研究記事17

母親の皆さん,ユニケの手本から学びましょう

母親の皆さん,ユニケの手本から学びましょう

「母の教えを捨ててはならない。それは,あなたの美しい冠,立派な首飾りである」。格言 1:8,9

86番の歌 忠実な女性たち,クリスチャンの姉妹たち

を学ぶか *

テモテの母ユニケと祖母ロイスが,テモテがバプテスマを受けるのを見て心から喜んでいる。(1節を参照。)

1‐2. (ア)ユニケはどんな人でしたか。母親として,どんな問題にぶつかりましたか。(イ)表紙の絵からどんなことが分かりますか。

 聖書には,テモテのバプテスマのことは何も書かれていません。それでも,その日に母親のユニケが味わった喜びについて想像することは難しくありません。(格 23:25)ユニケは,腰まで水に漬かって立っているテモテを見て,誇らしく思っています。笑顔のユニケのすぐ隣には,テモテの祖母ロイスがいます。ユニケが固唾をのんで見守る中,テモテが水の中に沈みます。大きな水しぶきと共に,テモテが満面の笑みを浮かべて水の中から現れるのを見て,ユニケは涙をこらえることができません。ユニケは,エホバと独り子イエス・キリストを愛するよう自分の息子を教えることができたのです。では,テモテがバプテスマを受けるまでに,ユニケはどんな難しい問題を乗り越える必要があったでしょうか。

2 テモテは,両親の宗教が異なる家庭で育ちました。父親はギリシャ人でしたが,母親と祖母はユダヤ人でした。(使徒 16:1)母のユニケと祖母のロイスがクリスチャンになったのは,テモテが10代の時だったようです。しかし,父親はクリスチャンになりませんでした。では,テモテはどうするでしょうか。その時,テモテはすでに自分で決定できる年齢になっていたようです。父親の宗教を選ぶでしょうか。子供の頃からずっと教えられてきたユダヤ教の伝統を引き続き守るでしょうか。それとも,母や祖母と同じように,クリスチャンになるでしょうか。

3. 格言 1章8,9節からすると,エホバとの友情を育むよう子供を助けている母親の努力をエホバはどう見ていますか。

3 現代でも,クリスチャンである母親は家族を愛しています。エホバとの固い友情を育むよう子供を助けたいと何よりも願っています。エホバはそうした努力を高く評価しています。 1:8,9を読む。)そして,真理の道を歩むよう子供たちを教えることができるよう,大勢の母親を助けてきました。

4. 母親たちはどんな問題にぶつかりますか。

4 母親は,自分の子供はテモテのようにエホバに仕えるようになるだろうか,と心配になることがあるものです。サタンが支配する世の中で,子供たちが本当に大きなプレッシャーを受けていることを知っているからです。(ペテ一 5:8)それに加えて,夫がいなかったり,夫がエホバの証人ではない場合は,なおのこと大変でしょう。クリスティーン姉妹はこう言います。 * 「主人はとても良い父親で,家族思いの人でしたが,私がエホバの証人になるよう子供たちを教えることには強く反対しました。それで,子供たちはエホバの証人になれるのだろうかと思い,涙を流したことが幾度もありました」。

5. この記事ではどんなことを考えますか。

5 母親の皆さん,あなたもユニケと同じように,エホバを愛し,エホバに仕えるよう子供たちを助けることは可能です。この記事では,によって子供たちを教える上で,ユニケの手本にどのように倣えるかを考えます。そして,エホバが助けてくださることについても取り上げます。

によって子供を教える

6. テモテ第二 3章14,15節からすると,テモテはどのようにしてクリスチャンになりましたか。

6 テモテが幼い頃,ユニケはイエス・キリストについて全く知りませんでしたが,ユダヤ人の理解に沿って「聖なる書物」をテモテに教えるためにできる限りのことを行いました。そのおかげで,テモテはクリスチャンになるための良い基礎ができていました。では,テモテはクリスチャンになるでしょうか。テモテは,クリスチャンとして生きるかどうかを自分で決められる年齢になっていました。そして,イエスについての真理を「納得して信じるようにな」りました。そうできたのは,母親からの助けがあったからに違いありません。テモテ第 3:14,15を読む。)ユニケは,エホバに仕えるよう子供を教えることができて,本当にうれしかったことでしょう。ユニケは自分の名前に沿った生き方をした,と言うことができます。その名前は,「征服する」という意味の言葉から来ているからです。

