研究記事6

聖書から著者について分かること

聖書から著者について分かること

「私があなたに話す言葉を全て書に記しなさい」。エレミヤ 30:2

114番の歌 神の書物 ― 貴重なもの

を学ぶか a

1. エホバが聖書を下さったことに感謝できるのはどうしてですか。

 エホバが聖書を下さったことに本当に感謝できます。エホバは聖書を通して,問題に対処するための良いアドバイスや,素晴らしい将来の希望を与えてくれています。ご自分の性格についてもいろいろなことを教えてくれています。エホバがどんな方かについてじっくり考えると,温かい気持ちになり,エホバともっと親しくなりたいと思うようになります。(詩 25:14

2. エホバはどんな方法で人間にご自分のことを知らせてきましたか。

2 エホバはご自分のことを知ってほしいと思っています。昔は,夢や幻や天使たちを使ってご自分について知らせました。(民 12:6。使徒 10:3,4)でも,もしその内容が記録されていなかったなら,私たちはエホバについて知ることはできなかったでしょう。それでエホバはご自分のことを「書に記」させ,私たちが読めるようにしました。(エレ 30:2)これはとても良い方法です。「真の神の道[方法]は完全」なのです。(詩 18:30

3. エホバはどのようにして,聖書を現代まで守ってきましたか。(イザヤ 40:8

3 イザヤ 40:8を読む。聖書は,はるか昔に書かれた本です。しかも朽ちやすい素材に書かれたので,原本は一つも見つかっていません。それでも,これまで何千年にもわたって読まれ,多くの人々の役に立ってきました。では,どうして私たちは聖書を読むことができるのでしょうか。エホバが聖書の写本を作らせたからです。写本を作った写字生たちは完全ではありませんでしたが,とても慎重に作業を行いました。ある学者もヘブライ語聖書についてこう言っています。「古典の中で,これほど正確に伝わってきたものはほかにないと言っても差し支えないだろう」。確かに,聖書はずっと昔に朽ちやすい素材に書かれ,写字生たちも完全ではありませんでした。それでも私たちが持っている聖書には,著者であるエホバのお考えが書かれていると確信できます。

4. この記事ではどんなことを学びますか。

4 「良い贈り物,完全な贈り物は全て」エホバから来ます。(ヤコ 1:17)その中でも,聖書は特に素晴らしい贈り物です。プレゼントからは,それをくれた人がどんな人かや,自分のことを本当によく知ってくれているということが分かります。聖書という贈り物についても同じことが言えます。聖書について調べると,エホバがどんな方かが分かります。私たちに何が必要かを本当によく知ってくれている,ということも分かります。この記事では,聖書からエホバの知恵や公正や愛についてどんなことが分かるかを学びます。では,まずエホバの知恵について考えてみましょう。

聖書から分かるエホバの知恵

5. 聖書にはエホバの知恵が表れている,と言えるどんな証拠がありますか。

5 エホバは,私たちに良いアドバイスが必要だということを知っています。それで,ご自分の知恵が詰まった聖書を下さいました。聖書のアドバイスは私たちの役に立ちます。生き方を変える力があります。聖書の初めの部分を書いたモーセは,イスラエル人にこう言いました。「それは皆さんにとって無価値な言葉ではなく,命を意味しています」。(申 32:47)聖書のアドバイスの通りにした人たちは,幸せに暮らすことができました。(詩 1:2,3)聖書ははるか昔に書かれましたが,今でも役に立ちます。「信仰を持つ[人たち]に良い感化を与えています」。(テサ一 2:13)jw.orgの「聖書は人の生き方を変える」のシリーズには,そのことを示す50以上の実例が載せられています。

6. 聖書のような本はほかにないと言えるのはどうしてですか。

6 聖書のような本はほかにありません。どうしてそう言えるでしょうか。聖書の著者であるエホバは,全能者で,永遠に生きていて,誰よりも知恵のある方だからです。普通,本自体は残っても著者はいずれ死んでしまいます。そのアドバイスもやがて時代遅れになってしまうかもしれません。一方,聖書のアドバイスはいつの時代にも役立ってきました。私たちが聖書を読んでじっくり考える時,エホバは聖なる力を与えて,学んだことをどのように実践できるかを気付かせてくれます。(詩 119:27。マラ 3:16。ヘブ 4:12)聖書の著者であるエホバは生きていて,私たちのことをぜひ助けたいと思っています。このことを考えると,聖書を毎日読みたいと思うのではないでしょうか。

