研究記事4

優しい愛情を深めていきましょう

優しい愛情を深めていきましょう

「兄弟愛を抱いて,優しい愛情を示し合いましょう」。ローマ 12:10

73番の歌 心から熱烈に愛しなさい

を学ぶか *

1. 自然な愛情に関して,どんな状況が見られますか。

聖書は,終わりの時代には人々の間に「自然な愛情」が見られなくなる,と予告していました。(テモ二 3:1,3)今,まさにその預言の通りになっています。例えば,多くの家族が離婚によってばらばらになっています。父親と母親は互いに腹を立て,子供たちは親から愛されていないと感じます。同じ家に住んでいる家族でも,まるで他人のようになっていることもあります。家族問題を扱うカウンセラーはこう述べています。「父親と母親と子供たちのつながりは,すっかり失われてしまった。その代わり,それぞれがコンピュータやタブレットやスマートフォンやゲームとつながるようになっている。こうした家族は,同じ屋根の下で暮らしてはいても,お互いのことをほとんど知らない」。

2‐3. (ア)ローマ 12章10節からすると,誰に対して優しい愛情を示すべきですか。(イ)この記事ではどんな点を考えますか。

2 私たちは,愛のないこの世界によって形作られたくはありません。(ロマ 12:2)それで,家族だけでなく会衆の兄弟姉妹に対しても,優しい愛情を深める必要があります。ローマ 12:10を読む。)優しい愛情とは何でしょうか。この言葉は特に,親しい家族の中に見られる温かい気持ちを表しています。会衆の兄弟姉妹はエホバへの崇拝で結ばれた家族なので,互いに優しい愛情を深めるのは大切なことです。優しい愛情を示すなら,真の崇拝にとって重要な一致を守ることができます。(ミカ 2:12

3 聖書に出てくる例を調べて,優しい愛情を深め,それを示すのに役立つ点を考えてみましょう。

エホバは「優しい愛情にあふれ」た方

4. ヤコブ 5章11節から,エホバの愛についてどんなことが分かりますか。

4 聖書には,エホバの素晴らしい性格について書かれています。例えば,「神は愛」とあります。(ヨハ一 4:8)それだけでも魅力的ですが,聖書によれば,エホバは「優しい愛情にあふれ」た方でもあります。ヤコブ 5:11を読む。)エホバがどれほど私たちを愛してくださっているかが伝わってくるのではないでしょうか。

5. エホバはどのように憐れみを示していますか。私たちはどのようにエホバに倣えますか。

5 ヤコブ 5章11節では,エホバの優しい愛情がほかの魅力的な性格と結び付けられています。それは憐れみです。(出 34:6)例えば,エホバは私たちの間違いを許すことによって,憐れみを示してくださいます。(詩 51:1)でも聖書によると,憐れみを示すとは,人を許すことだけではありません。憐れみとは,心の奥深くから湧き上がる感情のことで,困っている人を見た時に助けたいと思う気持ちのことです。聖書によると,私たちを助けたいというエホバの願いは,母親が子供を思う気持ちよりも強いものです。(イザ 49:15)エホバは私たちがつらい状況にあるのを見ると,憐れみを感じ,私たちを助けてくれます。(詩 37:39。コリ一 10:13)私たちは,仲間から嫌なことをされても,許して根に持たないことによって,憐れみを示すことができます。(エフェ 4:32)でもそれだけでなく,大変な状況にある仲間の支えになることによっても憐れみを示せます。愛の気持ちから憐れみを示すなら,優しい愛情の点で最高の手本であるエホバに倣っていることになります。(エフェ 5:1

ヨナタンとダビデは「固い友情で結ばれ」ていた

6. ヨナタンとダビデは優しい愛情をどのように示しましたか。

6 不完全な人間であっても,優しい愛情を示すことは可能です。聖書にはそうした人たちのことが書かれています。ヨナタンとダビデの例を考えてみましょう。聖書にはこうあります。「ヨナタンとダビデは固い友情で結ばれ,ヨナタンはダビデを自分自身のように愛するようになった」。(サム一 18:1)ダビデはサウルの次の王になるように選ばれていました。やがてサウルはダビデをねたんで殺そうとするようになりました。ヨナタンはサウルの息子でしたが,ダビデを殺そうとする父親の計画には加わりませんでした。ヨナタンとダビデはいつまでも友達でいることと,いつでも助け合うことを約束しました。(サム一 20:42