7. ユニケはテモテがバプテスマの後も進歩できるよう,どのように助けましたか。

7 バプテスマはテモテにとって人生の重要な一歩でした。でも,ユニケの心配が終わったわけではありません。テモテは,その後の人生をどのように送っていくでしょうか。悪い友達と付き合うようになってしまわないでしょうか。アテネの学校に行って,異教の哲学を信じるようになってしまわないでしょうか。裕福になることに思いを奪われて,時間や体力や若さを無駄にしてしまうことはないでしょうか。ユニケはテモテの代わりに決定することはできません。でも,助けになることはできました。エホバを愛し,独り子イエスへの感謝を培うよう教えることによってです。こうした問題にぶつかるのは,夫婦の片方だけがエホバの証人という家庭に限ったことではありません。両親がエホバの証人であっても,エホバに忠実に仕えるよう子供の心を動かすのは,時に難しいことがあります。では,親はユニケの手本からどんなことを学べるでしょうか。

8. 夫がエホバの証人である場合,エホバについて子供に教える面で,妻はどのように助けになれますか。

8 と一に聖を勉する。母親である皆さん,ご主人がエホバの証人であるなら,ご主人はエホバについて子供に教えたいと思っているでしょう。エホバは,その面であなたがサポートすることを願っています。そうする1つの方法は,毎週の家族の崇拝がうまくいくようサポートすることです。家族の崇拝の良い面について語るようにしましょう。どうすればその時間を温かく楽しいものにできるだろうか,と考えてください。夫が聖書を学ぶための特別なプロジェクトを計画する時には,協力することができます。また,子供が「いつまでも幸せに暮らせます」の本を1人で勉強できる年齢になっているなら,必要に応じて,夫と共に助けを与えるようにしましょう。

9. 夫がエホバの証人ではない場合,母親が子供を教える上でどんなことが役に立ちますか。

9 ひとり親であったり夫がエホバの証人でなかったりする場合には,母親であるあなたが子供に聖書を教える必要があります。それでも,心配し過ぎないでください。エホバが助けてくださいます。エホバは組織を通して,子供に聖書を教えるのに役立つツールを準備してくださっています。それを活用しましょう。子育てをしてきた人に,そうした道具を家族の崇拝で使うためのヒントについて尋ねることもできます。 *格 11:14)エホバは,子供とコミュニケーションを取る面でも助けてくださいます。子供がどんなことを考えたり感じたりしているのかを知ることができるよう,助けを求めてエホバに祈ってください。(格 20:5)「最近,学校どう? 何か大変なことある?」といった,ちょっとした質問をするなら,子供の心の中にあるものを引き出すことができるでしょう。

10. エホバについて子供に教えるために,どんなこともできますか。

10 いろいろな機にエホバについて教える。エホバについて,また,エホバが自分にしてくださったたくさんのことについて話すようにしましょう。(申 6:6,7。イザ 63:7)子供と家で聖書を定期的に勉強できない場合,そうするのは特に重要です。先ほどのクリスティーン姉妹はこう言います。「家でエホバについて話すのは難しかったので,どんなチャンスも逃さないようにしました。散歩に行く時やカヌーに乗る時に,エホバが創造した素晴らしいものや,どうすればエホバと友達になれるかについて話しました。子供がある程度大きくなると,自分で聖書を学ぶように励ましました」。さらに,エホバの組織や仲間の兄弟姉妹について良いことを語るのも大切なことです。長老を批判したりしてはいけません。親が長老についていつも良いことを語っているなら,子供は助けが必要な時に長老に頼ろうとするでしょう。

