研究記事23
親の皆さん,エホバを愛するようお子さんを助けてください
「あなたは,心を尽くし,知力を尽くし,自分の全てを尽くして,あなたの神エホバを愛さなければならない」。マタイ 22:37
88番の歌 子どもたち ― 神から託されたもの
何を学ぶか *
1‐2. 状況が変わると,聖書の教えがいっそう大きな意味を持つようになる,と言えるのはなぜですか。
結婚式の日,幸せいっぱいの花婿と花嫁が,結婚に関する聖書の話を真剣に聞いています。その話の内容は,それまで何度も聞いたことがあるものです。とはいえ,これからは,それらの教えは2人にとってさらに大きな意味を持つようになります。なぜでしょうか。2人は夫婦としてそれを当てはめていくことになるからです。
2 クリスチャンの夫婦が親になる場合も,同じことが言えます。子供を育てることについての話は,これまで何度も聞いてきたことでしょう。とはいえ,親になる2人にとって,これらの教えはさらに大きな意味を持つようになります。自分の子供を育てることになるからです。これは本当に大きな責任です。よく知っている聖書の教えも,状況が変わるといっそう大きな意味を持つようになります。だからこそ,エホバに仕える人たちは,イスラエルの王たちが命じられていたように「生涯ずっと」聖書を読み,それをじっくり考えるのです。(申 17:19)
3. この記事ではどんな点を考えますか。
3 親の皆さん,エホバについて子供に教えることは,クリスチャンに委ねられている責任の中でもとても名誉あることです。とはいえ皆さんは,エホバについて単に伝えるだけでなく,エホバを心から愛するよう教えたいと思っていることでしょう。では,どうすればそうできるでしょうか。この記事では,親である皆さんの助けとなる聖書の教えを4つ考えます。(テモ二 3:16)また,聖書の教えを実践して祝福を味わっている親たちの実例も取り上げます。
親の助けとなる4つの教え
4. エホバを心から愛するよう子供を教える上で,どんなことが助けになりますか。(ヤコブ 1:5)
4 (1)エホバに導きを求める。エホバを愛するよう子供を助ける面で必要な知恵をエホバに求めましょう。(ヤコブ 1:5を読む。)エホバほど良いアドバイスができる方はほかにいません。そう言える理由は幾つもあります。その1つは,エホバが親として非常に長い経験を持っていることです。(詩 36:9)そして,エホバの良いアドバイスは,いつもためになります。(イザ 48:17)
5. (ア)エホバは組織を通して,親のためにどんなものを与えていますか。(イ)動画を見て,アモリン兄弟姉妹が子供を育てた方法からどんなことを学べましたか。
5 エホバは,聖書や組織を通して,エホバを愛するよう子供を育てるのに役立つ資料をたくさん与えてくださっています。(マタ 24:45)例えば,「結婚と子育て」というシリーズ記事や,「あなたの家族も幸せになれます」の冊子から良いアドバイスを見つけることができます。これらの出版物はウェブサイトから見ることができます。また,このウェブサイトでは,エホバからのアドバイスを当てはめて子供を育てるのに役立つインタビューやドラマを見ることもできます。 * (格 2:4‐6)
6. 1人の父親は,自分と妻がエホバの組織から与えられている導きについて,どう感じていますか。
6 エホバが組織を通して与えてくださっている助けに,多くの親たちが心から感謝しています。父親であるジョー兄弟はこう言います。「真理の道を歩むよう3人の子供を育てるのは,簡単なことではありません。私も妻も,助けを求めていつもエホバに祈っています。私たちがまさに必要としている内容の記事や動画がぴったりのタイミングで与えられた,ということが何度もあります。エホバからの導きがなければ,やっていくことはできません」。ジョー兄弟と妻は,こうした記事や動画のおかげで,子供たちにとってエホバが身近な存在になっている,と感じています。
7. 親が良い手本を示すことが大切なのはなぜですか。(ローマ 2:21)
7 (2)手本によって教える。子供は,親をよく見ていて,まねをするものです。もちろん,完璧な親は一人もいません。(ロマ 3:23)それでも,親は子供の良い手本となるよう,精いっぱい努力するべきです。(ローマ 2:21を読む。)1人の父親はこう言っています。「子どもはスポンジのように親の言うことやすることをすべて吸収します。言うこととすることが少しでも違うと,そこをついてきます」。ですから,子供がエホバを愛するようになることを願っているなら,親自身がエホバを深く愛し,そのことが子供に伝わるようにする必要があります。
