研究記事31

祈りという宝を大切にしましょう

祈りという宝を大切にしましょう

「私の祈りが,あなたに捧げられる香のようになりますように」。詩編 141:2

67番の歌 日ごとにエホバに祈りなさい

を学ぶか *

1. エホバに祈れることについてどう感じていますか。

 私たちは,天と地を造った方に祈りで近づくことができます。これは,この上なく名誉なことです。考えてみてください。いつでも,どの言語でも,予約を入れなくても,自分の気持ちをエホバに打ち明けることができるのです。入院していても,刑務所に入れられていても,愛情深いお父さんエホバが必ず聞いてくださるという確信を持って祈ることができます。私たちは,この祈りという宝を決して当たり前のものとは考えていません。

2. ダビデ王が祈りを宝のように大切にしていたことは,どんなことから分かりますか。

2 ダビデ王は祈りを宝のように大切にしていました。エホバにこう歌いました。「私の祈りが,あなたに捧げられる香のようになりますように」。(詩 141:1,2)ダビデの時代,真の崇拝を行う時に祭司が捧げた神聖な香は注意深く調合されたものでした。(出 30:34,35)ダビデが祈りを香に例えたことから,天のお父さんエホバに祈る時には自分の言葉を注意深く選びたいと思っていたことが分かります。私たちも同じように,自分の祈りをエホバに喜んでいただけるものにしたいと心から願っています。

3. エホバに祈る時にはどんな態度で祈るべきですか。なぜですか。

3 エホバに祈る時には,なれなれしい言葉を使うのではなく,深い敬意を込めて話す必要があります。イザヤ,エゼキエル,ダニエル,ヨハネに与えられた驚くべき幻について考えてみましょう。これらの幻はそれぞれ違うものでしたが,共通点もありました。エホバを威厳のある王として描いていたのです。イザヤは「高い所にある王座に座って」いる「エホバを見」ました。(イザ 6:1‐3)エゼキエルは,エホバが天の兵車に乗っているのを見ました。「その方の周りは光り輝いており,……虹のよう」でした。(エゼ 1:26‐28)ダニエルは「年月を経た方」が白い衣服を着ているのを見ました。その王座からは炎が出ていました。(ダニ 7:9,10)そして,ヨハネは王座に座っているエホバを見ました。その王座の周りには,エメラルドのような色の美しい虹が懸かっていました。(啓 4:2‐4)エホバのこうした素晴らしい栄光について考えると,エホバに祈りで近づけるのがいかに名誉なことか,深い敬意を持って祈るのがいかに大切なことかを理解できます。では,どんなことを祈ったらよいのでしょうか。

「それで,このように祈らなければなりません」

4. 模範的な祈りの最初の部分からどんなことを学べますか。(マタイ 6:9,10

4 マタイ 6:9,10を読む。イエスは,山上の垂訓の中で弟子たちに対して,どんな祈りを捧げるならエホバに喜んでいただけるかを教えました。「それで,このように祈らなければなりません」と述べた後,まずエホバの目的と直接関係がある点を幾つか挙げました。それは,エホバのお名前が神聖なものとされること,神の敵全てを滅ぼす神の王国が来ること,人類や地球にエホバがもたらそうとしている将来の祝福のことです。私たちはこうしたことを祈る時,エホバの望まれることが自分にとって大切であるということを示せます。

5. 個人的なことも祈ることができますか。

5 模範的な祈りの続く部分で,イエスは,個人的なことも祈れることを示しました。私たちは毎日の食物や罪の許しや誘惑からの保護や邪悪な者からの救出を求めてエホバに祈ることができます。(マタ 6:11‐13)こうしたことを求めることによって,私たちはエホバに頼っていることや,エホバから良いと認めていただきたいと思っていることを示せます。

夫は妻と共にどんなことを祈れるか。(6節を参照。) *

6. 模範的な祈りに挙げられていないことも祈れますか。

6 イエスは,弟子たちが模範的な祈りを一字一句その通りに祈ることを望んでいたわけではありません。イエス自身,その時その時に気に掛かっていたことを祈ったことがありました。(マタ 26:39,42。ヨハ 17:1‐26)ですから,私たちも自分の気に掛かっていることを祈ることができます。何かの決定を下さなければいけない時には,知恵や理解を求めて祈ることができます。(詩 119:33,34)難しい割り当てに取り組む時には,洞察力や識別力を求めて祈れます。(格 2:6)親は子供のために,子供は親のために祈ることができます。そして,私たち全ては,聖書を学んでいる人や,真理を伝えている相手のために祈ることができますし,そうする必要があります。とはいえ,祈りの内容がお願いだけになってしまってはいけません。

