研究記事43
真の知恵が大声で叫んでいる
「真の知恵が通りで大声で叫ぶ。広場で声を上げている」。格言 1:20
69番の歌 あなたの道をわたしに知らせてください
何を学ぶか a
1. 現代の多くの人は,知恵の呼び掛けに対してどんな反応を示していますか。(格言 1:20,21)
多くの国では,人通りが多い場所で伝道者が道行く人に笑顔で出版物を提供している様子をよく目にします。あなたもこの活動に参加したことがありますか。もしあるなら,「格言の書」に載せられている例えについて考えたことがあるでしょう。知恵がアドバイスを聞くようにと広場で呼び掛けているという例えです。(格言 1:20,21を読む。)聖書や出版物には,「真の知恵」つまりエホバの知恵が収められています。これは,人々が永遠の命を得る上で欠かせないものです。私たちは,誰かが出版物を受け取るとうれしく感じます。とはいえ,全ての人が受け取るわけではありません。聖書について知りたくないと考えている人もいれば,あざ笑う人もいます。そうした人たちは,聖書は時代遅れだと考えているのです。また,聖書の道徳基準を批判して,その基準に従う人のことを厳しくて独り善がりだと言う人もいます。それでも,エホバは愛の気持ちから,全ての人が真の知恵を得られるようにしています。どのようにでしょうか。
2. どうすれば真の知恵を得ることができますか。しかし,多くの人はどうしていますか。
2 エホバはご自分の言葉である聖書を用いて,人々が真の知恵の声を聞けるようにしています。ほとんど全ての人が,聖書を自分の理解できる言語で手に入れることができます。エホバの証人の出版物についてはどうでしょうか。エホバの祝福によって,1000余りの言語で入手できるようになっています。知恵の言葉を聞くなら,つまり,それを読んで当てはめるなら,必ず自分のためになります。とはいえ,ほとんどの人は真の知恵の言葉に耳を貸そうとしません。何かを決める時には,自分の考えや人間の知恵に頼ります。聖書の教えに従う私たちのことを見下す人さえいます。この記事では,人々がなぜそうした反応をするのかについて取り上げます。でもまずは,どうすればエホバの知恵を得ることができるのかについて考えましょう。
エホバについての知識が必要
3. 真の知恵にはどんなことが関係していますか。
3 知恵とは,良い決定を下すために知識を活用する能力のことです。とはいえ,真の知恵にはもっと多くのことが関係しています。聖書にはこう述べられています。「知恵はエホバへの畏れから始まる。最も聖なる方についての知識が理解を与える」。(格 9:10)ですから,重要な決定を下す時には,「最も聖なる方についての知識」つまりエホバの考えに基づいて決める必要があります。そのために,聖書や出版物を調べることができます。そうすれば,真の知恵を示せます。(格 2:5‐7)
4. 私たちに真の知恵を与えることができるのはエホバだけである,と言えるのはなぜですか。
4 私たちに真の知恵を与えることができるのは,エホバだけです。(ロマ 16:27)エホバを知恵の源と呼べるのはどうしてでしょうか。1つ目にエホバは創造者なので,ご自分が創造したものについて全てのことをご存じです。(詩 104:24)2つ目に,エホバが行うことにはいつでも知恵が表れています。(ロマ 11:33)3つ目に,エホバの助言に従うことは,必ず私たちのためになります。(格 2:10‐12)それで,真の知恵を得たいと思うなら,これら3つの真理を受け入れ,それに沿った決定や行動をする必要があります。
5. 人々がエホバを真の知恵の源として認めようとしていないので,どんな結果になっていますか。
5 私たちが伝道で会う人たちの多くは,自然界がよくできているということは認めています。しかし,造った方がいることを否定し,全ては進化によって生じたと考えています。また,神の存在を認めてはいても,聖書の基準は時代遅れだと考えて,自分の好きなようにしている人もいます。では,どんな結果になっているでしょうか。人々が神の知恵ではなく自分の知恵に頼ったことによって,世界は良くなっているでしょうか。人々は本物の幸せやしっかりとした希望を持っているでしょうか。今の世の中の様子を見れば,次の聖書の言葉が真実であることがはっきり分かります。「エホバに逆らっては,知恵も,識別力も,助言もあり得ない」。(格 21:30)ですから,私たちは真の知恵を求めてエホバに頼りたいという気持ちになるはずです。でも残念なことに,ほとんどの人はそうしていません。なぜでしょうか。
人々が真の知恵を退ける理由
6. 格言 1章22‐25節によると,真の知恵に耳を貸そうとしないのはどんな人たちですか。
6 多くの人は,真の知恵が「通りで大声で叫」んでも,耳を貸そうとしません。聖書によれば,知恵を退ける人たちには3つのグループがあります。「経験のない人」,「あざける人」,「愚かな人」です。(格言 1:22‐25を読む。)では,こうした人たちが神の知恵を退けるのはなぜか,私たちはどうすればこうした態度を避けることができるかを考えていきましょう。
7. 「経験のない人」の中に,あえて変化しようとしない人がいるのはなぜですか。
