研究記事11

51番の歌 エホバに固く付く

がっかりすることがあっても諦めないでください

がっかりすることがあっても諦めないでください

「あなたは……私の名のために辛してきました」。啓示 2:3

ポイント

がっかりすることがあってもエホバに仕え続けるためにどんなことができるかを学びます。

1. エホバの家族の一員でいられるのは,どうして素晴らしいことといえますか。

 私たちは終わりの時代に住んでいるので,いろいろな難しい問題を経験します。そんな中で,エホバの家族の一員でいられるのは素晴らしいことです。エホバは互いに支え合える兄弟姉妹を与えてくださっています。(詩 133:1)幸せな結婚生活を送れるようにも助けてくださっています。(エフェ 5:33–6:1)また,穏やかな気持ちでいられるように,洞察力や知恵も与えてくださっています。

2. エホバに仕え続けるのが難しいと感じることがあるのはどうしてですか。

2 それでも,エホバに仕え続けるのはいつも簡単というわけではありません。なぜでしょうか。他の人にいらいらさせられたり,傷つけられたりすることがあるからです。自分の弱さにがっかりすることもあるかもしれません。同じ失敗を繰り返してしまった時には特にそうです。でも,(1)仲間の兄弟姉妹に傷つけられた時,(2)夫や妻にがっかりさせられた時,(3)自分の失敗に落ち込む時にも,エホバに仕え続ける必要があります。では,1つずつ考えてみましょう。同じような状況を経験した聖書中の人物からどんなことを学べるかも考えます。

仲間に傷つけられた時

3. エホバに仕える人たちはどんな問題を経験することがありますか。

3 仲間の兄弟姉妹の性格や行動などが気になることがあるかもしれません。不親切なことをされたと感じることもあるでしょう。長老たちが間違いをすることもあります。そんな時,これは本当に神の組織なんだろうかと疑問に思うかもしれません。仲間と「肩を並べて」仕えるのではなく,そうした人たちを避けたり,集会に行くのをやめたりしてしまうでしょうか。(ゼパ 3:9)似たような経験をした聖書中の人物について考えてみましょう。

4. パウロはどんなつらい経験をしましたか。

4 の例使徒パウロは,クリスチャンであってもみんな完全ではないということをよく知っていました。例えば,自分がイエスの弟子になったことを兄弟姉妹から信じてもらえないことがありました。(使徒 9:26)自分の評判を落とすようなことを陰で言われたこともあります。(コリ二 10:10)責任ある兄弟が他の人に悪い影響を与えかねない間違った行動をするのを見ました。(ガラ 2:11,12)一緒に働いてきたマルコにがっかりさせられたこともあります。(使徒 15:37,38)こうした経験をすると,自分を傷つけた人たちと距離を置きたくなるかもしれません。でもパウロは仲間に対してポジティブな見方をし,エホバに仕え続けました。どんなことが助けになったでしょうか。

5. パウロが仲間との絆を守る上で何が助けになりましたか。(コロサイ 3:13,14)(挿絵も参照。)

5 パウロは兄弟姉妹を愛していました。その愛は仲間の欠点や弱さではなく,良いところに注目する助けになりました。また,コロサイ 3章13,14節でパウロ自身が書いた通りに仲間を許す力にもなりました。(読む。)パウロがマルコにどのように接したかを考えてみましょう。最初の宣教旅行の途中で,マルコはパウロを置いて帰ってしまいましたが,パウロはそのことを根に持ったりしませんでした。後にコロサイの会衆に宛てた温かい手紙の中で,マルコのことを「とても慰めてくれ」る大切な仲間だと褒めました。(コロ 4:10,11)ローマで投獄されていた時には,自分を支えるためにマルコを連れてきてほしいと言いました。(テモ二 4:11)パウロが仲間を許し,愛し続けたことは明らかです。私たちはパウロにどのように倣えるでしょうか。

パウロは,バルナバやマルコと意見がぶつかったこともあった。でも,いつまでも根に持ったりせずに,マルコと一緒に喜んで働いた。(5節を参照。)


6-7. 兄弟姉妹に愛を示し続けるために,どんなことを意識できますか。(ヨハネ第一 4:7

6 べること。エホバは私たちが兄弟姉妹を愛し続けることを願っています。ヨハネ第 4:7を読む。)誰かに気に障るようなことをされたとしても,その人がエホバに喜ばれることを行いたいと思っていることを疑わないようにしましょう。ただ軽率に行動してしまっただけなのかもしれません。(格 12:18)エホバは私たちが間違いをしても,いつまでも怒ったり見限ったりするのではなく,愛し続けてくれます。(詩 103:9)このような優しいお父さんエホバに私たちも倣いたいと思います。(エフェ 4:32–5:1

