1‐2. 記念式に毎年出席するのはどうしてですか。

 今から2000年ほど前，イエスは自分の命を犠牲にして，私たちが永遠に生きられるようにしてくださいました。イエスは亡くなる前の晩，自分の死を思い起こすようにと弟子たちに命じ，パンとぶどう酒を使った簡素な式を取り決めました。（コリ一 11:23‐26）

² 私たちはイエスのことを心から愛しているので，イエスの命令の通りにしたいと思います。（ヨハ 14:15）毎年，記念式の時期になると，イエスがしてくださったことへの感謝の気持ちから，イエスの死にどんな意味があるかを祈りつつじっくり考えます。また，伝道にも多くの時間参加するよう努力し，できるだけたくさんの人を記念式に招待します。そして私たち自身，どんなことがあっても記念式に出席するようにします。

3. この記事ではどんなことを考えますか。

³ エホバに仕える人たちは，記念式を行うためにいろいろな努力を払ってきました。この記事では3つの分野について考えます。（1）イエスが教えた方法で記念式を行うこと，（2）たくさんの人を招待すること，（3）難しい状況の中でも記念式を行うことです。

4. 記念式では聖書からどんなことを学べますか。そのことに感謝できるのはどうしてですか。（ルカ 22:19，20）

⁴ 記念式では，聖書に基づく話を聞くことができます。その中では，人間に贖いが必要なのはどうしてか，イエス1人が死ぬことによって，たくさんの人の罪が償われるのはどうしてか，といったことが説明されます。パンとぶどう酒にどんな意味があるのか，誰がパンを食べ，ぶどう酒を飲むのかも話されます。（ルカ 22:19，20を読む。）また，地上で生きる希望を持つ人たちにどんな素晴らしい生活が待っているか，ということも考えます。（イザ 35:5，6; 65:17，21‐23）こうしたことを知っているのは，当たり前のことではありません。世の中のほとんどの人たちは，そのようなことや，イエスの犠牲がどれほど素晴らしいものであるかを知りません。イエスが教えた方法で記念式を行ってもいません。どうしてでしょうか。

5. 使徒たちのほとんどが死んだ後，人々はどのようにイエスの死を祝うようになりましたか。

⁵ イエスの使徒たちのほとんどが死んだ後，偽のクリスチャンが会衆内に現れるようになりました。（マタ 13:24‐27，37‐39）彼らは，「弟子たちを引き離して自分に付かせようとして曲がった事柄を言」いました。（使徒 20:29，30）聖書には，イエスが「多くの人の罪を負うために一度限り」自分の体を捧げたとあります。でも，偽のクリスチャンたちはこのことを否定し，イエスの犠牲は繰り返し捧げられる必要がある，と言いました。（ヘブ 9:27，28）今でもこうした間違った教えに惑わされている人たちがたくさんいます。それで，毎週または毎日教会に行って，ミサを行っています。 b それほど頻繁には行っていない人たちも，イエスの犠牲にどんな意味があるかをほとんど理解していません。「イエスが死んだことで，自分の罪が本当に許されるんだろうか」と思っている人もいます。イエスの犠牲には罪を許す力はない，と考える人たちの影響を受けているのかもしれません。では，真のクリスチャンはどうしてきたでしょうか。

6. 1872年までにラッセルたちはどんなことを理解しましたか。

⁶ 19世紀の後半，チャールズ･テイズ･ラッセルは幾人かの仲間たちと一緒に聖書を詳しく調べ始めました。彼らは，イエスの犠牲にどれほどの価値があるのかや，その死をどのように祝うべきかについて知りたいと思っていました。1872年までに，イエスが全ての人のために贖いとして死んだということを聖書から理解しました。そして，そのことを本や新聞や雑誌を使ってみんなに知らせました。その後間もなく，1世紀のクリスチャンと同じように，1年に1回イエスの死を記念する集まりを行うようになりました。

7. 熱心に聖書を調べた兄弟たちのおかげで，私たちはどんなことを理解できていますか。

⁷ 熱心に聖書を調べた兄弟たちをエホバが祝福した結果，私たちはどんなことを理解できていますか。例えば，イエスの死が私たちにどんな意味を持つかを知ることができました。（ヨハ一 2:1，2）また，聖書によると，天での不滅の命を与えられる人たちと地球でいつまでも生き続ける人たちがいる，ということも理解できました。エホバが私たちをどれほど愛してくれているかや，イエスの死が自分にとってどれほど貴重なものかということを考えると，エホバにもっと引き寄せられます。（ペテ一 3:18。ヨハ一 4:9）そして，19世紀の兄弟たちに倣って，イエスが教えた方法で記念式を行い，その式にたくさんの人を招待したいと思うようになります。

8. エホバに仕える人たちは，記念式の招待活動をどのように行ってきましたか。（写真を参照。）

⁸ エホバに仕える人たちは，かなり早い時期から記念式への招待活動を行ってきました。1881年，アメリカの兄弟姉妹は，ペンシルバニア州アレゲーニーの個人の家で開かれた記念式に招待されました。その後，記念式は各会衆で行われるようになります。1940年3月には，区域内に住む関心を持つ人たちを記念式に招待できるようになりました。1960年には，ベテルで記念式の招待状が印刷されるようになり，それ以来，数え切れないほどの招待状が配布されてきました。このように熱心に記念式の招待活動を行うのはどうしてでしょうか。

9‐10. どんな人を記念式に招待したいと思いますか。（ヨハネ 3:16）

⁹ その理由の1つは，エホバとイエスが私たちのためにしてくださったことを多くの人たちに知ってほしいと思っているからです。（ヨハネ 3:16を読む。）記念式をきっかけに聖書をさらに学んで，エホバに仕えるようになってほしい，とも思っています。でも，ほかにも招待したい人たちがいます。

