研究記事 32
68番の歌 助けを求める祈り
エホバは全ての人に悔い改めてほしいと思っている
「エホバは……一人も滅ぼされることなく,全ての人が悔い改めることを望んでいる」。ペテロ第二 3:9
ポイント
悔い改めるとはどういうことか,どうしてそうする必要があるか,そして,人々が悔い改めるようエホバがどのように助けてきたかを学びます。
1. 悔い改めにはどんなことが関係していますか。
悪いことをしたなら,悔い改めることが大切です。聖書の中で,悔い改めるとは,自分のした悪いことについて後悔し,その行いをやめ,二度と繰り返さないよう決意することを意味しています。(マタ 3:8。使徒 3:19。ペテ二 3:9)
2. 私たち全てが悔い改めについて学ぶ必要があるのはどうしてですか。(ネヘミヤ 8:9-11)
2 全ての人は悔い改めについて学ぶ必要があります。誰でも毎日罪を犯すからです。私たちはアダムとエバから罪と死を受け継いでいます。(ロマ 3:23; 5:12)例外はありません。使徒パウロのように強い信仰を持っていた人であっても,罪と闘うのは簡単ではありませんでした。(ロマ 7:21-24)では,私たちは自分の罪のためにずっと惨めな気持ちでいなければならないのでしょうか。いいえ。エホバは憐れみ深い方で,私たちに幸せでいてほしいと思っています。ネヘミヤの時代のユダヤ人の例を考えましょう。(ネヘミヤ 8:9-11を読む。)エホバは,人々が過去の罪によって打ちのめされてしまうのではなく,喜んでご自分に仕えることを願っていました。エホバは悔い改めることが幸せにつながることを知っています。それで,悔い改めについて私たちに教えてくれています。自分の罪を悔い改めるなら,憐れみ深いお父さんエホバは必ず許してくださいます。
3. この記事ではどんなことを考えますか。
3 悔い改めについてさらに学びましょう。この記事では3つの点を考えます。まず,エホバがイスラエル人に悔い改めについてどんなことを教えたかを学びます。次に,罪を犯した人が悔い改めるよう,エホバがどのように助けたかに注目します。最後に,イエスの弟子たちが悔い改めについてどんなことを学んだかを考えます。
エホバは悔い改めについてイスラエル人にどんなことを教えたか
4. エホバは悔い改めについて,イスラエル国民にどんなことを教えましたか。
4 エホバはイスラエル人を1つの国民として組織した時,契約を結びました。イスラエル人は律法に従う限り,繁栄し,エホバに守ってもらうことができました。律法に従うことについて,エホバはこう言いました。「私が今日命じるこのおきては,あなたにとって難し過ぎるものでも,遠くにあるものでもありません」。(申 30:11,16)もしイスラエル人がほかの神々を崇拝したりしてエホバに反逆するなら,エホバに守ってもらうことはできず,苦しむことになりました。でも,たとえそうなったとしても,エホバの好意を再び得ることは可能でした。自分たちの「神エホバのもとに帰り,……神の言うことを聞く」ことができたのです。(申 30:1-3,17-20)つまり,悔い改めるチャンスがありました。悔い改めるなら,もう一度エホバとの絆を強め,守ってもらうことができました。
5. エホバが民を見捨てたわけではなかったことはどんな点から分かりますか。(列王第二 17:13,14)
5 エホバに選ばれたイスラエル国民は,何度もエホバに反逆しました。偶像崇拝だけでなく,とても悪いことをいろいろ行い,結果としてつらい経験をしました。でも,エホバは不従順なご自分の民を見捨てませんでした。何度も預言者を遣わし,悔い改めてご自分のもとに戻ってくるよう勧めました。(列王第二 17:13,14を読む。)
6. エホバは預言者たちによって,悔い改めることの大切さをどのように教えましたか。(挿絵も参照。)
6 エホバは預言者たちによって警告を与え,イスラエル人を正そうとしました。例えば,エレミヤを通してこう言いました。「背信のイスラエルよ,戻りなさい……。私は怒ってあなたたちを見下げることはしない。揺るぎない愛を抱いているからである……。私はいつまでも憤慨することはない。ただ,自分の罪を認めなさい。あなたは,あなたの神エホバに背いたのである」。(エレ 3:12,13)また,ヨエルを通して,「心を尽くして私のもとに戻れ」と言いました。(ヨエ 2:12,13)さらに,イザヤにこう伝えさせました。「自分を清めなさい。もう私の前で悪いことをしてはならない。悪を行うのをやめなさい」。(イザ 1:16-19)エゼキエルにはこう言うよう指示しました。「私は,悪い人の死を少しでも喜ぶだろうか。かえって,その人が悪い行いをやめて生き続けることを喜ぶのではないか。……私は誰の死をも喜ばない。悔い改めて生き続けなさい」。(エゼ 18:23,32)人々が自分の罪を悔い改めるのを見る時,エホバは本当に喜びます。いつまでも生き続けてほしいと願っているからです。エホバは罪を犯した人が悔い改めるまで何もせずにただ待っているということはありません。そのことが分かるほかの例も考えましょう。
