研究記事21
エホバは力を与えてくださる
「私が弱い時,私には力がある」。コリント第二 12:10
137番の歌 わたしたちに大胆さを与えてください
何を学ぶか *
1‐2. 多くのエホバの証人は,どんな問題に直面していますか。
使徒パウロはテモテに,自分の奉仕を十分に行うよう励ましました。この言葉は,クリスチャン全てにも当てはまります。(テモ二 4:5)私たちは皆,パウロのアドバイスを真剣に受け止めています。でも,問題にぶつかることがあります。多くの兄弟姉妹にとって,伝道を行うには大きな勇気が必要です。(テモ二 4:2)私たちの活動が制限されたり禁止されたりしている地域に住んでいる兄弟たちのことを考えてみてください。そうした兄弟たちは,捕まる危険を冒して伝道を行っているのです。
2 エホバに仕える人たちは,さまざまな問題を経験します。心が折れそうになることもあるでしょう。例えば,家族が生きていくのに必要なものを手に入れるために,長い時間働かなければならない人は少なくありません。もっと奉仕に出たいと思っても,週末には疲れ切っています。また,持病があったり年を取ったりして,できることがかなり限られている人もいます。家から出られないことさえあります。自分には価値がない,という気持ちに苦しめられている人もいます。中東に住むメアリー姉妹はこう言います。 * 「ネガティブな感情と闘うのに力を使い切ってしまうんです。そうすると,奉仕に行く時間もエネルギーもなくなってしまって,自分はだめだ,という気持ちになります」。
3. この記事ではどんなことを考えますか。
3 私たちがどんな問題に直面しているとしても,エホバは私たちに力を与えて,私たちがそうした問題に対処し,状況の許す範囲でエホバに仕え続けられるようにしてくださいます。では,エホバはどのように私たちを助けてくださるでしょうか。その点について考える前に,エホバがどのようにパウロとテモテを助けたかを考えてみましょう。2人はエホバから力を与えられたので,問題があっても奉仕を十分に行うことができました。
伝道を続けるための力
4. パウロはどんな問題にぶつかりましたか。
4 パウロは多くの問題にぶつかりました。殴打されたり,石を投げ付けられたり,拘禁されたりした時には,特に力が必要でした。(コリ二 11:23‐25)また,ネガティブな感情と時折闘わなければならなかったことを認めています。(ロマ 7:18,19,24)そして,体に刺された「1つのとげ」を忍耐しなければなりませんでした。それを取り除いてくれるよう,神に熱烈に求めるほどつらかったのです。(コリ二 12:7,8)
5. パウロはいろいろな問題に直面しながらも,どんなことを成し遂げましたか。
5 エホバはパウロに力を与え,いろいろな問題があっても奉仕を続けられるように助けました。パウロがどんなことを成し遂げたか,考えてみましょう。例えば,ローマで家に拘禁されていた時には,ユダヤ人の指導者たちや,恐らく政府の高官たちに対して良い知らせを熱心に伝えました。(使徒 28:17。フィリ 4:21,22)親衛隊の多くの兵士や,訪ねてくる全ての人にも伝道しました。(使徒 28:30,31。フィリ 1:13)また,パウロはその時期に,聖なる力に導かれて何通もの手紙を書きました。その手紙は,現代に至るまで真のクリスチャンの助けとなっています。さらに,パウロの手本によってローマの会衆は強められ,兄弟たちは「恐れることなく,ますます勇敢に神の言葉を語」るようになりました。(フィリ 1:14)パウロは,望むほど多くのことを行えないこともありましたが,その状況でできる限りのことを行いました。それで,「良い知らせはとどめられるどころか,かえって広ま」りました。(フィリ 1:12)
6. コリント第二 12章9,10節からすると,パウロが奉仕を十分に行えたのはなぜですか。
6 パウロは,エホバへの奉仕で行えたことは全て,神の力のおかげであって,自分の力によるのではない,ということが分かっていました。神の力は「人が弱い時にこそ……完全に発揮される」ことを認めていたのです。(コリント第二 12:9,10を読む。)エホバは聖なる力を用いてパウロを強めました。そのおかげで,パウロは迫害や拘禁などの問題があっても,奉仕を十分に行うことができました。
7. テモテは奉仕を十分に行うために,どんな問題に立ち向かう必要がありましたか。