7 終わりが近づいているので,仲間との絆を強めることはとても大切です。今後迫害が厳しくなり,投獄されることもあり得ます。そういう時には兄弟姉妹の支えがますます必要になります。(格 17:17)スペインで長老として奉仕しているジュゼップ兄弟は,軍隊に加わらなかったために他の兄弟たちと一緒に投獄されました。 a こう言っています。「刑務所ではプライバシーがなく,兄弟たちとずっと一緒にいたので,ちょっとしたことでいらいらしてしまいそうになることがありました。お互いに我慢し,許し合う必要がありました。でも,そうすることで仲間との強い絆を保つことができ,エホバに仕えていない囚人たちがたくさんいる中でも安心していられました。ある時,私は腕にけがをしてギプスをしていたので助けが必要でした。ある兄弟が私の服を洗濯したり,身の回りの世話をしたりしてくれました。一番必要だった時に本物の愛を示してもらいました」。今のうちに仲間との問題を解決したり絆を強めたりしておくことはとても大切です。

夫や妻にがっかりさせられた時

8. 結婚するとどんな問題に遭うかもしれませんか。

8 何の問題もない結婚生活はありません。聖書によれば,結婚する人は「苦難を身に招きます」。(コリ一 7:28)結婚すると,性格や好き嫌いの違う2人が一緒に暮らすことになります。相手も完璧ではありませんし,自分とは違う文化や背景で育ったかもしれません。結婚してから初めて気付くちょっとした癖もあるかもしれません。そうしたささいな点も摩擦を生むことがあります。中には問題を解決しようとしないで,全てを相手のせいにする人もいます。もう別居したり離婚したりするしか解決策はない,と決め付けてしまうかもしれません。でも本当にそうでしょうか。 b 気難しい夫との結婚生活を根気強く続けた聖書中の女性の手本に注目してみましょう。

9. アビガイルはどんな問題に直面しましたか。

9 の例アビガイルの夫はナバルという荒っぽくて行状が悪い人でした。(サム一 25:3)そうした人と一緒に暮らすのは,アビガイルにとって大変だったはずです。でも,そんなつらい毎日を終わらせるチャンスが訪れます。次のイスラエルの王になるダビデが,ナバルを殺しに来たのです。ナバルがダビデとその部下たちを侮辱したからでした。(サム一 25:9-13)アビガイルは成り行きに任せて,自分だけ逃げることもできました。でもそうするのではなく,ナバルを殺さないようにとダビデを説得しに行きました。(サム一 25:23-27)どうしてそうしようと思ったのでしょうか。

10. アビガイルが大変な中でも諦めずに頑張れたのはどうしてですか。

10 アビガイルはエホバを愛し,結婚に関するエホバの基準を守りたいと思っていました。アビガイルは,エホバが最初の夫婦であるアダムとエバに伝えたことをよく知っていたと思われます。(創 2:24)そして,エホバが結婚を神聖な取り決めと見ていることもよく知っていました。アビガイルはエホバに喜んでもらいたいと思っていたので,夫を含む家の者たちを守るためにできる限りのことをしようと思いました。ダビデがナバルを殺すのを止めるためにすぐに行動し,自分の間違いではないのに進んで謝りました。このように勇敢で他の人のために進んで自分を犠牲にするアビガイルのことを,エホバは大切に思っていたに違いありません。夫も妻もこうした手本にどのように倣えるでしょうか。

11. (ア)エホバは夫婦にどんなことを望んでいますか。(エフェソス 5:33)(イ)カルメン姉妹の手本からどんなことが学べましたか。(写真と挿絵も参照。)

11 べること。エホバは,夫や妻が大変だと感じる時にも,結婚生活を続けることを願っています。夫婦が問題の解決に取り組み,愛や敬意を示しながら自分よりも相手を大切にする時,エホバは本当に喜んでくださいます。エフェソス 5:33を読む。)カルメン姉妹は,結婚して6年たってからエホバの証人との聖書レッスンを始め,その後バプテスマを受けました。こう言っています。「主人はそのことをあまり良く思いませんでした。私をエホバに取られたように感じたんだと思います。私をひどくばかにしたり,家を出て行くと脅したりしました」。それでも,カルメン姉妹は50年にもわたって辛抱し,夫に愛や敬意を示し続けました。さらに,こう言っています。「時がたつにつれ,どうすれば夫にもっと優しく接し,上手に話すことができるかが分かってきました。結婚がエホバの神聖な取り決めだと知ってからは,それを守るためにできることを何でもしました。エホバのことを愛していたので,夫と別れるようなことは決してしませんでした」。 c 結婚生活を続けるのが難しく思える時も,エホバは頑張り続ける力を与え,支えてくださいます。

家の者を助けるためにできる限りのことをしたアビガイルから何を学べますか。(11節を参照。)


自分の失敗に落ち込む時

12. 重大な罪を犯すと,どんな気持ちになるかもしれませんか。

12 重大な罪を犯すと,自分はだめな人間だという気持ちになるかもしれません。聖書にも,罪を犯すと「後悔し,打ちのめされた」気持ちになるとあります。(詩 51:17)ロバート兄弟は何年も努力し,援助奉仕者になりました。でも,重大な罪を犯し,エホバを裏切ってしまいました。こう言っています。「良心が痛み,押しつぶされそうになりました。すごく怖くなり,泣きながらエホバに祈りました。でも,エホバは祈りをもう聞いてくれないだろうと思いました。エホバを深く傷つけてしまったからです」。私たちも重大な罪を犯すと,心が打ちのめされ,エホバに見捨てられたと感じて,もうエホバに仕えても意味はないと思うかもしれません。(詩 38:4)では,重大な罪を犯しても諦めずにエホバに仕え続けた聖書中の人物について考えてみましょう。

