研究記事20

「ヨハネへの啓示」と神の敵たち

「ヨハネへの啓示」と神の敵たち

「それらの息により,王たちはヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれる場所に集められた」。啓示 16:16

133番の歌 救出を神に求めなさい

を学ぶか *

1. 「啓示」の書は,神に仕える人たちについてどんなことを明らかにしていますか。

 「啓示」の書が明らかにしているところによると,神の王国は天に設立され,サタンは天から追い出されました。(啓 12:1‐9)その結果,天は平和な所になりましたが,地上に住む私たちは難しい問題を経験しています。なぜでしょうか。サタンが怒りを抱いて,エホバに忠実に仕えている人たちを攻撃しているからです。(啓 12:12,15,17

2. しっかり立ち続ける上で,どんなことが助けになりますか。

2 どうすれば,サタンの攻撃を受けてもしっかり立ち続けることができるでしょうか。(啓 13:10)将来にどんなことが生じるかを知っておくことは助けになります。例えば,「啓示」の書の中で使徒ヨハネは,私たちが間もなく経験する祝福について述べています。その祝福には,神の敵が滅ぼされるということが含まれています。では,「啓示」の書の中で神の敵がどのように描かれているか,またそれらの敵がどうなるかを調べていきましょう。

神の敵を表す「しるし」

3. 「啓示」の書の中に出てくるしるしには,どんなものがありますか。

3 啓示 1章1節によると,「啓示」の書は「しるしによって」,つまり象徴的な言葉で書かれています。例えば,神の敵は何匹かの野獣で描かれています。まず,「1匹の野獣が海から上ってき」ます。その野獣には「10本の角と7つの頭」があります。(啓 13:1)次に,「別の野獣が地から上ってき」ます。その野獣は竜のように話し,「火を天から地に降らせ」ます。(啓 13:11‐13)その後に登場するのは「緋色の野獣」です。その野獣には娼婦が乗っています。これらの3匹の野獣は,エホバ神と神の王国に長年敵対してきたものを表しています。ですから,これらの野獣の正体を知るのは本当に重要なことです。(啓 17:1,3

4匹の巨な獣

「海から」出てくる。(ダニ 7:1‐8,15‐17)これらの獣は,神に仕える人たちに大きな影響を与えた,ダニエルの時代以降の世界強国を表している。(4,7節を参照。)

4‐5. 野獣が何を表しているかを理解する上で,ダニエル 7章15‐17節はどのように助けとなりますか。

4 神の敵の正体を知るためには,この象徴的な言葉が何を意味するのかを理解する必要があります。そうする上で,聖書そのものを調べることが役に立ちます。「啓示」の書に出てくる象徴的な言葉の多くは,聖書のほかの部分ですでに説明されています。例えば,ダニエルは夢の中で,「4匹の巨大な獣が海から出て」くるのを見ました。(ダニ 7:1‐3)そして,それが何を意味するかを述べています。4匹の巨大な獣は,4人の「王」,つまり政府を表しています。ダニエル 7:15‐17を読む。)このはっきりした説明から,「啓示」の書に出てくる野獣も政治勢力を表しているに違いない,と理解することができます。

5 これから,「啓示」の書に出てくるしるしの幾つかを調べていきます。それらのしるしにどんな意味があるかを理解する上で,聖書が役に立つということが分かるでしょう。まずは,3匹の野獣について調べます。それぞれの野獣は何を表していますか。それらの野獣はどうなりますか。私たちは何を行うべきですか。では,順番に考えていきましょう。

神の敵の正体が明らかにされる

7つの頭がある野

「海から」上ってくる。7つの頭と10本の角と10の王冠がある。(啓 13:1‐4)この野獣は,これまで人類を支配してきた全ての政府を表している。7つの頭は,神に仕える人たちに大きな影響を与えてきた7つの世界強国を表している。(6‐8節を参照。)

