研究記事19

「ヨハネへの啓示」と現代の私たち

「ヨハネへの啓示」と現代の私たち

「この預言の言葉を朗読する人……は,幸福である」。啓示 1:3

109番の歌 エホバの初子を歓呼して迎えなさい!

を学ぶか *

1‐2. 私たちが「啓示」の書に注意を向けるべきなのはなぜですか。

 誰かから写真のアルバムを見せてもらったことがありますか。写真を見ていくと,写っているのはほとんどが知らない人ばかりです。でも,1枚の写真に目が留まります。自分が写っていたからです。その写真を見て,いつどこで撮ったものだろうか,写っている人たちは誰だろうか,と考えることでしょう。その写真はあなたにとって特に意味のあるものとなります。

2 「啓示」の書はこの写真のようです。なぜそう言えるでしょうか。少なくとも2つの理由があります。まず1つ目に,「啓示」の書は私たちのために書かれました。最初の節にこうあります。「イエス・キリストによる啓示。これは神が,間もなく必ず起きる事柄をご自の奴たちに示すため,イエスに与えたものである」。(啓 1:1)ですから,「啓示」の書は全ての人のために書かれたのではなく,神に献身した私たちのために書かれたものです。私たちは神に仕える者なので,「啓示」の書の預言の実現に関係しているとしても,驚くことではありません。私たちはいわば“写真に写っている”のです。

3‐4. 「啓示」の書によると,その預言が実現するのはいつですか。そのことを考えると,私たちはどんなことを行う必要がありますか。

3 2つ目の理由は,この預言がいつ実現するかということと関係があります。高齢の使徒ヨハネはその点についてこう述べました。「私は聖なる力によっての日連れていかれ……た」。(啓 1:10)ヨハネがこの言葉を書いたのは西暦96年ごろで,「主の日」はまだずっと先のことでした。(マタ 25:14,19。ルカ 19:12)聖書の預言によると,主の日が始まったのは,イエスが天の王国の王となった1914年のことです。その年以来,神に仕える人たちと関係のある「啓示」の書の預言が実現し始めました。それで,私たちは今まさに「主の日」に生きているのです。

4 私たちはこのわくわくするような時代に生きているのですから,啓示 1章3節にある愛情のこもったアドバイスに特に注意を向ける必要があります。そこにはこうあります。「この預言の言葉を朗読する人と,それを聞き,書かれている事柄を守る人たちは,幸福である。定められた時が近いからである」。ですから私たちは,「この預言の言葉を朗読[し]」,「聞き」,「守る」必要があります。では,私たちが守るべき言葉にはどんなものがあるでしょうか。

エホバに受け入れられる崇拝を捧げる

5. 「啓示」の書からすると,エホバに受け入れられる崇拝を捧げることが大切だと言えるのはなぜですか。

5 「啓示」の書の最初の章から分かる通り,イエスはクリスチャン会衆でどんなことが起きているかをよく知っています。(啓 1:12‐16,20; 2:1)そのことは,イエスが小アジアの7つの会衆に向けて述べた言葉から分かります。それには,1世紀のクリスチャンがエホバに受け入れられる崇拝を捧げるためにどんなことをすべきか,具体的な指示が含まれていました。その内容は,神に仕える現代の私たち全てにも当てはまるものです。どんなことを学べるでしょうか。私たちの指導者であるキリスト・イエスは,私たちとエホバとの関係が良いものであるかどうかをよく知っているということです。イエスは私たちのことを見守っていて,全てのことをご存じです。私たちが引き続きエホバに良いと認めていただくにはどうしたらよいかもよく知っています。では,現代の私たちはイエスが与えたどんな指示を守る必要があるでしょうか。

6. (ア)啓示 2章3,4節のイエスの言葉からすると,エフェソスの会衆にはどんな問題がありましたか。(イ)そこから何を学べますか。

6 2:3,4を読む。エホバに対して初めの頃に抱いていた愛を失ってはいけない。エフェソスの会衆に向けてイエスが述べた言葉から,エフェソスのクリスチャンが忍耐を示し,さまざまな問題がある中でもエホバに仕え続けていたことが分かります。とはいえ,彼らはエホバに対して初めの頃に抱いていた愛を失っていました。それで,その愛を再び燃え立たせる必要がありました。そうしなければ,崇拝をエホバに受け入れていただくことができなくなってしまうからです。同じように現代の私たちも,ただ単に忍耐するのではなく,正しい動機で忍耐する必要があります。エホバは私たちが行うかだけでなく,それをなぜ行うかに関心を払っています。エホバが私たちの動機に注目しているのは,私たちが深い愛と感謝の気持ちからご自分を崇拝することを願っているからです。(格 16:2。マル 12:29,30

