研究記事27
137番の歌 わたしたちに大胆さを与えてください
ザドクのように勇敢な人になる
「強くて勇敢な若者ザドク」。歴代第一 12:28
ポイント
ザドクの手本から,どうすれば勇敢な人になれるかを学びます。
1-2. ザドクはどんな人でしたか。(歴代第一 12:22,26-28)
想像してみてください。34万を超える人たちがダビデをイスラエル全体の王にしようとして集まっています。3日間にわたり,ヘブロンのそばの岩の多い丘陵地ににぎやかな声,賛美の歌声,明るい笑い声が響き渡っています。(代一 12:39)そこにいたザドクという若者は,おそらく大勢の人の中で目立ってはいなかったことでしょう。とはいえ,エホバはザドクに注目し,私たちにザドクがそこにいたことを知ってほしいと思っていました。(歴代第一 12:22,26-28を読む。)では,ザドクはどんな人だったのでしょうか。
2 ザドクは祭司で,大祭司アビヤタルと一緒に働きました。神の意志を認識できる予見者でもあり,普通を超えた洞察力を神から与えられていました。(サム二 15:27)みんなから頼られ,アドバイスを求められることもありました。また,勇敢な人でもありました。この記事では特にその点に注目します。
3. (ア)エホバに仕える人たちに勇気が必要なのはどうしてですか。(イ)この記事ではどんな点を考えますか。
3 この終わりの時代に,サタンはエホバに仕える人たちへの攻撃を強めています。(ペテ一 5:8)エホバがサタンとその邪悪な体制を終わらせる時を待つ間,私たちには勇気が必要です。(詩 31:24)どうすればザドクのように勇敢な人になれるか,3つの点を考えましょう。
神の王国を支持する
4. エホバに仕える人たちが神の王国を支持するために,勇気が必要なのはどうしてですか。(写真も参照。)
4 エホバに仕える私たちは,神の王国を心から支持します。でも,そうするためには勇気が必要なときもあります。(マタ 6:33)例えば,この邪悪な世界でエホバの基準に従って生活し,王国の良い知らせを伝えるためには勇気が要ります。(テサ一 2:2)また,政治的な対立や分断が進む中で中立でいるためにも,勇気が必要です。(ヨハ 18:36)政治に関わらないことや軍務に就かないことが理由で,多くの兄弟姉妹は経済的な問題を抱えたり暴行を受けたり投獄されたりしています。
5. ザドクがダビデを支持するのに勇気が必要だったのはどうしてですか。
5 ザドクがヘブロンに来たのはダビデ王のことを祝うためだけではありませんでした。武具を身に着け,戦いのための用意をしてきていました。(代一 12:38)戦いが起きたとしてもダビデに付いていき,イスラエルを敵から守ろうと思っていました。ザドクには戦士としての経験はほとんどなかったと思われます。それで,勇敢でなければその場にいなかったはずです。
6. 勇敢に行動する点で,ダビデはザドクにとってどんな良い手本となりましたか。(詩編 138:3)
6 祭司だったザドクが勇気を示せたのはどうしてでしょうか。ザドクは,周りにいた強くて勇敢な人たちの手本から学んだに違いありません。例えば,「イスラエルを率いて戦いに行[っ]た」ダビデの手本がありました。イスラエル人はみんなその勇敢な姿を見て,ダビデを心から支持したいと思いました。(代一 11:1,2)ダビデは敵と戦う時,いつも助けを求めてエホバに頼りました。(詩 28:7。詩編 138:3を読む。)ほかにもザドクのそばにいて手本となった人たちがいました。エホヤダと,エホヤダの子で戦士のベナヤ,ダビデを支持した22人の軍隊長などです。(代一 11:22-25; 12:26-28)これらの人たちは皆,ダビデの王権を支持するために行動しました。
7. (ア)今の時代,勇敢に行動しているどんな手本がありますか。(イ)動画を見て,ンシル兄弟から何を学びましたか。
7 エホバの統治を勇敢に支持する人たちの手本について考えるなら,勇気や力がもらえます。私たちの王であるキリスト・イエスは,サタンの政治体制に関わらせようとする圧力をきっぱりと退けました。(マタ 4:8-11。ヨハ 6:14,15)力を求めていつもエホバに頼りました。今の時代,大勢の若者の手本もあります。良心的に兵役を拒否した人たちや,政治活動に全く関わらないことにした人たちです。そのような人たちについてjw.orgで調べてみるのはいかがですか。 a
兄弟姉妹を助ける
8. 長老たちにとって,兄弟姉妹を助けるのに勇気が必要になるかもしれないどんな状況がありますか。