エホバに仕える人たちはいつの時代も聖書の助けで一つにまとまってきた。(7-8節を参照。)

7. 聖書には神に仕える人たちを一つにまとめる力があります。そのことを示すどんな例がありますか。

7 聖書にエホバの知恵が表れている,と言える証拠はほかにもあります。聖書には神に仕える人たちを一つにまとめる力がある,ということです。イスラエル人は約束の地に入った後,いろいろな地域に分かれて住むようになりました。職業もさまざまで,漁をする人,牧畜をする人,農業をする人などがいました。離れた場所に住んでいると,つながりを保つのは難しかったかもしれません。でもエホバは,イスラエル人が定期的に集まり合って,神の言葉の朗読と説明を聞けるようにしました。(申 31:10-13。ネヘ 8:2,8,18)その時エルサレムには,各地から何百万人もの人たちが集まったことでしょう。みんなでエホバを崇拝することができてどんな気持ちになったか,想像してみてください。エホバはこのようにしてイスラエル人を一つにまとめていたのです。1世紀にクリスチャン会衆ができた時,そこにはさまざまな人たちがいました。話す言語も社会的立場も経済的状況も違っていました。それでも,みんな聖書を愛していたので,一つにまとまってエホバを崇拝することができました。彼らは仲間に助けてもらったり集まり合ったりすることで,聖書を理解できました。(使徒 2:42; 8:30,31

8. 私たちが一つにまとまってエホバに仕えることができているのはどうしてですか。

8 現代でも,エホバは聖書を用いて私たちを教え,一つにまとめています。聖書には,エホバへの信仰を強めるのに必要な情報が全て収められています。私たちは定期的に集会や大会に出席して,聖書の朗読や説明を聞き,討議に参加します。このように,聖書は私たちが「肩を並べて神に仕える」上でなくてはならないものです。(ゼパ 3:9

9. 聖書を理解する上でどんな性質が大切ですか。(ルカ 10:21

9 エホバは聖書の多くの部分を,謙遜な人だけが理解できるようにしました。このことにもエホバの知恵が表れています。ルカ 10:21を読む。)確かに,聖書は世界中の人たちに読まれてきました。ある学者もこう言っています。「聖書は最も広く読まれてきた本であるだけでなく,最も注意深く読まれてきた本だ」。とはいえ,聖書を本当に理解して自分に当てはめることができるのは,謙遜な人たちだけです。(コリ二 3:15,16

10. 聖書のどんな特徴にもエホバの知恵が表れていますか。

10 聖書にエホバの知恵が表れていると言える,別の証拠も考えてみましょう。エホバは聖書を通して,私たち全体を助けるだけでなく,一人一人を教え,力づけてくれます。聖書を読むと,エホバが自分のことを気遣ってくれていると感じます。(イザ 30:21)問題にぶつかった時,聖書を読んで,自分のために書かれたと思える聖句を見つけたことがあるのではないでしょうか。聖書はとても多くの人たちの心を打つ本ですが,同時に一人一人ぴったりのアドバイスや励ましも収められています。こんな本を書かせることができるのは,誰よりも知恵があるエホバだけです。(テモ二 3:16,17

聖書から分かるエホバの公正

11. エホバが公平な方であることは,聖書を書かせた方法からどのように分かりますか。

11 エホバは公正な神でもあります。(申 32:4)公正とは正しくて公平なことです。聖書によるとエホバは不公平な神ではありません。(使徒 10:34,35。ロマ 2:11)そのことは,聖書をどんな言語で書かせたかということから分かります。聖書の前半の39の書は主にヘブライ語で書かれました。それは当時の神の民がよく理解できる言葉でした。1世紀にはギリシャ語が広く使われるようになっていたので,後半の27の書は主にギリシャ語で書かれました。エホバは聖書を書かせる時に,1つの言語にこだわることはしなかったのです。でも,今では世界中の80億人ほどの人がいろいろな言語を話しています。そうした人たちみんながエホバについて学ぶことなどできるのでしょうか。

12. 終わりの時にダニエル 12章4節はどのように実現してきましたか。

12 エホバはダニエルを通して,終わりの時に聖書の「真の知識が満ちあふれ[る]」と予告しました。たくさんの人が聖書を理解できるようになるということです。ダニエル 12:4を読む。)聖書や聖書についての出版物が翻訳され,出版され,配布されることによって,真の知識が満ちあふれてきました。聖書は翻訳言語数も配布数も世界で一番多い本です。一般に売られている聖書は,値段がとても高いことがあります。でも,エホバの証人は聖書の全巻や一部を240以上の言語に翻訳し,誰もが無償で読めるようにしてきました。それで世界中の人が,終わりが来る前に「王国の良い知らせ」を聞くことができています。(マタ 24:14)エホバは公正な方なので,できるだけ多くの人が聖書を読んでご自分のことを知れるようにしています。エホバは私たち全てを心から愛しているのです。

