1. 年長の人たちから学ぶことが大切なのはどうしてですか。

 私たちはみんな，生活の中で大きな決定をするときにアドバイスを必要としています。そうしたアドバイスは，長老たちや経験を積んだ兄弟姉妹からもらうことができます。でも，自分よりずっと年上だからといって，そうした人たちのアドバイスは時代遅れだとすぐに決め付けてはいけません。年長の人たちは，長い人生経験や理解力や知恵を持っています。エホバはそうした人たちから学んでほしいと思っています。（ヨブ 12:12）

 2. この記事ではどんなことを考えますか。

² 聖書時代にエホバは，年長の人たちを通してご自分の民を励まし，導きました。例えば，モーセ，ダビデ，使徒ヨハネがいます。3人は生きていた時代も置かれていた状況も全く違っていました。でも人生の終わり頃に，若い人たちに良いアドバイスを与えました。3人とも，エホバに従うことがどれほど大切かを教えました。エホバはその言葉を記録させ，私たちが読めるようにしてくださいました。私たちは年齢に関係なく，そうした人たちの言葉から大切なことを学べます。（ロマ 15:4。テモ二 3:16）この記事では，3人が残した言葉について調べ，そこからどんなことを学べるかを考えます。

「長く生きていける」

 3. モーセはエホバにどのように仕えましたか。

³ モーセは生涯中ずっとエホバに一生懸命仕えました。預言者や裁判人，司令官，歴史家などの役割を果たし，本当にいろいろな経験をしました。エジプトで奴隷だったイスラエル人を救い出し，エホバの奇跡をたくさん目撃しました。また，エホバに導かれて聖書の最初の5つの書や詩編 90編を書きました。詩編 91編やヨブ記もモーセが書いたと思われます。

 4. モーセは誰を励ましましたか。どうしてですか。

⁴ モーセは120歳で亡くなる少し前に，イスラエル人の全員を集め，自分たちが経験してきたことを思い起こさせました。モーセの話を聞いていた人たちの中には，エホバがたくさんの奇跡を行ったり，エジプト人に罰を下したりするのを若い時に見た人たちがいました。（出 7:3，4）2つに分かれた紅海の間を渡り，ファラオの軍隊が滅ぼされるのを見ました。（出 14:29-31）荒野にいた時にはエホバの世話を受け，守ってもらいました。（申 8:3，4）そして間もなく約束の地に入ろうとしています。モーセはこの最後の機会に民を励まそうとしていました。 a

 5. モーセは人生の最後に，イスラエル人にどんな保証を与えましたか。（申命記 30:19，20）

⁵ モーセは何と言ったか。（申命記 30:19，20を読む。）イスラエル人はエホバから素晴らしい見込みを与えられていました。エホバが約束していた土地で長く生きることができるのです。しかも，そこは美しくて肥沃な土地でした。そのことについてモーセは次のように言いました。「あなた[は]自分で建てたのではない大きくて良い町を得，自分で働いて手に入れたのではないあらゆる良い物でいっぱいの家，自分で掘ったのではない水ため，自分で植えたのではないブドウやオリーブの木も得[る]」。（申 6:10，11）

 6. イスラエルがほかの国に征服されたのはどうしてですか。

⁶ モーセはイスラエル人に警告も与えました。この美しい地に住み続けるには，エホバのおきてに従う必要がありました。モーセは，エホバの言うことを聞き，「神にしっかり付」いて「命を選」ぶようにと勧めました。でも，イスラエル人はエホバに従いませんでした。それで，アッシリア人やバビロニア人に征服され，捕囚にされました。（王二 17:6-8，13，14。代二 36:15-17，20）

 7. モーセの言葉からどんなことを学べますか。（写真と挿絵も参照。）

⁷ どんなことを学べますか。従うことは命につながるということです。約束の地を目前にしていたイスラエル人と同じように，私たちも神が約束した新しい世界に入ろうとしています。間もなく地球はパラダイスへと変えられます。（イザ 35:1。ルカ 23:43）その時，悪魔サタンや邪悪な天使たちはもういません。（啓 20:2，3）人々をエホバから引き離す，間違った宗教もありません。（啓 17:16）人間の政府によって苦しめられることもなくなります。（啓 19:19，20）反抗する人たちもいません。（詩 37:10，11）全ての人がエホバの正しい基準に従うので，パラダイスには平和と一致が行き渡ります。みんなが互いを愛し，信頼します。（イザ 11:9）なんと素晴らしい将来が待っているのでしょう。それだけではありません。エホバに従うなら，パラダイスとなった地球で，たった数百年ではなく永遠に生きることができるのです。（詩 37:29。ヨハ 3:16）