8 エホバに仕える人たちは喜んで助け合います。(コリ二 8:4)でも,そうするのに勇気が必要なときもあります。例えば戦争が起きると,兄弟姉妹は生きていくためにもエホバとの絆を守るためにも,励ましやサポートを必要とします。長老たちはエホバの羊である兄弟姉妹を愛しているので,仲間が何を必要としているのか気付き,たとえ危険があるとしても仲間のために行動します。(ヨハ 15:12,13)この点で長老たちは,ザドクの勇気に倣えます。
9. サムエル第二 15章27-29節によると,ダビデはザドクにどんな指示を与えましたか。(挿絵も参照。)
9 ザドクが命の危険に面していたダビデをどのように助けたかを考えましょう。ダビデは息子アブサロムから王権を狙われていました。(サム二 15:12,13)それですぐにエルサレムから逃げる必要がありました。ダビデは家来たちにこう言いました。「今すぐ逃げましょう。さもないと,アブサロムから誰も逃げられなくなります!」(サム二 15:14)出発しようとしていた時,ダビデはその後もアブサロムの計画について知るために誰かに残ってもらう必要があることに気付きます。それで,情報を収集させるため,ザドクとほかの祭司たちを都市に戻らせました。(サムエル第二 15:27-29を読む。)これは注意深く進める必要があることでした。命を失いかねない危険な任務だったからです。もしザドクや祭司たちがダビデを守るためにスパイをしているということをアブサロムが知ったらどうなったか,想像してみてください。傲慢で復讐心の強いアブサロムは何をしでかすか分かりませんでした。
10. ザドクと仲間たちは,どのようにダビデを守りましたか。
10 ダビデはある計画を立て,ザドクともう1人の信頼できる友であるフシャイに協力を頼みました。(サム二 15:32-37)その計画に従って行動したフシャイは,アブサロムの信頼を得ることができ,1つの戦略を提案します。そのようにして,ダビデが戦いに備えるための時間を取れるようにしました。その後,フシャイは事がどのように進んでいるかをザドクとアビヤタルに伝えます。(サム二 17:8-16)それで2人はダビデにその情報を知らせることができました。(サム二 17:17)エホバの助けによって,ザドクと仲間の祭司たちはダビデの命を守る上で大切な役割を果たすことができました。(サム二 17:21,22)
11. 兄弟姉妹を助ける時に,どうすればザドクに倣って勇敢に行動できますか。
11 危険な状況で兄弟たちから助けを求められた時に,どうすればザドクのように勇敢に行動できますか。(1)指示に従う。そのような時には一致団結することが大切です。支部事務所の指示に沿って行動しましょう。(ヘブ 13:17)長老たちは,災害にどう備えるかや,災害が起きた時にどうすべきかについて組織から与えられている指示を定期的に復習する必要があります。(コリ一 14:33,40)(2)勇気を持ちつつも注意深くある。(格 22:3)よく考えて行動しましょう。不必要な危険を冒さないでください。(3)エホバに頼る。エホバはあなたや兄弟姉妹の健康と安全を気に掛けています。また,私たちが仲間を安全にサポートできるように助けてくれます。
12-13. ビクトル兄弟とビタリー兄弟が経験したことから何を学べますか。(写真も参照。)
12 ウクライナのビクトル兄弟とビタリー兄弟は,仲間の兄弟たちに食べ物や水を届けるために働きました。ビクトル兄弟はこう言っています。「私たちは食べ物を探し回りました。そばで銃撃の音が何度も聞こえました。ある兄弟が倉庫に保管していた食べ物を寄付してくれました。おかげでしばらくの間,たくさんの兄弟姉妹がその状況を耐えることができました。トラックに荷物を積み込んでいた時,20㍍ほど離れた所にロケット弾が落ちてきました。私は一日中必死にエホバに祈り,仲間を助け続けられるよう勇気を与えてくださいとお願いしました」。
13 ビタリー兄弟はこう言っています。「すごく勇気が要りました。最初の目的地までは12時間かかりました。その間,ずっとエホバに祈っていました」。ビタリー兄弟は勇気を持ちつつも注意深く行動しました。こう言っています。「賢く,慎重でいられるように助けてくださいとエホバに祈り続けました。政府当局の通行許可が出ている道だけを通りました。兄弟姉妹が協力して働く様子を直接見て,力をもらいました。兄弟姉妹は道路から障害物を取り除いたり,救援物資を集めて積み込んだりしていました。私たちのために食べ物や休む場所を提供してくれることもありました」。
エホバから決して離れない
14. 大切な人がエホバに仕えるのをやめたとき,私たちはどう感じますか。
