研究記事28

神の王国は統治している!

神の王国は統治している!

「世の王国は,私たちの主と,その方のキリストの王国となりました」。啓示 11:15

136番の歌 王国は支配している 王国が来ますように!

を学ぶか *

1. 私たちはどんなことを確信できますか。なぜですか。

 今の世界の様子を見ると,将来を前向きに考えることを難しく感じるかもしれません。家族の絆はますます弱くなり,人々は暴力的で自己中心的になっています。多くの人は,政府などの権威を信じられなくなっています。でも,こうした様子は,私たちの信仰を強めるものとなります。なぜでしょうか。人々が,「終わりの時代」について聖書で預言されている通りのことをしているからです。(テモ二 3:1‐5)この預言が実現していることは,物事を誠実に考える人であれば否定できないことです。そして,キリスト・イエスが神の王国の王として統治していることの証拠ともなっています。王国に関する預言はほかにもたくさんあります。そうした預言のうち,最近実現してきたものについてじっくり考えるなら,信仰を強めることができます。

聖書のダニエル書と「啓示」の書の預言をジグソーパズルのピースのように組み合わせていくなら,エホバの時刻表の中で自分がどこにいるかが見えてくる。(2節を参照。)

2. この記事では,どんなことを考えますか。なぜですか。(表紙の絵からもコメントしてください。)

2 この記事では,次の点を考えます。(1)神の王国がいつ設立されたかについての預言,(2)イエスが天で王国の王として統治していることを示す預言,(3)神の王国の敵がどんな結末を迎えるかについての預言です。これらの預言をジグソーパズルのピースのように組み合わせていくなら,エホバの時刻表の中で自分がどこにいるかが見えてきます。

神の王国はいつ設立されたか

3. ダニエル 7章13,14節の預言から,神の王国の王についてどんなことが分かりますか。

3 ダニエル 7章13,14節の預言から分かる通り,キリスト・イエスは王国の王として理想的な方です。あらゆる国の人たちが喜んで「彼に仕え」ます。そして,誰かがイエスに代わって王となることはありません。ダニエル書のほかの預言からすると,イエスが統治を始めるのは,7つの時が終わった時です。では,その喜ばしい出来事がいつ起きたのかを知ることはできるでしょうか。

4. ダニエル 4章10‐17節からすると,キリストが王国の王として即位したのはいつだと分かりますか。(脚注も参照。)

4 ダニエル 4:10‐17を読む。「7つの時」とは,2520年間のことです。この期間は,バビロニア人がエルサレムのエホバの王座から王を取り除いた紀元前607年に始まりました。そして,エホバが「法的権利を持つ者」であるイエスを神の王国の王として即位させた西暦1914年に終わりました。 *エゼ 21:25‐27

5. 「7つの時」に関する預言が私たちのためになると言えるのはなぜですか。

5 この預が私たちのためになるのはなぜか。「7つの時」について理解すると,エホバが約束を予定通りに果たしてくださる,ということを確信できます。エホバはまさにご自分が決めた時に王国を設立しました。ですから,他の預言についても,ご自分の時刻表に沿って必ず実現させます。エホバの日が「遅くなることはない」のです。(ハバ 2:3

キリストが神の王国の王として統治していると言えるのはなぜか

6. (ア)キリストが天で統治していることは,地上のどんな出来事から明らかですか。(イ)これらの出来事は,啓示 6章2‐8節でもどのように預言されていましたか。

6 地上での宣教が終わりに近づいた頃,イエスは弟子たちに対して,世界でどんなことが起きたら自分が天で統治を始めたことが分かるかを教えました。イエスは,戦争や食糧不足や地震が起きると言いました。また,「あちらこちらで」流行病があるとも言いました。新型コロナウイルスの大流行は,まさにこの一例です。聖書は,こうした事柄をキリストの臨在の「しるし」と呼んでいます。(マタ 24:3,7。ルカ 21:7,10,11)イエスは死んで天に復活した60年余り後にも,こうした事柄が必ず起きることを使徒ヨハネに伝えました。 6:2‐8を読む。)イエスが王となった1914年以降,確かにその予告通りのことが起きてきました。