どんなことについてエホバに賛美や感謝の祈りを捧げられるか。(7‐9節を参照。) *

7. 祈る時にエホバを賛美するべきなのはなぜですか。

7 祈る時には,エホバをすることも忘れてはいけません。エホバほど賛美を受けるのにふさわしい方はほかにいないからです。エホバは「善い方で,快く許してくださいます」。また,「憐れみ深く,思いやりがある神です。すぐに怒らず,揺るぎない愛に満ち,常に信頼できます」。(詩 86:5,15)エホバがどんな方で,どんなことを行っているかについて考えると,エホバを賛美せずにはいられません。

8. エホバにどんなことを感謝できますか。(詩編 104:12‐15,24

8 祈る時には,エホバを賛美することに加えて,エホバが与えてくださっているさまざまな良いものについてすることも大切です。例えば,色とりどりの花や,さまざまな種類のおいしい食べ物や,友との爽やかな交友があります。愛情深いお父さんエホバがこうしたものをはじめ,たくさんのものを与えてくださっているのは,私たちの幸福を願っているからです。 104:12‐15,24を読む。)さらに重要なこととして,私たちは信仰を強める食物や将来の素晴らしい希望についてもエホバに感謝することができます。

9. 忘れずにエホバに感謝するためにどんなことができますか。(テサロニケ第一 5:17,18

9 気を付けていないと,私たちは,エホバからしていただいたことについて感謝の祈りを捧げるのを忘れてしまうことがあります。では,どうすれば忘れずに感謝できるでしょうか。自分が具体的に祈ったことをリストにして,それを時折見返すことができます。そして,エホバが祈りに答えてくださったことについて感謝の祈りを捧げましょう。テサロニケ第 5:17,18を読む。)次のように考えてみてください。私たちは誰かから感謝してもらえると,とてもうれしく感じるものです。同じように,私たちが忘れずに祈りで感謝するなら,エホバもうれしく感じます。(コロ 3:15)とはいえ,エホバに感謝するべきもっと大切なことがあります。

大切な独り子イエスについてエホバに感謝する

10. ペテロ第一 2章21節によると,エホバがイエスを地上に遣わしてくださったことに感謝するべきなのはなぜですか。

10 ペテロ第 2:21を読む。私たちは,エホバが私たちを教えるために大切な独り子イエスを遣わしてくださったことに感謝するべきです。私たちは,イエスの生き方を調べることによって,エホバについて,また,どうすればエホバに喜んでいただけるかについて多くのことを学ぶことができます。そして,キリストの犠牲に信仰を抱くなら,エホバ神との温かな絆や平和な関係を得ることができます。(ロマ 5:1

11. 私たちがイエスの名によって祈るのはなぜですか。

11 私たちは,エホバが独り子イエスを通して祈れるようにしてくださっていることにも感謝しています。エホバは私たちの願いを聞き届けるためにイエスを用いています。イエスの名によって捧げられる祈りに耳を傾け,答えてくださるのです。イエスはこう言っています。「あなたたちが私の名によって願い求めることが何であっても,私はそれを行います。父が子に関して称賛を受けるためです」。(ヨハ 14:13,14

12. イエスについて,ほかにもどんなことをエホバに感謝できますか。

12 エホバは,イエスの贖いの犠牲に基づいて私たちの罪を許してくださいます。聖書は,イエスのことを「天で威光に輝く神の座の右に座」る「大祭司」と呼んでいます。(ヘブ 8:1)また,「父のもとにい」て「私たちを助けてくださる方」とも述べています。(ヨハ一 2:1)イエスは私たちの弱さを理解し,「私たちのために願い出てくださ」います。私たちは,こうした同情心に富む大祭司を与えてくださっていることをエホバに深く感謝しています。(ロマ 8:34。ヘブ 4:15)私たちは完全ではないので,イエスの犠牲がなければエホバに祈りで近づくことはできません。エホバは大切な独り子という貴重な贈り物を与えてくださいました。私たちはこのことにどれほど感謝しても感謝し切れません。

仲間のために祈る

13. イエスは亡くなる前の晩,弟子たちへの愛をどのように示しましたか。

13 イエスは,亡くなる前の晩,弟子たちのためにエホバに長い祈りを捧げ,「この人たちを……邪悪な者から守ってくださるようお願いします」と言いました。(ヨハ 17:15)弟子たちのことを心から愛していたのです。イエスは,自分が間もなく非常に難しい試練に遭うことを理解していましたが,それでも弟子たちのことを心配していました。