8‐9. アンドリュー兄弟とエマ姉妹のコメントから,どんなことを学べますか。
8 エホバを愛するよう子供を教える方法はいろいろあります。17歳のアンドリュー兄弟はこう言います。「両親は,祈りの大切さをいつも教えてくれました。夜になると,私が自分で祈った後であっても,父は必ず私と一緒に祈ってくれました。両親は,『祈りたいと思う時には,何度でも祈っていいんだよ』といつも言っていました。こうして,祈りの大切さをしっかり教えてくれました。おかげで,私はいつでもためらうことなくエホバに祈ることができますし,エホバを愛情深いお父さんだと感じています」。親の皆さん,エホバに対する自分の愛が子供にとても良い影響を与えるということを忘れないでください。
9 エマ姉妹の例も考えてみましょう。父親が多くの借金を残して出ていってしまったため,母親がその借金を返さなければならなくなりました。姉妹はこう言っています。「母は,お金に困ることが何度もありましたが,『エホバはご自分に仕える人を気遣い,必要な物を必ず与えてくださる』といつも言っていました。母の生き方を見ていると,その言葉を本当に信じているんだ,ということがよく分かりました。母は,私に教えた通りに行動していました」。どんなことを学べるでしょうか。親は,たとえ難しい問題にぶつかっているとしても,手本によって教えることができる,ということです。(ガラ 6:9)
10. イスラエル人の親は,どんな機会に子供と会話することができましたか。(申命記 6:6,7)
10 (3)子供とよく会話する。エホバは,ご自分について子供にどんな時にも教えるよう,古代のイスラエル人に命じました。(申命記 6:6,7を読む。)イスラエル人の親には,一日の中で,子供と話し,エホバを愛するよう子供を教える機会がたくさんありました。例えば,男の子は,作物を植えたり収穫したりして,父親と一緒に長い時間働いたことでしょう。また,女の子は,縫い物をしたり,布を織ったり,家事をしたりして,一日の大半を母親と一緒に過ごしたことでしょう。親は,こうして子供と一緒に働く時に,大切なことについて話し合うことができました。例えば,エホバが善い神であることや,自分たち家族をどのように助けてくださったかということなどです。
11. クリスチャンである親は,どんな機会に子供と会話することができますか。
11 でも,時代は変わりました。多くの地域では,親と子供が一日中一緒に過ごすことはできません。親は仕事に行き,子供は学校に行くからです。それで親は,機会を逃さずに子供と会話するようにしなければなりません。(エフェ 5:15,16。フィリ 1:10)家族の崇拝はそうする良い機会と言えます。若いアレグザンダー兄弟はこう言います。「父は,家族の崇拝を欠かさずに行ってくれます。ほかの予定が入ったせいでキャンセルになる,ということは決してありません。そして,勉強の後には家族でいろんな会話をします」。
12. 家族の頭は,家族の崇拝の時にどんなことに注意する必要がありますか。
12 家族の頭は,どうすれば家族の崇拝を子供にとって楽しい時間にできるでしょうか。最近発表された「いつまでも幸せに暮らせます」の本を使うなら,子供と良い会話をすることができるでしょう。子供に本当の気持ちを話してもらうためには,家族の崇拝を,お説教をしたり叱ったりする時間にしてはいけません。また,子供が聖書の教えに沿わないことを言うとしても,怒ったりしないようにしましょう。子供が本当の気持ちを話してくれた時には,うれしく思っていることや,これからも気軽に話してほしいと思っていることを伝えることができます。子供の本当の気持ちを理解して初めて,子供を十分に助けることができるからです。
13. 親はどんな時に,子供がエホバを身近に感じるよう助けることができますか。
13 親の皆さん,毎日さまざまな機会に,お子さんがエホバを身近に感じられるよう助けてください。座って聖書を勉強する時以外にも,愛情深い神エホバについて教えることができます。母親であるリサ姉妹はこう言います。「私たちは,創造物を活用して,エホバのことを子供たちに教えました。例えば,うちの犬の面白いしぐさを見て子供たちが笑った時には,エホバがユーモアのセンスがある方で,私たちと同じように楽しいことが好きな方だ,ということを伝えるようにしました」。
14. 親にとって,良い友達をつくるよう子供を助けることが大切なのはなぜですか。(格言 13:20)
