1. エホバに忠実に仕えている人たちも，どんな気持ちになることがありますか。

 「エホバはご自分の民のことを喜」んでいます。（詩 149:4）そのことを知ると本当にうれしくなります。それでも，エホバは私のことを喜んではいないのではないか，と考える人たちもいます。聖書に出てくるエホバに仕えた人たちも，同じような気持ちになったことがありました。（サム一 1:6-10。ヨブ 29:2，4。詩 51:11）

2. エホバはどんな人のことを喜びますか。

² 聖書によると，私たちはたとえ完全ではなくてもエホバに喜んでもらうことができます。そのためには，イエス･キリストに信仰を持ち，バプテスマを受けることが必要です。（ヨハ 3:16）そのようにして，罪を悔い改め，エホバに喜ばれる生き方をすると約束したことをみんなに示します。（使徒 2:38; 3:19）エホバは，ご自分と親しくなるために私たちがこうしたことを行うのを見て，とてもうれしく感じます。エホバに心を込めて仕えるためにベストを尽くすなら，エホバは私たちのことを喜び，親しい友になってくれます。（詩 25:14）

3. この記事ではどんなことを考えますか。

³ でも，自分は神に喜ばれていないのではないかと感じることがあるのはどうしてでしょうか。神に喜ばれていることはどうしたら分かりますか。どうすればエホバの愛をもっと確信できるようになるでしょうか。

エホバに喜ばれていないと感じることがあるのはどうしてか

4-5. 自分には価値がないと思えるとしても，どんなことを確信できますか。

⁴ 多くの人は，子供の頃から自分には価値がないという気持ちと闘ってきました。（詩 88:15）アドリアン兄弟はこう言います。「私は昔から自分にあまり自信がありません。子供の頃，『家族みんなで楽園に行けますように』とよく祈っていました。でも，自分は楽園に入れてもらえないだろうなと思っていました」。クリスチャンではない家庭で育ったトニー兄弟はこう言います。「私は親から『愛しているよ』とか『よくやったね』と言われたことがありませんでした。それで，どれだけ頑張っても認めてもらえないと感じていました」。

⁵ 自分には価値がないと感じる時，エホバご自身が私たち一人一人を引き寄せてくださったということを思い出しましょう。（ヨハ 6:44）エホバは私たちが自分でも気付かないような良いところに注目し，心の中までも知ってくれています。（サム一 16:7。代二 6:30）そういうエホバが私たちのことを大切に思っていることを伝えてくれるのであれば，それを信じたいと思いませんか。（ヨハ一 3:19，20）

6. パウロは自分のことをどのように感じていましたか。

⁶ 真理を学ぶ前にしてしまったことが原因で，罪悪感を感じている人もいます。（ペテ一 4:3）心を込めてエホバに仕えていても，自分の弱さと闘わなければいけない場合もあります。あなたも，エホバは自分のことを許してくれていないと感じることがありますか。そう感じるとしても大丈夫です。エホバに仕える人たちの中にも，同じような気持ちになった人たちがいます。例えば，パウロは自分の至らなさについて考えて，とても惨めな気持ちになりました。（ロマ 7:24）罪を悔い改めてバプテスマを受けていましたが，自分のことを「使徒のうち最も小さな者」とか「罪人の中でも最も罪深い者」と言っています。（コリ一 15:9。テモ一 1:15）

7. 私たちはどんなことを確信できますか。

⁷ エホバは，私たちが悔い改めるなら快く許す，と約束してくださっています。（詩 86:5）それで，してしまったことを心から反省しているなら，エホバが許してくださっていることを信じましょう。（コロ 2:13）

8-9. 自分は十分にはできていない，という気持ちを乗り越えるにはどうしたらいいですか。

⁸ 私たちはみんな，エホバのためにできる限りのことをしたいと思っています。でも，エホバに喜んでもらえるほど十分にはできていないという気持ちになるかもしれません。アマンダ姉妹はこう言います。「私はベストを尽くしてエホバに仕えていても，もっと頑張らなければいけないという気持ちになることがあります。自分にできる以上のことをやろうとしてしまうんです。そしてそれができないと落ち込み，エホバもがっかりしているだろうなと思ってしまいます」。