7. ホセアとゴメルの実例を通して,エホバは民にどんなことを教えましたか。
7 エホバは,悔い改めるよう助けたいと思っていることを,実例を使って教えました。預言者ホセアの妻ゴメルのことを考えてみましょう。ゴメルは姦淫を犯し,ホセアを捨ててほかの男性のもとに行ってしまいました。ゴメルはもう救いようがなかったでしょうか。心の中をご覧になるエホバは,ホセアにこう言いました。「別の男に愛され,姦淫をしているその女を,もう一度愛しなさい。ほかの神々に頼[って]いるイスラエルの民を,エホバは同じように愛する」。(ホセ 3:1。格 16:2)この時ホセアの妻はまだ重大な罪を犯していた,ということに注目できます。それでもエホバはホセアに,ゴメルのもとに行って許し,和解するようにと言いました。 a 同じように,エホバは強情だった民のことを諦めませんでした。民は相変わらずひどい罪を犯していましたが,エホバは民を愛し,悔い改めて生き方を変えるよう引き続き救いの手を差し伸べました。この例からすると,「心を調べる方」であるエホバは,今も重大な罪を犯している人に手を差し伸べて,悔い改めるよう助けるのでしょうか。(格 17:3)考えてみましょう。
エホバは罪を犯した人が悔い改めるようどのように助けるか
8. エホバはカインが悔い改めるようにどのように助けましたか。(創世記 4:3-7)(挿絵も参照。)
8 カインはアダムとエバの長男でした。罪を犯す傾向を2人から受け継いでいました。また,聖書にはカインについて「行いが悪[かった]」と書かれています。(ヨハ一 3:12)恐らくそのために,エホバは「カインとその捧げ物[を]好意的には見なかった」のでしょう。カインは自分の考えや行動を改めるのではなく,「激しく怒り,ふさぎ込」んでしまいました。エホバはどうしたでしょうか。ご自分の方からカインに話し掛けました。(創世記 4:3-7を読む。)エホバはカインに優しく声を掛け,善いことを行うならどうなるかを考えさせ,怒りが罪につながることについて警告を与えました。残念ながら,カインはエホバの言うことを聞きませんでした。エホバが悔い改めるように助けてくださったのに,それを拒んだのです。エホバはカインがそのような反応を示したからといって,その後罪を犯したほかの人たちを助けることもやめてしまったでしょうか。そんなことはありません。
9. エホバはダビデが悔い改めるようどのように助けましたか。
9 エホバはダビデを深く愛していました。ダビデのことをご自分の「心にかなう人」と言いました。(使徒 13:22)でもダビデは姦淫や殺人など非常に重い罪を犯しました。モーセの律法下では死に値するほどの罪でした。(レビ 20:10。民 35:31)それでもエホバは,ダビデが悔い改めることができるように預言者ナタンを遣わしました。 b まだダビデに悔い改めている様子が全く見られなかった時にそうしました。どんな結果になったでしょうか。ダビデはナタンが話した例えを聞いて心を動かされ,悔い改めました。(サム二 12:1-14)そして,後悔の気持ちが表れた感動的な詩を書きました。(詩 51,表題)この詩編はこれまで,罪を犯した多くの人を慰め,悔い改めるように心を動かしてきました。ダビデが悔い改められるようエホバが愛情深く助けたことを考えると,うれしく思うのではないでしょうか。
10. エホバが罪を負った人類を辛抱強く許してくださることについてどう感じますか。
10 エホバは罪を憎んでいて,どんな罪も大目に見ることはありません。(詩 5:4,5)でも私たちを愛しているので,罪を犯してしまう私たちのことを助けてくれます。どんなに重い罪を犯した人であっても,悔い改めてご自分との絆を持てるよう助けたいといつも思っています。そのことを考えると本当に安心できます。エホバが辛抱強く許してくださることについて思い巡らすと,これからもエホバに忠実に仕えたい,罪を犯したならすぐに悔い改めるようにしたいと感じるでしょう。では次に,弟子たちが悔い改めについてイエスからどんなことを学んだのか考えてみましょう。
イエスの弟子たちは悔い改めについてどんなことを学んだか
11-12. イエスは,お父さんエホバが進んで許してくださる方であることをどのように教えましたか。(挿絵も参照。)
