁶ エホバが私たちのためにどれほど多くのことをしてくださっているかを考えるなら，伝道活動に打ち込めます。例えば，エホバは信仰を強める食物を，印刷物，電子出版物，オーディオ，ビデオ，ブロードキャスティングなどの形でたくさん与えてくださっています。考えてみてください。私たちの公式ウェブサイトでは，1000を超える言語で情報が提供されているのです。（マタ 24:45‐47）今の世界は政治的思想，宗教，経済格差などで分断されていますが，エホバに仕える800万人以上の人々は信仰によって結ばれています。一例として，2019年4月19日，金曜日，世界中のエホバの証人はその日の聖句を扱った同じプログラムを視聴しました。その日の晩，合計2091万9041人もの人がイエスの死の記念式に出席しました。現代の奇跡ともいえるこうした出来事を目にし，それに関われるのは素晴らしいことです。このことを考えると，伝道に打ち込みたいと思うようになるでしょう。

7. 伝道に打ち込むため，どのようにイエスの手本に倣えますか。

⁷ イエスの手本に倣うと伝道に打ち込めます。イエスは，真理を明らかにすることを何にも妨げられないようにしました。（ヨハ 18:37）サタンから「世界の全ての王国とその栄光」を与えると言われても，人々が自分を王にしようとしても，心が傾くことはありませんでした。（マタ 4:8，9。ヨハ 6:15）富に魅力を感じることも，激しい反対におじけづくこともありませんでした。（ルカ 9:58。ヨハ 8:59）私たちも信仰が試される時，使徒パウロの勧めを覚えておくなら伝道に打ち込めます。パウロは，「疲れて諦めてしまうこと」がないようイエスの手本に倣うことを勧めました。（ヘブ 12:3）

8. 辛抱することにはどんな態度が関係しますか。辛抱が今特に必要なのはなぜですか。

⁸ 辛抱できる人は，状況が変わるのを穏やかな気持ちで待つことができます。好ましくない状況が終わるのを待つにしても，物事が願い通りになるのを待つにしても，辛抱が必要です。預言者ハバククは，ユダの人々の間ではびこっていた暴力が終わることを望んでいました。（ハバ 1:2）イエスの弟子たちは，「神の王国がすぐにも現れ」てローマ帝国による圧制から救ってくれることを願っていました。（ルカ 19:11）私たちも，神の王国が悪を除き，正しいことが行き渡る新しい世界が来るのを切望しています。（ペテ二 3:13）それでも，エホバが決めた時が来るまで辛抱する必要があります。辛抱できるよう，エホバはどのように私たちを教えていますか。

9. エホバはどのように辛抱してきましたか。

⁹ エホバは辛抱する点での完璧な手本です。ノアに，箱船を造り，「正しいことの伝道者」として働くための十分な時間を与えました。（ペテ二 2:5。ペテ一 3:20）ソドムとゴモラの邪悪な人々を滅ぼすという決定についてアブラハムが何度も尋ねた時，その都度耳を傾けました。（創 18:20‐33）長い間，不忠実なイスラエル国民に対して際立った辛抱を示しました。（ネヘ 9:30，31）エホバは今も辛抱し，人々に「悔い改め」るための時間を与えています。ご自分と親しい関係を持ってほしいと思っているからです。（ペテ二 3:9。ヨハ 6:44。テモ一 2:3，4）エホバの手本について考えると，私たちも辛抱し，引き続き伝道して人々を教えるよう動かされます。エホバは聖書の中で，ある例えを使って，辛抱するよう教えています。

10. ヤコブ 5章7，8節にある農家の人の例えから何を学べますか。

¹⁰ ヤコブ 5:7，8を読む。農家の人の例えから辛抱について学べます。すぐに育つ作物もありますが，多くの作物，とりわけ実を付ける作物は収穫までに時間がかかります。イスラエルで作物が生育する期間は約6カ月でした。秋の雨の後に種をまき，春の雨の後に穀物を収穫しました。（マル 4:28）農家の人の辛抱に倣いましょう。でも，それは簡単ではありません。

11. 宣教で辛抱が必要なのはなぜですか。

¹¹ 私たちは完全ではないので，すぐに成果を期待してしまいがちです。でも家庭菜園で作物を育てるには，土を掘り返し，種をまき，雑草を引き抜き，水をやるなどして，何かと手を掛けなければなりません。人々を弟子とする際にも，継続的に関心を向けなければなりません。相手が抱いている偏見や無関心という雑草を除くには，時間がかかります。宣教を行う際，辛抱強くあるなら，すぐに耳を傾ける人がいなくても気落ちしないで済みます。良い反応があるとしても，辛抱は必要です。聖書を学んでいる人が信仰を抱くよう強制することはできません。イエスの弟子たちも，イエスが教えている事柄の意味をなかなか理解できないことがありました。（ヨハ 14:9）私たちは，植えて水を注ぐことはできますが，成長させるのは神であることを忘れないようにしましょう。（コリ一 3:6）