7 「経験のない人」とは,世間知らずで,簡単に説得されたりだまされたりする人のことです。(格 14:15,脚注)私たちは伝道でそうした人たちに会うことがあります。確かに,非常に大勢の人が,宗教指導者や政治指導者に惑わされています。中には,自分がだまされてきたことを知ってショックを受ける人もいます。しかし,格言 1章22節に出てくる人は,経験のなさを好んでいるので,あえて変化しようとしません。(エレ 5:31)「自分の好きなことをしたい。聖書の教えを学んだり聖書の基準に従ったりはしたくない」と考えているのです。カナダのケベック州に住む,1人の信心深い女性は,訪ねてきたエホバの証人に対して,こう言いました。「もしうちの司祭が私たちを惑わしているとしても,それはその司祭の責任であって,私たちの責任ではありません」。同じように考えている人は大勢います。でも私たちは,あえて変化しようとしないこうした人たちのようにはなりたくありません。(格 1:32; 27:12)
8. 経験を積んでいくために,どんなことができますか。
8 聖書が,経験のないままでいるのではなく,「理解力の点では大人にな」るようにと勧めているのももっともなことです。(コリ一 14:20)私たちは,聖書の教えを当てはめることによって経験を積んでいくことができます。そうしていくなら,問題を避けたり賢い決定をしたりする上で聖書が助けになる,ということを少しずつ実感できるでしょう。この点で自分がどれほど成長しているかをチェックするのは良いことです。聖書を勉強し,集会に出席するようになってしばらくたっているのに,献身やバプテスマの段階まで進歩していないなら,それはなぜでしょうか。すでにバプテスマを受けているなら,良い知らせを伝えたり教えたりする面で成長しているでしょうか。何かを決めなければいけない時には,聖書の教えに沿った決定をしているでしょうか。人と接する時,イエスの手本に倣うようにしているでしょうか。改善できるところに気が付いたなら,「経験の浅い人を賢くする」エホバの教えについてじっくり考えるようにしましょう。(詩 19:7)
9. 「あざける人」は,どのようにして知恵を退けていますか。
9 神の知恵に耳を貸そうとしない2つ目のグループは,「あざける人」です。私たちは伝道でそのような人に会うことがあります。こうした人たちは,あざけることを好んでいます。(詩 123:4)聖書は,終わりの時代にあざける人たちが多く見られると警告しています。(ペテ二 3:3,4)正しい人ロトの婿たちと同じように,神からの警告に注意を払わない人がいます。(創 19:14)聖書の教えに従って生きる人たちをあざ笑う人も少なくありません。あざける人は,「神を敬わずに欲望のままに」行動します。(ユダ 7,17,18)あざける人について聖書が述べていることは,背教者やエホバを退ける人たちにぴったり当てはまるのではないでしょうか。
10. 詩編 1編1節からすると,あざける人にならないために何ができますか。
10 どうすれば,あざける人にならないよう,自分を守れるでしょうか。1つの方法は,批判的な態度を取る人たちと関わりを持たないようにすることです。(詩編 1:1を読む。)それで,背教者の言うことを聞いたり書いた物を読んだりは決してしません。気を付けていないと,私たちは批判的になって,エホバや組織からの指示に疑いを持つようになってしまうかもしれません。そうならないために,次のように考えましょう。「自分は新しい指示や説明があった場合,消極的なことばかり言うだろうか。教え導いている人たちのあら探しをする傾向があるだろうか」。こうした良くない点をすぐに改善するなら,エホバは喜んでくださいます。(格 3:34,35)
11. 「愚かな人」はエホバの道徳基準に対してどんな態度を取りますか。
11 知恵を退ける3つ目のグループは,「愚かな人」です。こうした人たちが愚かと言えるのは,神の道徳基準に従って生きるのではなく,自分が正しいと思うことを行っているからです。(格 12:15)そのようにして,知恵の源であるエホバを退けているのです。(詩 53:1)そうした人たちは,伝道している私たちに対して,聖書の基準に従っていることを厳しく批判することがよくあります。とはいえ,より良い生き方を示すことはできません。聖書の次の言葉の通りです。「愚かな人は真の知恵を獲得できない。町の門の所で何も言う事がない」。(格 24:7)愚かな人が真の知恵を語ることはできません。ですから,エホバが「愚かな人から離れていよ」と警告しているのも当然のことです。(格 14:7)
12. 愚かな人のようにならないために,どんなことができますか。
12 愚かな人は神の助言を嫌いますが,私たちは神の考え方や道徳基準への愛を強めたいと思っています。そうする上で,神の基準に従うことの結果と従わないことの結果を比較することが役に立ちます。愚かにもエホバの基準を退ける人はどんな問題を経験しているか,そして,私たちは神に従うことによってどれほど良い生き方ができているかを考えてみてください。(詩 32:8,10)
13. エホバはご自分の助言に無理に従わせようとしますか。