7. (ア)啓示 3章1‐3節からすると,サルデスのクリスチャンはどんな問題を抱えていましたか。(イ)私たちは何を行う必要がありますか。

7 3:1‐3を読む。いつも目めていなければいけない。サルデス会衆の兄弟姉妹は別の問題を抱えていました。彼らは,以前はエホバに仕える面で活発でしたが,手を緩めるようになっていました。それでイエスは,「目覚め」るようにと言いました。どんな教訓を学べるでしょうか。確かに,エホバは私たちの働きを忘れたりはされません。(ヘブ 6:10)しかし,だからといって,これまでの奉仕に満足して手を緩めてよいわけではありません。以前と比べてできることは少なくなっているかもしれませんが,「主の活動」を忙しく行い,終わりまで目覚めている必要があります。(コリ一 15:58。マタ 24:13。マル 13:33

8. イエスがラオデキアのクリスチャンに述べた言葉から何を学べますか。(啓示 3:15‐17

8 3:15‐17を読む。エホバへの崇を熱に心を込めて行わなければいけない。イエスの言葉から,ラオデキアのクリスチャンが別の問題を抱えていたことが分かります。彼らはエホバへの崇拝の面で「生ぬるく」なっていました。そのためイエスから,「惨めで,痛まし」い状態だと言われました。彼らは,エホバへの熱い思いを抱き,エホバへの崇拝を熱心に行う必要がありました。(啓 3:19)どんなことを学べるでしょうか。自分の熱意が弱まっているように感じるなら,エホバや組織から与えられているものに対する感謝を深めるようにしましょう。(啓 3:18)快適な生活を追い求めるあまり,エホバへの崇拝を二の次にするようなことがあってはいけません。

9. ペルガモンとテアテラのクリスチャンに対するイエスの言葉からすると,私たちは何を退ける必要がありますか。

9 の教えを退けなければいけない。イエスは,ペルガモンの一部のクリスチャンが分裂を引き起こしていたことをとがめました。(啓 2:14‐16)一方,テアテラの会衆のうち,「サタンの奥深い事柄」を退けていた人たちを褒め,真理を「しっかり守」るよう強く勧めました。(啓 2:24‐26)これらの会衆の弱くなっていたクリスチャンは,間違った教えに惑わされていたので,悔い改める必要がありました。現代ではどうでしょうか。私たちは,エホバの考え方に反する教えを一切退けなければなりません。背教者は,「信心深く見えても実際には神を敬っていません」。(テモ二 3:5)聖書を熱心に研究するなら,間違った教えを見分けてそれを退けることはいっそう容易になるでしょう。(テモ二 3:14‐17。ユダ 3,4

10. ペルガモンとテアテラの会衆に対するイエスの言葉から,さらに何を学べますか。

10 どんな不も行ったり大に見たりしてはいけない。ペルガモンとテアテラのクリスチャンは,別の問題も抱えていました。イエスは,それらの会衆の一部の人が不道徳を退けなかったことをとがめました。(啓 2:14,20)どんなことを学べますか。私たちは,不道徳を行ってもエホバは大目に見てくださる,などと考えるべきではありません。長年エホバに仕えてきて,会衆や組織で多くの責任を委ねられているとしてもです。(サム一 15:22。ペテ一 2:16)世の中の道徳基準がどれほど低下しようと,エホバは私たちが高い基準を保つことを願っています。(エフェ 6:11‐13

11. ここまででどんな点を学びましたか。(「 得られる教訓」の囲みも参照。)

11 ここまででどんな点を学んだでしょうか。私たちはエホバに受け入れられる崇拝を捧げなければなりません。自分がエホバに喜ばれないことを行っていることに気付いたなら,すぐに正す必要があります。(啓 2:5,16; 3:3,16)では,イエスが小アジアの会衆に向けて語った別の点にも注目してみましょう。

喜んで迫害を忍耐する

サタンは天から投げ落とされた後,神に仕える人たちをどのように攻撃してきたか。(12‐16節を参照。)

12. イエスがスミルナとフィラデルフィアのクリスチャンに語った言葉から何を学べますか。(啓示 2:10

12 イエスがスミルナとフィラデルフィアのクリスチャンに語った言葉を考えてみましょう。イエスは,迫害を恐れてはいけないと述べました。忠実を保つなら報われるからです。 2:10を読む。啓 3:10)どんなことを学べますか。私たちは迫害に遭うことを覚悟し,それを喜んで忍耐する必要があります。(マタ 24:9,13。コリ二 12:10)この点を思いに留めておくべきなのはなぜでしょうか。

13‐14. 神に仕える人たちは,啓示 12章で述べられている出来事からどんな影響を受けますか。

13 「啓示」の書は,神に仕える人たちが「主の日」に,つまり現代に迫害を受けることを述べています。啓示 12章によると,神の王国が設立された直後,天で戦争が起きます。ミカエル(栄光を受けたイエス・キリスト)が忠実な天使たちと共に,サタンや邪悪な天使たちと戦います。(啓 12:7,8)サタンと邪悪な天使たちは戦いに敗れ,地の近辺に投げ落とされます。その結果,地とそこに住む人たちに大きな苦しみがもたらされます。(啓 12:9,12)では,神に仕える人たちはどんな影響を受けるでしょうか。