11. ヤコブ 3章18節からすると,家庭を平和な所にすることが大切なのはなぜですか。

11 を平な所にする。夫や子供を愛していることをいつも伝えるようにしましょう。夫について話す時には,親切で敬意のこもった話し方をし,同じようにするよう子供たちにも教えましょう。そうするなら,家庭は平和な所になり,子供たちはエホバについて学びやすくなります。ヤコブ 3:18を読む。)ルーマニアで特別開拓奉仕をしているヨーゼフ兄弟の例を考えてみましょう。兄弟が子供の頃,父親は妻や子供たちがエホバに仕えることに強く反対していました。兄弟はこう言います。「母は家庭を平和な所にするために,本当に努力していました。父が厳しい態度を取れば取るほど,母はいっそう穏やかに接していました。私たち子供が父に敬意を示したり従ったりするのを難しく感じていることに気付くと,エフェソス 6章1‐3節について話し合ってくれました。そして,父の良い点について話し,私たちが父に敬意を示すのが大切なのはどうしてかを教えてくれました。母がこのように努力してくれたおかげで,緊張が和らいだことが何度もありました」。

によって子供を教える

12. テモテ第二 1章5節によると,ユニケの手本は,テモテにどんな影響を与えましたか。

12 テモテ第 1:5を読む。ユニケはテモテに良い手本を示しました。本物の信仰には行動が伴うということを教えたはずです。(ヤコ 2:26)テモテは,ユニケがエホバへの強い愛に動かされて行動していることや,エホバに仕えることによって幸せを味わっているのを目にしたに違いありません。こうしたユニケの手本は,テモテにどんな影響を与えたでしょうか。パウロが述べている通り,テモテはユニケと同じように強い信仰を持つようになりました。これは偶然ではありません。テモテはユニケの手本を見て,自分も同じようにしたい,と思ったのです。同様に,現代の大勢の母親も,「言葉ではなく」行いによって家族の心を動かしています。(ペテ一 3:1,2)あなたもそうすることができます。どのようにでしょうか。

13. 母親がエホバとの友情を何よりも大切にする必要があるのはなぜですか。

13 エホバとの友を何よりも大にする。申 6:5,6)多くの母親と同じように,あなたもさまざまな犠牲を払っています。時間やお金を費やし,寝る時間を削ってまで,子供を世話するためにさまざまなことをしています。とはいえ,忙しさのあまり,エホバとの友情を犠牲にすることがあってはなりません。時間をきちんと取り分けて,エホバに祈り,聖書を勉強し,集会に出席するようにしましょう。そうするなら,エホバとの友情はいっそう強まり,家族やほかの人の手本となることができるでしょう。

14‐15. リーアン姉妹,マリア姉妹,ジョアン兄弟の例から,どんなことを学べますか。

14 母親の手本を見て,エホバを愛し,信頼するようになった若い人たちの例を幾つか考えてみましょう。クリスティーン姉妹の娘であるリーアン姉妹はこう言っています。「父が家にいると,自由に聖書を勉強することはできませんでした。でも,母は集会を決して休んだりはしませんでした。私たち子供は,聖書の知識は限られていましたが,母の手本のおかげで,強い信仰を持てるようになりました。集会に出席するようになる前から,エホバの証人は真理を教えていると確信することができました」。

15 マリア姉妹の家族は,集会に出席すると,父親からひどい仕打ちを受けることがありました。姉妹はこう言います。「母ほど勇気のある人はなかなかいないと思います。私は子供の頃,何かをしようと思っても,ほかの人から何と言われるかを気にして,できないことがありました。でも,母の勇気や,母が生活の中でエホバを第一にしている様子を見て,私も人への恐れを乗り越えることができました」。ジョアン兄弟の父親は,家族が家でエホバや聖書について話すことを禁止していました。兄弟はこう言います。「母の姿には心を打たれました。父に喜んでもらうためにはどんなに大変なことでも行っていましたが,エホバへの愛については絶対に譲りませんでした」。

