研究記事47

信仰をさらに強くしましょう

信仰をさらに強くしましょう

「動揺してはなりません。……信仰を抱きなさい」。ヨハネ 14:1

54番の歌 信仰を持ちなさい

を学ぶか *

1. 私たちは将来についてどんなことを考えるかもしれませんか。

間違った宗教の滅びや,マゴグのゴグの攻撃や,ハルマゲドンの戦いといった,これから先に起きることについて考えて,不安になることがありますか。「自分は忠実を保ってそうした恐ろしい出来事を生き残れるだろうか」と思うかもしれません。もしそうなら,この記事の主題聖句になっているイエスの言葉について考えることは役立ちます。イエスは弟子たちにこう言いました。「動揺してはなりません。……信仰を抱きなさい」。(ヨハ 14:1)強い信仰があるなら,将来にどんな問題が生じるとしても,勇気を持って立ち向かうことができます。

2. どうすれば信仰を強めることができますか。この記事ではどんなことを考えますか。

2 将来の試練に備えて信仰を強めるためには,今経験している試練にどのように向き合っているかについて考える必要があります。そうすれば,信仰のどの面を強める必要があるかが分かります。今の試練を乗り越えるたびに,信仰が強くなり,将来の試練に耐えることができるようになります。この記事では,イエスの弟子たちにさらに信仰が必要であることを明らかにした状況のうち,4つを取り上げます。また,私たちが弟子たちと似たどのような状況に直面するか,そして,それを乗り越えることによってどのように将来に備えることができるかについても考えます。

神が必要なものを与えてくださるという信仰

経済的に厳しい状況に直面するとしても,信仰はエホバに仕えることを第一にする助けになる。(3‐6節を参照。)

3. マタイ 6章30,33節によると,イエスは信仰についてどんなことを教えましたか。

3 家族の頭は,妻や子供たちが食べる物や着る物や住む場所をきちんと得られるようにしたいと思っています。でも,この時代にそうするのは,簡単なことではありません。兄弟姉妹の中には,失業して次の仕事がなかなか見つからないという人もいるかもしれません。また,クリスチャンにふさわしくない仕事を断らなければならない人もいるでしょう。そうするには,エホバが必要なものを与えてくださるという強い信仰が必要です。イエスはこの点を山上の垂訓の中で弟子たちにはっきり教えました。マタイ 6:30,33を読む。)エホバが私たちを見捨てることはない,という強い確信があれば,エホバに仕えることを第一にすることができます。そして,エホバが必要なものを得る面で私たちを助けてくださることを実感すればするほど,エホバが身近な存在になり,信仰はいっそう強くなるでしょう。

4‐5. ある家族が生活に必要なものについての不安に対処する上で,何が役立ちましたか。

4 ベネズエラのある家族は,生活していくのに必要なものについて心配していた時に,エホバからの助けを経験しました。カストロ家は,自分たちの農場を持っていて,生活していくのに必要なお金を稼ぐことができていました。しかしある時,武装した集団に土地を奪われ,出ていかなければならなくなりました。父親のミゲル兄弟はこう言います。「今では,借りている小さな土地で取れる作物で何とかやっていく必要があります。毎朝,『今日必要なものを与えてください』とエホバに祈っています」。この家族は,大変な生活を送っていますが,愛情深いお父さんエホバが必要なものを与えてくださることを心から信じて,集会や伝道を定期的に行っています。エホバに仕えることを第一にしているので,エホバはこの家族が必要なものを得られるように助けています。

5 こうした大変な経験をしてきましたが,ミゲル兄弟と妻のユライ姉妹は,エホバからの助けにいつも思いを向けています。エホバは,この家族が仲間の兄弟たちを通して生活に必要なものを得られるようにしたり,ミゲル兄弟が仕事を見つけられるようにも助けたりしました。そして,支部の救援を通して生活に必要なものを得られるようにもしました。エホバは,カストロ家を見捨てることは決してしませんでした。こうしたことの結果,家族みんなの信仰が一層強まりました。長女のホセリン姉妹はエホバから助けてもらった具体的な例を語った後,こう言っています。「エホバからの助けを実感して,とても感動しています。エホバのことをいつでも頼れる友達のように感じています。私たち家族は大変な経験をしましたが,そのおかげで将来のもっと大きな試練に立ち向かう準備ができていると思います」。

