研究記事2
「考え方を新しくすることによって自分を変化させましょう」
「考え方を新しくすることによって自分を変化させましょう。それは,神の善い意志,喜ばしい完全な意志を見極めるためです」。ローマ 12:2
69番の歌 あなたの道をわたしに知らせてください
何を学ぶか a
1‐2. バプテスマの後もどんな努力を続ける必要がありますか。どうしてですか。
あなたはどのくらいの頻度で家を掃除していますか。引っ越しをする場合,新しい家を一生懸命に掃除することでしょう。でも,そのまま放っておくなら,すぐにほこりや汚れがたまってしまいます。いつも家をきれいにしておくためには,小まめに掃除をする必要があります。
2 考え方や人格についても同じことが言えます。バプテスマを受ける前に,「体と精神のあらゆる汚れを除き去って自分を清め」るよう一生懸命努力しました。(コリ二 7:1)でも,バプテスマの後も,パウロが言っている通り,「考え方を新しくする努力を続け」る必要があります。(エフェ 4:23)努力をやめるなら,世の中の悪い影響を受けて,考え方や人格が汚れてしまうからです。エホバに喜んでいただくためには,自分の考え方や人格や欲望を小まめにチェックする必要があります。
「考え方を新しくする」努力を続ける
3. どうすれば「考え方を新しくする」ことができますか。(ローマ 12:2)
3 「考え方を新しくする」とはどういうことでしょうか。(ローマ 12:2を読む。)何かに少し飾り付けをして見栄えを良くしても,それを新しくしたことにはなりません。同じように,考え方を新しくするには,良いことを少し行うだけでは十分でありません。自分の内面をよく調べ,エホバの基準に合わせて自分を変える必要があります。そうした努力を続けることが大切です。
4. 今の体制によって考え方を形作られないために,何ができますか。
4 将来,完全になれば,エホバの喜ぶことをいつも行えるようになります。でも,今はまだ努力が必要です。ローマ 12章2節でパウロは,考え方を新しくすることと神の意志を見極めることを結び付けて説明しました。私たちは今の体制によって形作られないようにしなければなりません。自分の目標や選択が,世の中の考え方ではなく神の考え方に沿っているかどうか確かめましょう。
5. エホバの日が近いことを意識しているかどうか,どのように確かめられますか。(写真を参照。)
5 エホバはどんなことを望んでいるのでしょうか。例えば,私たちが「エホバの日が来る[こと]についていつも考え」るようにと願っています。(ペテ二 3:12)それで,次のように自問してみましょう。「自分はこの体制の終わりが近いことを意識した生き方をしているだろうか。教育や仕事を選ぶ時,エホバに仕えることを第一にしているだろうか。エホバが自分や家族に必要なものを与えてくれる,と心から信じているだろうか。それともお金や物のことをいつも心配しているだろうか」。エホバの考えに合わせた生き方をするなら,エホバはとても喜んでくれます。(マタ 6:25‐27,33。フィリ 4:12,13)
6. どんな努力を続ける必要がありますか。
6 自分の考え方を小まめにチェックし,直すべきところに気付いたなら改善しましょう。パウロはコリントのクリスチャンにこう言いました。「自分がクリスチャンの信条の通りに生きているかどうか,いつも確かめてください。自分がどんな人かをいつも調べてください」。(コリ二 13:5)集会や奉仕に時々参加するだけでは,「クリスチャンの信条の通りに生きている」とは言えません。思考や願いや動機も関係しています。それで,考え方を新しくする努力を続けましょう。聖書を読み,エホバと同じ考え方をし,エホバの意志に合わせて自分を変えていくようにしましょう。(コリ一 2:14‐16)
「新しい人格を身に着け」る
7. エフェソス 4章31,32節によると,どんなことをする必要がありますか。そうするのが大変な場合があるのはどうしてですか。
7 エフェソス 4:31,32を読む。考え方を新しくすることに加えて,「新しい人格を身に着け」ることも大切です。(エフェ 4:24)そのためには一生懸命努力しなければなりません。例えば,悪意,怒り,憤りなどを捨てる必要があります。そうするのは大変な場合があります。こうした良くない性質は,深く染み付いていることがあるからです。聖書にも,「怒りっぽい人」や「激怒しやすい人」がいる,と書かれています。(格 29:22)それで,バプテスマを受けた後も,良くない性質を捨てる努力を続ける必要があるでしょう。
