研究記事12

47番の歌 良いたよりを宣明しなさい

闇を離れ,光の中にとどまる

闇を離れ,光の中にとどまる

「皆さんはかつて闇でしたが,今は……光となっています」。エフェソス 5:8

ポイント

エフェソス 5章に出てくる「闇」や「光」といった表現からどんなことを学べるかを考えます。

1-2. (ア)パウロはエフェソスのクリスチャンへの手紙を書いた時,どんな状況にありましたか。(イ)どんな点について考えますか。

 パウロはローマで自宅に拘禁されていた時,仲間の兄弟姉妹を励ましたいと思いました。でも,直接会いに行くことができなかったので,手紙を書きました。そのうちの1つに,西暦60年から61年ごろにエフェソスのクリスチャンに宛てて書いた手紙があります。(エフェ 1:1; 4:1

2 パウロは手紙を書く10年ほど前,エフェソスでしばらくの間,良い知らせを伝えたり教えたりしていました。(使徒 19:1,8-10; 20:20,21)パウロは兄弟姉妹のことを大切に思っていたので,エホバへの信仰を持ち続けられるように助けたいと思いました。でも,天に行くよう選ばれたクリスチャンに宛てて,闇と光について書いたのはどうしてでしょうか。私たちは皆,パウロのアドバイスから何を学べるでしょうか。これらの点について考えてみましょう。

闇から光へ

3. パウロはエフェソスのクリスチャンに宛てた手紙の中で,どんな表現を使いましたか。

3 パウロは,エフェソスのクリスチャンに宛てた手紙の中でこう書きました。「皆さんはかつて闇でしたが,今は……光となっています」。(エフェ 5:8)ここでパウロは,闇と光という言葉を使って,エフェソスのクリスチャンがどれほど大きな変化を遂げたかについて説明しています。では,「かつて闇」だったとはどういう意味かを考えてみましょう。

4. エフェソスの人たちは崇拝の面で闇の中にいました。そういえるのはどうしてですか。

4 った崇エフェソスのクリスチャンは,真理を学ぶ前,間違った宗教の教えや迷信にとらわれていました。エフェソスの町にはアルテミスの神殿があり,世界の七不思議の1つとして知られていました。そこでは,多くの人々が熱心に偶像崇拝を行っていました。アルテミスの神殿の模型を作って売ることは,もうかる仕事と見なされていました。(使徒 19:23-27)また,エフェソスには魔術もはびこっていました。(使徒 19:19

5. エフェソスの人たちは道徳の面でも闇の中にいました。そういえるのはどうしてですか。

5 の乱れ。エフェソスの町は,ひどい不道徳や恥知らずな行いであふれていることで有名でした。劇場や宗教行事でも,下品な会話が飛び交っていました。(エフェ 5:3)パウロは,エフェソスの人々の多くは「道徳感覚がまひしてい[る]」と書きました。これはつまり,心に痛みを感じなくなったということです。(エフェ 4:17-19)善悪に関するエホバの基準を知らないエフェソスの人たちは良心が痛むこともなく,自分たちの行いを見てエホバがどう感じているかも気にしていませんでした。パウロはこうした人たちについて,「彼らは思考が闇に覆われていて,神による命から遠く離れています」と書きました。

6. パウロがエフェソスのクリスチャンのことを「今は……光となってい[る]」と言えたのはどうしてですか。

6 それでも,こうした闇から離れる人たちもいました。パウロはその人たちのことを,「今は主と結ばれて光となっています」と書きました。(エフェ 5:8)その人たちは,聖書の真理という光の導きに従うようになりました。(詩 119:105)そして,間違った崇拝や道徳的に汚れた行いをやめました。「神に倣[う]」者となり,エホバを崇拝し,エホバに喜んでもらうためにベストを尽くすようになりました。(エフェ 5:1

7. 私たちはエフェソスのクリスチャンとどんな点で似ていますか。

7 私たちも,真理を学ぶ前は崇拝の面でも道徳の面でも闇の中にいました。間違った宗教に関係した祝日を祝っていた人もいれば,道徳的に乱れた生活を送っていた人もいます。でも,エホバの基準について学び,自分を変化させてきました。エホバに喜ばれる生き方をするよう努力し,それが自分のためになることを実感しています。(イザ 48:17)でも,気を緩めないようにしましょう。闇からしっかり離れていて,「光の子供として歩[む]」ためには,引き続き努力する必要があります。では,具体的にどんなことができるでしょうか。