ダビデとヨナタンは年が離れていたが,互いに優しい愛情を示し,固い絆で結ばれていた。(6‐9節を参照。)

7. どんな点を考えると,ヨナタンとダビデの友情は素晴らしいものだと言えますか。

7 ヨナタンとダビデが示した優しい愛情が特に素晴らしいものと言えるのはなぜでしょうか。2人には,友達になるのを難しくするような要素が幾つもあったからです。例えば,ヨナタンはダビデよりも30歳ほど年上でした。ずっと年下で経験の浅いダビデとは話が合わないと考えても不思議ではありませんでした。しかし,ヨナタンはダビデを下に見たりはせず,敬意を示しました。

8. ヨナタンがダビデにとって素晴らしい友達だったのはなぜだと思いますか。

8 ヨナタンはダビデをねたんでもおかしくありませんでした。サウル王の息子として,自分には王位を継ぐ権利があると主張することもできたからです。(サム一 20:31)でも,ヨナタンは謙遜な人で,エホバを深く愛していました。ですから,次の王としてダビデを選んだエホバの決定を心から支持しました。ダビデのことも深く愛し,そのせいでサウルが激怒しても,ダビデとの約束を守りました。(サム一 20:32‐34

9. ヨナタンはダビデをライバル視しましたか。

9 ヨナタンはダビデに優しい愛情を抱いていたので,ダビデをライバル視したりはしませんでした。ヨナタンは弓を射るのがとても上手で,勇敢な戦士でした。父親のサウルと共に,「ワシよりも速く,ライオンよりも強[い]」人として,よく知られていました。(サム二 1:22,23)それで,ヨナタンは自分の戦いぶりについて誇らしげに話すこともできたことでしょう。しかし,対抗心を燃やしたり,ねたんだりはしませんでした。それどころか,ダビデの勇気やエホバへの信頼を褒めました。ダビデがゴリアテを打ち倒した後,ヨナタンはダビデを自分のことのように愛するようになったのです。では,私たちはどうすればこうした優しい愛情を仲間の兄弟姉妹に示すことができるでしょうか。

優しい愛情を示すには

10. 「心から熱烈に愛し合[う]」とは,どういう意味ですか。

10 聖書には,「心から熱烈に愛し合ってください」とあります。(ペテ一 1:22)エホバは模範を示してくださっています。エホバは,私たちを本当に深く愛しているので,私たちがエホバを心から愛しているなら,どんなものもその愛の絆を壊すことはできません。(ロマ 8:38,39)「熱烈に」と訳されているギリシャ語には,引き伸ばす,またはぴんと張るというイメージが含まれています。確かに,仲間の兄弟姉妹に優しい愛情を示すには努力が求められることもあるかもしれません。誰かから嫌なことをされた時には,次のアドバイスに従うことが大切です。「愛を抱いて互いに寛容であってください。平和という絆で結ばれ,聖なる力による一致を保つよう真剣に努力してください」。(エフェ 4:1‐3)「平和という絆」を保つことを意識しているなら,仲間の間違いに注目することはないでしょう。仲間に対してエホバと同じ見方ができるようにベストを尽くしていきましょう。(サム一 16:7。詩 130:3

ユウオデアとスントケは,パウロから同じ思いを持つよう勧められた。今でも,兄弟姉妹と仲良くやっていくのが難しいことがあるかもしれない。(11節を参照。)

11. 優しい愛情を示すのが難しいことがあるのはなぜですか。

11 仲間の間違いが目に付く時は特に,優しい愛情を示すのは難しいものです。1世紀のクリスチャンの間でもそうでした。ユウオデアとスントケの例を考えてみましょう。この2人は,「良い知らせを広めるために[パウロ]と肩を並べて」働く点では,よくやっていたようです。しかし,何かの理由で,2人の仲はぎくしゃくしていました。それでパウロは,「主と結ばれた人として,同じ思いを持ってください」と勧めました。(フィリ 4:2,3

長老たちは,年が離れていても,強い友情を築くことができる。(12節を参照。)

12. 仲間の兄弟姉妹への優しい愛情を深めるために何ができますか。

12 仲間の兄弟姉妹への優しい愛情を深めるために,何ができるでしょうか。仲間のことをもっとよく知ると,相手のことがよく分かるようになり,優しい愛情を深めやすくなるでしょう。年齢や育った環境が違っても,友達になることができます。ヨナタンはダビデより30歳ほども年上でしたが,2人は親友になりました。あなたの会衆の中にも,友達になれそうな年上の人や年下の人が誰かいませんか。そうした人たちと友達になるなら,「信仰で結ばれた兄弟たち全員を愛し」ていることになります。(ペテ一 2:17

