研究記事41
ペテロの2通の手紙から学べること
「私は常にこうした事柄を皆さんに思い起こさせたいと思っています」。ペテロ第二 1:12
61番の歌 わたしはどんな人になるべきだろうか
何を学ぶか a
1. ペテロは生涯が終わる頃に何をしましたか。
ペテロは自分の生涯の終わりが近いことを知っていました。これまで何十年もの間,エホバに忠実に仕えてきました。イエスと一緒に伝道し,ユダヤ人ではない人たちにも良い知らせを伝え,後に統治体の成員として奉仕しました。でも,ペテロの奉仕はこれで終わったわけではありません。西暦62年から64年ごろに,聖なる力に導かれて2通の手紙を書きました。「ペテロの第一の手紙」と「ペテロの第二の手紙」です。ペテロは,自分が死んだ後もこの手紙が仲間のクリスチャンの助けになることを願っていました。(ペテ二 1:12-15)
2. ペテロの手紙がぴったりのタイミングで書かれたと言えるのはなぜですか。
2 ペテロが手紙を書いた頃,クリスチャンは「さまざまな試練に悩まされて」いました。(ペテ一 1:6)間違った教えや汚れた行いを会衆内に広めようとしている人たちがいました。(ペテ二 2:1,2,14)エルサレムに住んでいるクリスチャンは,間もなく「全てのものの終わり」を経験することになっていました。ローマ軍によって,エルサレムの都市とユダヤ人の体制は滅ぼされることになっていたのです。(ペテ一 4:7)ペテロの手紙は,当時のクリスチャンにとって目の前の試練を乗り越える助けとなっただけでなく,将来に備えさせるものにもなりました。 b
3. ペテロが書いた手紙を調べるとよいのはどうしてですか。
3 ペテロが書いた手紙は,1世紀のクリスチャンに宛てられたものでしたが,エホバはそれを聖書に含めることにしました。それで,私たちもペテロの手紙から学ぶことができます。(ロマ 15:4)私たちは汚れた行いが広まっている世界で暮らしているので,エホバに仕えるのを難しく感じることがあります。さらに,ユダヤ人の体制が滅ぼされた時よりもっと大きな患難を間もなく経験することになります。ペテロが書いた2通の手紙は,私たちがエホバの日を待ち続け,人への恐れを乗り越え,互いへの愛を強めるのに役立ちます。長老たちは,会衆の兄弟姉妹を支える上で助けになる点を学べるでしょう。
エホバの日を待ち続ける
4. ペテロ第二 3章3,4節によると,どんなことが原因で信仰が揺らぐかもしれませんか。
4 私たちの周りには,聖書の預言を信じていない人が大勢います。私たちが長年「終わりは近い」と言い続けていることをばかにする人もいるかもしれません。「終わりなんて絶対に来ない」という人さえいます。(ペテロ第二 3:3,4を読む。)伝道で出会う人や同僚や家族からそんなふうに言われたら,信仰が揺らぐかもしれません。どんなことが助けになるでしょうか。ペテロの言葉に注目しましょう。
5. この体制の終わりについて正しい見方を保つのに何が役立ちますか。(ペテロ第二 3:8,9)
5 「エホバはどうしてこの悪い世界をもっと早く滅ぼさないのか」と感じる人がいるかもしれません。ペテロの言葉は正しい見方を持つのに助けになります。エホバの時間の感覚は人間とは大きく異なる,とペテロは書いています。(ペテロ第二 3:8,9を読む。)エホバにとって,1000年は1日のようです。エホバは,一人も滅ぼされないでほしいと思って辛抱してくださっています。でも,エホバの日が来たらこの体制は終わります。それまでの間,残された時間を使って全ての国の人に良い知らせを伝えられるのは素晴らしいことです。
6. エホバの日について「いつも考え」るために,どんなことができますか。(ペテロ第二 3:11,12)
6 ペテロはエホバの日について「いつも考え」るようにと勧めています。(ペテロ第二 3:11,12を読む。)どうすればそうできますか。新しい世界での素晴らしい生活について,毎日考えることができます。想像してみてください。空気のきれいなところで深呼吸をし,栄養豊かな物を食べ,復活してきた愛する人と再会し,ずっと昔に生きていた人たちに聖書預言の実現について教えることができます。こうしたことをじっくり考えるなら,新しい世界を待ち続ける力が得られます。そして,この体制の終わりは必ず来るという確信も強めることができます。将来について,「こうしたことを前もって知って」おくなら,間違った考えを持つ人たちに「惑わされ」ることはありません。(ペテ二 3:17)
人への恐れを乗り越える
7. 人への恐れを感じると,どうなるかもしれませんか。