6. 啓示 13章1‐4節に出てくる,7つの頭がある野獣は何を表していますか。

6 7つの頭がある野は何を表しているか。 13:1‐4を読む。)この野獣は,体はヒョウですが,足は熊の足で,口はライオンの口です。そして,10本の角があります。これらの特徴は,ダニエル 7章に出てくる4匹の獣の特徴と一致します。とはいえ,「啓示」の書ではこれらの特徴が,4匹の別々の獣としてではなく,1匹の野獣として描かれています。また,この野獣は「あらゆる民族や種族や言語や国の人々を支配する」とも述べられています。ですから,それは単なる1つの政府や国を表しているのではなく,もっと大きなものを表しています。(啓 13:7)この野獣は,これまで人類を支配してきた全ての政府を表しているに違いありません。 *伝 8:9

7. 野獣の7つの頭のそれぞれには,どんな意味がありますか。

7 7つの頭のそれぞれにはどんな意があるか。啓示 17章にヒントがあります。そこには,啓示 13章に出てくる野獣の像についての説明があります。17章10節にはこう述べられています。「7人の王がいるということです。5人はすでに倒れ,1人は今おり,もう1人はまだ来ていません。来たら,少しの間とどまらなければなりません」。サタンが用いてきた政治勢力のうち,「頭」のように際立っているものが7つあります。それは,神に仕える人たちに大きな影響を与えてきた世界強国のことです。ヨハネの時代までに,5つの世界強国が現れていました。エジプト,アッシリア,バビロン,メディア・ペルシャ,ギリシャです。そして,ヨハネが啓示を与えられた時,6番目の世界強国であるローマが支配していました。では7番目の頭,つまり最後の世界強国は何でしょうか。

8. 野獣の7番目の頭は,何を表していますか。

8 これから考える通り,7番目の,そして最後の頭が何を意味しているかを理解する上で,ダニエル書の預言が助けになります。「主の日」,つまりこの終わりの時に支配している世界強国は何でしょうか。(啓 1:10)それは,協力し合うイギリスとアメリカ合衆国,つまり英米世界強国です。ですから,啓示 13章1‐4節に出てくる野獣の7番目の頭は,英米世界強国を表していると言えます。

のような2本の角がある野

「地から」上ってきて「竜のように」話す。「火を天から地に降らせ」,「偽預言者」として奇跡を行う。(啓 13:11‐15; 16:13; 19:20)2本の角を持つ野獣であり,偽預言者でもある英米世界強国は,地上に住む人たちを惑わし,7つの頭と10本の角がある「野獣」の「像を造る」ようにと言う。(9節を参照。)

9. 「子羊のような2本の角があ」る野獣は何を表していますか。

9 啓示 13章の続く部分では,7番目の頭である英米世界強国が「子羊のような2本の角があ」る野獣として描かれています。この野獣は「竜のように話し始め」,「大きな奇跡を行い,人類の前で火を天から地に降らせることさえ」します。(啓 13:11‐15啓示 16章19章で,この野獣は「偽預言者」とも述べられています。(啓 16:13; 19:20)ダニエル書にも同じようなことが書かれています。ダニエルは,英米世界強国が「ひどい滅びをもたら[す]」と述べました。(ダニ 8:19,23,24,脚注)このことは,第2次世界大戦の時に,実際に起きました。この戦争を終わらせる上で大きな役割を果たした2つの原子爆弾は,イギリスとアメリカの科学者によって造られたものでした。こうして,英米世界強国はいわば「火を天から地に降らせ」たのです。

の野

この野獣の上に,娼婦である大いなるバビロンが乗っている。この野獣は8人目の王と呼ばれている。(啓 17:3‐6,8,11)この野獣は,初めは娼婦に操られているが,後に娼婦を滅ぼす。この娼婦は,世界を惑わしている間違った宗教全体を表している。この野獣は,現在では,世界的な政治体制のために活動している国際連合を表している。(10,14‐17節を参照。)