12. エホバの証人ではない家族や親族に真理を伝える際，どのように辛抱できますか。

¹² エホバの証人ではない家族や親族に真理を伝える際，辛抱するのが難しいことがあります。伝道 3章1，7節にある，「黙っているのに時があり，話すのに時がある」という考え方は役立ちます。良い振る舞いには言葉よりも説得力があります。でも，真理について語る機会を探し，その機会を逃さないようにもしましょう。（ペテ一 3:1，2）私たちは熱意を込めて伝道し，人々を教えますが，家族を含め誰に対しても辛抱する必要があります。

13‐14. 辛抱した人たちのどんな手本がありますか。

¹³ エホバに仕えた聖書時代の人と現代の人の手本からも，辛抱について学ぶことができます。ハバククは悪が終わるのを切望していましたが，「私は見張り所にずっと立」つという決意を語ってもいます。（ハバ 2:1）パウロは，自分の奉仕を終えて天での報いを受けることを切望していましたが，辛抱しつつ「良い知らせを徹底的に伝え」続けました。（使徒 20:24）

¹⁴ ギレアデ学校を卒業したある夫婦の例を考えましょう。この夫婦は，エホバの証人が少なく，国民の大半がキリスト教徒ではない国に割り当てられました。聖書を学ぼうとする人はほとんどいませんでした。ギレアデの同期でほかの国で奉仕する兄弟姉妹からは，聖書レッスンがたくさん見つかり大勢の人が進歩している，という報告が次々と届きました。それでもこの夫婦は，反応があまり良くない区域で辛抱しながら宣教を続けました。耳を傾ける人が少ない区域で伝道し続けて8年，うれしいことに，この夫婦が聖書レッスンをしてきた人の1人がバプテスマを受けました。昔と現代の手本に共通している点は何ですか。怠けて手を休めたりしないならエホバが辛抱に報いてくださる，という点です。ですから，「信仰と辛抱のゆえに約束のものを受ける人たちに倣」いましょう。（ヘブ 6:10‐12）

15. 何に確信を持っていると，伝道する決意が強まりますか。

¹⁵ 私たちは伝えているメッセージに確信を持っています。それで，できるだけ多くの人に伝えたいと思います。私たちは，聖書の約束が果たされることを信じています。（詩 119:42。イザ 40:8）聖書の預言が現代に実現しているのを見ています。聖書のアドバイスを当てはめて生き方を改めた人たちがいるのを知っています。こうした事実を考えると，王国の良い知らせを誰もが聞く必要があるという確信が強まります。

16. エホバとイエスに信仰を抱いていると，伝道する決意が強まるのはなぜですか。詩編 46編1‐3節からどんな励みが得られますか。

¹⁶ また私たちは，エホバとイエスに信仰を抱いています。エホバは私たちが伝えているメッセージを与えた方です。イエスはエホバから王国の王として選ばれ，治めています。（ヨハ 14:1）何が起きても，エホバはいつも私たちの避難所であり，力です。（詩編 46:1‐3を読む。）イエスは，エホバから与えられた力と権限を用いながら，天から伝道活動を導いています。（マタ 28:18‐20）

17. 伝道を続ける力となる，どんな経験がありますか。

¹⁷ 信仰があるなら，エホバが私たちの努力を祝福してくださることを確信できます。時には思いも寄らない形で祝福してくださいます。（伝 11:6）一例を挙げましょう。毎日とても多くの人が，出版物を並べたテーブルやカートのそばを通り過ぎていきます。この方法は成功していますか。成功しています。「わたしたちの王国宣教」2014年11月号には，次のような経験が載せられています。ある女子大生が，エホバの証人についての論文を書こうとしました。王国会館を見つけることはできませんでしたが，大学のキャンパス内でエホバの証人が出版物をテーブルに並べて立っているのを目にし，論文に必要な資料を入手できました。やがてこの学生はバプテスマを受けました。今では正規開拓者として奉仕しています。こうした経験は，伝道を続ける力になります。王国についてのメッセージを聞きたいと思っている人がまだいることが分かるからです。

18. 王国について伝道する活動はエホバが予定している時に完了する，と確信できるのはなぜですか。

¹⁸ 王国について伝道する活動は，エホバが予定している時に完了します。ノアの時代のことを考えてみましょう。エホバは自分が決めた時間通りに行動します。エホバは洪水が始まる日時を120年前に決めました。それから数十年後，エホバはノアに箱船を建造するよう指示しました。洪水が起きるまで，ノアは一生懸命に働きました。その期間は40年から50年だったと考えられます。人々は全く耳を傾けませんでしたが，エホバから箱船に動物を入れるようにと言われる時まで，警告を伝え続けました。そして予定の時が来て「エホバは扉を閉め」ました。（創 6:3; 7:1，2，16）

19. 手を休めないなら，どんな報いがありますか。

¹⁹ エホバは間もなく王国について伝道する活動を終わらせます。エホバはいわば「扉を閉め」るかのようにしてサタンの体制を終わらせ，正しいことが行き渡る新しい世界を実現させます。それまでの間，手を休めることなく働き続けたノアやハバククのような人たちに倣いましょう。伝道に打ち込み，辛抱し，エホバとエホバの約束に対する信仰を強く保ちましょう。