⁹ どんなに頑張ってもエホバに喜んでもらうことなんてできない，という気持ちをどうすれば乗り越えられるでしょうか。エホバが厳しい方ではなく，私たちにできる以上のことを求めたりはしないということを思い出しましょう。どんなにわずかであっても，ベストを尽くしているなら喜んでくださいます。また，聖書に書かれている，心を込めてエホバに仕えた人たちの例を考えることもできます。例えば，パウロは長い間一生懸命働き，何千キロも旅をしてたくさんの会衆をつくりました。でもその後，状況が変わって伝道をあまり行えなくなった時，パウロに対するエホバの見方は変わってしまったでしょうか。そんなことはありません。できることを行い続けたパウロをエホバは喜びました。（使徒 28:30，31）私たちがエホバのために行えることも状況によって変わります。でもエホバが注目しているのは，私たちがどんな気持ちで行うかです。では，エホバは私たちのことを喜んでいることをどのように伝えてくれているでしょうか。

エホバが私たちへの愛を伝える方法

10. エホバはどのようにして，私たちに温かい言葉を掛けてくれていますか。（ヨハネ 16:27）

¹⁰ 聖書。エホバはご自分に仕える人たちを愛し，喜んでいることをぜひ伝えたいと思っています。聖書には，エホバがイエスに「これは私の愛する子，私はこの子のことを喜んでいる」と言った記録が2つ収められています。（マタ 3:17; 17:5）あなたもエホバからこうした言葉を掛けてもらいたいと思いますか。エホバの声を直接聞くことはできませんが，エホバは聖書を通して私たちに語り掛けてくれています。福音書に記録されているイエスの優しい言葉を，エホバからの言葉と考えることができます。（ヨハネ 16:27を読む。）イエスはエホバと考え方や性格がよく似ているからです。イエスは，間違いをしながらも頑張る弟子たちに，愛していることを伝えました。その記録について読む時，エホバが私たちにも同じように言ってくれている様子をイメージすることができます。（ヨハ 15:9，15）

11. 試練に遭うなら，神に喜ばれていないことになりますか。（ヤコブ 1:12）

¹¹ 必要な助けを与えること。エホバは私たちを助けたいと思っていて，生活に必要なものを与えてくださいます。そうではあっても，私たちが正しい人ヨブのように試練に遭うことを許すこともあります。（ヨブ 1:8-11）でも，エホバに喜ばれていないわけではありません。実のところ，試練に遭う時，私たちはエホバをどれほど深く愛し，頼っているかを証明することができます。（ヤコブ 1:12を読む。）エホバは頑張る私たちに忍耐する力を与え，優しく助けてくださいます。

12. ドミトリー兄弟の経験からどんなことを学べますか。

¹² アジアに住むドミトリー兄弟の例を考えてみましょう。兄弟は失業し，何カ月も仕事を見つけられませんでした。兄弟はエホバを信頼し，宣教にもっと参加するようにしました。でも，なかなか仕事は見つかりませんでした。そんな時，兄弟は深刻な病気にかかり，寝たきりになってしまいます。それで兄弟は夫としても父親としてもふがいなく思い，自分はもうエホバに喜ばれていないのではないかと感じるようになりました。ある晩，娘がイザヤ 30章15節の言葉が書かれた紙をベッドの所に持ってきました。それは「平静を保ち，信頼するなら，力を得る」という言葉でした。そして，「パパ，つらいときにはこの言葉を思い出してね」と言いました。兄弟は，エホバが助けてくださっているおかげで，家族は食べる物にも着る物にも住む所にも困っていない，ということに気付きました。こう言っています。「私に必要だったのは，平静を保ち，エホバを信頼し続けることだったんです」。あなたも同じような試練を経験しているなら，エホバが忍耐できるように助け，世話してくださることを確信できます。

13. エホバは私たちを愛していることを，どのように伝えることがありますか。

¹³ 仲間の兄弟姉妹。エホバは，仲間の兄弟姉妹を通して，私たちを愛していることを伝えてくれます。例えば，ちょうど必要なタイミングで私たちに励ましの言葉を掛けるよう，兄弟姉妹を動かすことがあります。アジアのある姉妹は，大きなストレスを抱えていた時に，まさにそのことを経験しました。姉妹は失業し，重い病気になりました。その後，夫が重大な罪を犯し，長老ではなくなりました。姉妹はこう言っています。「何でこんなことが起きるんだろうと思いました。私が何か悪いことをしたせいで，エホバから見放されてしまったのではないかと思いました」。姉妹はエホバに愛されていることを実感できるようにしてください，と祈りました。エホバはどのように答えたでしょうか。姉妹はこう言っています。「会衆の長老たちが話をしてくれて，エホバに愛されていることを確信できるように助けてくれました」。その後しばらくして，姉妹はまたエホバに，あなたが私のことを喜んでくれていることが分かるようにしてくださいと祈りました。どうなったでしょうか。こう言っています。「まさにその日に，会衆のある兄弟姉妹から手紙をもらいました。温かいメッセージを読んでいるうちに，エホバが私の祈りに答えてくださったということが分かりました」。エホバはほかの人の親切な言葉を通して，私たちを愛しているということを伝えてくださいます。（詩 10:17）

