研究記事36
「魚ではなく人を集める漁師」になりますか
「恐れることはありません。今後,あなたは人を生きたまま捕るのです」。ルカ 5:10
137番の歌 わたしたちに大胆さを与えてください
何を学ぶか *
1. イエスは4人の漁師に何と言いましたか。4人はどうしましたか。
ペテロ,アンデレ,ヤコブ,ヨハネは漁師でした。イエスから,「私に付いてきなさい。魚ではなく人を集める漁師 *にしてあげましょう」と言われた時,驚いたことでしょう。どうしましたか。「直ちに網を捨てて後に従った」と聖書は述べています。(マタ 4:18‐22)その決定により,彼らの生活は大きく変わりました。魚ではなく「人を生きたまま捕る」ことになったのです。(ルカ 5:10)現在イエスは,真理を愛する誠実な人たちに同じように呼び掛けています。(マタ 28:19,20)あなたはその呼び掛けに応じて,人を集める漁師になりましたか。
2. 人を集める漁師になることを,時間をかけて決定する必要があるのはなぜですか。そのステップを踏む上でどんなことが助けになりますか。
2 あなたは聖書を学んでよく進歩し,伝道者になることを考えているかもしれません。なかなかその一歩を踏み出せないとしても,自分は駄目だとは考えないでください。慎重なのは,この決定の大切さを理解している証拠なのかもしれません。聖書には,ペテロと仲間たちが網を「直ちに」捨てた,と書かれています。でもペテロとアンデレはその場の勢いで行動したのではありません。イエスと出会ってメシアと認めたのは,それより6カ月以上前のことでした。(ヨハ 1:35‐42)あなたもエホバとイエスについてすでに多くのことを学び,これからもエホバと親しくなりたいと思っていることでしょう。それでも,伝道者になることを決める前に,よく考える必要があります。ペテロたちはなぜそのような決定ができましたか。
3. 何があると,伝道者になりたいという願いが強まりますか。
3 イエスの最初の弟子になった4人の漁師たちは,意欲を持ち,漁の仕方に詳しく,勇気があり,自分を甘やかさない人でした。こうした要素は,人を集める漁師になる上でも役立ったに違いありません。私たちがイエスの弟子として働く上でも役立ちます。この記事では,どうすればこうした点で成長できるかを考えます。
意欲を高める
4. ペテロは漁師の仕事をどう思っていましたか。
4 ペテロは家族を養うために魚を集めました。でも漁は単なる生計の手段ではありませんでした。漁師の仕事に愛着を抱いていたようです。(ヨハ 21:3,9‐15)人を集める漁師としての活動にも愛着を持ちました。エホバの助けにより,その活動に熟達しました。(使徒 2:14,41)
5. ルカ 5章8‐11節によれば,ペテロが恐れたのはなぜですか。私たちはどうすれば恐れの気持ちを克服できますか。
5 私たちが伝道するのは,エホバを愛しているからです。それが伝道する何よりの理由です。エホバへの愛があれば,自分には無理だという気持ちを克服できます。イエスは,人を集める漁師になるようペテロに勧めた時,「恐れることはありません」とも言いました。(ルカ 5:8‐11を読む。)ペテロは,イエスの弟子になったらどうなるのかと考えて萎縮したのではありません。イエスの奇跡によって魚が大量に捕れたことに圧倒され,イエスと共に働く資格などないと感じたのです。あなたの場合はどうですか。イエスの弟子になることに何が伴うかを知って,気後れしていますか。もしそうであれば,エホバとイエスと隣人への愛を強めましょう。そうすれば,イエスの呼び掛けに応えて人を集める漁師になりたいと思うでしょう。(マタ 22:37,39。ヨハ 14:15)
6. 私たちはほかにもどんな理由で伝道しますか。
6 ほかにもどんな理由で私たちは伝道しますか。「行って,……人々を弟子としなさい」というイエスの命令に従いたいと思っています。(マタ 28:19,20)さらに,人々が「痛めつけられ,放り出され」,神の王国についての真理を切実に必要としているからです。(マタ 9:36)エホバはあらゆる人が真理の正確な知識を得て救われることを望んでいます。(テモ一 2:4)
7. ローマ 10章13‐15節によれば,伝道が大切なのはなぜですか。