7 パウロと共に働いた若いテモテも,神の力に頼って奉仕を行う必要がありました。テモテは,宣教者としてパウロと共に長い旅をしました。さらに,さまざまな会衆を訪問して励ましを与えるために,パウロによって派遣されました。(コリ一 4:17)テモテは,この務めを果たすのに自分はふさわしくない,と感じたかもしれません。パウロがテモテに対して,「あなたが若いからといって,誰にも見下されないようにしなさい」と勧めたのは,そのためだったのでしょう。(テモ一 4:12)またこの時期,テモテも体に1つのとげを抱えていました。「度々かかる病気」に悩まされていたのです。(テモ一 5:23)それでもテモテは,エホバの強力な聖なる力の助けがあれば,良い知らせを広め,仲間の兄弟たちに仕えることができる,ということが分かっていました。(テモ二 1:7)
問題があっても忠実を保つための力
8. エホバはご自分に仕える現代の人たちをどのようにして強めていますか。
8 現代,エホバはご自分に仕える人たちが忠実に仕え続けられるように,「普通を超えた力」を与えてくださっています。(コリ二 4:7)エホバはどんな方法で私たちを強め,忠実を保てるようにしてくださるでしょうか。4つの助けを考えてみましょう。祈り,聖書,仲間の兄弟姉妹,宣教です。
9. 祈りはどのように助けとなりますか。
9 祈り。エフェソス 6章18節でパウロは,「どんな時も」神に祈るよう勧めています。そうすれば,神は祈りに答えて私たちに力を与えてくれます。ボリビアに住むジョニー兄弟は,次々に試練が降り掛かってきた時,エホバの支えを経験しました。妻と両親が同時に重い病気になったため,兄弟はその3人を世話しなければならなくなりました。母親は亡くなり,妻と父親が回復するまでには長い時間がかかりました。ジョニー兄弟は振り返ってこう言います。「不安や心配に押しつぶされそうになった時には,具体的に祈ることがいつも助けになりました」。兄弟は忍耐するための力をエホバから与えられました。ボリビアで長老として奉仕しているロナルド兄弟は,母親ががんになったと知らされました。母親は1カ月後に亡くなりました。兄弟がその状況に対処する上で,何が助けになりましたか。こう言っています。「エホバに祈って自分の気持ちを全て打ち明けることができました。エホバは私のことをほかの誰よりも,そして私自身よりもよくご存じなんです」。私たちも時には,もう無理だと感じることや,何と祈ったらよいか分からないことがあるかもしれません。しかしエホバは,考えや気持ちを言葉にするのが難しい時にも祈るようにと勧めてくださっています。(ロマ 8:26,27)
10. ヘブライ 4章12節からすると,聖書を読んでじっくり考えることが重要なのはなぜですか。
10 聖書。私たちもパウロと同じように,聖書から力と慰めを得ることができます。(ロマ 15:4)聖書を読んでじっくり考えるなら,エホバは聖なる力を用いて,聖書の言葉が今の自分の状況にどのように当てはまるかを理解できるように助けてくれます。(ヘブライ 4:12を読む。)先ほどのロナルド兄弟はこう言っています。「聖書を毎晩読むことを習慣にしていて,本当に良かったと思います。エホバがどんな方か,またご自分に仕える人たちにどのように愛をもって接してきたかをいろいろと考えます。そうすると力が湧いてきます」。
11. 夫を亡くした姉妹は,聖書からどのように力を得ましたか。
11 聖書についてじっくり考えるなら,自分の状況に対して正しい見方を持つこともできます。夫の死を悲しんでいる姉妹に,聖書がどのように役立ったかを考えてみましょう。姉妹は1人の長老から,ヨブ記を読んでみるよう勧められたので,そうしました。初めは,間違った考え方をしているヨブに腹が立ち,心の中でこう言いました。「ヨブ,そんな考え方をしたらだめじゃない!」 でもその時,姉妹はふと気付きました。自分もヨブと同じような考え方をしていたのです。このことがきっかけで,姉妹は自分の見方を調整することができ,夫を失った悲しみに対処する力を得ることができました。
12. エホバは私たちに力を与えるために,仲間の兄弟姉妹をどのように用いますか。
12 仲間の兄弟姉妹。エホバは,わたしたちに力を与えるために,仲間の兄弟姉妹を用いることもあります。パウロは,仲間のクリスチャンと「励まし合う」ことを心から願っている,と書きました。(ロマ 1:11,12)前に出てきたメアリー姉妹は,仲間との交流を大切にしています。こう言っています。「エホバは,私が抱えている問題を知らない兄弟姉妹も用いて助けてくれます。そうした兄弟姉妹からの励ましの言葉やカードが,まさに私が必要としていたものだったということがあります。自分と同じような問題と闘っている姉妹たちに話を聞いてもらうことや,そうした姉妹たちの経験から学ぶことも助けになっています。そして,長老たちのおかげで,自分は会衆の中で大切な存在だ,と感じることができています」。
