研究記事41
本物の幸せを得るには
「エホバを畏れる人は皆,幸せだ。その人は神の道を歩む」。詩編 128:1
74番の歌 エホバの喜び
何を学ぶか a
1. 人間はどんな願いを持つものとして造られましたか。その願いと幸福にはどんな関係がありますか。
本物の幸せとは,一時的な楽しい気持ちではなく,ずっと続くものです。どうしてそう言えるでしょうか。イエスは山上の垂訓の中で,「神の導きが必要であることを自覚している人たちは幸福です」と言いました。(マタ 5:3)イエスは,人間が創造者であるエホバ神を知って崇拝したいという強い願いを持つものとして造られたことを知っていました。人間はそのようなものとして造られたので,「神の導きが必要」なのです。また,エホバは「幸福な神」なので,エホバを崇拝する者たちも幸福になれます。(テモ一 1:11)
2‐3. (ア)イエスによると,どんな人さえ幸福になることができますか。(イ)この記事ではどんな点を考えますか。そうする必要があるのはなぜですか。
2 理想的な環境や状況でなければ,幸せになれないのでしょうか。そうではありません。イエスは山上の垂訓の中で,驚くようなことを言いました。自分の罪や難しい問題のために「嘆き悲しむ人たち」も幸福になれる,と述べたのです。そして,「正しいことをして迫害されてきた人たち」やイエスの弟子であるために「非難され」る人たちも幸福になれる,と言いました。(マタ 5:4,10,11)では,そうした状況の中で,どうすれば本物の幸せを得ることができるでしょうか。
3 イエスの教えによると,本物の幸せは理想的な環境や状況から来るのではありません。神を知って崇拝したいという願いを満たし,神に近づくことから来るのです。(ヤコ 4:8)では,そうするために私たちには何ができるでしょうか。この記事では,本物の幸せを得る上で助けとなる3つのステップを考えます。
信仰を養う食物を取り入れる
4. 本物の幸せを得るための最初のステップは何ですか。(詩編 1:1‐3)
4 ステップ1: 本物の幸せを得るには,信仰を養う食物を取り入れる必要がある。人間も動物も,生きていくためには文字通りの食物を取り入れる必要があります。とはいえ,信仰を養う食物を取り入れることができるのは人間だけです。そして,人間にはそれが必要です。だからこそイエスは,「人は,パンだけではなく,エホバの口から出る全ての言葉によって生きなければならない」と言いました。(マタ 4:4)それで,私たちは神の貴重な言葉である聖書を読まずに1日を終えるようなことがあってはいけません。詩編作者も,「エホバの律法を喜び,昼も夜も小声で読む」人は幸せだ,と言いました。(詩編 1:1‐3を読む。)
5‐6. (ア)エホバは聖書を通してどんなことを教えてくれていますか。(イ)聖書を読むことはどんな面で助けとなりますか。
5 エホバは私たちのことを愛しているので,どうすれば幸せに生きられるかを聖書を通して教えてくれています。例えば,人生の目的,エホバに近づいたり罪を許していただいたりするためにできること,エホバが与えてくださっている将来の素晴らしい希望などです。(エレ 29:11)私たちは聖書からこうしたことを学んでいるので,喜びにあふれています。
6 聖書には,毎日の生活に役立つアドバイスもたくさん収められています。それに従う時,幸せになることができます。問題にぶつかって気分が落ち込む時にはいつでも,聖書を読んでじっくり考えるためにさらに時間を用いるようにしましょう。イエスはこう言いました。「神の言葉を聞いて守っている人たちこそ幸福です!」(ルカ 11:28)
7. 聖書を読む時間を最大限に活用するために,何ができますか。
7 聖書を読む時には,読んだ内容を時間を取って味わうようにしましょう。次のような経験はありませんか。あなたの大好きな料理を誰かが作ってくれたとしましょう。でも,時間がないか考え事をしていたために,味わうことなくかき込んでしまいます。そして,食べ終わった後で,もっとゆっくり味わって食べればよかった,と思うかもしれません。聖書を読む場合にも同じように,内容を味わわずに,急いで読んでしまうことがあるかもしれません。ぜひ時間を取って,情景や声の調子などをイメージしたり,読んだ内容をよく考えたりしてください。そうすれば,いっそう幸せになることができます。
8. 「忠実で思慮深い奴隷」は,どんな役割を果たしていますか。(脚注も参照。)
