研究記事20
祈りをもっと良いものにするには
「あなたの気持ちを全て神に伝えよ」。詩編 62:8
57番の歌 わたしの心の黙想
何を学ぶか a
1. エホバは私たちがどうすることを望んでいますか。(写真も参照。)
慰めやアドバイスが必要な時,誰に助けを求めますか。私たちは祈りでエホバに頼ることができます。エホバはそうすることを望んでいて,私たちに「絶えず祈」るようにと勧めています。(テサ一 5:17)私たちはエホバに自由に近づき,毎日のいろいろな場面でアドバイスを求めて祈ることができます。(格 3:5,6)エホバは惜しみなく与えてくださる方なので,私たちはエホバに何度でも祈ることができます。
2. この記事ではどんなことを考えますか。
2 私たちはエホバに祈れることを心から感謝しています。でも,忙しくしていると,時間を取って祈るのは難しいと感じるかもしれません。祈りをもっと良いものにするにはどうしたらいいだろうと考えることもあるでしょう。聖書を調べると,この点で役立つヒントが見つかります。この記事では,イエスの手本に注目し,どうすれば時間を取って祈ることができるかを考えます。また,祈りをもっと良いものにするために意識できる5つの点も学びます。
イエスは祈りのために時間を取った
3. イエスはどんなことを理解していましたか。
3 イエスは,エホバが私たちの祈りを大切なものと考えていることをよく知っていました。地球に来るずっと前,ハンナやダビデやエリヤといった忠実な人たちの祈りにエホバが答える様子をそばで見ていました。(サム一 1:10,11,20。王一 19:4-6。詩 32:5)だからこそイエスは,祈りが聞かれるという確信を持って何度も祈るように,と弟子たちに教えました。(マタ 7:7-11)
4. イエスの祈りからどんなことを学べますか。
4 イエスは手本によっても祈りの大切さを弟子たちに教えました。イエスは宣教期間中,何度も祈りました。とても忙しく,たくさんの人たちに囲まれることもよくあったので,祈るために時間を取る必要がありました。(マル 6:31,45,46)朝早く起きて,独りで祈りを捧げたこともあれば,重要な決定をする前に一晩中祈ったこともあります。(マル 1:35。ルカ 6:12,13)亡くなる前の晩には,地上での最も難しい務めを果たせるように,何度も祈りを捧げました。(マタ 26:39,42,44)
5. 祈る時,どのようにイエスの手本に見習うことができますか。
5 イエスの手本から分かる通り,どんなに忙しくても祈りのために時間を取るのは大切なことです。朝早く起きたり,寝る時間を少し遅らせたりできるかもしれません。そのようにして祈るための時間を確実に取るようにするなら,祈りを大切にしていることを示せます。リン姉妹は,祈りでエホバに近づけるということを初めて聞いた時,とても感動しました。こう言っています。「エホバにいつでも話せるということを知って,エホバのことを親友と思えるようになりました。そして,自分の祈りをもっと良いものにしたいとも感じました」。あなたも同じように感じていることでしょう。では,祈る時どんなことを含めるとよいでしょうか。5つの点を考えてみましょう。
祈りに含めるとよい5つの点
6. 啓示 4章10,11節によると,エホバはどんな方ですか。
6 エホバを賛美する。使徒ヨハネは幻の中で,24人の長老が天でエホバを崇拝している様子を見ました。長老たちはエホバのことを,「栄光と栄誉と力」を受けるのにふさわしい方だと言って賛美していました。(啓示 4:10,11を読む。)忠実な天使たちもエホバを賛美しています。天でエホバのそばにいて,エホバのことをよく知っているからです。エホバの行動から,エホバがどんな方かが分かります。それで,天使たちはエホバが行うことを見る時,ますますエホバを賛美したいという気持ちになるのです。(ヨブ 38:4-7)
7. どんな点についてエホバを賛美したいと思いますか。
7 私たちもエホバを賛美したいと思います。祈りの中で,エホバのどんなところが好きでどんなところが素晴らしいと思っているかを伝えることができます。聖書を学ぶ時には,エホバがどんな方かに注目しながら読むようにしましょう。そして,感動したことをエホバに祈りで伝えることができます。(ヨブ 37:23。ロマ 11:33)また,エホバが自分や仲間をどのように助けてくださっているかを考えると,エホバを賛美したいという気持ちになります。エホバはいつも私たちのことを気に掛け,守ってくださっているのです。(サム一 1:27; 2:1,2)
