1. あなたはエホバについてどんなイメージを持っていますか。

 エホバについて考える時，どんなイメージが浮かびますか。祈る時はどうですか。私たちはエホバの姿を見ることはできませんが，聖書のいろんな表現からエホバがどんな方かについて知ることができます。例えば，エホバは「太陽，盾」，「焼き尽くす火」と表現されています。（詩 84:11。ヘブ 12:29）エゼキエルは幻の中で，エホバの周りがサファイアや琥珀金や虹のように光り輝いている様子を見ました。（エゼ 1:26-28）エホバについてこのように表現されていることを考えると，あまりにも素晴らしくて圧倒されるかもしれません。

2. エホバに近づきにくく感じる理由にはどんなものがありますか。

² エホバは目に見えないので，エホバが自分のことを愛してくれていると信じるのを難しく感じることがあるかもしれません。過去につらい経験をしたために，「エホバが自分のことを愛してくれるはずがない」と思う人もいます。父親に愛された記憶がないという人もいます。エホバは，私たちのそうした気持ちやエホバに近づきにくく感じる理由をご存じです。それで私たちのために，ご自分がどんな方かを聖書の中で教えてくれています。

3. エホバの愛について考えることはどうして大切ですか。

³ エホバを一言で言い表すなら，愛です。（ヨハ一 4:8）エホバの行動一つ一つには愛が表れています。その愛はとても温かくて強力です。エホバはご自分を愛していない人にも愛を示します。（マタ 5:44，45）この記事では，エホバとエホバの愛について学びます。エホバについて知れば知るほど，エホバへの愛が深まるでしょう。

エホバは私たちのことを心から愛している

4. エホバの優しい愛情について考えると，どんな気持ちになりますか。（写真も参照。）

⁴ 「エホバは優しい愛情にあふれ[る]方」です。（ヤコ 5:11）聖書の中でエホバはご自分のことを愛情深い母親に例えています。（イザ 66:12，13）幼い子供を優しく世話しているお母さんの様子をイメージしてみてください。子供を膝の上であやしながら，穏やかな声で話し掛けています。子供がつらそうにしていたり泣き出したりすると，何を必要としているかを確かめ，子供のために行動します。私たちもつらいとき，エホバがこの母親のように行動してくれることを確信できます。詩編作者はこう書きました。「心配事で圧倒されそうな時，あなたは私を安心させ，落ち着かせてくださった」。（詩 94:19）

5. エホバの揺るぎない愛は，どのように私たちのためになりますか。

⁵ エホバは揺るぎない愛で満ちています。（詩 103:8）私たちが何か間違いを犯したとしても，見放したりしません。イスラエル人は何度も何度もエホバをがっかりさせてきました。でも，自分たちの間違いを認め，行動を改めた時，エホバは変わらず愛していることをこのように言い表しました。「私はあなたを貴ぶようになり，重んじ，愛した」。（イザ 43:4，5）エホバは変わっていません。今でも私たちのことを愛していると確信できます。何か重大な間違いを犯したとしても，エホバは私たちのことを見捨てたりしません。自分の間違いを認めてエホバのもとに戻るなら，私たちのことを変わらずに愛してくれます。エホバは「寛大に許してくださる」と約束しています。（イザ 55:7）エホバから許してもらった時，「爽やかにする時期がエホバから来[る]」のを経験できるでしょう。（使徒 3:19）

6. ゼカリヤ 2章8節からエホバについてどんなことが分かりますか。

⁶ ゼカリヤ 2:8を読む。エホバは私たちのことを瞳に例えています。目は体の中でも特に傷つきやすく，大切な部分です。エホバは「あなたが傷つく時，私も大切なものを傷つけられているように感じる」と言っているかのようです。エホバは私たちのことを愛しているので，私たちの気持ちのちょっとした変化にも気付き，私たちを守りたいと思ってくれています。私たちがつらい気持ちになる時，エホバも同じようにつらく感じるのです。それで私たちは，「私をあなたの瞳のように守ってください」と祈ることができます。（詩 17:8）

7. エホバに愛されているという確信を強めることが大切なのはどうしてですか。

⁷ エホバはあなたに，エホバに愛されていることを確信してほしいと思っています。それでも，過去のつらい経験や今抱えている問題のために，「本当にエホバに愛されているんだろうか」と感じる場合があることも分かってくれています。では，どうすればエホバに愛されていることをもっと確信できるでしょうか。エホバがイエスや天に行くよう選ばれた人たちや私たち全てに対してどのように愛を表しているかに注目してみましょう。

エホバは愛を表している

8. イエスがエホバに愛されていることを確信していたのはどうしてですか。

⁸ エホバとイエスは親子の強い絆で結ばれています。誰よりも長く一緒に時間を過ごし，特別な関係を築いてきました。マタイ 17章5節にある通り，エホバはイエスを愛していることをはっきりと伝えました。その時，エホバはただ「私はこの子のことを喜んでいる」と言うこともできましたが，イエスを「私の愛する子」と呼びました。イエスを愛していることを私たちにも知ってほしいと願っていたからです。人々を救うために自分を差し出したイエスの生き方を，エホバはとても誇りに思っていました。（エフェ 1:7）イエスも，エホバに愛されていることを決して疑わず，そのことへの確信を何度も言い表しました。（ヨハ 3:35; 10:17; 17:24）