12節を参照。 *

13. 会衆のどの人とも同じように親しくならなければなりませんか。なぜですか。

13 仲間に優しい愛情を示すとは,会衆のどの人とも同じように親しくならなければならない,ということでしょうか。そうではありません。それは不可能なことです。話が合う人に引かれるのは,必ずしも悪いことではありません。イエスは使徒たちみんなを「友」と呼びましたが,ヨハネには特別な愛情を持っていました。(ヨハ 13:23; 15:15; 20:2)それでもイエスは,ヨハネを特別扱いすることはしませんでした。ヨハネと兄弟のヤコブから,王国の目立った立場に就けてほしいと頼まれた時には,こう言いました。「私の右または左に座ることは,私が決めることではありません」。(マル 10:35‐40)イエスに倣って,私たちも親しい友達を特別扱いしないようにすべきです。(ヤコ 2:3,4)特別扱いをするなら,分裂を引き起こしてしまいます。分裂は,クリスチャンの会衆にあってはならないものです。(ユダ 17‐19

14. フィリピ 2章3節からすると,対抗心を持たないようにする上で何が役立ちますか。

14 私たちが互いに優しい愛情を示すなら,会衆に対抗心が芽生えることはないでしょう。ヨナタンは,ダビデに対抗心を燃やすことも,王位を奪うライバルと見ることもしませんでした。ぜひヨナタンに倣いましょう。能力がある仲間をライバルと見てはなりません。「謙遜になり,自分より他の人の方が上だと考えてください」。フィリピ 2:3を読む。)誰もが何らかの形で会衆の役に立っているのです。自分自身に対して謙遜な見方を保つなら,兄弟姉妹の良い点に目を向け,その立派な手本から学ぶことができます。(コリ一 12:21‐25

15. ターニャ姉妹の経験からどんなことを学べますか。

15 思わぬ事態に直面しても,兄弟姉妹が優しい愛情を示し,必要な助けを与えてくれます。エホバはそのようにして私たちを慰めてくださいます。1つの家族の例を考えてみましょう。2019年に米国で開かれた,「愛は決して絶えない!」国際大会の2日目のプログラムが終わった後のことです。3人の子供がいるターニャ姉妹はこう言います。「車でホテルに戻る途中でした。1台の車が,急にこっちの車線に入ってきて,私たちの車にぶつかりました。誰もけがはしませんでしたが,私たちは車を降りて,道路の脇でぼうぜんと立っていました。その時ある人が,道路の脇に車を止めて手を振り,危ないからこちらに来るように,と言ってくれました。大会から帰る途中の兄弟でした。止まってくれたのはその兄弟だけではありませんでした。スウェーデンから大会に来ていた5人の兄弟姉妹も止まってくれました。姉妹たちは,娘と私を優しくハグしてくれました。本当にほっとしました。もう大丈夫,と言いましたが,みんな行こうとはしませんでした。救急隊が来た後も一緒にいてくれて,助けになれることが何かないか聞いてくれました。本当に大変な出来事でしたが,エホバの愛を感じる場面が何度もありました。兄弟姉妹への愛が強まり,エホバへの愛と感謝が深まりました」。あなたにも,助けが必要な時に仲間から優しい愛情を示してもらった経験がきっとあるでしょう。

16. 互いに優しい愛情を示すと,どんな良いことがありますか。

16 互いに優しい愛情を示すと,どんな良いことがあるでしょうか。大変な思いをしている兄弟姉妹を慰めることができます。仲間との一致を強めることができます。自分がイエスの弟子であることを示し,誠実な人たちを正しい崇拝に引き寄せることもできます。そして何よりも,「温かな憐れみの父,あらゆる慰めの神」であるエホバをたたえることができます。(コリ二 1:3)では,これからも優しい愛情を深め,それを示していきましょう。

77番の歌 快く許しなさい

^ 5節 イエスが述べた通り,イエスの弟子には互いに愛を示すことが求められています。私たちは,誰もがそうしようと努力しています。兄弟たちへの愛を強めるには,優しい愛情を深める必要があります。これは温かい家族の中で見られるような愛情です。この記事は,仲間への優しい愛情を深めていくのに役立ちます。

^ 55節 や挿: 若い長老が年長の長老から学んだことを生かして話している。年長の長老は,若い長老と妻を家に招いてもてなしている。