6. 経済的に厳しい状況に直面する時,どうすれば信仰を強めることができますか。

6 もし経済的に厳しい状況に直面しているなら,きっと大変な思いをしていることでしょう。でも,状況がどうであっても,そうした時を活用してエホバへの信仰を強めることができます。エホバに祈り,マタイ 6章25‐34節にあるイエスの言葉を読み,その内容をじっくり考えましょう。エホバがご自分に熱心に仕える人たちに必要なものを与えていることを示す現代の経験について考えることもできます。(コリ一 15:58)そのようにすると,自分と同じような状況にある人を天のお父さんエホバが助けたなら,自分のことも助けてくださるという確信が強まるでしょう。エホバは,あなたが何を必要としていて,どのようにそれを与えたらよいかをご存じです。エホバの助けを実感すればするほど信仰は強くなり,将来のさらに大きな試練にも立ち向かえるようになるでしょう。(ハバ 3:17,18

「大嵐」に耐えるための信仰

強い信仰があるなら,文字通りのものであれ,比喩的なものであれ,どんな大嵐にも耐える力が得られる。(7‐11節を参照。)

7. マタイ 8章23‐26節によると,弟子たちの信仰は「大嵐」によってどのように試されましたか。

7 イエスは弟子たちと一緒に湖で大嵐に遭った時,その機会を活用して信仰をさらに強める必要があることを弟子たちに教えました。マタイ 8:23‐26を読む。)嵐がひどくなって,水が船の中に入ってきた時,イエスはぐっすり眠っていました。恐ろしくなった弟子たちが助けを求めてイエスを起こすと,イエスは弟子たちを優しく戒めてこう言いました。「なぜそんなに怖がっているのですか。信仰の少ない人たち」。弟子たちは,エホバがイエスやイエスと共にいる人たちを守れることを理解しているべきでした。どんなことを学べますか。強い信仰があるなら,文字通りのものであれ,比喩的なものであれ,どんな「大嵐」にも耐えることができるということです。

8‐9. アネル姉妹の信仰はどのように試されましたか。何が助けになりましたか。

8 プエルトリコに住む独身のアネル姉妹が,難しい状況を乗り越えることによってどのように信仰を強められたか,考えてみましょう。姉妹は文字通りの大嵐を経験しました。2017年,ハリケーン・マリアによって姉妹の家は破壊されてしまいました。仕事も失ってしまいました。姉妹はこう言います。「その難しい時期,私は不安を感じました。でも,祈りによってエホバに頼ることや,恐れのせいで何もできなくなってしまってはいけない,ということを学びました」。

9 アネル姉妹によると,難しい状況を乗り越える上でほかにも役立ったことがあります。それは従順です。姉妹はこう言います。「組織からの指示に従ったので,冷静でいることができました。エホバは兄弟姉妹を通して私を助けてくれました。兄弟姉妹は私を励まし,必要なものを与えてくれたんです。エホバは,私が願った以上の助けを与えてくれました。結果として,信仰がすごく強まりました」。

10. 「大嵐」に遭う時には何ができますか。

10 あなたは今,「大嵐」を経験していますか。もしかすると,文字通り自然災害を経験して大変な思いをしているかもしれません。あるいは,重い病気といった比喩的な嵐に遭って,ひどく落ち込み,どうしたらよいか分からないこともあるかもしれません。そのような経験をして不安になるとしても,エホバに頼ることをやめてしまってはいけません。心からの祈りを捧げてエホバに近づきましょう。これまでエホバが助けてくださった時のことをじっくり考えて,信仰を強めてください。(詩 77:11,12)エホバは今もこれからも,あなたを見捨てることは決してないのです。