仲間のためにどんなことを祈れるか。(14‐16節を参照。) *

14. 仲間を愛していることをどのように示せますか。

14 私たちはイエスに倣い,自分のことにばかり目を向けるのではなく,仲間のクリスチャンのためにいつも祈ります。そうするなら,互いに愛し合うようにというイエスの命令に従っていることになりますし,私たちが仲間を深く愛していることをエホバに示すこともできます。(ヨハ 13:34)仲間のために祈ることは決して無駄ではありません。聖書には,「正しい人の祈願には大きな力があります」と書かれています。(ヤコ 5:16

15. 仲間のために祈る必要があるのはなぜですか。

15 クリスチャンの兄弟姉妹はさまざまな試練を経験しているので,私たちの祈りを必要としています。私たちは,兄弟姉妹が病気や自然災害や戦争や迫害などを忍耐できるよう助けを求めてエホバに祈ることができます。また,一生懸命に救援を行っている兄弟姉妹のためにも祈れます。こうした難しい試練を経験している人を実際に知っているなら,個人的に祈る時に名前を挙げて祈ることができるでしょう。私たちは,兄弟姉妹を助けてくださるようエホバに祈ることによって,仲間を心から愛していることを示せます。

16. 教え導いている人たちのために祈るべきなのはなぜですか。

16 会衆で教え導いている兄弟たちのためにも祈れます。そうした兄弟たちは,私たちの祈りに深く感謝しており,そうした祈りに助けられています。パウロもそうでした。パウロはこう言いました。「私のためにも祈ってください。私が口を開くときに適切な言葉が出てくるように祈っていただければ,私は良い知らせの神聖な秘密を大胆に語って人々に知らせることができます」。(エフェ 6:19)現代でも,大勢の兄弟たちが私たちを教え導くために熱心に働いています。私たちはそうした兄弟たちを愛しているので,エホバが兄弟たちの働きを祝福してくださるよう祈ります。

ほかの人を代表して祈る時

17‐18. どんな時にほかの人を代表して祈るよう頼まれるかもしれませんか。その場合,どんなことを覚えておくべきですか。

17 時には,ほかの人を代表して祈るよう頼まれることもあります。例えば,聖書レッスンを行っている姉妹が,参加してくれる姉妹に祈りをお願いすることがあるかもしれません。頼まれた姉妹は,学んでいる人のことをよく知らない場合,レッスンの終わりに祈りたいと思うかもしれません。そうすれば,学んでいる人をよく理解した上で祈ることができます。

18 兄弟たちは野外奉仕のための集まりや集会の時に祈るよう頼まれるかもしれません。その場合,集まりや集会の目的を覚えておく必要があります。祈りは助言や発表を行うためのものではありません。また,集会では多くの場合,賛美の歌と祈りのための時間は合計5分となっています。それで,集会で祈る場合,特に始めの祈りでは,「多くの言葉」を使って長く祈る必要はないでしょう。(マタ 6:7

毎日の生活の中で祈りを大切にする

19. エホバの処罰の日に備えるために,どんなことができますか。

19 エホバの処罰の日がますます近づいているので,私たちは毎日の生活の中で祈りをいっそう大切にする必要があります。このことについて,イエスはこう言いました。「それで,必ず起きるこの全てのことを逃れ[る]ことができるよう,常に祈願をしつつ,ずっと目を覚ましていなさい」。(ルカ 21:36)私たちは,いつも祈ることによって信仰を強く保ち,神の日に備えることができます。

20. どうすれば祈りを香りのよい香のようなものにできますか。

20 この記事で学んだことを振り返ってみましょう。私たちは祈りという宝をとても大切にしています。私たちはまず,エホバの目的と直接関係があることを祈るべきです。そして,神の子イエスや王国について感謝することができますし,仲間のためにも祈れます。また,自分の身体面や信仰面での必要についても祈ることができます。どんなことを祈るかをよく考えるなら,祈りを大切にしていることを示せます。そして,そうした祈りは,香りの良い香のように「神にとって喜び」となるでしょう。(格 15:8

57番の歌 わたしの心の黙想

^ 私たちは,祈りでエホバに近づけることに心から感謝しています。それで,自分の祈りを,香りの良い香のようにエホバに喜ばれるものにしたいと思っています。この記事では,どんなことを祈ることができるか,また,ほかの人を代表して祈る時にはどんなことを覚えておくべきかを考えます。

^ や挿: 夫が妻と共に,学校で過ごす子供について,高齢の親について,聖書を学んでいる人の進歩について祈っている。

^ や挿: 若い兄弟がイエスの贖いの犠牲や美しい地球や栄養豊かな食物についてエホバに感謝している。

^ や挿: 姉妹が統治体を聖なる力によって祝福してくださるよう,また,災害や迫害で苦しんでいる仲間を助けてくださるようエホバに祈っている。