8‐9. スティーブン兄弟の経験からすると,古い人格を脱ぎ捨てる努力を続ける必要があるのはどうしてですか。
8 例えば,スティーブンという兄弟はとても怒りっぽい性格でした。こう言っています。「バプテスマを受けた後も,自分の激しい気性と闘わなければなりませんでした。例えば,家から家の伝道をしていた時のことですが,わたしの車からラジオを盗んだ人を追いかけたことがあります。もう少しで追いつくというところで,その人はラジオを捨てて逃げました。一緒に伝道していた仲間たちに,どうやってラジオを取り戻したか話していたところ,ある長老から,『スティーブン,もし追いついたらどうしようと思ったんですか』と尋ねられました。これには考えさせられ,平和を愛する人になるために努力を続けようと思いました」。 b
9 スティーブン兄弟の経験から分かる通り,私たちは自分の良くない部分を克服できたと思っても,思いがけない時にそれが再び現れてしまうということがあります。それでも,がっかりしたり,「自分はクリスチャン失格だ」と考えたりはしないでください。パウロも,「正しいことをしたいと願うのに,自分の中に悪がある」と言っています。(ロマ 7:21‐23)私たちはみんな完全ではないので,良くない性質と闘っています。家にすぐにたまってしまうほこりや汚れを小まめに掃除するのと同じように,良くない性質を除く努力を続ける必要があります。では,どんなことができるでしょうか。
10. 良くない性質を克服するために何ができますか。(ヨハネ第一 5:14,15)
10 良くない性質を克服したいと思っていることについて,エホバに祈りましょう。エホバがその祈りを聞いて,力を与えてくださると確信してください。(ヨハネ第一 5:14,15を読む。)もちろん,エホバは奇跡によって悪い性質をなくしてくれるわけではありません。でも,私たちが諦めないで頑張り続けられるように助けてくれます。(ペテ一 5:10)私たちにもできることがあります。祈りに沿った行動をすることです。自分が克服しようとしている悪い性質を美化するような映画やテレビや本を見ないようにしましょう。良くないことを考え続けないようにするのも大切です。(フィリ 4:8。コロ 3:2)
11. 新しい人格を身に着けるためにどんなことができますか。
11 古い人格を脱ぎ捨てたなら,新しい人格を身に着けましょう。そのために,エホバの性質について学び,エホバに倣うことを意識できます。(エフェ 5:1,2)例えば,聖書を読んでいて,エホバが誰かを許したことが出てきたなら,「自分もエホバのようにほかの人を許しているだろうか」と考えてみましょう。つらい状況にある人たちにエホバが思いやりを示したことについて読んだなら,「自分も困っている仲間に温かい関心を示し,助けになっているだろうか」と考えられます。考え方を新しくする努力を続け,新しい人格を身に着けるようにしましょう。うまくいかないように感じることがあっても,諦めないで取り組むのは大切なことです。
12. スティーブン兄弟は聖書の力でどのように自分を変えることができましたか。
12 スティーブン兄弟も,だんだんと新しい人格を身に着けることができました。こう言っています。「バプテスマを受けてから,暴力で仕返ししそうになる場面が幾度もありましたが,挑発してくる人から離れたり,別の仕方で自分を落ち着かせたりできるようになりました。妻をはじめ多くの人たちが,そういう状況でのわたしの対応を褒めてくれました。自分でも驚いています。わたしは,自分の力で人格を変化させることができたとは思っていません。わたしが変化できたのは,聖書に人を変革する力があることの証拠だと思っています」。
悪い欲望と闘い続ける
13. どうすれば悪い欲望に負けずに正しいことを行えますか。(ガラテア 5:16)
13 ガラテア 5:16を読む。エホバは,私たちが正しいことを行えるよう,聖なる力を惜しみなく与えてくださいます。聖書を学んだり集会に行ったりするなら,エホバから聖なる力を頂けます。集会に行くと,自分と同じように正しいことを行おうと頑張っている兄弟姉妹と励まし合えます。(ヘブ 10:24,25; 13:7)「自分の弱さを克服できるよう助けてください」と真剣に祈ることもできます。そうするなら,エホバは正しいことを行えるよう力を与えてくれます。もちろん,聖書を学び,集会に行き,真剣に祈っても,悪い欲望が完全になくなるわけではないかもしれません。でも,欲望に抵抗できるようになります。ガラテア 5章16節にある通り,聖なる力に導かれて歩んでいる人は,「罪深い欲望のままに行動することは決してありません」。