8 イエスは,信仰を養う食物を適切な時に与えるために,「忠実で思慮深い奴隷」を任命しました。そのおかげで,私たちは十分に養われています。 b (マタ 24:45)忠実な奴隷が準備する食物の主な材料は聖書です。(テサ一 2:13)この食物のおかげで,私たちは聖書に示されているエホバのお考えをよく知ることができます。だからこそ私たちは,「ものみの塔」誌や「目ざめよ!」誌やjw.orgの記事を読みます。また,週日の集会や週末の集会の準備をします。そして,自分の言語で視聴できるなら,JW Broadcasting®のマンスリープログラムを見ます。このように信仰を強める食物を十分に取り入れるなら,本物の幸せを得るための2つ目のステップに進むことができます。
エホバの基準に従って生きる
9. 本物の幸せを得るための2つ目のステップは何ですか。
9 ステップ2: 本物の幸せを得るためには,エホバの基準に従って生きる必要がある。詩編作者はこう言いました。「エホバを畏れる人は皆,幸せだ。その人は神の道を歩む」。(詩 128:1)エホバを畏れるとは,エホバを深く敬って,エホバが不快に感じることを一切行わないようにする,ということです。(格 16:6)それで私たちは,聖書に示されている神の善悪の基準に沿った行動をするよう努力を続けます。(コリ二 7:1)エホバが愛することを行い,エホバが憎むことを退けるなら,私たちは幸せになることができます。(詩 37:27; 97:10。ロマ 12:9)
10. ローマ 12章2節によると,私たちはどんなことをする必要がありますか。
10 ローマ 12:2を読む。エホバが善悪の基準を定める権威を持っているということを知っていることも重要ですが,その基準を受け入れて守ることも必要です。例えで考えてみましょう。当局に車の制限速度を決める権威があるということを知っているとしても,そのルールを受け入れていないなら,制限速度を超えて運転してしまうかもしれません。一方,そのルールを心から受け入れているなら,制限速度を守って運転するはずです。私たちも,エホバの基準に従うことが最善の結果になると信じていることを,行動によって示すことができます。(格 12:28)ダビデもエホバの基準が最善だと感じていたので,エホバについてこう言いました。「あなたは命の道を私に知らせてくださる。あなたの前にはあふれる喜びがある。あなたの右には永遠の幸せがある」。(詩 16:11)
11‐12. (ア)問題にぶつかったり気落ちしたりする時,どんなことに注意する必要がありますか。(イ)フィリピ 4章8節の言葉は,エンターテインメントを選ぶ上で,どのように助けとなりますか。
11 私たちは,問題にぶつかったり気落ちしたりする時に気分転換が必要だと感じるかもしれません。それももっともなことです。とはいえ,エホバが憎むことを行ってしまわないように注意する必要があります。(エフェ 5:10‐12,15‐17)
12 パウロは「フィリピのクリスチャンへの手紙」の中で,「正しいこと,清いこと,愛すべきこと,……高潔なこと」を考え続けるようにと勧めました。(フィリピ 4:8を読む。)ここでパウロは特にエンターテインメントについて述べていたわけではありませんが,この言葉は気晴らしに何をするかを決める時にも当てはまります。この聖句の「こと」という部分に,「歌」,「映画」,「小説」,「ビデオゲーム」といった言葉を当てはめてみてください。そのように考えるなら,どんなものが神に喜ばれ,どんなものが喜ばれないかを見分けることができるでしょう。私たちは,エホバの高い基準に従って生きたいと願っています。(詩 119:1‐3)そうするなら,良心にやましさを感じることなく,本物の幸せを得るための3つ目のステップへと進むことができます。(使徒 23:1)
エホバへの崇拝を第一にする
13. 本物の幸せを得るための3つ目のステップは何ですか。(ヨハネ 4:23,24)
13 ステップ3: エホバへの崇拝を生活の中で第一にする。エホバは創造者なので,私たちの崇拝を受けるのにまさにふさわしい方です。(啓 4:11; 14:6,7)ですから,私たちが何よりも大切にする必要があるのは,エホバが良いと認める方法で,つまり「聖なる力と真理に導かれて」エホバを崇拝することです。(ヨハネ 4:23,24を読む。)それで私たちは,聖なる力に導かれて,聖書の真理に沿った崇拝を行いたいと思っています。私たちの活動が禁止されていたり制限されていたりする国に住んでいるとしても,エホバへの崇拝を第一にするべきです。現在,100人を超える兄弟姉妹が,エホバの証人であるというだけの理由で投獄されています。 c それでも,祈ったり聖書を勉強したり神や王国について伝えたりするために,できる限りのことを喜んで行っています。たとえ非難されたり迫害されたりするとしても,エホバが共にいて報いてくださるということを理解しているなら,幸せでいることができます。(ヤコ 1:12。ペテ一 4:14)
