研究記事45

エホバに助けていただき,伝道をやり遂げる

エホバに助けていただき,伝道をやり遂げる

「彼らは……自分たちの中に預言者がいたことを知ることになる」。エゼキエル 2:5

92番の歌 『み言葉を宣べ伝えなさい』

を学ぶか a

1. 私たちはどんなことを予期していますか。それでも,どんなことを確信できますか。

 私たちは伝道を行う時,反対されることを予期しています。これから先,こうした反対はますます増えていくことでしょう。(ダニ 11:44。テモ二 3:12。啓 16:21)でも,エホバは私たちに必要な助けを必ず与えてくださいます。なぜそう確信できるでしょうか。エホバはご自分に仕える人たちが務めを果たせるよう,これまでいつも助けてきたからです。どれほど難しい務めであっても果たせるようにしてきました。一例として,預言者エゼキエルのことを考えてみましょう。エゼキエルは,バビロンで捕囚にされていたユダヤ人たちに伝道しました。

2. エゼキエルが伝道した人たちのことをエホバは何と言いましたか。この記事ではどんなことを考えますか。(エゼキエル 2:3‐6

2 エゼキエルはどんな人たちに伝道したのでしょうか。エホバはそれらの人たちのことを「反抗的」,「心が固い」,「反逆的」と言いました。いばらのように厄介で,サソリのように危険な人たちだったのです。エホバがエゼキエルに対して,「恐れてはいけない」と何度も言ったのも当然のことでした。エゼキエル 2:3‐6を読む。)それでもエゼキエルは,伝道をやり遂げることができました。それはエゼキエルが,(1)エホバから遣わされ,(2)聖なる力によって強められ,(3)神の言葉によって信仰を強められていたからです。これら3つの点は,エゼキエルにとってどのように助けとなったのでしょうか。現代の私たちにとってはどうですか。

エゼキエルはエホバから遣わされた

3. エゼキエルはどんな言葉を聞いて力づけられたに違いありませんか。エホバがエゼキエルを必ず助けると保証していたことは,どんなことから分かりますか。

3 エホバはエゼキエルに対して,「私はあなたを遣わす」と言いました。(エゼ 2:3,4)この言葉を聞いたエゼキエルは,力づけられたに違いありません。エゼキエルは,エホバがモーセやイザヤを預言者に任命した時に,同じような言葉を言ったことを思い出したかもしれません。(出 3:10。イザ 6:8)そして,エホバがモーセやイザヤを助けて問題を乗り越えられるようにしたことも知っていました。ですから,エホバから「私はあなたを遣わす」と2回言われた時,エホバが必ず助けてくださると確信できたはずです。また,エゼキエル書には,「エホバが私に語り掛けてこう言った」という表現が繰り返し出てきます。(エゼ 3:16)「エホバが再び私に語り掛けてこう言った」という表現も何度も登場します。(エゼ 6:1)それでエゼキエルは,自分がエホバから遣わされているということを確信できたでしょう。さらに,エゼキエルの父親は祭司だったので,エホバがいつの時代にもご自分の預言者たちに必ず助けを与えると保証したことをエゼキエルに教えていたことでしょう。エホバは,イサク,ヤコブ,エレミヤに,「私はあなたと共にいる」と言いました。(創 26:24; 28:15。エレ 1:8

4. エゼキエルはどんな言葉から慰められ,力づけられたに違いありませんか。

4 イスラエル人の多くは,エゼキエルの言葉にどう反応したでしょうか。エホバはこう言いました。「イスラエル国民はあなたの言うことに耳を傾けない。私の言うことに耳を傾けようとしないのである」。(エゼ 3:7)イスラエル人はエゼキエルを退けることによって,実際にはエホバを退けていました。エゼキエルは,エホバの言葉を聞いて,人々から退けられるとしても預言者としての務めをきちんと果たせなかったわけではない,ということを理解できました。また,エホバはエゼキエルに別の点も伝えました。エゼキエルが伝えた裁きがまさにその通りになる時,イスラエル人は「自分たちの中に預言者がいたことを知ることになる」のです。(エゼ 2:5; 33:33)エゼキエルはこうした言葉を聞いて慰められ,自分の務めをやり遂げるよう力づけられたに違いありません。