14. 正しいことを行いたいという気持ちを強めていくのが大切なのはどうしてですか。
14 エホバとの友情を深める良い活動を習慣にしたなら,その習慣を守り,正しいことを行いたいという気持ちを強めていくのは大切です。なぜでしょうか。私たちは悪い欲望というしつこい敵と闘っているからです。バプテスマを受けた後も,ギャンブルやアルコールやポルノの誘惑と闘う必要があるかもしれません。(エフェ 5:3,4)ある若い兄弟はこう言っています。「私にとって特に厄介なのは,同性に引かれる気持ちです。そうした気持ちはそのうちなくなるだろうと思っていましたが,今でも闘い続けています」。悪い欲望がなかなか消えない場合,どうしたらよいでしょうか。
15. 闘っているのは自分だけではない,ということを考えるとよいのはどうしてですか。(写真を参照。)
15 闘っているのは自分だけではない,ということを忘れないでください。聖書には,「皆さんが受けてきた誘惑は,多くの人が同じように経験してきた誘惑です」とあります。(コリ一 10:13前半)この言葉はコリントの兄弟姉妹に宛てて書かれました。兄弟姉妹の中には,姦淫や同性愛や酩酊といった問題を抱えていた人たちがいました。(コリ一 6:9‐11)そうした人たちは,バプテスマを受けた後はもう悪い欲望と闘わなくてよくなったのでしょうか。そうではありません。みんな天に行くよう選ばれたクリスチャンでしたが,完全ではなかったので,悪い欲望が時々湧き上がってくることがあったでしょう。私たちと同じような問題に負けずに立ち向かってきた人たちがいる,ということを考えると,自分も頑張ろうという気持ちになります。聖書にある通り,「世界中にいる,信仰で結ばれた兄弟たちが,同じような苦しみを経験しています」。ですから,私たちも「揺るぎない信仰を持」って立ち向かうことができます。(ペテ一 5:9)
16. どんな考え方に気を付ける必要がありますか。どうしてですか。
16 自分の大変さを誰も分かってくれない,とは考えないようにしましょう。そうした考え方をするなら,悪い欲望に立ち向かうことなんてできないと思うようになるかもしれません。でも聖書にはこうあります。「神は信頼できる方で,皆さんが耐えられないほど誘惑を受けるままにはしません。出口を設けて,誘惑に耐え切れるようにしてくださいます」。(コリ一 10:13後半)どれほど強い欲望と闘っているとしても,エホバへの忠実を保つことができます。エホバの助けがあるなら,欲望に負けて悪いことを行ってしまわないよう,踏みとどまることができます。
17. 悪い欲望が湧き上がってくるとしても,どうすることができますか。
17 次のことを覚えておきましょう。私たちは完全ではないので,悪い欲望が全く湧き上がってこないようにすることはできないかもしれません。でも,そうした欲望をきっぱりはねのけることはできます。ヨセフもポテパルの妻から誘惑された時にすぐに逃げました。(創 39:12)悪い欲望に立ち向かうことはできるのです。
努力を続ける
18‐19. 考え方を新しくするために,どんなことを自問できますか。
18 考え方を新しくするには,エホバに喜ばれる考え方や行動をするよう努力し続ける必要があります。それで,時々次のように考えてみましょう。「自分は終わりが近いことを意識した生き方をしているだろうか。新しい人格を身に着ける面で成長しているだろうか。聖なる力に助けてもらい,悪い欲望をきっぱりとはねのけているだろうか」。
19 完璧を目指すのではなく,成長することを目指しましょう。直すべきところに気付いてもがっかりしないでください。フィリピ 3章16節にはこうあります。「私たちはこれまで進歩してきたのですから,この同じ道をきちんと歩んでいきましょう」。考え方を新しくする努力をこれからも続けていくなら,エホバは必ず祝福してくださいます。
52番の歌 あなたの心を守りなさい
a パウロは仲間の兄弟姉妹に,邪悪な世界に形作られてしまわないようにと言いました。このアドバイスは現代の私たちにも役立ちます。世の中の悪い影響を受けないようにする必要があります。そのためには,エホバと同じ考え方ができるように自分を変えていくことが大切です。では,どんなことができるでしょうか。
b 「ものみの塔」2015年7月1日号の「生き方は悪くなる一方でした」という記事を参照。
c 写真や挿絵: 若い兄弟が,大学に行くか開拓奉仕を始めるかを考えている。
「ものみの塔」(研究用)