16. 母親の手本は,家族以外の人にもどんな良い影響を与えますか。

16 母親の皆さん,あなたの手本は,家族以外の人たちにも良い影響を与えます。どのようにでしょうか。ユニケの手本がパウロにどんな影響を与えたか,考えてみましょう。パウロは,テモテの偽善のない信仰は「ユニケがまず」抱いたものだった,と書きました。(テモ二 1:5)パウロがユニケの信仰を初めて目にしたのは,いつのことだったでしょうか。それは恐らく,第1回宣教旅行の時でしょう。パウロは,ルステラでユニケとロイスに会い,クリスチャンになるよう2人を助けたようです。(使徒 14:4‐18)そして,それから15年ほど後,テモテに手紙を書いた時にも,信仰に基づくユニケの行いを覚えていました。ユニケを倣うべき手本と考えていたのです。ユニケの手本は,パウロにとっても,1世紀のほかのクリスチャンにとっても,心に残るものだったに違いありません。あなたも,ひとり親であったり夫がエホバの証人でなかったりする中で子供を育てているなら,あなたの信仰の手本は周りの人に励みを与えるものとなります。

エホバを愛するよう子供を助けるには時間がかかります。諦めないでください。(17節を参照。)

17. 子供を教える面での努力が実を結んでいないように感じる場合,どうするとよいですか。

17 子供を助ける面での自分の努力が実を結んでいないように感じる場合は,どうでしょうか。子供を教えるには,時間がかかるものです。挿絵に注目してみましょう。何かの種をまいた場合,それが本当に成長して実を結ぶだろうか,と心配になるかもしれません。確かに,必ず実がなるようにコントロールすることはできません。それでも,水をやり続けるなら,その植物の成長のために精いっぱいのことをしていることになります。(マル 4:26‐29)同じように,母親であるあなたも,子供の心を動かすことができているだろうか,と心配になることがあるかもしれません。確かに,結果をコントロールすることはできません。それでも,自分にできる限りのことを行って子供を教え続けるなら,子供がエホバの友になるよう精いっぱい助けていることになります。(格 22:6

助けを求めてエホバに頼る

18. エホバはご自分の友となるよう,子供たちをどのように助けてくださいますか。

18 聖書の時代から現代に至るまで,エホバはご自分の友となるよう大勢の若い人たちを助けてきました。(詩 22:9,10)あなたの子供がエホバの友になりたいと思っているなら,エホバはその子のことも助けてくださいます。(コリ一 3:6,7)子供が真理の道からそれているように思えるとしても,エホバはその子を温かく見守っています。(詩 11:4)その子が「正しい態度」を持っていることを少しでも示すなら,エホバは引き寄せてくださいます。(使徒 13:48。代二 16:9)またエホバは,あなたが適切なことを適切な時に,つまり子供にとって一番必要な時に話せるようにも助けてくれるでしょう。(格 15:23)あるいは,あなたの子供に関心を示すよう,会衆の兄弟姉妹を動かすかもしれません。子供が大人になった後でも,その子が親から教わったことを思い出せるようエホバは助けてくれます。(ヨハ 14:26)あなたが言葉と行いによって子供を教え続けるなら,エホバは豊かな祝福を与えてくださるのです。

19. エホバがあなたのことを喜んでくださると確信できるのはなぜですか。

19 あなたの子供がどんな決定をするとしても,あなたに対するエホバの愛は変わりません。エホバがあなたを愛するのは,あなたがエホバのことを愛しているからです。あなたがひとり親であるなら,エホバは,あなたの子供の父親になり,あなたを保護すると約束しています。(詩 68:5)あなたは,子供がエホバに仕えるかどうかを決められるわけではありません。それでも,エホバに頼ってできる限りのことを行うなら,エホバはあなたのことを喜んでくださいます。

88番の歌 子どもたち ― 神から託されたもの

^ クリスチャンである母親は,テモテの母ユニケの手本から,どんなことを学べますか。エホバを知って愛するよう自分の子供を助けるために,どんなことができるでしょうか。この記事ではこうした点を考えます。

^ 一部の名前は変えてあります。

^ 「いつまでも幸せに暮らせます」の本のレッスン50や,「ものみの塔」2012年12月15日号の「家族の崇拝と個人研究のためのアイデア」という記事などを参照。