9. 天に行くよう選ばれた人たちをエホバが愛していることはどんな表現から分かりますか。（ローマ 5:5）

⁹ ローマ 5:5を読む。エホバは天に行くよう選ばれた人たちにも愛を表しています。この聖句の「注がれている」という表現に注目してみましょう。ある参考文献はそれを「勢いよく流れる川のようだ」と説明しています。天に行くよう選ばれた人たちのことをエホバがどれほど愛しているかをイメージすることができます。天に行くよう選ばれた人たちも，「神に愛され」ていることを確信しています。（ユダ 1）そのことについて使徒ヨハネは，「天の父が私たちにどのような愛を示してくださったかを考えてください。私たちは神の子供と呼ばれるほど愛されて[います]」と書きました。（ヨハ一 3:1）では，エホバが愛しているのは天に行くよう選ばれた人たちだけなのでしょうか。そうではありません。エホバは私たち全てのことを愛しています。

10. エホバが私たちのことを愛してくださっているといえる最大の証拠は何ですか。

¹⁰ エホバが私たちを愛しているといえる最大の証拠は何でしょうか。贖いです。これほど大きな愛が示されたことはありません。（ヨハ 3:16。ロマ 5:8）エホバは人類全てのために大切な息子であるイエスを犠牲にしてくださいました。おかげで私たちの罪は許され，エホバと友になることができるようになりました。（ヨハ一 4:10）エホバとイエスがどれほど大きな犠牲を払ってくださったかについて考えると，私たち一人一人のことをどれほど愛してくださっているかが分かります。（ガラ 2:20）贖いはただエホバの正しい基準を満たすためのものではありません。愛のこもったエホバからの贈り物です。エホバは私たちを愛しているので，ご自分にとって一番大切な息子であるイエスが苦しんで死ぬのを許すことまでしました。

11. エレミヤ 31章3節からどんなことを学べますか。

¹¹ ここまで見てきたように，エホバは私たちにただ愛を感じているだけではなく，私たちのことをどれほど愛しているかを伝えてくれています。（エレミヤ 31:3を読む。）エホバは私たちを愛しているので，ご自分のもとに引き寄せてくださいました。（申命記 7:7，8と比較。）エホバの愛から私たちを引き離せるものは何もありません。（ロマ 8:38，39）エホバの愛をじっくり考えると，あなたはどう感じますか。詩編 23編を読んで，エホバの愛と優しい気遣いをダビデがどのように感じていたか，これから調べてみましょう。そうするなら，私たちも心を動かされることでしょう。

エホバの愛について考えると，どんな気持ちになるか

12. 詩編 23編でダビデはどんなことを歌っていますか。

¹² 詩編 23:1-6を読む。ダビデはエホバが愛し，優しく気遣ってくれていることを確信していました。そのことを詩編 23編で歌っています。ダビデには，牧者であるエホバとの強い絆がありました。ダビデはエホバを心から信頼していました。エホバに導かれるようにしていたので，安心していられました。そして，エホバがずっと愛し続けてくれるということを信じていました。どうしてそう確信できたのでしょうか。

13. エホバが世話してくださることをダビデが確信できたのはどうしてですか。

¹³ 「私は何も不足しない」。ダビデはエホバが必要な物を全て与え，世話してくださっているのを感じていました。また，エホバが自分のことを良いと認め，友になってくれていることも実感していました。それで，将来どんなことが起きるとしても，エホバが必ず世話してくださると確信していました。ダビデは，エホバが優しく気遣ってくださることを心から信じていたので，心配事があっても幸せな気持ちでいることができました。（詩 16:11）

14. エホバはどのように私たちのことを優しく世話してくださいますか。

¹⁴ エホバは，私たちが生活の中で大変な経験をする時には特に，優しく気遣ってくれます。ベテルで20年以上奉仕しているクレアという姉妹は，家族の中で大変なことが次々に起きた時にどうしたらいいか分からなくなりました。 a 父親が脳卒中になり，妹は排斥され，家族がやっていた仕事がうまくいかなくなり，家を失いました。エホバは姉妹の家族をどのように優しく世話したでしょうか。姉妹はこう言っています。「エホバは私たち家族が必要な物に事欠かないようにしてくれました。エホバが私たちの想像を超えるほどたくさんのものを与えてくれたことが何度もありました。そうしたエホバの優しい愛を感じた時のことを時々思い返しています。絶対に忘れられない大切な思い出です。こうした思い出が大変な時にも頑張り続ける力になっています」。