7. イエスが統治を始めた結果,地に災いが降り掛かっているのはなぜですか。

7 イエスが王になって以降,世界の状況がますます悪くなっているのはなぜでしょうか。啓示 6章2節に重要な点が書かれています。イエスが王になった後の最初の任務は,戦争を行うことでした。誰と戦ったのでしょうか。悪魔サタンと邪悪な天使たちです。啓示 12章によると,サタンはこの戦いに負け,邪悪な天使たちと共に地に投げ落とされました。サタンは大きな怒りを抱いていて,その怒りを人類にぶつけているので,「地……には災いが降り掛か」っています。(啓 12:7‐12

私たちは悪いニュースを見聞きして喜ぶことはないが,聖書の預言が実現していることを知って,神の王国が統治していることを確信できる。(8節を参照。)

8. 王国についての預言がその通りになっていることを理解することが,私たちのためになるのはなぜですか。

8 これらの預が私たちのためになるのはなぜか。世界で起きていることや,人々の態度がとても悪くなっていることから,イエスが王として治めていることが分かります。それで,人々が自己中心的で愛の欠けた態度を取るとしても,私たちは動揺するのではなく,聖書の預言が実現していると考えるべきです。神の王国は確かに統治しているのです。(詩 37:1)ハルマゲドンが近づくにつれて,世界の状況はますます悪くなっていくでしょう。(マル 13:8。テモ二 3:13)世界に問題があふれている理由について,愛情深い天のお父さんエホバが教えてくださっていることに,本当に感謝できるのではないでしょうか。

神の王国の敵はどんな結末を迎えるか

9. ダニエル 2章28,31‐35節の預言は,最後の世界強国をどのように描いていますか。それはいつ生まれましたか。

9 ダニエル 2:28,31‐35を読む。私たちは現在,この預言が実現しているのを見ています。ネブカドネザルが見た夢は,「最後の日々に」,つまりキリストが統治を始めた後にどんなことが起きるかを示しています。イエスの地上の敵には,聖書で予告されている最後の世界強国も含まれています。それは,「鉄と粘土でできた足」として描かれています。この世界強国はすでに登場しています。第1次世界大戦中にイギリスとアメリカが特別な協力関係を結んだ時に生まれました。この英米世界強国とそれ以前の世界強国の違いについて,ネブカドネザルの夢に出てくる像から,少なくとも2つの点を理解できます。

10. (ア)ダニエルの預言の中で,英米世界強国はどのように表されていますか。(イ)私たちはどんな危険を避ける必要がありますか。(「 粘土に気を付けてください!」の囲みを参照。)

10 1つ目の点として,これまでの世界強国は,金や銀といった単一の金属で表されていたのに対し,英米世界強国は鉄と粘土が混ざったものとして描かれています。この粘土は「人の子孫」,つまり一般の人々を表しています。(ダニ 2:43,脚注)現代の私たちが見ている通り,人々が選挙で大きな力を持っていたり,公民権運動や抗議運動や労働組合に関係した活動を行ったりするために,この世界強国の指導者たちは自分が願った通りのことを実行できていません。

11. 英米世界強国が支配していることから,今が終わりの時であるという確信が強まるのはなぜですか。

11 2つ目の点として,英米世界強国が巨大な像の足として描かれていることから,これが聖書に出てくる最後の世界強国で,これに続くものはないということが分かります。この世界強国は,神の王国によって他の全ての政府と共に滅ぼされ,突然の終わりを迎えます。 *啓 16:13,14,16; 19:19,20

12. ダニエルの預言から慰めと希望を得られるのはなぜですか。

12 この預が私たちのためになるのはなぜか。ダニエルの預言から,今が終わりの時であるということをいっそうよく理解できます。2500年ほど前にダニエルは,バビロンの次に4つの世界強国が登場し,エホバに仕える人たちに大きな影響を与えることを預言しました。そして,英米世界強国が最後に登場することも明らかにしました。こうしたことを考えると,神の王国が間もなく人間の政府を跡形もなく滅ぼし,地球全体を治めるということが理解できるので,私たちは慰めと希望を得ることができます。(ダニ 2:44

13. 啓示 17章9‐12節に出てくる「8人目の王」と「10人の王」は何を表していますか。この預言はどのように実現してきましたか。

13 17:9‐12を読む。第1次世界大戦によって大きな破壊がもたらされた結果,終わりの時代に関する聖書の別の預言も実現することになりました。世界中の指導者たちは,世界を平和にすることを願って,1920年1月に国際連盟を設立しました。この組織は,1945年10月に国際連合として再び登場しました。聖書の中では,「8人目の王」と呼ばれていますが,世界強国ではありません。国際連合が力を発揮できるのは,世界の国々からの支持があるからです。これらの政治勢力は,聖書の中で「10人の王」と呼ばれています。

