1. イエスが弟子たちを守ってくださるようエホバにお願いしたのは，なぜですか。

人間として過ごした最後の夜，イエスは弟子たちが経験することになる試練について考えていました。そして，愛の気持ちに動かされて，弟子たちを「邪悪な者から守ってくださるよう」お父さんエホバにお願いしました。（ヨハ 17:14，15）イエスは，自分が天に戻った後，エホバに仕えようとする全ての人が悪魔サタンから絶えず攻撃されるということを知っていました。ですから，エホバに仕える人たちは守ってもらう必要があるのです。

2. エホバが私たちの祈りに必ず答えてくれる，と言えるのはなぜですか。

² エホバはイエスを愛しているので，その祈りに答えました。私たちがエホバに喜ばれるようベストを尽くすなら，エホバは私たちのことも愛してくださいます。そして，「私たちを助けてください。守ってください」という祈りに答えてくれます。愛情深いお父さんであるエホバは，自分の子供たちをいつも優しく世話します。このことにはエホバの評判が懸かっているのです。

3. 私たちがエホバに守ってもらう必要があるのはなぜですか。

³ 私たちはこれまでになくエホバに守ってもらう必要があります。サタンが天から投げ落とされ，「大きな怒りを抱いて」いるからです。（啓 12:12）ある人たちはサタンに惑わされて，私たちを迫害することは「神に神聖な奉仕を[する]」ことだ，と考えています。（ヨハ 16:2）また別の人たちは，神を信じてはいませんが，私たちが世の人々のようではないので私たちを迫害します。人々がどんな理由で私たちを迫害するとしても，恐れる必要はありません。聖書にこう書かれているからです。「主は信頼できる方で，皆さんを強くしてくださり，邪悪な者から守ってくださいます」。（テサ二 3:3）では，エホバはどのように私たちを守ってくださるのでしょうか。2つの点を考えてみましょう。

4. エフェソス 6章13‐17節によると，エホバは私たちを守るために何を与えてくれていますか。

⁴ エホバは，サタンの攻撃から身を守るための武具を与えてくれています。（エフェ 6:13‐17）この神からの武具は，強力でとても役立ちます。しかし身を守るためには，一つ一つの武具をしっかり身に着けている必要があります。それぞれの武具は何を表していますか。1つずつ考えてみましょう。

5. 真理のベルトとは何ですか。それを着けなければならないのはなぜですか。

⁵ 真理のベルト（エフェ 6:14）は，神の言葉である聖書の真理を表しています。なぜこのベルトを着けなければならないのでしょうか。サタンは「うその根源」だからです。（ヨハ 8:44）サタンは何千年もの間うそをつき，「全世界」を惑わしてきました。（啓 12:9）でも，聖書の真理を知っているなら，だまされずに済みます。真理のベルトを着けるために何ができますか。エホバについての真理を学ぶこと，「聖なる力と真理に導かれて」エホバを崇拝すること，いつも正直に行動することです。（ヨハ 4:24。エフェ 4:25。ヘブ 13:18）

6. 正義の胸当てとは何ですか。それを着けなければならないのはなぜですか。

⁶ 正義の胸当て（エフェ 6:14）とは，エホバの正しい基準のことです。なぜこの胸当てを着けなければならないのでしょうか。胸当てが兵士の心臓を剣などから守るのと同じように，正義の胸当ては私たちの心を世の中の悪い事柄から守ります。（格 4:23）エホバは，私たちが心を尽くしてエホバを愛し，崇拝することを望んでいます。（マタ 22:36，37）それでサタンは，エホバが憎むこの世の事柄を愛するよう私たちを仕向け，私たちが心を尽くしてエホバに仕えるのを邪魔しようとします。（ヤコ 4:4。ヨハ一 2:15，16）それがうまくいかない場合は，私たちを脅したり迫害したりして，エホバの基準に反することを行わせようとします。