14. エホバは私たちへの愛を伝えるためにどうすることもありますか。

¹⁴ エホバは私たちのことを愛しているので，必要なときには兄弟姉妹を通して助言を与えます。例えば1世紀には，パウロに14通の手紙を書かせました。そうした手紙の中でパウロは，兄弟姉妹に率直ながらも愛のこもった助言を与えました。エホバがパウロにそのような助言を書かせたのはどうしてでしょうか。エホバは「かわいいわが子」を矯正する良い父親のようです。（格 3:11，12）それで，聖書に基づく助言を与えられる時には，「自分はエホバをがっかりさせている」とではなく，「エホバに愛されている」と考えることができます。（ヘブ 12:6）ほかにも，エホバが私たちのことを喜んでいるといえる証拠があるでしょうか。

エホバに喜ばれていることはどんなことからも分かるか

15. エホバはどんな人に聖なる力を与えますか。そのことについて考えると，安心できるのはどうしてですか。

¹⁵ エホバに愛され，喜ばれている人は，聖なる力を与えてもらうことができます。（マタ 12:18）それで，「聖なる力が生み出すものを生活のいろいろな面で表せているだろうか」と考えてみましょう。例えば，エホバを知る前よりも，ほかの人に辛抱強く接することができるようになったでしょうか。聖なる力が生み出すものを表せているなら，それはエホバに喜ばれていることの証拠です。（「 聖なる力が生み出すもの」の囲みを参照。）

16. エホバはどんな人に良い知らせを託しますか。そのことを考えると，どんな気持ちになりますか。（テサロニケ第一 2:4）

¹⁶ エホバは良い知らせを伝える任務を，信頼している人に与えます。（テサロニケ第一 2:4を読む。）ジャスラン姉妹の例を考えてみましょう。ある朝，姉妹はあまり気分が良くありませんでした。こう言っています。「力が湧いてこなくて，こんな私が何かの役に立てるんだろうかと思いました。でも，開拓奉仕をしていましたし，奉仕の日だったので，祈ってから出掛けることにしました」。すると，メリーという感じの良い女性に出会い，聖書レッスンを始めることができました。数カ月後その女性は，ちょうど神に助けを求めて祈っていた時に姉妹が訪ねてきたと話してくれました。姉妹は振り返ってこう言います。「エホバが『本当によく頑張っているね』と言ってくれているように感じました」。もちろん，伝道をしていても誰もが良い反応をするとは限りません。でも，私たちが良い知らせを伝えるためにベストを尽くして頑張るなら，エホバが喜んでくださっていることを確信できます。

17. ビッキー姉妹の例からどんなことを学べますか。（詩編 5:12）

¹⁷ エホバに喜ばれている人は，贖いに基づいて罪を許していただくことができます。（テモ一 2:5，6）でも，贖いに信仰を持っていて，バプテスマを受けてはいても，エホバに喜ばれているとはなかなか思えない場合はどうでしょうか。自分の感じ方が必ずしも正しいとは限らない，ということを覚えておくようにしましょう。その一方で，エホバはいつでも信頼できる方です。贖いに信仰を持つ人たちのことを正しい人と見て祝福する，と約束してくださっています。（詩編 5:12を読む。ロマ 3:26）ビッキー姉妹の例を考えてみましょう。ある日，姉妹は贖いについてじっくり考えて，大切なことに気付きました。こう言っています。「エホバがそれまでずっとわたしのことを辛抱し……てくださっていたのに，わたしはエホバに，『あなたの愛はわたしに及ぶほど大きくはありません。み子の犠牲はわたしを覆えるほどのものではありません』と言っていたのです」。姉妹は，贖いという贈り物についてじっくり考えることで，エホバに愛されていることを実感できるようになりました。私たちも贖いについてじっくり考えるなら，エホバに愛され喜ばれていると感じることができるようになります。

18. エホバを愛し続けているなら，どんなことを確信できますか。

¹⁸ この記事で学んだ点を自分に当てはめて考えるように努力しても，がっかりしたり，エホバに喜ばれていないように感じたりすることがあるかもしれません。そういう時は，エホバは「ご自分を愛し続ける人たち」を喜ぶということを思い出してください。（ヤコ 1:12）これからもエホバとの絆を強め，エホバに喜ばれているといえる証拠に目を向けるようにしましょう。エホバは「私たち一人一人から遠く離れてはい[ない]」のです。（使徒 17:27）