10. 「野獣の像」は何を表していますか。(啓示 13:14,15; 17:3,8,11

10 次に,もう1匹の野獣について考えてみましょう。この野獣は,7つの頭がある野獣と見た目がほとんど同じですが,色は緋色です。この野獣は,「野獣の像」,また「8人目の王」と呼ばれています。 * 13:14,15; 17:3,8,11を読む。)この「王」は登場した後,一度存在しなくなり,その後再び現れると述べられています。この表現は,世界的な政治体制のために活動している国際連合機構にぴったり当てはまります。この組織は,初め国際連盟として登場し,第2次世界大戦の時に存在しなくなり,現在,国際連合として再び現れています。

11. 野獣はどんなことを行いますか。それを恐れる必要がないのはなぜですか。

11 政治勢力を表しているこれらの野獣は,間違った情報を流すことにより,エホバとエホバに仕える人たちに対する反対をあおります。そして,「全世界の王たち」をハルマゲドンの戦争,つまり「全能の神の大いなる日の戦争」にいわば集めます。(啓 16:13,14,16)とはいえ,私たちは恐れる必要はありません。偉大な神エホバが,ご自分の統治を支持する全ての人を救うために,すぐに行動してくださるからです。(エゼ 38:21‐23

12. これらの野獣はどうなりますか。

12 これらの野はどうなるか。啓示 19章20節にこう述べられています。「野獣は捕らわれ,野獣の前で奇跡を行った偽預言者も捕らわれた。偽預言者は,野獣の印を受けた者たちと野獣の像を崇拝する者たちを,奇跡によって惑わしていたのである。野獣も偽預言者も生きたまま,硫黄が燃える火の湖に投げ込まれた」。ですから,神に敵対するこれらの政治勢力は,まだ機能している間に永遠に滅ぼされることになるのです。

13. クリスチャンは政府からどんな圧力を受けますか。

13 たちは何をすべきか。クリスチャンである私たちは,神と神の王国に忠実でなければなりません。(ヨハ 18:36)そのためには,政治的な事柄に関して中立を保つ必要があります。そうするのは非常に難しい場合があります。政府から,言葉と行いの両方の面で全面的に支持するようにという圧力をかけられるからです。とはいえ,この圧力に負ける人は野獣の印を受けます。(啓 13:16,17)そして,エホバの怒りを買い,永遠の命を失うことになります。(啓 14:9,10; 20:4)ですから,政府からどんな圧力を受けるとしても,中立を固く保つのは本当に重要なことです。

大娼婦の不名誉な最期

14. 啓示 17章3‐5節からすると,ヨハネはどんなものを見て驚きましたか。

14 ヨハネはあるものを見て,「非常に驚いた」と述べています。何を見たのでしょうか。恐ろしい野獣に乗っている1人の女性です。(啓 17:1,2,6)この女性は「大娼婦」で,「大いなるバビロン」と呼ばれています。そして,「地上の王たち」と「性的に不道徳な行為」をします。 17:3‐5を読む。)

15‐16. 「大いなるバビロン」とは何ですか。どうしてそう言えますか。

15 「大いなるバビロン」とは何か。この女性は,政治組織を表しているわけではありません。なぜでしょうか。彼女は政治指導者たちと不道徳なことを行う,と述べられているからです。(啓 18:9)そして,野獣に乗っていることから,これらの支配者たちを操ろうとしていることが分かります。また,この女性は,サタンの世界の貪欲な商業体制を表しているわけでもありません。商業体制は,「地上の商人たち」として描かれているからです。(啓 18:11,15,16

16 聖書の中で「娼婦」という言葉は,神に仕えると言いながら,偶像崇拝を行ったり世の友になったりする人たちのことを表すことがあります。(代一 5:25,脚注。ヤコ 4:4,脚注)一方,忠実に神を崇拝する人たちのことは,「貞潔な処女」や「童貞」と表現されています。(コリ二 11:2。啓 14:4)古代バビロンは,間違った崇拝の中心地でした。ですから,大いなるバビロンは,ありとあらゆる間違った崇拝と深い関わりがあるに違いありません。それは,世界を惑わしている間違った宗教全体を表しています。(啓 17:5,18。jw.orgの「大いなるバビロンとは何ですか」という記事を参照。)