聖書から分かるエホバの愛

13. 聖書にエホバの愛が表れていると言えるのはどうしてですか。(ヨハネ 21:25

13 聖書には,著者であるエホバの最も際立った性質である愛も表れています。(ヨハ一 4:8)エホバは聖書にどんな情報を含め,どんな情報は含めないことにしたでしょうか。ご自分と友になり,今幸せな生活を送り,将来永遠に生きるのに必要なことを含めました。でも,私たちが把握し切れないほど多くの情報を聖書に載せることはしませんでした。私たちのことを愛しているからです。ヨハネ 21:25を読む。)

14. 聖書のどんな面にもエホバの愛が表れていますか。

14 エホバの教え方からも,私たちのことを大切に思い,愛してくれていることが分かります。聖書に細かな規則を載せて,私たちの生活を何もかもコントロールしようとはしていません。そうではなく,いろいろな人物の実例や興味深い預言,役立つアドバイスを聖書に載せて,私たちが自分で考えられるようにしています。それで,私たちは心からエホバを愛し,従いたいという気持ちになります。

エホバがご自分に仕える人たちをどのように支え,祝福したかについて,じっくり考えましょう。(15節を参照。)

15. (ア)聖書を読むと,エホバが私たちを気遣っていることがどのように分かりますか。(イ)写真に出てくる女の子,若い兄弟,年配の姉妹は,聖書中のどんな人物についてじっくり考えていますか。(創 39:1,10-12。王二 5:1-3。ルカ 2:25-38

15 聖書を読むと,エホバが私たち一人一人を深く気遣っているということも分かります。聖書には人間の気持ちを描いた記述がたくさんあります。「私たちと同じようにいろいろな感情を持つ人」が出てくるので,読んでいて共感できます。(ヤコ 5:17)さらに,エホバが人々をどのように支え,祝福したかということから,「エホバ[が]優しい愛情にあふれ,憐れみ深い方」だということも分かります。(ヤコ 5:11

16. 間違いを犯した人についての聖書の記述から,エホバについてどんなことを学べますか。(イザヤ 55:7

16 聖書からエホバの愛についてほかにも学べる点があります。聖書によると,エホバは間違いを犯した人を決して見放したりはしません。例えば,古代のイスラエル人はエホバに何度も罪を犯しましたが,心から悔い改めた時,エホバに許していただけました。イザヤ 55:7を読む。)1世紀のクリスチャンも,エホバが愛の神であることを理解していました。パウロはコリントのクリスチャンに対して,重大な罪を犯していたものの悔い改めた人を「許して慰める」ようにと勧めました。(コリ二 2:6,7。コリ一 5:1-5)エホバは罪を犯した人を見放すのではなく,間違いを正せるよう優しく助け,ご自分の元に戻ってくるよう励ましました。現代の私たちも間違いを犯すことがあります。それでもエホバは見放すことなく助けてくださいます。(ヤコ 4:8-10

聖書という「良い贈り物」を大切にする

17. 聖書が素晴らしい贈り物だと言えるのはどうしてですか。

17 聖書はエホバから私たちへの素晴らしい贈り物です。どうしてそう言えるでしょうか。この記事で学んだ通り,聖書を通してエホバの知恵や公正や愛について知ることができるからです。エホバは,私たちにご自分のことを知ってほしいと願っていて,私たちと親しくなりたいと思っているのです。

18. エホバが下さった聖書への感謝をどのように表せますか。

18 聖書という「良い贈り物」を当たり前のものと考えるのではなく,感謝を表すようにしましょう。(ヤコ 1:17)そのために,祈りつつじっくり考えながら聖書を読むことができます。そうすれば,著者であるエホバは,「神についての知識を見つける」ことができるよう助けてくださいます。(格 2:5

37番の歌 聖書 ― 神の霊感によるもの

a 聖書を読むとエホバと親しくなれます。聖書からエホバの知恵や公正や愛についてどんなことが分かるでしょうか。それが分かると,聖書が天のお父さんからの特別な贈り物だということを実感でき,感謝の気持ちが深まります。