 8. 永遠の命の約束は，ある宣教者の兄弟にとってどのように力となりましたか。（ユダ 20，21）

⁸ 永遠の命についてのエホバの約束をいつも覚えておくなら，どんなに大変なことがあってもエホバに従いたいという気持ちになります。（ユダ 20，21を読む。）この約束は自分の弱さと闘う力にもなります。アフリカで長年宣教者奉仕をしているある兄弟は以前，悪いことをしたくなる衝動といつも闘っていました。こう言っています。「永遠に生きる見込みが危うくなるということに気付いてから，この問題に真剣に取り組もうという決意が強まりました。助けを求めてエホバにもっと祈るようにもなりました。エホバのおかげで問題を乗り越えることができました」。

「あなたは成功する」

 9. ダビデはどんな大変な経験をしましたか。

⁹ ダビデは素晴らしい王でした。音楽家，詩人，強い戦士，預言者でもありました。また，何度も大変な経験をしました。ねたみに駆られたサウル王から命を狙われ，何年にもわたって逃亡生活を送りました。王になった後も，息子のアブサロムが王権を奪おうとした時に命が危うくなったため逃げなければなりませんでした。こうした問題に加えて大きな間違いも何度かしましたが，ダビデは生涯を終えるまでずっとエホバに忠実に仕え続けました。エホバはダビデのことを「心にかなう人」と言いました。それで，ダビデのアドバイスを注意深く聞くのは私たちにとって良いことです。（使徒 13:22。王一 15:5）

10. ダビデが後継者となる息子ソロモンにアドバイスを与えたのはどうしてですか。

¹⁰ ダビデが自分の後継者となる息子ソロモンにどんなアドバイスを与えたかを考えましょう。ソロモンは若い時に，エホバから王として選ばれました。そして清い崇拝を推し進め，エホバを崇拝するための神殿を建てるという役割を与えられました。（代一 22:5）こうしたことを行うためには，いろいろな問題に対処する必要がありました。ダビデはソロモンにどのようなアドバイスを与えたでしょうか。

11. 列王第一 2章2，3節で，ダビデはソロモンにどんなアドバイスをしましたか。この言葉はどのように実現しましたか。（挿絵と写真も参照。）

¹¹ ダビデは何と言ったか。（列王第一 2:2，3を読む。）ダビデはソロモンに，エホバに従うなら成功すると言いました。実際，ソロモンは長年にわたってかなりの成功を収めました。（代一 29:23-25）壮麗な神殿を建て，聖書の幾つかの書も書きました。ほかの書にもソロモンの言葉が引用されています。そして，非常に賢く裕福であることで有名になりました。（王一 4:34）でもダビデが言った通り，ソロモンが成功できたのは，エホバに従っている間だけでした。残念なことに，ソロモンは年を取ってからほかの神々に頼るようになり，エホバからの好意を失ってしまいました。エホバからの知恵が得られなくなり，正しく公正に統治することもできなくなりました。（王一 11:9，10; 12:4）

12. ダビデの言葉からどんなことを学べますか。

¹² どんなことを学べますか。従うことは成功につながるということです。（詩 1:1-3）もちろんエホバは，ソロモンと同じような富や栄光を私たちに与えると約束しているわけではありません。でも，エホバに従うなら，エホバは良い決定を下せるように知恵を与えてくださいます。（格 2:6，7。ヤコ 1:5）エホバのアドバイスは，仕事やお金，教育，気晴らしに何をするかといったことを選択するのに役立ちます。友達や家族との関係もさらに良くなります。そして，エホバとの絆や永遠に生きる希望を守ることができます。（格 2:10，11）

13. カルメン姉妹は，何が人生の本当の成功につながるかをどのようにして見つけましたか。

¹³ モザンビークに住むカルメン姉妹は，高い教育を受けることが成功の鍵だと考えていました。それで，建築を学ぶために大学へ行きました。姉妹はこう言っています。「好きなことを学べるのはとても楽しいことでした。でも，時間やエネルギーを使い果たしてしまっていました。朝の7時半から夕方の6時まで学校にいました。集会に行くのも大変で，エホバとの関係はどんどん弱くなりました。自分は2人の主人に仕えようとしているんだ，ということに気付きました」。（マタ 6:24）姉妹は自分の状況についてエホバに祈り，聖書に基づく出版物を使って調査しました。さらにこう言っています。「長老たちや母親から良いアドバイスをもらい，エホバに全時間仕えるために大学をやめることにしました。人生の中でも本当に良い決定ができたと思います。後悔はまったくありません」。