11. 教え導いている人たちに従うことを決意すべきなのはなぜですか。

11 試練に立ち向かう上で,ほかにも何が役に立つでしょうか。アネル姉妹が言っていた通り,従順であることです。エホバとイエスが信頼している人たちを私たちも信頼するようにしましょう。教え導いている人たちから出される指示の中には,理解できないようなものもあるかもしれません。それでも,エホバは従順な人たちを祝福してくださいます。聖書の記述や忠実な兄弟姉妹の経験を見ると,従順であるなら命が救われるということが分かります。(出 14:1‐4。代二 20:17)そうした例についてじっくり考えましょう。そうするなら,組織からの指示にこれからも進んで従おうという決意が強まるでしょう。(ヘブ 13:17)間もなく来ようとしている大患難という嵐を恐れる必要はないのです。(格 3:25

不公正に耐えるための信仰

粘り強く祈るなら信仰が強まる。(12節を参照。)

12. ルカ 18章1‐8節によると,信仰を持つことと不公正に耐えることにはどんな関係がありますか。

12 イエスは,不公正が弟子たちにとって信仰の試みとなることを知っていました。それで,弟子たちを助けるために1つの例え話をしました。それはルカの福音書の中に記録されています。正しくない裁判官に公正を求め続けたやもめの話です。このやもめは,粘り強く求め続けるなら必ず助けてもらえる,という確信がありました。やがてこの裁判官は,やもめの願いを聞き入れました。何を学べるでしょうか。エホバは不公正な方ではありません。それでイエスはこう言いました。「神は,昼も夜もご自分に向かって叫ぶ選ばれた者たちのために必ず公正をもたらしてくださらないでしょうか」。ルカ 18:1‐8を読む。)さらにこう言いました。「人の子は来る時,このような信を地上で本当に見つけるでしょうか」。私たちは不公正を経験する時,辛抱や粘り強さを示し,例え話に出てきたやもめと同じような強い信仰を示す必要があります。そうした信仰があれば,エホバがいずれ私たちのために行動してくださるという確信を持てます。また,祈りには大きな力があるということも忘れてはいけません。祈りは思いも寄らない結果をもたらすことがあるのです。

13. 祈りは,不公正な扱いを受けたある家族にどんな結果をもたらしましたか。

13 コンゴ民主共和国に住むベロ姉妹の経験を考えてみましょう。姉妹とエホバの証人ではない夫と15歳の娘は,住んでいる村が兵士たちの一団に襲撃されたので,そこから逃げなければならなくなりました。3人は逃げる途中で兵士たちに止められ,殺してやると脅されました。ベロ姉妹が泣き出してしまったため,娘は母親を落ち着かせようとして声に出して祈り,その祈りの中でエホバの名前を何度も使いました。祈りが終わると,司令官は娘にこう言いました。「誰に祈りを教わったんだ」。娘はこう答えました。「母です。マタイ 6章9‐13節を使って教えてくれました」。それを聞いて,司令官は娘に言いました。「親と一緒に安心して行きなさい。あなたの神エホバが守ってくれるように」。

14. どんなことが信仰の試みとなるかもしれませんか。耐えるために何が助けになりますか。

14 こうした経験から,祈りの力を過小評価してはいけないということが分かります。しかし,祈りがなかなか聞かれなかったり,劇的な仕方で答えが与えられなかったりする場合はどうでしょうか。イエスの例えに出てきたやもめに倣い,エホバに祈り続けましょう。エホバから見捨てられることはないことや,エホバがふさわしい時にふさわしい仕方で答えてくださることへの確信を保ってください。聖なる力を求めてエホバに祈り続けましょう。(フィリ 4:13)もう少しすれば,エホバは私たちに豊かな祝福を与えてくださいます。これまでのつらい経験を思い出すことはもはやなくなるのです。エホバの助けを得て試練に耐え,忠実を保つなら,将来の試練に立ち向かうための力を得られるでしょう。(ペテ一 1:6,7

問題を乗り越えるための信仰

15. マタイ 17章19,20節によると,イエスの弟子たちはどんな問題にぶつかりましたか。

15 イエスは弟子たちに対して,強い信仰があれば問題を乗り越えることができる,と教えました。マタイ 17:19,20を読む。)ある時,弟子たちは邪悪な天使を追い出せませんでした。以前にはそうできたのに,今回はできなかったのです。何が問題だったのでしょうか。イエスは,さらに信仰が必要だと教えました。そして,十分な信仰があれば山のような問題も乗り越えることができる,と述べました。現代の私たちも,山のように思える問題にぶつかることがあります。