7 伝道によって何が成し遂げられるかを考えるなら,命を救う活動に参加するよう動かされます。漁師が魚を集めるのは売るか食べるかするためですが,私たちが人々を集めるのはその人たちの命を救うためです。(ローマ 10:13‐15を読む。テモ一 4:16)
伝道の仕方を学ぶ
8‐9. 漁師はどんなことを知っていなければなりませんか。なぜですか。
8 イエスの時代,イスラエルの漁師は集めて良いのはどんな魚かを知っていなければなりませんでした。(レビ 11:9‐12)魚がどこにいるかも知る必要がありました。魚は,水質が合い,餌がたくさんある所に生息します。いつ漁に出るかも重要です。太平洋のある島で奉仕する宣教者は,そのことを知りました。地元の兄弟から,一緒に漁に行くよう誘われました。それで,「明日の朝9時に行きますね」と言いました。すると地元の兄弟から,「兄弟は漁のことが分かっていないね。自分に都合のいい時間ではなく,魚が捕れる時間に行かないと」と言われました。
9 1世紀の,人を集める漁師も,“魚”がいる場所に,会えそうな時間に行きました。例えばイエスの弟子たちは,神殿や会堂や広場で,また家から家に行って伝道しました。(使徒 5:42; 17:17; 18:4)私たちも,区域の人々の生活スタイルに通じておきましょう。人に合わせ,人がいそうな場所で,会えそうな時間に伝道する必要があります。(コリ一 9:19‐23)
10. エホバの組織はどんな道具を用意していますか。
10 漁師は,どんな道具が漁に必要で,どう使うかを知っていなければなりません。私たちも,伝道に必要な道具を持っていなければなりません。使い方も知らなければなりません。イエスは,人を集めるための明確な指示を弟子たちに与えました。何を持っていき,どこで伝道し,何と言うかを教えました。(マタ 10:5‐7。ルカ 10:1‐11)現在,エホバの組織は,使いやすい道具を収めた宣教ツールボックスを用意しています。 * 各種の道具の使い方も教えています。使い方の訓練を受けた私たちは,自信を持って上手に使えるようになっています。(テモ二 2:15)
勇気を持つ
11. 人を集める漁師に勇気が要るのはなぜですか。
11 漁師には勇気が必要です。天候が急に変わって海が荒れることがあるからです。夜の暗い中で働かなければならないこともあります。同じように,人を集める漁師にも勇気が求められます。伝道に出始めてエホバの証人であることを明らかにすると,家族に反対され,友達に冷やかされ,伝えようとしても断られるかもしれません。“嵐”の中にいるように感じるでしょう。でも,それは意外なことではありません。イエスは,弟子たちが敵対する人たちの中で伝道することになる,と予告しました。(マタ 10:16)
12. ヨシュア 1章7‐9節によれば,どうすれば勇気を持てますか。
12 どうすれば勇気を持てますか。まず,イエスが今もこの活動を天から導いていることを意識してください。(ヨハ 16:33。啓 14:14‐16)さらに,あなたを必ず助けるというエホバの約束に対する信仰を強めてください。(マタ 6:32‐34)信仰が強まれば,勇気も強まります。ペテロと仲間たちはイエスの弟子になるためにそれまでの仕事を辞めて,強い信仰を示しました。あなたも,聖書レッスンを始めて集会に出席し始めたことを友達や家族に伝えた時,強い信仰を示したのです。エホバの基準に合わせるために,行動や生活を大きく変えてきたことでしょう。それにも信仰や勇気が要ります。これからも勇気を示していくなら,「あなたがどこに行っても,あなたの神エホバが共にいる」ということを実感できるでしょう。(ヨシュア 1:7‐9を読む。)
13. エホバの助けを思い巡らし,祈ると勇気を持てます。なぜそういえますか。
13 勇気を持つため,ほかにも何ができますか。勇気と大胆さを与えてください,と祈りましょう。(使徒 4:29,31)エホバは祈りに答え,必ずあなたのそばにいて,支え続けてくださいます。エホバが過去にご自分に仕える人をどのように助けたかを思い巡らしましょう。さらに,あなたが問題を乗り越え,生活を改めるための力をエホバが与えてくださったということも考えてください。エホバはご自分の民が紅海を渡れるよう助けたのですから,あなたがイエスの弟子になるようにも助けてくださいます。(出 14:13)次のように述べた詩編作者と同じ確信を持ちましょう。「エホバは私の側にいてくださる。私は恐れない。人が私に何を行えるだろう」。(詩 118:6)