13. イエスが亡くなる前の晩,ペテロはどんな失敗をしましたか。

13 の例イエスが処刑される前の晩,使徒ペテロはたくさんの間違いを犯し,その後,人生で最大の失敗をしてしまいました。例えば,ほかの弟子たちがイエスを見捨てたとしても自分は決して見捨てない,と自信満々に言いました。(マル 14:27-29)ゲッセマネの庭園にいた時には,イエスに何度言われてもずっと見張っていることができませんでした。(マル 14:32,37-41)剣やこん棒を持った人たちがやって来た時には,イエスを見捨てて逃げてしまいました。(マル 14:50)そして,3度もイエスのことを知らないと言い,うそをついていないと誓うことまでしました。(マル 14:66-71)自分の罪の重大さに気付いた時,ペテロは泣き崩れました。きっと罪悪感に打ちのめされたのでしょう。(マル 14:72)数時間後に,友であるイエスが処刑された時,ペテロがどんな気持ちになったか想像してみてください。本当に情けない気持ちになったはずです。

14. ペテロが諦めずにエホバに仕え続けることができたのはどうしてですか。(挿絵を参照。)

14 ペテロが諦めずにエホバに仕え続けることができたのはどうしてでしょうか。まず,ペテロは独りきりにならないようにしました。仲間の兄弟たちと一緒にいて,力をもらいました。(ルカ 24:33)また,復活したイエスがペテロの前に現れました。おそらく励ますためでしょう。(ルカ 24:34。コリ一 15:5)その後,イエスはペテロの失敗を責めるどころか,ペテロがより大きな責任を担うことになると伝えました。(ヨハ 21:15-17)ペテロは犯した罪の大きさに気付いていましたが,自分はもうだめだと諦めることはしませんでした。主イエスが自分を見捨てないで愛してくれていると信じていたからです。また,仲間の兄弟たちが支えてくれました。ではペテロの手本からどんなことが学べるでしょうか。

ヨハネ 21章15-17節にある通り,イエスはペテロを見放したりしなかった。そのことはペテロがエホバに仕え続ける力になった。(14節を参照。)


15. エホバはどんなことを私たちに確信してほしいと思っていますか。(詩編 86:5。ローマ 8:38,39)(写真も参照。)

15 べること。エホバは私たちのことを愛し,進んで許したいと思っています。そして,そのことを私たちに確信してほしいとも思っています。 86:5,ローマ 8:38,39を読む。)罪を犯した時に罪悪感を感じるのは,自然で正しいことです。でもだからといって,自分はもう愛されていないとか許してもらえないとは考えないでください。すぐに助けを求めましょう。先ほどのロバート兄弟はこう言います。「私は自分の力だけで誘惑に立ち向かおうとしたので,罪を犯してしまいました」。兄弟は長老に話す必要があると思いました。こう言っています。「勇気を出して話すと,エホバが長老たちを通して優しく助けてくれていることにすぐに気が付きました。長老たちは私のことを見限らずに愛し続けてくれました。そして,エホバに見捨てられていないということを確信できるように助けてくれました」。私たちも罪を犯すことがあるとしても,心から悔い改め,助けを求め,同じ間違いを繰り返さないように真剣に努力するなら,エホバは快く許し,私たちを愛し続けてくださいます。(ヨハ一 1:8,9)そのことを心から信じているなら,間違いを犯すことがあるとしても,諦めずにエホバに仕えていくことができるでしょう。

一生懸命助けてくれる長老たちのことをどう思いますか。(15節を参照。)


16. 大変な中でもエホバに仕え続けたいと思うのはどうしてですか。

16 エホバは,終わりの時代に住む私たちが頑張ってエホバに仕え続けている姿を見て,とても喜んでくださいます。がっかりすることがあっても,エホバが必ず助けてくださるので,頑張り続けることができます。たとえ傷つけられることがあったとしても,仲間を許し,愛し続けましょう。夫や妻にがっかりさせられることがあっても,問題を解決するためにできる限りのことをしましょう。そうするなら,結婚という神聖な取り決めを大切にし,エホバを深く愛していることを示せます。もし罪を犯してしまったなら,エホバに助けを求めましょう。エホバが許し,愛してくださっていることを確信し,前を向いてエホバに仕え続けてください。「諦めずに立派なことを行い続け」るなら,必ず良い結果を刈り取ることができます。(ガラ 6:9

どうすればエホバに仕え続けることができますか

  • 仲間に傷つけられた時

  • 夫や妻にがっかりさせられた時

  • 自分の失敗に落ち込む時

134番の歌 新しい世にいるあなた

a 一部の名前は変えてあります。

b 聖書は別居を勧めていません。別居したからといってほかの人と自由に再婚できるとも教えていません。とはいえ,クリスチャンがやむを得ず別居する場合もあります。「いつまでも幸せに暮らせます」の本の補足情報4「夫婦の別居」をご覧ください。