13 エホバは全ての人が知恵を得られるようにしていますが,それを押し付けたりはしません。それでも,知恵に耳を傾けない人がどんな結果になるかを明らかにしています。(格 1:29‐32)エホバに従おうとしない人は,「当然の報いを受け」ることになります。悲しみや苦痛を経験し,最後には滅ぼされるのです。一方,エホバの素晴らしい助言に耳を傾け,従う人には,次のような保証が与えられています。「私の言うことを聞く人は安心して暮らし,災いを恐れて動揺することはない」。(格 1:33)
真の知恵は私たちのためになる
14‐15. 格言 4章23節からどんなことを学べますか。
14 神の知恵を当てはめるなら,必ず私たちのためになります。ここまでで考えてきた通り,エホバはご自分の素晴らしい助言を誰もが得られるようにしています。例えば,「格言の書」には,時代を超えたアドバイスがちりばめられていて,それを当てはめるならより良い生き方ができます。では,そのうちの4つを調べてみましょう。
15 心を守る。聖書にはこうあります。「ほかの何よりも,あなたの心を守れ。命は心に懸かっているからである」。(格 4:23)心臓を守るためには,どんなことが必要でしょうか。健康に良い物を食べ,十分に運動し,良くない習慣を避けることです。心を守ることについても,似たようなことが言えます。聖書で毎日自分を養います。準備して集会に出席し,コメントをします。熱心にまた定期的に伝道を行います。そして,良くない習慣を避けます。つまり,不道徳なエンターテインメントや悪い交友といった,考え方を腐敗させるものを一切避けるということです。
16. 格言 23章4,5節の言葉が現代でも役立つと言えるのはなぜですか。
16 持っている物で満足する。聖書には次のようなアドバイスがあります。「富を得ようとして疲れ切ってはならない。……目をやると,そこに富はない。それは必ずワシのように翼を生やして空に飛び去る」。(格 23:4,5)財産がなくならないという保証はありません。にもかかわらず,お金を持っている人も持っていない人も,さらにお金を稼ごうと必死になっています。そのために,自分の評判や人間関係や健康さえ犠牲にする人もいます。(格 28:20。テモ一 6:9,10)一方,知恵があるなら,お金に対してバランスの取れた見方を持つことができます。そして,貪欲を避け,満足感や幸せを味わうことができます。(伝 7:12)
17. どうすれば,格言 12章18節に出てくる「賢い人たちの舌」を得ることができますか。
17 話す前に考える。私たちは注意していないと,言葉で人を深く傷つけてしまうことがあります。聖書には,「心ない発言は剣のように突き刺し,賢い人たちの舌は人を癒やす」とあります。(格 12:18)誰かの欠点や失敗についてのうわさ話をしないようにするなら,良い人間関係を保つことができます。(格 20:19)人を傷つけるのではなく,癒やす言葉を語るためには,聖書の言葉で心を満たしておく必要があります。(ルカ 6:45)聖書についてじっくり考えるなら,私たちの言葉は「知恵の泉」のようになり,人を爽やかにするものとなるでしょう。(格 18:4)
18. 格言 24章6節の言葉は,宣教で成功を収める上でどのように助けとなりますか。
18 指示に従う。聖書には次のような良いアドバイスがあります。「的確な導きによって戦いをせよ。助言者が多ければ成功する」。(格 24:6,脚注)この言葉は,宣教で成功を収める上でも助けになります。私たちは,自分なりの方法で行うのではなく,提案に従うよう努力しています。そうした提案は集会で与えられます。話や実演を通して,上手に聖書から教える方法を学ぶことができます。加えて,エホバの組織は,出版物や動画といった役立つツールも準備してくれています。これらは,聖書を理解するよう人々を助ける上で大いに役立っています。あなたは,こうしたツールを十分に活用していますか。
19. あなたはエホバの知恵についてどう感じていますか。(格言 3:13‐18)
19 格言 3:13‐18を読む。私たちは,聖書に収められている良いアドバイスに心から感謝しています。それがなかったなら,私たちは今ごろどうなっていたか分かりません。この記事では,「格言の書」に載せられている知恵の言葉を幾つか考えてきました。もちろん,聖書のほかの部分にもエホバの知恵が数多く載せられています。ですから,生活のあらゆる面でエホバの知恵を当てはめるようにしましょう。世の中の人々が神の知恵にどんな見方を持っているとしても,私たちは,「知恵[を]しっかりとつかんでいる人たちは幸せな人と呼ばれる」ということを確信しているのです。
52番の歌 あなたの心を守りなさい
a エホバが与えてくださる知恵は,この世の中で得られるどんな知恵よりもはるかに優れたものです。この記事では,「格言の書」に載せられている興味深い例えを考えます。知恵が広場で叫んでいる,という表現です。また,どうすれば真の知恵を得られるか,ある人たちが知恵に耳を貸そうとしないのはなぜか,それに耳を傾けることはどのように私たちのためになるかも考えます。
「ものみの塔」(研究用)