7 エホバの日についていつも考えているなら,良い知らせを他の人に伝えたいという気持ちになります。でも,人の目が気になって話すのをためらってしまうことがあるかもしれません。ペテロもそうでした。イエスが裁判にかけられた夜,自分がイエスの弟子であることを明かすことができず,イエスを知らないと何度も言ってしまいました。(マタ 26:69-75)でも後に,「人々が恐れるものを恐れたり,動揺したりしてはなりません」と確信を持って言うことができました。(ペテ一 3:14)このペテロの言葉から,私たちも人への恐れを乗り越えられることが分かります。
8. 人への恐れを乗り越えるのに,どんなことが助けになりますか。(ペテロ第一 3:15)
8 どうすれば人への恐れを乗り越えられますか。ペテロはこう言いました。「心の中で主キリストを神聖な方としてください」。(ペテロ第一 3:15を読む。)イエス・キリストが王であり,大きな力を持っているということを思い巡らしましょう。誰かに良い知らせを伝えられそうな場面で,緊張したり不安を感じたりするなら,イエスのことをイメージしてみてください。イエスは天で王として治めていて,周りには数え切れないほどの天使がいます。「天と地における全ての権威」を持っていて,「体制の終結までいつの日もあなたたちと共にいる」と約束しています。(マタ 28:18-20)ペテロは,信じていることを「いつでも弁明できるよう,準備しておきましょう」と言いました。職場や学校にいる時など,いろんな機会に伝道したいと思いますか。どんなタイミングで話せるか,どんなことを言ったらいいか,前もって考えておくことができます。勇気を求めて祈りましょう。人への恐れを乗り越えられるよう,エホバが必ず助けてくださいます。(使徒 4:29)
「熱烈に愛し合ってください」
9. どんな場面で,ペテロは愛を示せませんでしたか。(挿絵も参照。)
9 ペテロは,どのように愛を示すべきかについて大切なことを学びました。イエスが次のように言うのをペテロは直接聞いていました。「私はあなたたちに新しいおきてを与えます。それは,互いに愛し合うことです。私があなたたちを愛した通りに,あなたたちも互いを愛しなさい」。(ヨハ 13:34)それでもペテロは,ユダヤ人のクリスチャンを恐れて,異国人の兄弟姉妹と食事をするのをやめてしまったことがありました。パウロはペテロに対して,それは「偽善的な行動」だと言います。(ガラ 2:11-14)ペテロはこの矯正を受け入れ,失敗から学びました。2通の手紙の中で,兄弟姉妹への愛は感じるだけでなく示すべきものだ,ということを強調しています。
10. 「偽善のない兄弟愛」を示すために,どんなことが助けになりますか。(ペテロ第一 1:22)
10 ペテロは仲間のクリスチャンに対して「偽善のない兄弟愛」を持つべきだと言いました。(ペテロ第一 1:22を読む。)そうするために,「真理に従順であること」は助けになります。聖書には,「神[は]不公平ではない」と書かれています。(使徒 10:34,35)もし会衆の一部の人にしか愛を示していないなら,愛に関するイエスのおきてに従っているとは言えません。もちろん,誰かにより親しみを感じることはあるものです。イエスもそうでした。(ヨハ 13:23; 20:2)でもペテロが教えている通り,全ての兄弟姉妹に,家族に対するような温かい愛を持てるよう努力しましょう。(ペテ一 2:17)
11. 「心から熱烈に」愛するとはどういうことですか。
11 ペテロは,「心から熱烈に愛し合」うようにと勧めました。この「熱烈に」愛するという表現には,愛を示すのが難しいと思える相手にも努力して愛を示す,という考えが含まれています。例えば,誰かから嫌な思いをさせられた時,愛を示すよりそっけない態度を取りたくなるかもしれません。でもイエスはペテロに,仕返しは神に喜ばれないと教えました。(ヨハ 18:10,11)ペテロはこう書きました。「傷つけられたり侮辱されたりしても,仕返しをしてはなりません。かえって,相手に親切にしてください」。(ペテ一 3:9)熱烈な愛を示すよう努力するなら,自分を傷つけた相手にも,親切に思いやり深く接することができるでしょう。
12. (ア)熱烈な愛があるなら,どんなこともしやすくなりますか。(イ)「友情を大事にする」の動画のどんな点が役立つと思いましたか。
12 ペテロは別の箇所でも,「熱烈に愛し合ってください」と言っています。そうするなら,少しの罪ではなく,「多くの罪」を覆うことができます。(ペテ一 4:8)ペテロは,イエスから許すことについて教わった時のことを思い出していたのかもしれません。ペテロは仲間を「7回」許すつもりだと言った時,自分はいい人だと思っていたかもしれません。でもイエスは,「77回」まで,つまり限度を決めずに許すようにと教えました。(マタ 18:21,22)イエスのこの言葉の通りにするのは難しいと感じるかもしれません。私たちはみんな完全ではないからです。それでも,仲間を許して仲直りするために,できる限りのことを行うようにしましょう。 c