大きな悲しみを味わうことがあるとしても,信仰はエホバへの奉仕に忙しくする助けになる。(16節を参照。)

16. ゲイディー姉妹が夫を亡くした悲しみに耐える上で,信仰はどのように助けになっていますか。

16 グアテマラのゲイディー姉妹の例を考えてみましょう。姉妹の夫のエディー兄弟は,集会から家に帰る途中に殺されてしまいました。姉妹がこの大きな悲しみに耐える上で,信仰はどのように助けになっているでしょうか。姉妹はこう言います。「エホバに祈って重荷を委ねると,心が穏やかになります。エホバが家族や会衆の友達を通して気遣ってくれていることが分かります。エホバへの奉仕に忙しくしていると,心の痛みが和らぎますし,次の日のことを心配せずに1日1日やっていくことができます。この経験を通して,エホバやイエスや組織の助けがあれば,将来どんな試練が降り掛かるとしても,耐えていけるということが分かりました」。

17. 山のような問題にぶつかる時,何ができますか。

17 あなたは,愛する人を亡くして大きな悲しみを味わっていますか。もしそうなら,時間を取って死者が生き返ったことについての聖書の記録を調べ,復活の希望に対する信仰を強めてください。家族の誰かが排斥されてつらい思いをしていますか。もしそうなら,聖書や出版物を調べ,エホバがいつも最善の方法で矯正を与える,という確信を強めてください。今どんな問題にぶつかっているとしても,それを信仰を強める機会としましょう。エホバに自分の気持ちを全て打ち明けてください。自分を孤立させるのではなく,仲間の兄弟姉妹と一緒に時間を過ごすようにしましょう。(格 18:1)たとえ涙を流しながら行うことになるとしても,問題に耐える力をもらえる活動に加わってください。(詩 126:5,6)集会や伝道や聖書通読の良い習慣を守りましょう。エホバが約束してくださっている素晴らしい祝福について,いつも考えてください。エホバが助けてくださっていることを感じれば感じるほど,エホバへの信仰はいっそう強くなるでしょう。

「さらに信仰を与えてください」

18. 自分の信仰に弱いところがあることに気付いたなら,何ができますか。

18 試練にぶつかって,自分の信仰に弱いところがあることに気付いても,がっかりしないでください。信仰をさらに強める機会と考えましょう。イエスの弟子たちと同じように,「さらに信仰を与えてください」とお願いすることができます。(ルカ 17:5)この記事に出てきた経験についても考えましょう。ミゲル兄弟やユライ姉妹のように,エホバに助けていただいた時のことについて,いつも考えてください。ベロ姉妹の娘やアネル姉妹のように,エホバに心からの祈りを捧げましょう。大きな問題にぶつかった時には特にそうしてください。ゲイディー姉妹のように,エホバが家族や友達を通して助けを与えてくださることを忘れないようにしましょう。今の試練に耐えられるようにエホバに助けていただくなら,将来どんな試練が降り掛かるとしても,耐えられるようにエホバが助けてくださる,という確信を深めることができます。

19. イエスはどんなことを確信していましたか。私たちはどんなことを確信できますか。

19 イエスは,弟子たちにさらに強い信仰が必要であることを指摘しました。それでも,エホバの助けがあれば弟子たちが将来の試練を乗り越えられることは全く疑っていませんでした。(ヨハ 14:1; 16:33)イエスは,強い信仰があれば大群衆も大患難を生き残ることができると確信しています。(啓 7:9,14)あなたはその1人になるでしょうか。今あらゆる機会を捉えて信仰を強めるなら,エホバの惜しみない親切によってそうなることができるでしょう。(ヘブ 10:39

81番の歌 「わたしたちにさらに信仰をお与えください」

^ 5節 私たちはこの体制が終わるのを楽しみにしています。それでも時々,自分の信仰はその終わりを生き残れるほど強いだろうか,と考えるかもしれません。この記事では,信仰を強めるのに役立つ経験や,そこから引き出せる教訓について考えます。