研究記事 39
21番の歌 憐れみ深い人は幸福
与えるならもっと幸せになれます
「受けるより与える方が幸福である」。使徒 20:35
ポイント
どうすれば与えることによってもっと幸せになれるかを考えます。
1-2. エホバは,私たちが与えることによって幸せになれるように造ってくれました。それが私たちのためになっているといえるのはどうしてですか。
エホバは人間を受けるよりも与えることによって幸せになれるよう創造しました。(使徒 20:35)もちろん,私たちは何かをしてもらった時に幸せを感じないというわけではありません。プレゼントをもらうと,うれしい気持ちになるものです。でも,人のために何かをしてあげられると,もっとうれしくなります。エホバがそのように造ってくれたことは私たちのためになっているといえます。どうしてそういえますか。
2 エホバは私たちが自分でも幸せな気持ちを大きくすることができるように造ってくださいました。私たちは誰かのために何ができるかを考える時,さらに喜びを感じることができます。エホバは本当に素晴らしく私たちを造ってくださっていると思いませんか。(詩 139:14)
3. エホバが「幸福な神」と呼ばれているのはどうしてですか。
3 聖書に与えることが幸せにつながると書かれていることを考えると,エホバがなぜ「幸福な神」と呼ばれているかがよく分かります。(テモ一 1:11)与えることを始めたのはエホバで,誰よりも与えてきたのもエホバです。使徒パウロが言っているように,私たちはエホバのおかげで「命を持ち,動き,存在しています」。(使徒 17:28)「良い贈り物,完全な贈り物は全て」エホバから来ています。(ヤコ 1:17)
4. もっと幸せになるためにどんなことができますか。
4 人のためになることをして,もっと幸せになりたいと思いますか。気前よく与えるエホバに倣うことによってそうできます。この記事ではエホバの手本について学びます。そして,人のために何かをしても感謝されていないと感じるときにどんなことができるかも考えます。(エフェ 5:1)こうした点について調べると,これからも人のためになることをしたいという気持ちが強まり,もっと幸せになれるでしょう。
気前よく与えるエホバに倣う
5. エホバは生活に必要などんな物を与えてくださっていますか。
5 エホバがどんなものを気前よく与えてくださっているか,幾つか考えましょう。エホバは生活に必要な物を与えてくださっています。私たちはぜいたくな生活をしているわけではないかもしれません。でも,エホバのおかげで衣食住など生きていくのに必要な物は与えられています。(詩 4:8。マタ 6:31-33。テモ一 6:6-8)エホバはこうしたことをただの義務感から行っているわけではありません。では,どうしてそうしてくださっているのでしょうか。
6. マタイ 6章25,26節からどんなことを学べますか。
6 エホバは私たちのことを愛しているので必要な物を与えてくれています。マタイ 6章25,26節のイエスの言葉を考えてみましょう。(読む。)イエスは鳥を例に挙げて次のように言いました。「[鳥は]種をまいたり,刈り取ったり,倉に集めたりはしません。それでも天の父は鳥を養っています」。そしてイエスは,「あなたたちはそれよりも価値があるのではありませんか」と問い掛けました。何を教えたかったのでしょうか。エホバにとって,ご自分に仕える人たちは動物よりはるかに大切だということです。エホバは動物を養っているのですから,私たちにも必要な物を必ず与えてくれると確信できます。エホバは優しいお父さんとして,愛の気持ちから家族みんなを養ってくれています。(詩 145:16。マタ 6:32)
7. 気前よく与えるエホバに倣うどんな方法がありますか。(写真も参照。)
7 私たちもエホバに倣って,必要な物を愛の気持ちから仲間と分け合うことができます。例えば,食べる物や着る物を必要としている兄弟姉妹が身近にいますか。エホバはあなたを通してその人を助けたいと思っているかもしれません。エホバの証人は,特に災害が起きた時に進んで他の人を助けることで知られています。コロナのパンデミックの間にも,兄弟姉妹は食べ物や着る物など必要としている物を仲間と分け合いました。世界的な活動のために惜しみなく寄付した人も大勢います。それは世界中で救援活動を行う上でとても助けになりました。兄弟姉妹はヘブライ 13章16節の言葉を心に留めて行動しました。「善を行うことや,持っている物を分け合うことを忘れてはなりません。神はそのような犠牲をとても喜んでくださいます」。
8. エホバはどんなことをする力を与えてくださいますか。(フィリピ 2:13)