長老として会衆の仲間を支える
13. 長老たちにとって会衆の仲間を支えるのが簡単ではないのはどうしてですか。
13 ペテロは復活したイエスから「私の小さな羊を世話しなさい」と言われたことを決して忘れなかったことでしょう。(ヨハ 21:16)長老たちも,この務めを真剣に受け止めています。でも,時間を取るのが難しいと感じることがあるかもしれません。まず,家族を身体的,感情的に世話し,エホバとの強い絆を持てるよう助ける必要があります。また,熱心に伝道に参加し,集会や大会の割り当ての準備もしなければなりません。医療機関連絡委員会(HLC)や支部設計建設部門(LDC)で働いている兄弟たちもいます。長老たちにはやるべきことがたくさんあります。
14. どんなことを考えると,兄弟姉妹を支えたいという気持ちになりますか。(ペテロ第一 5:1-4)
14 ペテロは長老たちに,「神の羊の群れを世話してください」と言っています。(ペテロ第一 5:1-4を読む。)長老の皆さんは兄弟姉妹を愛し,支えになりたいと思っていることでしょう。でも,忙しかったり疲れていたりして,そうするのが難しいと感じることがあるかもしれません。そのような時には,自分の気持ちを全てエホバに話してください。ペテロは,「奉仕する人は,神が与えてくださる力に頼って奉仕してください」と書いています。(ペテ一 4:11)兄弟姉妹が直面している問題の中には,この体制では解決できないものもあります。でも,「牧者の長」であるイエス・キリストが兄弟姉妹を支えてくださいます。長老たちにできる以上のことを,今も新しい世界でも行ってくださいます。エホバが今長老たちに願っているのは,兄弟姉妹を愛し,支え,「群れの模範」となることです。
15. ある長老はどのようにして会衆の兄弟姉妹を支えていますか。(写真も参照。)
15 長年長老として奉仕しているウィリアム兄弟は,牧羊は大切だと感じています。新型コロナウイルスの流行が始まった時,ウィリアム兄弟は同じグループの長老たちと協力して,グループの兄弟姉妹と毎週必ず連絡を取るようにしました。兄弟はこう言います。「家に独りでいると,いろいろと良くない方向に考えてしまうことがあるものです」。仲間の大変そうな様子に気付いた時,兄弟はよく話を聞いて,どんなことが心配なのか,何を必要としているのかを見極めるようにしています。そしてjw.orgから役立ちそうな動画や資料を見つけて,それを伝えるようにしています。兄弟はこう言います。「エホバから委ねられた羊を世話することは,これまでになく大切になっていると思います。一人でも多くの人にエホバについて知らせるよう一生懸命努力するのであれば,兄弟姉妹がエホバの側にとどまれるよう支えるためにも,同じように努力するべきだと思います」。
エホバに最後まで訓練していただく
16. ペテロの手紙から学んだことをどのように当てはめられますか。
16 この記事では,ペテロの手紙から学べる点を幾つか取り上げました。あなたも努力したいと思うところがあったかもしれません。例えば,新しい世界での素晴らしい生活についてもっと考えようと思いましたか。職場や学校にいる時など,いろんな機会に伝道しようと思いましたか。兄弟姉妹への熱烈な愛をもっと示すためにできそうなことがありますか。長老の皆さんはエホバの羊を一生懸命に世話しようという決意が強まりましたか。正直に自分を分析するなら,努力すべき点に気付くかもしれません。でも,がっかりしないでください。「主[は]親切で」,私たちが頑張れるように助けてくださいます。(ペテ一 2:3)そして,ペテロが言っている通り,「神は,皆さんの訓練を終え……皆さんをしっかりした人,強い人,揺らぐことのない人にしてくださ」います。(ペテ一 5:10)
17. ペテロのように諦めず,エホバに訓練していただくなら,どんな良い結果になりますか。
17 ペテロは,自分がイエスと一緒にいるのはふさわしくない,と感じたことがありました。(ルカ 5:8)でも,エホバとイエスの優しい支えによって,キリストの弟子として頑張り続けることができました。そして,「救い主である主イエス・キリストの永遠の王国に入る」ことができました。(ペテ二 1:11)素晴らしい報いです。私たちもペテロと同じように諦めずに頑張り続け,エホバに訓練していただくなら,永遠の命を得ることができます。「信仰の結果として救いを得られる」のです。(ペテ一 1:9)
73番の歌 心から熱烈に愛しなさい
「ものみの塔」(研究用)