14. 真枝と知余の経験からどんなことを学べますか。
14 勇気を持つのに,もともと内気だった人が大胆に語れるようエホバがどのように助けたかを知ることも役立ちます。真枝姉妹の経験を考えてみてください。姉妹は控えめな人で,信じていることを人に話すなんてとてもできない,と思っていました。知らない人に話すことだけでも,自分では登れない壁のように感じました。それで姉妹は,エホバと隣人に対する愛を深めることを特に意識しました。伝道が急務であることを考え,伝道したいという意欲を抱けるよう助けてください,と祈りました。恐れを克服し,正規開拓奉仕を行えるまでになりました。エホバは伝道を始めたばかりの人が「勇気を出」せるようにもしてくださいます。知余姉妹の経験を取り上げましょう。初めて野外奉仕に出た時,戸口に出てきた女性に「エホバの証人とは関わりたくない」と怒鳴られ,追い返されてしまいました。でも,気を落とすどころか,一緒にいた姉妹に,「うれしいわ。何も言わないのに,あの人は私がエホバの証人だと思ってくれた」と言いました。知余は現在,正規開拓奉仕をしています。
自分を甘やかさない
15. 自分を甘やかさない態度がクリスチャンに必要なのはなぜですか。
15 漁師として生計を立てている人は自分を甘やかしません。自分を甘やかさない人は,すべき事をしっかり果たします。漁師は朝早く起き,仕事を最後まで果たし,天候が崩れても漁を続けます。同じように,私たちが伝道をしっかり続け,最後まで果たすには,自分を甘やかさない態度が必要です。(マタ 10:22)
16. どうすれば難しく感じる事柄をきちんと行えますか。
16 私たちには皆,自分に楽な道を選ぶ傾向があります。自分の力だけでは,その傾向を克服し,自分にとって難しい事柄を最後まで行うことはできません。自分を甘やかさないためには自制が必要です。エホバが聖なる力によって助けてくださいます。(ガラ 5:22,23)
17. コリント第一 9章25‐27節でパウロは,自分を甘やかさないためにどんな努力をしていると言っていますか。
17 パウロは自分を甘やかすことはしませんでした。正しいことを行うのに「自分の体を打ちたた」かなければならないことを認めていました。(コリ一 9:25‐27)パウロは他の人に,自分を甘やかさず,「全てのことを適正に,取り決めに沿って行いましょう」と勧めました。(コリ一 14:40)私たちも自分を甘やかさず,良い知らせを定期的に伝えることも含め,エホバの崇拝をきちんと続けましょう。(使徒 2:46)
遅らせない
18. エホバはどんなことを成功と見てくださいますか。
18 漁の場合,成功の尺度となるのは集めた魚の量です。私たちの場合,エホバの証人になるよう何人の人を助けたかによって成功が計られることはありません。(ルカ 8:11‐15)良い知らせを伝え,人々を教えることを続ける限り,エホバは私たちが成功していると見てくださいます。なぜですか。エホバとイエスに従っていることになるからです。(マル 13:10。使徒 5:28,29)
19‐20. 今伝道に力を入れるどんな理由がありますか。
19 国によっては,漁が許可されているのは1年のうち数カ月の間だけです。そのような場合,漁を行える時期の終わりが近づくと,漁師はますます漁に集中します。人を集める漁師である私たちにも,今一層伝道に力を入れる理由があります。今の体制の終わりが非常に近いからです。命を救う活動を行う期間は限られています。この重要な活動に参加するのを遅らせたり,状況が整うのを待った方がよいと考えたりしないでください。(伝 11:4)
20 意欲を高め,聖書について伝える方法を学び,勇気を持ち,自分を甘やかさない態度を持つため,今行動しましょう。人を集める漁師は,今800万人以上います。その人たちに加わってください。そうすれば,エホバからの喜びを経験できるでしょう。(ネヘ 8:10)伝道を十分に行い,エホバが良いとご覧になるまで行い続けることを決意しましょう。次の記事では,人を集める漁師として,王国について伝道し続ける決意を強めるための3つの方法を学びます。
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