14 自分の家族や親しい友人がエホバに仕えるのをやめたとき,それは本当につらい試練となります。(詩 78:40。格 24:10)それが親しい人であればあるほど,そのような状況を受け入れるのは難しくなるでしょう。そうしたつらい経験をしたことがあるなら,大変な中でもエホバから決して離れなかったザドクの手本から力を得られます。
15. ザドクにとって,エホバから決して離れないために勇気が必要だったのはどうしてですか。(列王第一 1:5-8)
15 ザドクは,ダビデの統治の終わりごろに親しい友人であるアビヤタルが反逆した時も,エホバから決して離れませんでした。ダビデの死が近づいていた時,息子のアドニヤはエホバがソロモンに与えると約束した王位を奪おうとしました。(代一 22:9,10)アビヤタルはアドニヤを支持することにします。(列王第一 1:5-8を読む。)そのようにして,ダビデだけでなくエホバに対しても反逆しました。ザドクがどれほど悲しみ,がっかりしたか想像できるでしょうか。ザドクはアビヤタルと40年ほど祭司として一緒に働いてきました。(サム二 8:17)「真の神の箱」に関係した仕事も一緒にしていました。(サム二 15:29)2人ともダビデの王権を支持し,いろいろなことを一緒に行っていました。(サム二 19:11-14)
16. ザドクがエホバに忠実に仕える上で,どんなことが助けになったかもしれませんか。
16 アビヤタルが反逆しても,ザドクはエホバから離れませんでした。ダビデはザドクが決して裏切ることはないと信じていました。アドニヤの策略が明らかになった時,ダビデはソロモンを王に任命するために,ザドク,ナタン,ベナヤの力を借りました。(王一 1:32-34)ナタンをはじめ,ダビデ王を支持し,エホバに忠実に仕える仲間たちと一緒にいたことは,ザドクにとって大きな力や励みになったに違いありません。(王一 1:38,39)ソロモンは王になった時,「祭司ザドクをアビヤタルの代わりに」大祭司に任命しました。(王一 2:35)
17. 親しい人がエホバから離れたとき,ザドクにどのように倣えますか。
17 ザドクにどのように倣えるでしょうか。親しい人がエホバから離れたとしても,ぐらつかないようにしましょう。(ヨシュ 24:15)エホバは必要な力や勇気を与えてくださいます。エホバに頼りましょう。よく祈り,仲間との絆を強めることによってそうできます。エホバはあなたが忠実に仕えていることを高く評価していて,そのことに報いてくださいます。(サム二 22:26)
18. マルコ兄弟とシセ姉妹が経験したことから,どんな点を学べますか。
18 2人の娘がいるマルコ兄弟とシセ姉妹のことを考えてみましょう。娘たちは大人になってからエホバに仕えるのをやめてしまいました。兄弟はこう言っています。「子供が生まれたその日から,親はたくさんの愛を注ぎます。危険な目に遭わないよう守るためだったらどんなことでもするものです。それで,子供がエホバに仕えるのをやめると胸が張り裂けるように感じます」。さらにこう言っています。「でも,エホバが私たちとずっと一緒にいてくれました。私が落ち込んでいる時,妻が励ましてくれました。妻が落ち込んでいる時,私が励ますことができました。エホバはそうやって夫婦で助け合えるようにしてくれています」。シセ姉妹はこう言っています。「エホバが力づけてくださらなかったなら,きっと耐えられなかったと思います。私は,こうなってしまったのは自分のせいだという気持ちに襲われました。それで,どう感じているかをエホバに伝えました。それから数日後,何年も会えていなかった姉妹に再会しました。姉妹は私の所に来て,肩に手を置き,目を見て,『シセのせいじゃないのよ。よく頑張ったんだから』と言ってくれました。エホバが助けてくださっているおかげで,喜びを失わずに奉仕を続けることができています」。
19. この記事を学んで,どうしたいと思いましたか。
19 エホバはご自分に仕える人たちが皆,ザドクのように勇敢な人になることを願っています。(テモ二 1:7)でも,私たちが自分の力でそうすることは望んでいません。エホバはご自分に頼ってほしいと思っています。それで,勇気が必要なときにはエホバに目を向けましょう。そうするなら,エホバはザドクのように勇敢な人になれるよう,私たちを必ず助けてくださいます。(ペテ一 5:10)
43番の歌 目ざめて,しっかり立ち,力強い者となりなさい
a jw.orgの「真のクリスチャンには勇気が必要: 中立を保つために」という動画をご覧ください。
「ものみの塔」(研究用)