8. どんなことをエホバに感謝できますか。(テサロニケ第一 5:18)
8 エホバに感謝する。エホバに感謝できることはたくさんあります。(テサロニケ第一 5:18を読む。)私たちが持っている良いものは全てエホバが与えてくださったものだからです。(ヤコ 1:17)例えば,美しい地球を含め,素晴らしい物をたくさん造ってくださいました。また,命,家族や友達,将来の希望も与えてくださっています。そして何よりも,エホバと友達になれるというのは本当にうれしいことです。
9. エホバへの感謝を深めることはどうして大切ですか。
9 私たちは,エホバにどんなことを感謝できるかについて意識的に考える必要があるかもしれません。感謝しない人たちに囲まれて生活しているからです。多くの人は,感謝を示すことよりも,どうすれば自分の欲しいものを手に入れられるかということばかり考えています。そうした態度に影響されてしまうなら,私たちの祈りはお願いばかりになってしまうでしょう。そうならないために,エホバが私たちにしてくださっていることへの感謝を深め,それをエホバに伝えるのは大切なことです。(ルカ 6:45)
10. ある姉妹にとって,感謝の気持ちを持つことはどのように助けになりましたか。(写真も参照。)
10 感謝の気持ちは,問題に立ち向かう助けになります。「ものみの塔」2015年1月15日号に載せられている敬淑姉妹の経験を考えてみましょう。姉妹は,進行性の肺がんと診断されました。こう言います。「本当にショックでした。もうすべて終わりだと感じ,とても怖くなりました」。姉妹はどうしたでしょうか。毎晩,寝る前に家の屋上へ行って,その日に感謝していることを5つ声に出して祈りました。そうすると,気持ちが落ち着き,エホバをどれほど愛しているかを伝えたくなりました。そして,エホバが試練の間ずっと支えてくださっていることや,人生には試練より祝福の方がはるかに多いことにも気付きました。大変な経験をしている時にも,エホバに感謝できることはたくさんあります。エホバに祈って感謝を伝えることは,穏やかな気持ちで試練を忍耐していく助けになるでしょう。
11. イエスが天に昇った後,弟子たちに大胆さが必要だったのはどうしてですか。
11 大胆に伝道できるようにと祈る。イエスは天に昇る少し前,「エルサレムで,ユダヤとサマリアの全土で,また地上の最も遠い所」でも伝道するようにと弟子たちに命じました。(使徒 1:8。ルカ 24:46-48)でもその後すぐ,使徒のペテロとヨハネはサンヘドリンに連れていかれ,宗教指導者たちから伝道をやめるようにと脅されます。(使徒 4:18,21)ペテロとヨハネはどうするでしょうか。
12. 使徒 4章29,31節によると,弟子たちは何をしましたか。
12 宗教指導者たちの脅しに対し,ペテロとヨハネはこう言いました。「神よりもあなた方の言うことを聞く方が,神から見て正しいことなのかどうかは,自分たちで判断してください。しかし,私たちとしては,見聞きしたことについて話すのをやめるわけにはいきません」。(使徒 4:19,20)ペテロとヨハネが釈放されると,弟子たちはエホバの望まれることを行えるよう,こう祈りました。「あなたの奴隷たちができる限り大胆にあなたの言葉を語り続けられるようにしてください」。エホバはこの誠実な祈りに答え,弟子たちに勇気を与えました。(使徒 4:29,31を読む。)
13. 眞赫兄弟の例からどんなことを学べますか。
13 私たちも,政府から伝道を禁止された時,弟子たちに見習うことができます。眞赫兄弟の例を考えてみましょう。兄弟は軍隊に加わらなかったために投獄されました。そして,独房に入れられている人たちを世話する仕事を任されます。でも,聖書の話を含め,仕事と関係のない話はしてはいけないと言われました。兄弟は,あらゆる機会に伝道できるよう知恵と大胆さを与えてください,とエホバに祈りました。(使徒 5:29)こう言っています。「エホバは私の祈りを聞いて,知恵や大胆さを与えてくださいました。そのおかげで,独房の扉の所で,いろんな人と5分間の聖書レッスンができるようになりました。夜には,次の日に渡すための手紙を書きました」。私たちも眞赫兄弟のように,エホバが必ず助けてくださると確信して,知恵や大胆さを祈り求めることができます。