¹⁰ 私たちは，クリスチャンとしての活動をしばらく休んでいる人たちも記念式に招待します。今もエホバが愛しているということに気付いてほしいと思っているからです。本当にうれしいことに，たくさんの兄弟姉妹が招待に応じて記念式に出席しています。久しぶりに記念式に出席すると，エホバに楽しく仕えていた時のことを思い起こすかもしれません。モニカ姉妹の例を考えてみましょう。 c 姉妹は，コロナ禍で再び熱心にエホバに仕えるようになりました。2021年の記念式に出席した後，こう言いました。「今年の記念式は本当に特別でした。20年ぶりに招待活動にも参加することができました。エホバとイエスがしてくださったことへの感謝を表したい，と思って頑張りました」。（詩 103:1‐4）私たちが招待する人みんなが良い反応を示すわけではないとしても，一生懸命に招待を行います。エホバが私たちの努力を喜んでくださるということが分かっているからです。

11. エホバは記念式の招待活動をどのように祝福してくださっていますか。（ハガイ 2:7）

¹¹ エホバは記念式の招待活動を祝福してくださっています。2021年には，感染症の影響があったにもかかわらず，世界中で2136万7603人もの人たちが記念式に出席しました。これはエホバの証人の数のおよそ2.5倍です。でも，エホバは人数だけに注目しているのではありません。一人一人の出席者に目を向けています。（ルカ 15:7。テモ一 2:3，4）私たちの招待活動によって，良い心を持つ人たちが見つかるようにしているのです。（ハガイ 2:7を読む。）

12. どんな状況では記念式を行うのを難しく感じるかもしれませんか。（写真を参照。）

¹² イエスは，終わりの時代に私たちがいろいろな問題にぶつかると予告しました。家族からの反対，迫害，戦争，流行病などです。（マタ 10:36。マル 13:9。ルカ 21:10，11）そうした状況では，記念式を行うのが難しくなるかもしれません。では，兄弟姉妹はそうした中でも記念式を行うためにどんな努力をしたでしょうか。エホバは兄弟姉妹をどのように助けましたか。

13. 投獄されていても記念式を行おうと決意して行動したアルチョーム兄弟を，エホバはどのように祝福しましたか。

¹³ 投獄。エホバへの信仰を保ったために投獄されている兄弟姉妹も，記念式を行うためにできる限りのことをしています。アルチョーム兄弟の例を考えてみましょう。兄弟は2020年の記念式の時期，投獄されていました。兄弟が入れられていた監房は，17平方㍍（約9畳）の広さで，ほかにも3，4人の囚人がいました。兄弟は記念式に必要な物を何とか準備し，話も自分ですることにしました。でもほかの囚人たちは，たばこを吸ったり汚い言葉でわめいたりしていました。それで兄弟が，「1時間だけそういうことをするのをやめてほしい」とお願いしたところ，意外にもすんなり受け入れてくれました。アルチョーム兄弟はこう言います。「私は囚人たちに，記念式について説明させてほしい，と言ってみました」。その時は断られましたが，実際に記念式が行われるのを見た囚人たちは，いろんな質問をしてきました。

14. 新型コロナウイルスが流行する中でも記念式を行うために，兄弟姉妹はどんな努力をしましたか。

¹⁴ 新型コロナウイルスの流行。新型コロナウイルスの影響で，兄弟姉妹はじかに集まって記念式を行うことができなくなりました。それでも，兄弟姉妹は諦めませんでした。 d インターネットにアクセスできる会衆は，ビデオ会議の形で記念式を行いました。インターネットにアクセスできない兄弟姉妹たちはどうしたのでしょうか。幾つかの国では，テレビやラジオで記念式の話が放送されました。さらに，記念式の話の録画が500以上の言語で用意されました。録画されたものは兄弟たちの手で届けられ，奥地の兄弟姉妹たちも記念式を行うことができました。

15. スーの例からどんなことを学べますか。

¹⁵ 家族からの反対。記念式に出席するのに一番の障害となるのが家族からの反対だという人もいます。聖書レッスンをしているスーもそうでした。2021年の記念式の前日，スーは自分に聖書を教えてくれている姉妹に，「家族から反対されているので記念式に出られないと思う」と言いました。姉妹はルカ 22章44節をスーに読みました。そして，問題にぶつかった時にはイエスの手本に倣うようにと勧めました。エホバに祈って心から頼ることの大切さを伝えました。記念式当日，スーはパンとぶどう酒を準備し，jw.orgで特別な朝の崇拝を視聴しました。晩には，自分の部屋に行って電話で記念式の話を聞きました。その後スーは，姉妹に次のようなメッセージを送りました。「昨日は私のことを励ましてくれてありがとうございます。記念式に出るためにできる限りのことをしました。そうしたらエホバがあとは全部助けてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです」。同じような状況の時，エホバはあなたのことも助けてくれると思いますか。

16. 私たちが一生懸命努力して記念式に出席する時，エホバは必ず祝福してくださいます。どうしてそう言えますか。（ローマ 8:31，32）

¹⁶ 私たちが一生懸命努力して記念式を行う時，エホバはそれを見てとても喜んでくださいます。エホバがしてくださったことへの感謝を表すなら，エホバは必ず祝福してくださいます。（ローマ 8:31，32を読む。）では，今年の記念式にもぜひ出席しましょう。そして，記念式の時期に心を込めてできる限り伝道に参加するようにしましょう。