13. 集会で強め合うために何ができますか。
13 集会は,励まし合うとても良い機会となります。集会の際には,自分の方から心からの気遣いや感謝の言葉を伝えて,仲間を強めるようにしましょう。集会の前に長老のピーター兄弟は,夫がエホバの証人ではない1人の姉妹にこう言いました。「こうして姉妹の姿を見るだけで,本当に励まされます。6人の子供に支度をさせて,コメントの準備までさせているんですから」。姉妹は,目に涙を浮かべながらこう言いました。「兄弟,ありがとうございます。今日の私が本当に必要としていた言葉でした」。
14. 宣教に参加することは,どのように助けとなりますか。
14 宣教。私たちは聖書の真理を人に伝えると,相手の反応がどうであれ,爽やかになり,元気が出ます。(格 11:25)ステイシー姉妹は,宣教が本当に力になることを経験しました。家族の1人が排斥された時,姉妹は悲しみに打ちひしがれ,自分にできることがもっとあったのではないか,と考え続けました。ほかのことは考えられませんでした。こうした状況に対処する上で何が役立ったでしょうか。宣教です。伝道に参加することで,助けを必要としている区域の人たちに思いを向けられるようになりました。姉妹はこう言っています。「ちょうどその頃,エホバは私がある人と一緒に聖書を勉強できるようにしてくれました。その人はとても速く進歩しました。本当に力づけられました。心を穏やかに保つ上で一番役に立っているのは,宣教だと思います」。
15. メアリー姉妹の言葉から何を学べますか。
15 さまざまな事情から,自分は宣教を十分に行えていない,と感じることもあるでしょう。そう感じる時には,ベストを尽くすならエホバが喜んでくださる,ということを思い出してください。先ほどのメアリー姉妹のことを考えてみましょう。姉妹は外国語が話される地域に引っ越した時,自分は役に立っていない,と感じていました。こう言っています。「しばらくの間は,簡単なコメントをすることや,聖句を朗読することや,奉仕でパンフレットを渡すことぐらいしかできませんでした」。姉妹は,その言語が上手に話せる人たちと自分を比較して,がっかりしていました。でも,姉妹は考え方を変えました。言語が上手に話せなくても,エホバに用いていただけると思えるようになりました。こう言っています。「命を救う真理はとてもシンプルなものですが,人の生き方を変える力があります」。
16. 家から出られないとしても,どうすれば力が得られますか。
16 たとえ家から出られないとしても,宣教に参加したいと思っているなら,エホバはその願いを理解し,喜んでくださいます。エホバは,介護を行ってくれる人や医療関係者に伝道できるよう,機会を与えてくれるかもしれません。今できることを昔できたことと比較するなら,がっかりしてしまうでしょう。しかし,エホバが今も助けてくれていることを考えるなら,どんな試練も喜びをもって忍耐するための力が得られるでしょう。
17. 伝道の書 11章6節からすると,すぐに良い結果が見られないとしても,宣教を続けるべきなのはなぜですか。
17 私たちがまいた真理の種のうち,どれが根を下ろして成長するかは分かりません。(伝道の書 11:6を読む。)例えば,80代のバーバラ姉妹は,電話や手紙で定期的に伝道を行っています。姉妹はある手紙に,「ものみの塔」2014年3月1日号を同封しました。その号には,「あなたのために神がしてくださったこと」という記事が載っていました。姉妹は知りませんでしたが,その手紙を受け取ったのは,以前はエホバの証人だった夫婦でした。2人はその雑誌を何度も何度も読みました。夫は,エホバから語り掛けられているように感じました。2人は集会に出席し始め,やがて27年ぶりに活発なエホバの証人になりました。1通の手紙から喜ばしい結果が生じたことを知って,バーバラ姉妹はどれほど励まされ,強められたことでしょう。
18. 神から力を与えていただくために,何ができますか。
18 エホバは,さまざまな仕方で私たちに力を与えてくださいます。祈り,聖書,仲間の兄弟姉妹,宣教です。こうした助けを活用するなら,エホバを信頼していることを示せます。エホバは私たちを助ける力を持っていて,そうしたいと願っています。では,これからも天のお父さんエホバへの信頼を示していきましょう。エホバは,「心の全てがご自分に向いている人の力になろうとして」いるのです。(代二 16:9)
17番の歌 証人たちよ,進め!
「ものみの塔」(研究用)