7. どうすれば正義の胸当てを着けることができますか。

⁷ 善悪についてのエホバの基準の正しさを認め，その基準に沿って生活するなら，正義の胸当てを着けていることになります。（詩 97:10）エホバの基準は自由を奪うものだ，と感じる人もいるかもしれません。しかし，私たちが聖書の教えに従って生きるのをやめてしまうことは，戦闘中の兵士が重たいからという理由で胸当てを外してしまうことに似ています。これは本当に愚かなことです。エホバを愛する人たちにとって，神のおきては「重荷ではありません」。命を守るものです。（ヨハ一 5:3）

8. 良い知らせを伝える用意として履物を履く，とはどういうことですか。

⁸ パウロはさらに，平和の良い知らせを伝える用意として履物を履く（エフェ 6:15）ようにと勧めています。つまり，王国の良い知らせをいつでも伝えられるようにしておくべきだ，ということです。聖書のメッセージを人に伝えると，私たちの信仰は強くなります。エホバに仕えている世界中の人たちがあらゆる機会に良い知らせを伝えていることを知ると，本当に励まされます。職場や学校にいる時，家から家やビジネス街で伝道する時，買い物をする時，エホバの証人ではない親族を訪ねる時，知り合いと話す時，そして家から出られない時にも伝えようとしています。私たちが恐れに負けて伝道をやめてしまうことは，戦闘中の兵士がサンダルを脱いでしまうことに似ています。そんなことをすれば，すぐに足をけがしてしまい，攻撃された時に身を守ることが難しくなってしまいます。司令官からの指示にも従えなくなってしまうでしょう。

9. 信仰の大盾を持つ必要があるのはなぜですか。

⁹ 信仰の大盾（エフェ 6:16）は，私たちがエホバに対して持っている信仰を表しています。私たちはエホバが全ての約束を果たしてくださることを信じています。この信仰があれば，「邪悪な者の火矢を全て消すことができます」。信仰の大盾を持つ必要があるのはなぜですか。背教者の教えに動揺したり，私たちの信条に批判的な人たちの言葉におじけづいたりしないよう，私たちを守ってくれるからです。信仰がなければ，エホバの基準を無視させようとする圧力に抵抗することはできないでしょう。一方，信仰の大盾を持っているなら，職場や学校で，エホバに喜ばれないことを退けることができます。（ペテ一 3:15）たとえ給料が上がる仕事でも，集会や奉仕などの予定と重なる場合は，それを断ることができるでしょう。（ヘブ 13:5，6）そして，反対に遭ってもエホバに仕え続けることができます。（テサ一 2:2）

10. 救いのかぶととは何ですか。それをかぶらなければならないのはなぜですか。

¹⁰ 救いのかぶと（エフェ 6:17）とは，エホバが与えてくださる希望のことです。エホバはご自分の望むことを行う人たち全てに報いを与え，たとえ死んでも生き返らせると約束しています。（テサ一 5:8。テモ一 4:10。テト 1:1，2）かぶとが兵士の頭を守るように，救いの希望は私たちの思考力を守ります。この希望があれば，神の約束に思いを向け続けることができ，問題に立ち向かうことができるのです。では，どうすれば救いのかぶとをかぶることができますか。自分の考え方を神の考え方に合わせることによってです。これには，不確かな富にではなく，神に希望を抱くことが含まれます。（詩 26:2; 104:34。テモ一 6:17）

11. 聖なる力の剣とは何ですか。それを使う必要があるのはなぜですか。

¹¹ 聖なる力の剣（エフェ 6:17）とは，神の言葉である聖書のことです。この剣には，あらゆるうそを暴き，人々を間違った教えや有害な習慣から自由にする力があります。（コリ二 10:4，5。テモ二 3:16，17。ヘブ 4:12）個人研究を行い，神の組織からの訓練を受けるなら，この剣を上手に使えるようになります。（テモ二 2:15）こうした神からの武具に加えて，エホバはほかの方法でも私たちを守ってくださいます。次にその点を考えましょう。

12. 神からの武具のほかに，私たちには何が必要ですか。なぜですか。

¹² 経験を積んだ兵士は，自分一人では敵の大軍に勝てないことをよく知っています。仲間の兵士たちの助けが必要です。同じように私たちも，自分一人ではサタンやサタンに味方する者たちとの闘いに勝つことはできません。兄弟姉妹の助けが必要です。エホバは，私たちを助けてくれる大勢の仲間を与えてくださいました。「信仰で結ばれた兄弟たち」が世界中にいるのです。（ペテ一 2:17）