14 「啓示」の書には,サタンが次にどんな行動を取るかが述べられています。サタンはもはや天に行くことができないので,自分の怒りを,天に行くクリスチャンのうち地上に残っている人たちに向けます。彼らは,神の王国を地上で代表する人たちであり,「イエスについて証言する務めを与えられてい」ます。(啓 12:17。コリ二 5:20。エフェ 6:19,20)この預言はどのように実現してきたでしょうか。

15. 啓示 11章に出てくる「2人の証人」は誰を表していますか。彼らにどんなことが起きましたか。

15 サタンは,王国の良い知らせを伝える面で率先していた天に行くクリスチャンたちを攻撃させました。それらの人のうち主立った兄弟たちは,「啓示」の書の中で「2人の証人」として表されています。この証人は殺されることが預言されていました。 *啓 11:3,7‐11)1918年,大きな責任を担っていた8人の兄弟たちが,偽りの告発によって有罪とされ,長期間の刑を言い渡されました。人間の観点からすれば,彼らの活動は“死んだ”かのように見えました。

16. 1919年にどんな驚くべきことが起きましたか。その時以降も,サタンはどんなことを行っていますか。

16 啓示 11章の預言によると,「2人の証人」はしばらくして生き返ることになっていました。この預言の通り,兄弟たちが投獄された次の年に驚くべきことが起きました。1919年3月,8人の兄弟たちは釈放され,後に告発が取り下げられたのです。兄弟たちはすぐに宣教活動を再開しました。とはいえ,これでサタンの攻撃が終わったわけではありません。この時以降,サタンは神に仕える全ての人に対して,「川」に例えられている迫害を引き起こしてきました。(啓 12:15)そのため,私たち全てには「忍耐と信仰が必要にな」ります。(啓 13:10

エホバから委ねられている活動に励む

17. 神に仕える人たちはサタンの攻撃を受けているにもかかわらず,思いも寄らないどんな助けを得てきましたか。

17 啓示 12章によると,神に仕える人たちは思いも寄らないところから助けを与えられます。「地」が迫害の「川」をのみ込むのです。(啓 12:16)実際,その通りになってきました。時には,サタンの世界のより安定した部分である司法制度などに助けられてきました。何度も裁判で有利な判決を得て,ある程度の自由を勝ち取ってきたのです。では,この自由をどのように用いているでしょうか。エホバから委ねられている活動を行うために十分に活用しています。(コリ一 16:9)その活動にはどんなものが含まれるでしょうか。

神に仕える人たちが伝えているメッセージには,どんな2つの面があるか。(18‐19節を参照。)

18. この終わりの時代に私たちが行うべき重要な活動は何ですか。

18 イエスは,自分に従う人たちが「[神の]王国の良い知らせ」を終わりが来る前に世界中で伝える,と予告しました。(マタ 24:14)その際,彼らは天使からの助けを得ることができます。天使は,「地上に住む人々,すなわち,あらゆる国や民族や言語や種族の人々に伝える,永遠の良い知らせ」を携えています。(啓 14:6

19. エホバを愛する人たちは,どんなメッセージも伝える必要がありますか。

19 神に仕える人たちが伝えるべきなのは,王国の良い知らせだけではありません。彼らは,啓示 8章から10章に出てくる天使たちの活動もサポートする必要があります。それらの天使たちは,神の王国を退ける人たちにどんな災いが臨むかを告げています。それで,エホバの証人は「ひょうと火」のようなメッセージを伝え,サタンの邪悪な体制のさまざまな要素に対する神の裁きを知らせています。(啓 8:7,13)人々は,終わりが近いということを知る必要があります。生き方を大きく変化させるなら,エホバの怒りの日を生き残ることができるからです。(ゼパ 2:2,3)とはいえ,このメッセージは受けの良いものではありません。ですから,このメッセージを伝えるには勇気が必要です。そして,大患難の時に伝えられる最終的な裁きについてのメッセージは,いっそう痛烈なものとなるでしょう。(啓 16:21

預言の言葉を守る

20. 続く2つの記事ではどんなことを取り上げますか。

20 私たちは「啓示」の書の預言の実現と関係があるので,「この預言の言葉」をぜひとも守る必要があります。(啓 1:3)では,忠実を保って迫害を忍耐し,エホバから委ねられているメッセージを大胆に伝え続けるために,どんなことができるでしょうか。次の2つの点を考えることが役に立ちます。(1)「啓示」の書が神の敵たちについて述べていることと,(2)忠実を保つ人に与えられる祝福です。続く2つの記事で,これらの点を取り上げます。

27番の歌 エホバの側に立ちなさい!

^ 私たちはわくわくするような時代に生きています。「啓示」の書に載せられている預言が実現しているからです。この預言は私たちとどんな関係があるのでしょうか。この記事と続く2つの記事では,「啓示」の書について幾つかの点を考えます。私たちの崇拝をエホバ神に受け入れていただくためには,「啓示」の書に書かれていることを守る必要がある,という点についても学びます。

^ 「ものみの塔」2014年11月15日号30ページの「読者からの質問」を参照。