8 エホバは力を与えてくださいます。エホバはご自分の持っている無限の力を喜んで私たちに与えてくださいます。(フィリピ 2:13を読む。)誘惑に抵抗するための強さや難しい試練を忍耐するための力を祈り求めたことがありますか。一日なんとか頑張れるように力を与えてください,と祈ることもあったかもしれません。エホバが祈りを聞いて力を与えてくださった時,パウロの言葉の通りだと感じたことでしょう。パウロはこう書きました。「力を与えてくださる方のおかげで,私は強くなり,どんなことも乗り越えられます」。(フィリ 4:13)
9. エホバに倣って,自分の力をどのように仲間のために使うことができますか。(写真も参照。)
9 私たちはエホバのように無限の力を持っているわけでも,エホバのような仕方でほかの人に力を与えられるわけでもありません。でも,自分の持っている力をほかの人を助けるために使うなら,エホバに倣うことができます。例えば,高齢や病気の兄弟姉妹のために用事をしたり家事を手伝ったりすることができるかもしれません。また状況が許すなら,王国会館の清掃やメンテナンスを手伝うこともできます。このような仕方で自分の力を使い,兄弟姉妹を助けられます。
10. どんな言葉を掛けるなら,他の人の助けになれますか。
10 言葉によっても人を力づけることができるということを忘れないでください。心からの褒め言葉を掛けたい人が誰かいますか。慰めの言葉を必要としている人がいるでしょうか。もしそうなら,自分から行動しましょう。その人の家を訪問したり,電話をかけたり,手紙やメールやメッセージを送ったりすることもできるかもしれません。あまり気の利いたことが言えないとしても大丈夫です。たとえ多くを語らなくても,心から気遣う言葉には大きな力があります。それは兄弟姉妹にとって,一日頑張ってエホバに仕える力になり,前向きな気持ちを保つための助けになることでしょう。(格 12:25。エフェ 4:29)
11. エホバはどのように知恵を与えてくれますか。
11 エホバは知恵を与えてくださいます。ヤコブはこう書いています。「皆さんの中に知恵の欠けた人がいるなら,その人は神に求め続けてください。神はあら探しをしたりせず,全ての人に惜しみなく与えてくださるからです」。(ヤコ 1:5,脚注)この言葉から分かるように,エホバは知恵を与える時,出し惜しみしたりせず,気前よく与えてくださいます。また,「とがめたり」,「あら探しをしたり」せず,知恵を与えてくださいます。エホバに知恵を求めることを気後れする必要はありません。それどころか,エホバは知恵を求めるようにと勧めています。(格 2:1-6)
12. 学んだことを共有するどんな機会がありますか。
12 私たちも,知恵を与えるエホバに倣うことができますか。(詩 32:8)エホバの証人には学んだことを共有する機会がたくさんあります。例えば,伝道を始めて間もない人を訓練することがあります。長老たちは,援助奉仕者やバプテスマを受けた兄弟たちが会衆内で割り当てられたことを上手に果たせるように辛抱強く助けます。また,建設やメンテナンスの分野で技術を持っている人たちは,経験の少ない人たちが支部や王国会館の建設プロジェクトで働けるようトレーニングしています。
13. 誰かを訓練するとき,エホバが知恵を与える仕方にどのように倣えますか。
13 誰かを訓練するとき,エホバが知恵を与える仕方に倣うことは大切です。エホバが知恵を惜しみなく与えてくださることを思い出しましょう。私たちも自分が持っている知識や経験を喜んで共有することができます。自分の仕事がなくなることを恐れて教えるのを控えるようなことがないようにしましょう。「自分の時は誰も教えてくれなかった。だから見て学べばいい。教える必要はない」などと考えてはいけません。エホバに仕える人たちは全く違う考え方をしています。誰かを訓練するとき,知識だけでなく「自分たち自身を与え」ることを心から願っています。(テサ一 2:8)そして,今度はその人たちが「十分に資格を得て,他の人を教えることができるように」なってほしいと思っています。(テモ二 2:1,2)このように惜しみなく与えるなら,周りの人もそうしようと思うようになるかもしれません。そのようにして,与えることから来る幸せをみんなが味わえます。
与えても感謝されていないように思えるとき
14. ほかの人のために何かをすると,たいていどんな反応が返ってきますか。
14 誰かのために何かをすると,たいてい感謝されます。相手が兄弟姉妹の場合は特にそうでしょう。お礼のカードをくれたり,ほかの仕方で感謝を表してくれたりするかもしれません。(コロ 3:15)そのように感謝されると,もっとうれしくなります。
15. 相手が感謝してくれないとき,どんなことを思い出すといいですか。
15 でも,いつも感謝してもらえるというわけではないでしょう。誰かのために何かをしても,時間やエネルギーやお金をどれくらい使ったかを相手が全然気にしていないように感じるときがあるかもしれません。そういう場合でも,がっかりしたりいらいらしたりしないためにどんなことができるでしょうか。この記事の主題聖句の使徒 20章35節の言葉を思い出しましょう。与えることから来る幸せは,相手がどんな反応をするかに懸かってはいません。それで,感謝されていないように思えるときでも喜んで与えることができます。どうすればそうできるか,幾つかの方法を考えてみましょう。