15. ダビデが力を取り戻せたのはどうしてですか。（挿絵も参照。）

¹⁵ 「力を取り戻す」。ダビデはいろいろな問題を幾つも経験して，とてもつらく感じたことがありました。（詩 18:4-6）でも，エホバが愛し，気遣ってくれていることを実感して，力を取り戻すことができました。まるでエホバが「青々とした牧草地」や「水の豊かな場所」に連れていってくれたように感じたのです。こうして力づけられたダビデは，エホバに喜んで仕えていくことができました。（詩 18:28-32）

16. エホバの愛はあなたが力を取り戻すのにどのように助けになってきましたか。

¹⁶ 私たちも大変な経験をすることがありますが，「エホバの揺るぎない愛のおかげで」忍耐することができます。（哀 3:22。コロ 1:11）レイチェル姉妹の例を考えてみましょう。姉妹は，コロナのパンデミック中に夫がエホバから離れ，家を出ていってしまった時，とても大きなショックを受けました。エホバは姉妹のためにどんなことをしたでしょうか。姉妹はこう言っています。「エホバに愛されていることを実感できるようにしてくださいました。兄弟姉妹は一緒に時間を過ごし，食事を届けてくれました。温かいメッセージや聖句を送ったり，ほほ笑んで安心させたりもしてくれました。エホバが私のことを気遣ってくださっていることを思い起こせるようにもしてくれました。エホバがこのような温かい家族を与えてくださったことにいつも感謝しています」。

17. ダビデが「何も悪いものを恐れな[かった]」のはどうしてですか。

¹⁷ 「何も悪いものを恐れない。あなたが共にいてくださるから」。ダビデは危険な目に何度も遭い，強い敵に立ち向かわなければならないこともたくさんありました。でも，エホバの愛を感じていたので，安心していることができました。エホバがどんな時にも一緒にいてくれるのを感じていたので，確信を込めてこう歌うことができました。「エホバは……全ての恐れから助け出してくださった」。（詩 34:4）ダビデは怖いと思うような経験を何度もしましたが，エホバの愛を感じていたので，恐れの気持ちを乗り越えることができました。

18. エホバに愛されているという確信は，恐れに立ち向かう上でどのように助けになりますか。

¹⁸ エホバに愛されているという確信は，恐れに立ち向かう上でどのように助けになるでしょうか。開拓者のスージー姉妹は，息子が自殺するという悲しい経験をしました。その時自分や夫がどう感じたかについて，こう言っています。「あまりにもつらいことが突然起きると，心が傷つき，もっと大変なことが起きるんじゃないかと怖くなります。でも，エホバの優しい愛について考えると，エホバに守られているように感じ，穏やかな気持ちになりました」。先ほどのレイチェル姉妹はこう言います。「ある夜，とても悲しくなって不安や恐れの気持ちが押し寄せてきました。それで，泣きながらエホバに祈りました。すると，まるで赤ちゃんを腕に抱き寄せる母親のように，エホバが私を落ち着かせてくれるのを感じました。それで，安心して眠ることができました。あの時のことは忘れません」。長老のタソス兄弟は，軍隊に入ることを拒否したために刑務所に4年間入れられました。その間，エホバの愛や気遣いをどのように感じたでしょうか。こう言っています。「エホバは必要な物を与えるだけでなく，十分に世話してくれました。それで，エホバに心から頼ろうという気持ちが強まりました。エホバは，希望がないように思える状況でも喜べるように聖なる力を与えてくれました。エホバに頼れば頼るほどエホバの愛を実感できるということが分かったので，刑務所にいる間に正規開拓奉仕を始めました」。

優しいエホバがそばにいてくださる

19. （ア）エホバの愛を実感しているなら，どんなことを祈れますか。（イ）エホバの愛を感じるお気に入りの聖句がありますか。（「 エホバの温かい愛が表れている言葉」の囲みを参照。）

¹⁹ 兄弟姉妹の経験からも分かる通り，「愛……の神」であるエホバが私たちと共にいてくださいます。（コリ二 13:11）エホバは，私たち一人一人のことを気に掛け，「揺るぎない愛」で包んでくださいます。（詩 32:10）エホバがどのように愛を示してくださっているかについて考えれば考えるほど，エホバがもっと身近な存在になり，そばにいてくださることを確信できるでしょう。私たちにはエホバの愛が必要です。いつでも祈り，そのことをエホバに伝えましょう。また，心配事を全てエホバに委ねることができます。エホバが私たちのことをよく理解し，助けたいと思ってくださっていることを信じているからです。（詩 145:18，19）

20. エホバの愛について考えると，エホバに引き寄せられるのはどうしてですか。

²⁰ 寒い日にたき火の近くに行きたいと思うのと同じように，私たちはエホバの愛に引き寄せられます。エホバの愛は，強くて温かいものです。毎日の生活の中で，エホバに愛されているという幸せを感じるようにしましょう。そして，私たちもエホバを心から愛していることをエホバにぜひ伝えていきましょう。（詩 116:1）