14. モーセとダビデが伝えたかったメッセージはどのようなものでしたか。

¹⁴ モーセとダビデはエホバを深く愛し，エホバに従うことの大切さをよく理解していました。2人とも人生の最後に，自分たちと同じようにエホバにしっかり従うようにと人々に勧めました。そして，エホバから離れるなら，エホバからの好意を失い，約束されている報いも受けられなくなってしまうと警告しました。このアドバイスは今の私たちにも役立ちます。モーセやダビデからずっと後の時代のある人も，エホバに忠実に仕えることの大切さを説明しました。その点を考えてみましょう。

「[これ]ほど，うれしいことはありません」

15. 使徒ヨハネはどんな経験をしましたか。

¹⁵ ヨハネはイエス･キリストに愛された使徒でした。（マタ 10:2。ヨハ 19:26）イエスと一緒に各地で伝道を行い，イエスの奇跡を目撃しました。大変なことがあってもイエスから離れませんでした。イエスが処刑された時もそばにいて，復活したイエスにも会いました。また，キリスト教が広まっていき，良い知らせが「天の下の至る所で伝えられ」る様子も見ました。（コロ 1:23）

16. ヨハネの手紙は誰にとって励みになってきましたか。

¹⁶ ヨハネは長い人生の終わりに，聖書の一部を書くという特別な機会を与えられました。例えば，「イエス･キリストによる啓示」を記録しました。（啓 1:1）また，聖なる力に導かれて，福音書の1つや3通の手紙も書きました。3通目の手紙は，ヨハネが自分の子供のように愛していたガイオという忠実なクリスチャンに宛てたものでした。（ヨハ三 1）当時，ヨハネから子供のように愛されていた人たちはほかにも大勢いたことでしょう。ヨハネが書いた言葉は，これまでイエスに従ってきた全ての人にとって励みになってきました。

17. ヨハネ第三 4節によると，どんなことから喜びを味わえますか。

¹⁷ ヨハネは何と書いたか。（ヨハネ第三 4を読む。）ヨハネはエホバに従うことから味わえる喜びについて書きました。ヨハネ第三の手紙を書く頃には，間違った教えを広める人や，分裂を引き起こす人たちがいました。でもほかの人たちは「真理に従って歩んで」いました。エホバの側にしっかり付いて，「天の父のおきてに従って歩んで」いました。（ヨハ二 4，6）こうした忠実な兄弟姉妹のことを，ヨハネだけでなくエホバも喜んでいたに違いありません。（格 27:11）

18. ヨハネの言葉からどんなことを学べますか。

¹⁸ どんなことを学べますか。忠実でいることは喜びにつながるということです。（ヨハ一 5:3）私たちが誘惑を退けて真理に従って生きる時，エホバは喜んでくれます。そのことを知ると，私たちも幸せな気持ちになります。（格 23:15）天使たちも喜びます。（ルカ 15:10）仲間がエホバに忠実に仕えているのを見ると，私たちはうれしい気持ちになります。試練や誘惑に遭っても頑張っていることを知ると，特にそう感じます。（テサ二 1:4）そしてこの体制が終わる時，サタンが支配する世の中でもエホバの側にしっかり付くことができて本当に良かったと思えるでしょう。

19. レイチェル姉妹は他の人にエホバについて教えることをどう感じていますか。（写真も参照。）

¹⁹ 私たちは他の人にエホバについて教える時，特に喜びを味わうことができます。ドミニカ共和国に住むレイチェル姉妹は，エホバという魅力的な神について他の人に教えられるのは本当に素晴らしいことだと感じています。姉妹はこれまでエホバに仕えるよう何人もの人を助けてきました。こう言っています。「学んでいる人がエホバへの愛を深め，エホバに頼るようになり，エホバに喜んでもらうために自分の生活を調整していく様子を見る時，本当にうれしくなります。この喜びは言葉では言い表せません。どんな努力や犠牲も払う価値があります」。

神に仕えた人たちの最後の言葉から学ぶ

20. 私たちと，モーセやダビデやヨハネにはどんな共通点がありますか。

²⁰ 私たちは，モーセやダビデやヨハネとは，生きている時代も置かれている状況も違います。でも共通点もたくさんあります。3人と同じように，私たちも真の神に仕えています。また，エホバに祈り，エホバを信頼し，導きを求めます。エホバがご自分に従う人を豊かに報いてくださるということも確信しています。

21. エホバに忠実に仕えた人たちが残した言葉を心に留めるなら，どんな良い結果になりますか。

²¹ エホバに忠実に仕えた人たちが残した言葉を心に留め，これからもエホバのおきてに従っていきましょう。そうするなら，私たちの行うことは全て成功します。そして，命を得て「長く生きていけ[ます]」。しかも永遠にです。（申 30:20）また，愛する天のお父さんエホバに喜んでもらうことができ，喜びを味わえます。将来，エホバは私たちの想像をはるかに超える仕方で，ご自分の約束を全て果たしてくださいます。（エフェ 3:20）