現代の実例
14. タジキスタンの1人の若い兄弟は,どんなことを経験しましたか。なぜですか。
14 現代のさまざまな実例は,ここまで考えてきた3つのステップを実践するなら,どんな状況でも本物の幸せを得ることができる,ということを示しています。タジキスタンに住むジョビダン・ボボジョノフ兄弟のことを考えてみましょう。2019年10月4日,当時19歳だった兄弟は,兵役を拒否したことを理由に自宅から強制的に連行され,数カ月間留置されました。そこで,犯罪者のように扱われました。このひどい扱いは,ほかの国々にも知られるようになりました。報告によると,ジョビダン兄弟は殴られ,軍に忠誠を誓うよう,また軍服を着るよう圧力を受けました。その後,有罪とされ,刑務所に送られました。そして最終的に,大統領恩赦によって釈放されました。ジョビダン兄弟は,この試練の間じゅうずっと忠誠を保ち,幸せでいることができました。どうしてそうできたのでしょうか。神の導きが必要であることをいつも自覚していたからです。
15. ジョビダン兄弟は投獄されている間,どのようにして信仰を養う食物を取り入れましたか。
15 ジョビダン兄弟は投獄されている間,聖書や出版物を持っていなかったにもかかわらず,信仰を養う食物を取り入れました。どうしてそうできたのでしょうか。地元の兄弟姉妹が食べ物を差し入れる時に,その袋に日々の聖句を書いておいてくれたのです。そのおかげで,ジョビダン兄弟は毎日聖書を読んでじっくり考えることができました。釈放された後,厳しい試練をまだ経験していない人たちにこう勧めています。「自由な時を目いっぱい活用し,聖書と出版物によってエホバについての知識をぜひ深めてください」。
16. ジョビダン兄弟はどんなことを考え続けましたか。
16 ジョビダン兄弟は,エホバの基準に従って生きました。間違った欲望について考えることも,良くないことを行うこともしませんでした。そうするのではなく,エホバやエホバが大切にしていることについて考え続けました。また,エホバの創造物の素晴らしさに感動しました。朝起きると,鳥の歌声や鳴き声が聞こえ,夜には月や星を眺めることができました。こう言っています。「エホバからのこうした贈り物によって,幸せな気持ちになり,力が湧いてきました」。エホバが私たちの信仰や体を養うために与えてくれているものに感謝するなら,喜びを味わうことができます。そして,その喜びは試練を忍耐する力となります。
17. ペテロ第一 1章6,7節の言葉は,ジョビダン兄弟と似た状況にある人にどのように当てはまりますか。
17 また,ジョビダン兄弟はエホバへの崇拝を第一にしました。真の神への忠誠を貫くことがとても大事だということを理解していたからです。イエスは,「あなたが崇拝すべきなのはエホバ神であり,この方だけに神聖な奉仕をしなければならない」と言いました。(ルカ 4:8)司令官や兵士たちは,兄弟がエホバの証人をやめることを願っていました。でも,兄弟は毎日,昼も夜も熱烈に祈り,諦めずに信仰を保てるよう助けてください,とお願いしました。兄弟は不公正な扱いを受けましたが,妥協することはありませんでした。それどころか,連行され,殴られ,投獄される前には持っていなかった,試された信仰を得ることができて,大いに喜んでいます。(ペテロ第一 1:6,7を読む。)
18. どうすれば幸せでいることができますか。
18 エホバは,私たちが本物の幸せを得るのに何が必要かをご存じです。この記事で学んだ3つのステップを実践するなら,私たちは難しい状況にあるとしても幸せでいることができます。そして,次のように言うことができるでしょう。「エホバを神とする民は幸せです!」(詩 144:15)
120番の歌 聴いて,従い,祝福を受けなさい
a 多くの人々は,本物の幸せを見いだせずにいます。それは,富や快楽や名声や権力といった間違ったところに幸せを求めているからです。でもイエスは,地上にいた時,どうすれば本物の幸せを得られるかを人々に教えました。この記事では,本物の幸せを得る上で助けとなる3つのステップを考えます。
b 「ものみの塔」2014年8月15日号の「あなたは『時に応じた食物』を受け取っていますか」という記事を参照。
c 詳しくはjw.org上で「信仰ゆえに投獄される」と入力して,検索してください。
d 写真や挿絵: 逮捕され,法廷に連れていかれている1人の兄弟を,仲間の兄弟姉妹が見守っている。(再現)
「ものみの塔」(研究用)