17. 大いなるバビロンはどうなりますか。

17 いなるバビロンはどうなるか。啓示 17章16,17節にはこのように述べられています。「あなたが見た10本の角と野獣は,娼婦を憎み,破滅させて裸にし,彼女の肉を食い尽くし,彼女を火で焼き尽くします。神が,ご自分の考えを彼らの心に入れて実行させたからです」。エホバは,国々が緋色の野獣つまり国際連合を用いて,世界を惑わしている間違った宗教全体を攻撃し,それを完全に滅ぼすようにします。(啓 18:21‐24

18. どうすれば大いなるバビロンと一切関わりを持たないようにできますか。

18 たちは何をすべきか。私たちは,「神から見て,清く汚れのない崇拝の型」を守る必要があります。(ヤコ 1:27)大いなるバビロンの間違った教えや,祝祭や,堕落した道徳基準や,心霊術の影響を受けないようにするべきです。そして,人々が大いなるバビロンの罪に関わらないよう,「彼女から出なさい」と呼び掛け続けます。(啓 18:4

神の最大の敵に対する裁き

のような色の竜

サタンは,7つの頭がある野獣に権威を与える。(啓 12:3,9,13; 13:4; 20:2,10)エホバの最大の敵サタンは,底知れぬ深みに1000年間閉じ込められる。その後,「火と硫黄の湖」に投げ込まれる。(19‐20節を参照。)

19. 火のような色の大きな竜は誰を表していますか。

19 「啓示」の書には,「火のような色の大きな竜」についても述べられています。(啓 12:3)この竜は,イエスや天使たちと戦います。(啓 12:7‐9)また,神に仕える人たちを攻撃し,野獣で表されている政治勢力に権威を与えます。(啓 12:17; 13:4)この竜とは誰のことでしょうか。それは,「あの初めの蛇で,悪魔サタンと呼ばれ……ている者」です。(啓 12:9; 20:2)サタンは,神の敵全ての背後にいる黒幕です。

20. 竜はどうなりますか。

20 はどうなるか。啓示 20章1‐3節には,1人の天使がサタンを底知れぬ深みに投げ込むと述べられています。そこは牢獄のような場所です。そしてサタンは,1000年が終わるまで,もはや人々を惑わすことができなくなります。最終的に,サタンと邪悪な天使たちは「火と硫黄の湖」に投げ込まれ,永遠に滅ぼされます。(啓 20:10)サタンも邪悪な天使たちもいない世界を想像してみてください。本当に素晴らしい時代がやって来るのです。

21. 「啓示」の書を読む人が幸福だと言えるのはなぜですか。

21 「啓示」の書に載せられているしるしの意味について理解することができて,本当に励みを得たのではないでしょうか。神の敵たちの正体について知っただけでなく,それらの敵たちがどうなるかについても学ぶことができました。確かに,「この預言の言葉を朗読する人と,それを聞[く]人たちは,幸福で[す]」。(啓 1:3)では,神の敵たちが滅ぼされた後,忠実な人たちにはどんな祝福が与えられるのでしょうか。この点については次の記事で考えます。

30番の歌 エホバは支配を開始される

^ 「啓示」の書に載せられているしるしは,神の敵が誰であるかを明らかにしています。そのしるしを理解する上で,ダニエル書は役立ちます。この記事では,啓示の預言とそれに似ているダニエルの預言を比較して考えます。そうすれば神の敵が誰であるかを理解できるでしょう。また,神の敵たちがどうなるかについても考えます。

^ 7つの頭がある野獣に「10本の角」があることからも,これが全ての政府を表していることが分かります。10という数字は聖書の中で,全体性を表すためによく用いられています。

^ 最初の野獣とは違い,この野獣の像の角には「王冠」がありません。(啓 13:1)それは,この野獣の像が「7人の王から生まれ」たもので,それらの王から権威を与えられているからです。(jw.orgの「啓示 17章の緋色の野獣は何を表わしていますか」という記事を参照。)