私たちもエホバから遣わされている

エゼキエルのように,私たちも無関心な人や反対する人に会うことがある。それでもエホバは共にいてくださる。(5‐6節を参照。)

5. イザヤ 44章8節のどんな言葉から力を得られますか。

5 私たちも,自分たちがエホバから遣わされているということを理解するなら,力を得ることができます。エホバは,私たちのことをご自分の「証人」と呼んでくださっています。(イザ 43:10)本当に名誉なことではないでしょうか。エホバは,エゼキエルに対して「恐れてはいけない」と言ったように,私たちに対しても「あなたたちは恐れてはならない」と言ってくださっています。そうであれば,反対者を恐れる必要など少しもありません。私たちもエゼキエルと同じように,エホバから遣わされていて,必ず助けていただくことができます。イザヤ 44:8を読む。)

6. (ア)エホバはどんなことを保証してくださっていますか。(イ)どんなことを知ると,慰められ,力づけられますか。

6 エホバは私たちのことを助けると保証してくださっています。「あなたたちは私の証人である」という言葉の少し前で,こう言いました。「あなたが水の中を通るとき,私はあなたと共にいる。川を渡るとき,あなたが水にのまれることはない。火の中を歩いても,あなたは焼かれず,炎に焦がされることもない」。(イザ 43:2)私たちは伝道を行っている時,洪水のように思える問題や火のように思える試練にぶつかることがあります。それでも,エホバは私たちが伝道を続けられるように助けてくださいます。(イザ 41:13)エゼキエルの時代と同じように,現代でもほとんどの人は私たちのメッセージを聞こうとしません。それでも,次の点を覚えておきましょう。人々から退けられるとしても,私たちが神の証人としての務めをきちんと果たせていないというわけではありません。忠実に伝道を続けるなら,エホバは喜んでくださいます。そのことを知ると,慰められ,力づけられるのではないでしょうか。パウロが言っている通り,「それぞれがその働きに応じて報われます」。(コリ一 3:8; 4:1,2)長年開拓奉仕をしてきた1人の姉妹もこう言っています。「エホバが努力に報いてくださるのは本当にうれしいことです」。

エゼキエルは聖なる力によって強められた

エゼキエルは,エホバの天の兵車の幻を見た。それによって,伝道の務めをやり遂げられるようエホバが助けてくださる,という確信が強まった。(7節を参照。)

7. エゼキエルは自分が見た幻について考えるたびにどんな気持ちになりましたか。(表紙の絵を参照。)

7 エゼキエルは,聖なる力がどれほど強いものであるかを見ました。幻の中で,強力な天使たちや天の兵車の巨大な車輪に聖なる力が働く様子を目撃しました。(エゼ 1:20,21)エゼキエルはどう反応したでしょうか。その時のことについて,こう書いています。「それを見た時,私はひれ伏した」。エゼキエルは,畏敬の気持ちに満たされて地面にひれ伏したのです。(エゼ 1:28)エゼキエルはこの印象的な幻について考えるたびに,神の聖なる力の助けがあれば自分の務めをやり遂げることができる,という確信を深めたことでしょう。

8‐9. (ア)エゼキエルはエホバの言葉を聞いて,どうすることができましたか。(イ)エホバはエゼキエルが難しい区域で伝道できるよう,さらにどのように助けましたか。

8 エホバはエゼキエルに対して,「人の子よ,立ち上がりなさい。あなたに話すことがある」と言いました。この言葉を聞いたエゼキエルは,聖なる力の助けで,起き上がることができました。こう書いています。「聖なる力が私に入り,私を立ち上がらせた」。(エゼ 2:1,2)その後,伝道を行っている間ずっとエゼキエルはエホバの聖なる力に助けられました。(エゼ 3:22; 8:1; 33:22; 37:1; 40:1)そのおかげで自分の務めをやり遂げることができました。それは,「頭が固く,心も固い」人たちに伝道するという務めです。(エゼ 3:7)エホバはエゼキエルにこう言いました。「私は,あなたの顔を彼らの顔と同じように固くし,あなたの額を彼らの額と同じように固くした。あなたの額を火打ち石よりも硬いダイヤモンドのようにした。彼らを恐れたり,彼らの顔を見ておびえたりしてはいけない」。(エゼ 3:8,9)エホバはいわばこう言っていたのです。「人々が頑固だからといって,がっかりしてはいけない。私があなたを強くする」。