13. ヘブライ 10章24，25節からすると，集会に出席するならどんな助けを受けることができますか。

¹³ 仲間の助けを受ける一つの方法は，集会に出席することです。（ヘブライ 10:24，25を読む。）私たちは誰でも気落ちすることがありますが，集会に出席するなら力を得ることができます。兄弟姉妹の心のこもったコメントを聞くと，励まされます。聖書に基づく話を聞いたり実演を見たりすると，エホバに仕える決意が強まります。集会前後の楽しい会話から元気をもらえます。（テサ一 5:14）さらに，集会に出席するなら，仲間を力づけて喜びを味わうこともできます。（使徒 20:35。ロマ 1:11，12）それだけではありません。もっと上手に伝道したり教えたりできるように，スキルを磨くことができます。例えば，宣教ツールボックスをどのように活用できるかを学べます。それで，集会のためによく準備するようにしましょう。集会中は集中して聞いてください。そして，集会後は学んだ点を実行してみましょう。そうすれば，「キリスト･イエスの立派な兵士」になることができます。（テモ二 2:3）

14. ほかにも誰が私たちを助けてくれますか。

¹⁴ 強力な天使たちの大軍も，私たちを助けてくれます。たった1人の天使にも驚くほど大きな力があります。（イザ 37:36）では，その天使が大勢集まったらどれほどすごいことができるか，想像してみてください。どんな人間も，また邪悪な天使でさえ，エホバの強力な軍勢には決してかないません。自分一人で大勢の敵と闘っているように感じるとしても，エホバが共にいてくださるなら，絶対に負けることはないのです。（裁 6:16）同僚や学校の友達やエホバの証人ではない親族から，嫌なことを言われたりされたりしておじけづきそうになる時には，このことを思い出してください。あなたは一人で闘っているわけではありません。エホバの指示に従っているのです。

15. イザヤ 54章15，17節からすると，誰も神に仕える人たちを黙らせることができないのはなぜですか。

¹⁵ サタンが支配する世界は，さまざまな理由で私たちを憎みます。私たちは，政治に関してあくまでも中立を保ち，戦争に参加したりはしません。神の名前を広め，神の王国だけが平和をもたらせることを伝え，神の正しい基準に従っています。この世界を支配しているサタンがとんでもないうそつきで，人殺しであることを暴いています。（ヨハ 8:44）そして，サタンの支配する世界の滅びが迫っていることを広く知らせています。それでもサタンやサタンに味方する者たちが私たちを黙らせることは決してできません。私たちはありとあらゆる方法を使ってエホバを賛美し続けます。サタンは確かに強力ですが，王国の良い知らせが世界中の人たちに伝わるのを邪魔することはできていません。それは，エホバが私たちを守ってくださっているからなのです。（イザヤ 54:15，17を読む。）

16. 大患難の際，エホバはご自分に仕える者たちをどのように守ってくださいますか。

¹⁶ 近い将来にはどんなことが起きますか。大患難の際，エホバは2度にわたって私たちを守ってくださいます。まず，地上の王たちに大いなるバビロン（世界を惑わしている間違った宗教全体）を攻撃させる時，ご自分に忠実に仕える者たちを守ってくださいます。（啓 17:16‐18; 18:2，4）そして，サタンが支配する世界の残っている部分をハルマゲドンで滅ぼし尽くす時にも，守ってくださいます。（啓 7:9，10; 16:14，16）

17. エホバとの絆を保つことが大切なのはなぜですか。

¹⁷ 私たちがエホバとの絆を保っている限り，サタンが私たちに永続する害をもたらすことはできません。サタンの方が永遠に滅ぼされることになるのです。（ロマ 16:20）ですから，神からの武具を全て身に着け，決して外さないようにしましょう。自分一人で闘おうとしてはなりません。兄弟姉妹の支えになりましょう。そして，エホバからの指示に従ってください。そうすれば，愛情深い天のお父さんエホバは，必ずあなたを強くし，守ってくださるでしょう。（イザ 41:10）