14 (4)良い友達をつくるよう助ける。聖書は,友達からは良くも悪くも影響を受ける,と教えています。(格言 13:20を読む。)親の皆さん,お子さんがどんな人を友達にしているか,知っていますか。その子たちと会ったり一緒に過ごしたりしたことがありますか。どうすれば,エホバを愛している人と友達になるよう,子供を助けられるでしょうか。(コリ一 15:33)エホバとの強い絆を持っている人を招待して,一緒に時間を過ごすことができます。(詩 119:63)
15. 子供たちが良い友達をつくれるよう助けるために,親にはどんなことができますか。
15 父親であるトニー兄弟の例を考えてみましょう。兄弟と妻は,子供たちが良い友達をつくれるよう助けるために,どんなことをしたでしょうか。兄弟はこう述べています。「何年にもわたって,私たち夫婦は,さまざまな経験を持ついろいろな年齢の兄弟姉妹を家に招いてきました。一緒に食事をしたり,家族の崇拝に参加してもらったりしました。そうすると,兄弟姉妹がエホバを愛し,喜んでエホバに仕えている様子についてよく知ることができます。また,巡回監督や宣教者などに家に泊まってもらう機会もありました。そうした兄弟姉妹の経験や熱意や自分を進んで差し出す態度から,子供たちは多くのことを学び,エホバを身近に感じるようになりました」。親の皆さん,良い友達をつくるようお子さんをぜひ助けてください。
諦めないでください
16. 子供がエホバに仕えるのをやめると言う場合,どうしたらよいでしょうか。
16 親が精いっぱい努力したにもかかわらず,子供が,自分はエホバに仕えるのをやめる,と言う場合はどうでしょうか。子育てに失敗した,とは考えないでください。エホバは全ての人に,あなたのお子さんにも自由意思を与えています。ですから,エホバに仕えるかどうかはそれぞれが決めるべきことです。子供がエホバから離れたとしても,諦めないでください。いつかエホバのもとに戻ってくる,という希望を持ち続けましょう。いなくなった息子の例えを思い出してください。(ルカ 15:11‐19,22‐24)この若者は,正しい道から大きくそれましたが,最後には戻ってきました。でもある人は,「それは例えで,現実にはそんなことは起きないんじゃないか」と言うかもしれません。本当にそうでしょうか。大勢の人がエホバのもとに戻ってきました。若いイーリー兄弟もその1人です。
17. イーリー兄弟の経験から,どんな励みが得られますか。
17 イーリー兄弟はこう言います。「両親は……わたしにエホバとみ言葉 聖書に対する愛を植え込むよう最善を尽くしてくれました。ところがわたしは,十代になって反抗するようになり……ました」。兄弟は,親から隠れて悪いことを行うようになりました。両親は,エホバのもとにとどまるよう助けようとしましたが,兄弟はそれを全てはねつけました。家を出てからは,ますます悪いことを行うようになりました。それでも,1人の友達と聖書について話すこともありました。兄弟はこう言います。「エホバのことを話せば話すほど,エホバのことを考えている自分に気づきました。わたしの心の中で眠っていた,聖書の真理という種 ― 両親が懸命に植え付けてくれた種 ― が,ゆっくりとはいえ確実に芽を出し始めました」。やがて兄弟は,エホバのもとに戻ってきました。 * 兄弟の両親は,エホバを愛するよう幼い時から子供を教えてきて本当に良かったと感じたに違いありません。(テモ二 3:14,15)
18. エホバを愛するよう子供を教える面で一生懸命努力している親の皆さんのことを,あなたはどう思いますか。
18 親の皆さんには,エホバに仕えるよう新しい世代を育てるという素晴らしい務めがエホバから与えられています。(詩 78:4‐6)この務めを果たすのは,簡単なことではありません。皆さんが努力を惜しむことなくお子さんを助けているのは,本当に立派なことです。皆さんができる限りのことをして,エホバを愛するようお子さんを教え,エホバが望む指導と助言によって育てていくなら,愛情深い天のお父さんエホバは,必ず喜んでくださいます。(エフェ 6:4)
89番の歌 エホバの温かな呼びかけ ―『我が子よ,賢くありなさい』
^ クリスチャンである親は,子供を心から愛しています。それで,物質面でも感情面でも子供の必要を満たすために努力を払っています。さらに重要なこととして,エホバを深く愛するよう子供を教えるために,できる限りのことを行っています。この記事では,こうした面で親の助けとなる聖書の教えを4つ取り上げます。
^ jw.orgにある「エホバの方法で子どもを育てる」という動画を参照。
^ 「ものみの塔」2012年5月15日号の「聖書は人の生き方を変える」という記事を参照。
^ 写真や挿絵: 1人の父親が,息子の友達と知り合うために,一緒にバスケットボールをしている。
「ものみの塔」(研究用)