Image digitally reproduced with the permission of the Papyrology Collection, Graduate Library, University of Michigan, P.Mich.inv. 6238.Licensed under CC by 3.0

パウロがエフェソスの兄弟姉妹に書いた温かいアドバイスは私たちにも役立つ。(7節を参照。) b


闇から離れる

8. パウロはエフェソス 5章3-5節で何を避けるようにと言っていますか。

8 エフェソス 5:3-5を読む。闇から離れて道徳的に清い状態を保つために,エフェソスのクリスチャンはエホバに喜ばれない行いを避ける必要がありました。その中には性的に不道徳な行いだけでなく,下品な会話も含まれていました。パウロはこうしたものから離れていないなら,「キリストと神との王国に関連したどんな財産も受けることはありません」と警告しました。

9. 不道徳なものを一切避ける必要があるのはどうしてですか。

9 私たちも,「何も生み出さない闇の行い」に関わらないように闘い続ける必要があります。(エフェ 5:11)多くの実例から分かる通り,不道徳なものを見たり聞いたり話題にしたりするなら,間違ったことを行ってしまう可能性が高くなります。(創 3:6。ヤコ 1:14,15)ある国では,何十人ものエホバの証人がオンライン上で友達になり,チャットグループを作って会話を楽しんでいました。初めは,エホバや聖書のことについて話していました。でもやがて,会話の内容は良くないものになっていき,セックスの話題で盛り上がるようになりました。この良くない会話がきっかけで,多くの人が性的に不道徳なことをしてしまいました。

10. サタンはどのように私たちをだまそうとしていますか。(エフェソス 5:6

10 サタンが支配する世界は私たちに,エホバが不道徳で汚れていると言っているものを全く問題がないと思わせようとしています。(ペテ二 2:19)それも驚くことではありません。サタンはこれまでずっと,正しいことと間違っていることを見分けられないように人々を惑わしてきたからです。(イザ 5:20。コリ二 4:4)実際,多くの映画やテレビ番組,ウェブサイトによって,エホバの基準に全く反する考えが広まっています。サタンは,汚れた行動やライフスタイルは問題がないだけでなく,楽しいものだと思わせようとしています。エフェソス 5:6を読む。)

11. アンジェラ姉妹の経験から,エフェソス 5章7節の言葉を自分に当てはめることの大切さがどのように分かりますか。(写真も参照。)

11 サタンは,私たちがエホバの基準を大切にしない人たちとの交友から悪い影響を受けることを願っています。それでパウロはエフェソスの兄弟姉妹に,エホバの目に悪いことを行う人たちと「関わりを持ってはなりません」と言いました。(エフェ 5:7)私たちはエフェソスのクリスチャンよりもさらに注意する必要があります。直接会って時間を過ごす人だけではなく,ソーシャルメディアでやり取りをする人たちからも影響を受けるからです。アジアに住むアンジェラ姉妹はそのことを認めています。 a こう言います。「ソーシャルメディアを使っていると,だんだん感覚が鈍くなってきます。私は,聖書の原則を大切にしない人たちを友達にすることを何とも思わなくなってしまいました。そして,エホバが喜ばないライフスタイルをしても構わないんじゃないかと思うまでになりました」。でも,姉妹は長老たちの優しい助けによって考え方や行動を変えることができました。こう言っています。「今では,ソーシャルメディアよりもエホバについて考える時間をもっと大切にするようにしています」。

エホバの基準を守るためには,友達をよく選ぶ必要がある。(11節を参照。)


12. エホバの基準にしっかり従う上で,どんなことが助けになりますか。

12 今の世の中では,不道徳な行いは特に悪いことではないという考え方が広まっています。私たちはそうした考え方が間違っていることをよく知っています。(エフェ 4:19,20)でも,次のように考えてみるのは良いことです。「職場や学校などで会う,エホバの基準を大切にしていない人たちと必要以上に仲良くならないように注意しているだろうか。考え方が古いと言われるとしても,エホバの基準にしっかり従うだろうか」。テモテ第二 2章20-22節から分かる通り,私たちは会衆の中でどんな人と親しくなるかにも注意深くある必要があります。エホバに心を込めて仕えようとしていない人もいるからです。