14‐15. (ア)啓示 17章3‐5節から,「大いなるバビロン」についてどんなことが分かりますか。(イ)人々は間違った宗教に対してどんな態度を取るようになっていますか。

14 17:3‐5を読む。ヨハネは聖なる力を受けて,幻の中で1人の娼婦を見ました。この娼婦は,「大いなるバビロン」と呼ばれていて,世界を惑わしている間違った宗教全体を表しています。この幻はどのように実現してきましたか。間違った宗教は,長い間,世界の政治組織と密接に協力し,それを支持してきました。しかし,間もなくエホバは,政治勢力の心に「ご自分の考えを……入れて実行させ」ます。どんな結果になるでしょうか。「10人の王」で表されている政治勢力が間違った宗教を攻撃し,滅ぼします。(啓 17:1,2,16,17

15 大いなるバビロンの終わりが近いと言えるのはなぜでしょうか。この点を理解するために,古代のバビロンについて考えてみましょう。この都市は,ユーフラテスという大きな川に守られていました。「啓示」の書は,大いなるバビロンを支持する人たちを「水」に例えています。(啓 17:15)そして,その水が「枯れ」るとも述べています。これはつまり,世界を惑わしている間違った宗教全体が支持者の多くを失うということです。(啓 16:12)現代,この預言の通り,かなりの数の人たちは間違った宗教を捨て,別のところに助けを求めるようになっています。

16. 国際連合の登場と大いなるバビロンの滅びに関する預言を理解することが,私たちのためになるのはなぜですか。

16 これらの預が私たちのためになるのはなぜか。国際連合の登場と間違った宗教の衰退も,今が終わりの時代であることの証拠です。確かに,大いなるバビロンの支持者という水は枯れつつありますが,それによって間違った宗教が最終的に滅びるわけではありません。先ほど考えた通り,エホバが「10人の王」(国際連合を支持する政治勢力)の心に「ご自分の考えを……入れて実行させ」ます。政治勢力による間違った宗教の滅びは突然に生じるので,世界の人々は驚くことになります。 *啓 18:8‐10)大いなるバビロンの滅びは,世界を揺り動かし,多くの困難を生じさせるでしょう。それでも,エホバに仕える人たちは,少なくとも2つの理由で喜ぶことができます。1つは,長い間エホバ神に敵対してきた間違った宗教がついに滅びるからです。もう1つは,私たちがこの邪悪な体制から救い出される時が近いからです。(ルカ 21:28

将来に備えて信仰を強める

17‐18. (ア)信仰を強めていくために,どんなことができますか。(イ)次の記事ではどんなことを学びますか。

17 ダニエル書には,「真の知識が満ちあふれ[る]」という預言があります。現代,まさにその通りになっています。私たちは,今の時代に関する預言を理解することができています。(ダニ 12:4,9,10)こうした預言がまさにその通りになっていることから,エホバと聖書に対する敬意や信頼が深まります。(イザ 46:10; 55:11)これからも,聖書を熱心に学ぶことや,エホバとの良い関係を持つよう人々を助けることによって,信仰を強めていきましょう。エホバは,ご自分に全く頼る人たちを守り,「絶え間ない平和」を与えてくださるのです。(イザ 26:3

18 次の記事では,終わりの時のクリスチャン会衆に関する預言を取り上げます。これらの預言からも,今が終わりの時代であるということが分かるでしょう。また,王として統治しているイエスが忠実な弟子たちを導いているということも理解できるでしょう。

17番の歌 証人たちよ,進め!

^ 私たちは,これまでで最もわくわくするような時代に生活しています。幾つもの聖書預言で予告されていた通り,神の王国が設立されました。この記事では,こうした預言の幾つかを考えます。そうすることは,エホバへの信仰を強め,現在も将来も穏やかな心やエホバへの信頼を保つ上で助けになるでしょう。

^ 「いつまでも幸せに暮らせます」の本のレッスン32の副見出し4やjw.orgにある「神の王国の政府は1914年に治め始めた」という動画を参照。

^ ダニエルの預言について詳しくは,「ものみの塔」2012年6月15日号の「エホバは『ほどなくして必ず起きる』事柄を明らかにされる」という記事と19ページを参照。

^ 近い将来に起きることについて詳しくは,「神の王国は支配している!」の本の21章を参照。