9 エゼキエルはエホバの聖なる力によって,自分が伝道を行う区域へと運ばれました。「エホバの力が私に強く働いていた」と書いています。エゼキエルが伝えるべきメッセージを理解して,それを確信を込めて語れるようになるまでに,1週間かかりました。(エゼ 3:14,15)その後,エホバによって谷あいの平原へと連れていかれ,そこで「聖なる力が[エゼキエル]に入り」ました。(エゼ 3:23,24)こうしてエゼキエルは,伝道を始める準備が整いました。

私たちも聖なる力によって強められている

エゼキエルの場合のように,私たちが伝道をやり遂げる上で,どんなことが助けとなるか。(10節を参照。)

10. 私たちが伝道をやり遂げる上で,どんな助けが必要ですか。なぜですか。

10 私たちが伝道をやり遂げる上で,どんな助けが必要でしょうか。この点に関しても,エゼキエルの例を考えてみましょう。エゼキエルは伝道を始める前に,聖なる力によって強められました。現代の私たちも,伝道を行うためには聖なる力の助けが必要です。サタンが私たちに敵対して,伝道をやめさせようとしているからです。(啓 12:17)人間の観点からすれば,サタンに勝つことなどできないと思うかもしれません。でも,私たちは伝道を行うことによって,サタンに勝利を収めています。(啓 12:9‐11)どうしてそう言えるでしょうか。サタンを恐れてはいないことを示すことになるからです。それで私たちは,伝道を行うたびに,サタンに一撃を加えていることになるのです。反対に遭っても伝道を続けられていることは,私たちが聖なる力によって強められ,エホバに良いと認められていることの証拠なのです。(マタ 5:10‐12。ペテ一 4:14

11. 聖なる力はどのように私たちの助けとなりますか。どうすれば聖なる力を頂くことができますか。

11 エホバがエゼキエルの顔と額をいわば固くしたことから,ほかにもどんなことを学べるでしょうか。聖なる力の助けがあれば,伝道でどんな問題にぶつかるとしてもそれを乗り越えることができる,ということです。(コリ二 4:7‐9)では,どうすれば聖なる力を頂くことができるでしょうか。祈り続けることです。エホバが必ず聞いてくださると確信して祈るのです。イエスも弟子たちにこう教えました。「求め続けなさい。……探し続けなさい。……たたき続けなさい」。そうすれば,エホバは「ご自分に求めている人に聖なる力を与えてくださるのです」。(ルカ 11:9,13。使徒 1:14; 2:4

エゼキエルは神の言葉によって信仰を強められた

12. エゼキエル 2章9節から3章3節によると,巻物はどこから来ましたか。そこには何が書かれていましたか。

12 エゼキエルは聖なる力によって強められただけでなく,神の言葉によっても信仰を強められました。エゼキエルは,幻の中で巻物を持った手を見ました。エゼキエル 2:9–3:3を読む。)この巻物はどこからやって来たのでしょうか。そこには何が書かれていましたか。エゼキエルは,この巻物によってどのように信仰を強められたでしょうか。この巻物は,神の王座から来ました。エゼキエルが以前に幻で見た4人の天使のうちの1人がこの巻物を持ってきたようです。(エゼ 1:8; 10:7,20)そこには,裁きに関する神の言葉がたくさん書かれていました。それは,捕囚にされていた反逆的なイスラエル人にエゼキエルが伝えるべきものでした。(エゼ 2:7)そして,この巻物は,表にも裏にも文字が書かれていました。

13. エホバはエゼキエルにどんなことを命じましたか。エゼキエルが巻物を甘く感じたのはなぜですか。

13 エホバはエゼキエルに対して,この巻物を食べ,「腹を満たしなさい」,と命じました。エゼキエルは,この命令に従って巻物を全て食べました。このことから何が分かりますか。エゼキエルは自分が伝えるメッセージを十分に理解する必要があった,ということです。それをぜひとも伝えたい,という気持ちになるほどに,確信する必要がありました。そして,驚くべきことに,エゼキエルはこの巻物を「蜜のように甘」く感じました。(エゼ 3:3)どうしてでしょうか。エゼキエルにとって,エホバに代わってメッセージを伝えることは,本当に名誉あることだったからです。甘い物を食べた時のような幸せを感じていたのです。(詩 19:8‐11)エゼキエルは,エホバが預言者としての務めを自分に任せてくれたことをとてもうれしく感じていました。