14. 問題を経験している時にはどんなことができますか。(詩編 37:3,5)
14 問題に立ち向かうための助けを求める。私たちはみんないろいろな問題を経験します。病気になったり,ひどく落ち込んだりすることもあれば,家族の中での問題,愛する人の死,迫害などを経験することもあります。こうした状況に感染症の流行や戦争などが加わると,ますます大変になるでしょう。そうした時には,自分の気持ちを全てエホバに打ち明けてください。親友に話す時のように,自分のことを伝えましょう。エホバは「あなたのために行動してくださ」います。(詩編 37:3,5を読む。)
15. 「苦難に遭っても忍耐」する上で,祈りはどのように助けになりますか。
15 粘り強く祈ることは,「苦難に遭っても忍耐」する助けになります。(ロマ 12:12)エホバはご自分に仕える人たちがどんな経験をしているかをよく知っていて,「助けを求める叫びを聞」いてくださいます。(詩 145:18,19)開拓者である29歳のクリスティー姉妹は,このことを実感しました。姉妹は突然重い病気になり,とてもがっかりしました。さらに,母親が命に関わる病気であることが分かりました。姉妹はこう言います。「一日一日頑張るための力を与えてください,とエホバに真剣に祈りました。そして,集会や個人研究といった良い習慣を守るようにしました。この大変な時期を乗り切る上で,祈りは大きな力になりました。エホバがすぐそばにいてくださるのを感じ,とても慰められました。すぐに病気が良くなったわけではありませんでしたが,エホバは私の祈りに答えて,穏やかな気持ちでいられるように助けてくださいました」。エホバが「神への専心を示す人々をどのように試練から救い出すかを知ってい[る]」ことを決して忘れないようにしましょう。(ペテ二 2:9)
16. 誘惑に抵抗するためにエホバの助けが必要なのはどうしてですか。
16 誘惑に抵抗できるよう助けを求める。私たちは不完全なので,間違ったことをさせようとする誘惑にいつも抵抗する必要があります。でもサタンは,この面で私たちに大変な思いをさせようとして,できる限りのことをしています。例えば,不道徳なエンターテインメントを使います。そうしたものを楽しむと,良くないことばかり考えるようになってしまうでしょう。やがて,心も汚されて重大な罪を犯してしまうかもしれません。(マル 7:21-23。ヤコ 1:14,15)
17. 誘惑に抵抗するための助けを求めたなら,どんなことをする必要がありますか。(写真も参照。)
17 誘惑に抵抗するためには,確かにエホバの助けが必要です。イエスも模範的な祈りの中で,「私たちを誘惑に陥らせないで,邪悪な者から救い出してください」と祈るよう教えました。(マタ 6:13)エホバは私たちのことを助けたいと思っています。でも,私たちの方から助けを求める必要があります。そして,祈りに沿った行動を取ることも大切です。例えば,サタンの世の中に広まっている間違った考えにできるだけ触れないようにします。(詩 97:10)聖書を読んだり学んだりして,いつも良いことを考えるように努力することもできます。集会や伝道に参加することも助けになります。そして,エホバも行動してくださいます。聖書の中で約束している通り,私たちが耐えられないほど誘惑を受けるままにはしません。(コリ一 10:12,13)
18. 祈りに関してどんなことを努力できますか。
18 この終わりの時代にエホバに忠実に仕えていくためには,ますます祈りが大切です。毎日時間を取って,心からの祈りを捧げましょう。エホバは私たちに「気持ちを全て」伝えてほしいと思っています。(詩 62:8)エホバを賛美し,エホバがしてくださっている全てのことに感謝しましょう。伝道で大胆に語れるようにと祈ることもできます。そして,どんな問題や誘惑にも立ち向かえるよう助けを求めましょう。エホバに祈りを捧げることを,何にも誰にも邪魔されないようにしてください。では,エホバはどのように私たちの祈りに答えてくださるのでしょうか。その点は次の記事で考えます。
6番の歌 神の僕の祈り
a 私たちは,祈りを親友への手紙のように心のこもったものにしたいと思っています。でも,祈りのために時間を取るのは難しいことがあります。どんなことを祈ったらいいんだろうか,と感じることもあるかもしれません。では,どうしたらいいでしょうか。考えてみましょう。
「ものみの塔」(研究用)