「光の子供として」歩む

13. 「光の子供として歩[む]」とはどういうことですか。(エフェソス 5:7-9

13 パウロはエフェソスの兄弟姉妹に,闇から離れるだけでなく,「光の子供として歩[む]」よう勧めました。エフェソス 5:7-9を読む。)これはつまり,どんな時も本物のクリスチャンにふさわしい行動をするということです。そうするための1つの方法は,聖書と出版物をよく読み,深く学ぶことです。「世の光」であるイエス・キリストの手本と教えをじっくり考えることはとても大切です。(ヨハ 8:12。格 6:23

14. 聖なる力はどのように助けになりますか。

14 「光の子供として」歩み続けるためには,聖なる力による助けも必要です。なぜなら,この不道徳な世の中で清い状態を保つのは簡単なことではないからです。(テサ一 4:3-5,7,8)聖なる力は,世間一般に見られる哲学や神の教えと合わない考え方を退ける助けになります。また,「あらゆる善いことと正しいこと」を行えるようにも助けてくれます。(エフェ 5:9

15. どうすれば聖なる力を与えてもらうことができますか。(エフェソス 5:19,20

15 聖なる力を与えてもらうためには,祈ることが大切です。イエスは,エホバが「ご自分に求めている人に聖なる力を与えてくださる」と言いました。(ルカ 11:13)集会でエホバを賛美する時にも,聖なる力をもらうことができます。エフェソス 5:19,20を読む。)聖なる力の感化を受けるなら,エホバに喜ばれる生き方ができます。

16. 良い決定をするために,どんなことが助けになりますか。(エフェソス 5:10,17

16 重要な決定をする時には,「エホバが何を望んでいるか」を見極め,その通りに行動することが大切です。エフェソス 5:10,17を読む。)自分の状況に当てはまる聖書の原則を探すことによって,エホバの考えを知ることができます。その原則に合わせて決定するなら,良い結果になるでしょう。

17. 時間を有効に使うために,どんなことに注意できますか。(エフェソス 5:15,16)(挿絵も参照。)

17 パウロはエフェソスのクリスチャンに,時間を賢く使うように勧めました。エフェソス 5:15,16を読む。)「邪悪な者」であるサタンは,エホバに仕える時間が残らないほど,毎日の生活のことで忙しくさせようとしています。(ヨハ一 5:19)それで私たちも,エホバにベストを尽くして仕えることよりも,お金や教育や仕事を優先させるようになってしまうかもしれません。もしそうだとしたら,それは私たちがエホバに仕えていない人たちの影響を受けていることのサインです。もちろん,お金を稼ぐことや教育を受けること自体が間違っているわけではありませんが,それを生活の中心にするべきではありません。「光の子供として」歩むためには,本当に大切なことのために「時間を有効に使」うことが必要です。

パウロはエフェソスのクリスチャンに,時間を有効に使うようにとアドバイスした。(17節を参照。)


18. ドナルド兄弟は,時間を有効に使うためにどんなことをしましたか。

18 エホバのためにもっとできることがないか,いつも考えるようにしましょう。南アフリカに住むドナルド兄弟はそうしました。こう言っています。「自分の生活を見直しました。そして,『エホバのためにもっと多くのことができるように助けてください。伝道の時間をもっと増やせるような仕事を与えてください』と祈りました。エホバの助けでぴったりの仕事を見つけることができました。夫婦で全時間奉仕をするという人生の新たな一歩を踏み出すこともできました」。

19. どうすれば「光の子供として」歩み続けることができますか。

19 エフェソスの兄弟姉妹にとって,パウロが書いた手紙はエホバに仕え続ける上で助けとなったことでしょう。それは私たちにとっても助けになります。この記事で考えたように,パウロの言葉は,気晴らしにどんなことをするか,またどんな人と友達になるかを決める時に役立ちます。さらに,真理の光の中にいたいという気持ちを強めてくれます。そのためには,聖書を定期的に学び続ける必要があります。パウロの手紙は,善いことをするためには聖なる力の助けが必要であることを強調しています。パウロの言葉を当てはめるなら,エホバの考えに合わせた良い決定ができるでしょう。こうしたことを行うなら,闇を離れ,光の中を歩み続けることができます。

どのように答えますか

  • エフェソス 5章8節に出てくる,「闇」と「光」はどんなことを表していますか。

  • どうすれば「闇」から離れていることができますか。

  • どうすれば「光の子供として歩[む]」ことができますか。

116番の歌 光は輝きを増す

a 一部の名前は変えてあります。

b や挿: エフェソスのクリスチャンに宛てて書かれた使徒パウロの手紙の初期の写本。