14. エゼキエルが伝道を始める用意を整える上で,どんなことが助けになりましたか。

14 その後,エホバはエゼキエルに,「私があなたに話す言葉を全て聞き,心に留めなさい」と言いました。(エゼ 3:10)これはつまり,巻物の内容を覚えてじっくり考えるようにということです。そうすることによって,エゼキエルは信仰を強めることができました。また,人々にどんなことを話すべきかを理解することもできました。(エゼ 3:11)エゼキエルは,エホバのメッセージをよく理解し,確信することができたので,伝道を始めてそれをやり遂げる用意が整いました。(詩編 19:14と比較。)

私たちも神の言葉によって信仰を強められている

15. 伝道を粘り強く行っていくためには,どんなことを「心に留め」る必要がありますか。

15 私たちも,伝道を粘り強く行っていくためには,神の言葉によって信仰を強めていく必要があります。エホバの言葉を全て「心に留め」る必要があるのです。現代,エホバは聖書を通して私たちに語り掛けています。では,どうすれば考え方や感じ方や動機を聖書に沿ったものとすることができるでしょうか。

16. 聖書を理解し信仰を強めるためには,どんなことをする必要がありますか。

16 この巻物の幻を通して,どんなことを学べますか。食べ物を食べて消化すると力を得られるのと同じように,聖書を読んでじっくり考えるなら信仰を強めることができる,ということです。エホバは,私たちが聖書の言葉で「腹を満た」すこと,つまり聖書をよく理解することを願っています。そのためには,祈って,聖書を読み,読んだ内容をじっくり考える必要があります。まず祈って,エホバの考え方に自分を合わせることができるよう心を整えます。次に,聖書を読みます。そして,読んだ内容をじっくり考えます。こうしたことを行っていくなら,聖書をいっそうよく理解できるようになり,信仰も強まっていきます。

17. 聖書を読んでじっくり考えることが大切なのはなぜですか。

17 聖書を読んでじっくり考えることが大切なのはなぜでしょうか。そうすることによって,今王国についてのメッセージを伝えるための力や,将来厳しい裁きについてのメッセージを伝えるための力を得ることができるからです。また,エホバの素晴らしい性質についてじっくり考えるなら,エホバとの絆をいっそう強めることができます。そうすれば,甘くておいしい物を食べた時のような幸せな気持ちになるでしょう。穏やかな心や満足感を味わうことができるのです。(詩 119:103

終わりまで粘り強く行う

18. 人々はどんなことを認めなければならなくなりますか。なぜですか。

18 エゼキエルは預言者でしたが,私たちはそうではありません。とはいえ,エホバが聖なる力を用いて書かせた聖書のメッセージを伝えていく決意をしています。伝道が十分に行われたとエホバがご覧になる時までそうします。裁きが行われる時,「自分は警告を受けなかった」とか,「神は私のことを見ていなかった」などと言える人は,一人もいません。(エゼ 3:19; 18:23)それどころか,私たちが伝えていたメッセージが神からのものであることを認めなければならなくなります。

19. 私たちが伝道をやり遂げる上で,どんなことが力となりますか。

19 私たちが伝道をやり遂げる上で,どんなことが力となるでしょうか。エゼキエルにとって力になったのと同じ,3つの点です。私たちは,エホバから遣わされていて,聖なる力によって強められ,聖書によって信仰を強められているので,伝道を行い続けることができます。では,これからもエホバに助けていただきつつ,「終わりまで」粘り強く伝道を行っていきましょう。(マタ 24:13

45番の歌 進歩しなさい!

a エホバは,預言者エゼキエルが伝道の務めを最後までやり遂げられるように助けました。この点について考えると,エホバが私たちのことも助けてくださる,という確信が深まります。エホバはエゼキエルをどのように助けたのでしょうか。この記事では,3つの点を取り上げます。