16. 喜んで与えるために,何に目を向けることができますか。
16 エホバの手本に目を向けましょう。エホバは感謝されるかどうかに関わりなく,みんなに良いものを与えています。(マタ 5:43-48)私たちも同じようにできます。エホバは,「返してもらうことを期待せずに」与える人の「報いは大き[い]」と教えています。(ルカ 6:35)それで,感謝の言葉を「返して」もらえなくても,がっかりしないでください。エホバはあなたが他の人を助けるために「快く与える」様子を見て,必ず報いてくださいます。(コリ二 9:7。格 19:17)
17. 正しい見方を保つのに,どんなことが役立ちますか。(ルカ 14:12-14)
17 与えることについて正しい見方を保つ上で,ルカ 14章12-14節でイエスが教えたことは役に立ちます。(読む。)自分に親切にしてくれる人に対して親切にすることは間違っていません。でも,心のどこかでお返しを期待して与えていることに気付いたならどうでしょうか。イエスが言われたことを思い出してください。もてなしたり人に何かを与えたりするのが難しい状況にある人に親切にするようにしましょう。そうするなら,エホバに倣うことができ,幸せな気持ちになれます。正しい見方をしているなら,相手が感謝してくれないときにも喜びを失わずに済みます。
18. どうすれば相手の反応を広い心で受け止めることができますか。
18 相手の反応を悪く解釈しないようにしましょう。(コリ一 13:7)感謝していないように見えても,そう決め付けないでください。ただ伝え忘れているだけかもしれないと考えることができます。思ったような反応が返ってこない理由はほかにもあるかもしれません。感謝していても,それを表現するのが苦手な人もいるでしょう。以前は自分が助ける側だったので,助けてもらうのを気まずく感じているのかもしれません。兄弟姉妹を本当に愛しているなら,相手の反応を広い心で受け止め,これからも喜んで与えることができるでしょう。(エフェ 4:2)
19-20. すぐに反応があることを期待しないことはどうして大切ですか。(写真も参照。)
19 すぐに反応があることを期待しないようにしましょう。与えることについてソロモン王はこう書きました。「あなたのパンを水の上に投げなさい。月日がたてば,あなたはそれを再び得ることになる」。(伝 11:1)この言葉の通り,何かをしてかなり「月日がた[って]」から感謝されるということがあります。例えばこんなエピソードがあります。
20 何十年か前,ある巡回監督の妻は,バプテスマを受けて間もない姉妹に手紙を送り,エホバに仕え続けるよう励ましました。それから8年たって次のような返事を受け取りました。「姉妹は全くご存じないと思いますが,姉妹が何年もの間,私の助けになってくださったことについて,ぜひ手紙を書いてお知らせしたいと思いました。[カードを受け取って]心温まる思いがしましたが,特に私の心を動かしたのは聖句でした。私は決してその聖句を忘れませんでした」。 a そして大変な時期があったことに触れて,こう書いています。「時々,真理からも種々の責任からも,あらゆることから逃げ出してしまいたいと思いました。けれども姉妹の書いてくださった聖句がいつも私の心の中にあったので,……歩み続けることができました。この8年間でこんなに自分に影響を与えた事柄はありませんでした」。巡回監督の妻は「月日がた[って]」からこの手紙を受け取り,本当にうれしかったことでしょう。私たちも,誰かに親切にして随分時間がたってから感謝を伝えてもらうことがあるかもしれません。
21. どんなことを考えると,気前よく与えるエホバに倣いたいと思いますか。
21 ここまで考えてきたように,エホバは人間が何かをしてもらったときだけでなく,人のために何かをするときにもっと幸せになるように造ってくださいました。仲間の助けになれると幸せを感じるものです。感謝されるとうれしくなります。でも,感謝してもらえるかどうかに関わりなく,正しいことができたことを喜べます。私たちが人のために何を与えるとしても,「エホバはそれ以上のものを[私たち]に与えることができます」。(代二 25:9)払った犠牲をはるかに超える良いものを与えてくださいます。エホバに喜んでいただける以上にうれしいことはありません。では,気前よく与えてくださる天のお父さんエホバにこれからも倣っていきましょう。
84番の歌 「わたしはそう望みます」
b 写真や挿絵: 再現。巡回監督の妻が,励みとなる言葉をカードに書いている。数年後,感謝の手紙を受け取っている。
「ものみの塔」(研究用)