11 メシアが登場するのに先立って,エホバはバプテスマを施す人ヨハネを通して,悔い改めることの大切さを人々に教えました。メシアであるイエスも宣教で同じ点を強調しました。(マタ 3:1,2; 4:17)
12 イエスは宣教期間中ずっと,天のお父さんエホバが進んで許してくださる方であることを教えました。そのことを際立たせるために,いなくなっていた息子の例え話をしました。その若者は罪深い生き方を選び,しばらくの間それを続けました。でも「本心に立ち返[り]」,家に戻ります。父親はどう反応したでしょうか。その若者が「まだ遠くにいる間に,父親は息子を見てかわいそうに思い,走っていって抱き締め,優しく口づけしました」。この息子は父親の家の召し使いとして働かせてもらえるか聞くつもりでしたが,父親は「私のこの息子」と呼んで,再び家族に迎え入れました。父親はその息子について「いなくなっていたのに見つかったのだ」と言いました。(ルカ 15:11-32)イエスは天にいた時,罪を犯して悔い改めたたくさんの人たちにお父さんエホバが思いやり深く接するのを見ていたに違いありません。イエスが語った心温まる例え話を読むと,エホバが本当に憐れみ深い方であることが分かり,安心できます。
13-14. ペテロは悔い改めについてどんなことを学びましたか。後に悔い改めについて,どんなことを教えましたか。(挿絵も参照。)
13 ペテロは悔い改めと許しについて,イエスからたくさんのことを学びました。ペテロは何度も間違いをしましたが,イエスは進んで許しました。例えば,ある時ペテロはイエスのことを知らないと3度も言ってしまい,自分のしたことを後悔して打ちのめされました。(マタ 26:34,35,69-75)でもイエスは復活した後,ペテロが恐らく独りでいた時に会いに行きました。(ルカ 24:33,34。コリ一 15:3-5)その時イエスは,自分のしたことを後悔しているペテロを優しく許し,安心させたことでしょう。(マルコ 16:7)
14 このような経験をしたペテロは,後に悔い改めと許しについてほかの人にも教えることができました。ペンテコステの少し後,ペテロはユダヤ人がメシアを死に追いやったことを群衆に対して話しました。でも次のように温かく勧めました。「罪を消し去っていただくために,悔い改めて生き方を変えなさい。そうすれば,爽やかにする時期がエホバから来[ます]」。(使徒 3:14,15,17,19)ペテロは悔い改めが生き方を変えることにつながると言いました。これは,間違った考え方や行動をやめ,神に喜ばれる新しい生き方をするということです。また,ペテロはエホバが罪を完全に許し,罪を消し去ってくださる方であるとも言いました。数十年後,ペテロは確信を込めてクリスチャンに次のように言いました。「エホバは……一人も滅ぼされることなく,全ての人が悔い改めることを望んでいるので,皆さんのことを辛抱しているのです」。(ペテ二 3:9)悔い改めるなら,たとえ重大な罪であったとしてもエホバは許してくださいます。エホバの優しさに本当に心が温まります。
15-16. (ア)パウロは許しについてどんなことを学びましたか。(テモテ第一 1:12-15)(イ)次の記事では何を考えますか。
15 タルソスのサウロほど悔い改めと許しを必要としていた人はいなかったでしょう。サウロはキリストの弟子たちを激しく迫害していました。クリスチャンのほとんどは,サウロのことを悔い改める見込みがない人と見ていたかもしれません。でも,復活したイエスはそれとは全く違った見方をしていました。エホバとイエスはサウロの良いところに注目していたのです。イエスは,「この人は私が選んだ器であ[る]」と言いました。(使徒 9:15)また,サウロが悔い改めることができるように奇跡を行うことまでしました。(使徒 7:58–8:3; 9:1-9,17-20)サウロはクリスチャンになり,後に使徒パウロとして知られるようになりました。そして,自分が受けた親切や憐れみに対する感謝を何度も言い表しました。(テモテ第一 1:12-15を読む。)パウロは,「神[は]ご親切にも悔い改めに導こうとしてくださっている」と教えました。(ロマ 2:4)
16 ある時パウロは,コリントのクリスチャン会衆で性的不道徳に関する重大な問題が起きていることを聞きます。パウロはこの問題をどのように扱ったでしょうか。パウロが人々を助けた方法から,エホバが愛の気持ちで矯正を与えていることや,憐れみを示すことの大切さについて学べます。次の記事ではその点を詳しく考えます。
38番の歌 あなたの重荷をエホバにゆだねなさい
「ものみの塔」(研究用)