研究記事 38
147番の歌 特別な所有物
警告に注意を払っていますか
「一方は連れていかれ,他方は捨てられます」。マタイ 24:40
ポイント
イエスの3つの例え話を調べ,今の体制の終わりに行われる裁きとどんな関係があるかを考えます。
1. 間もなくどんな裁きが行われますか。
私たちはとても重要な時代に生きています。間もなくイエスは地球にいる一人一人を裁きます。イエスは自分の臨在と「体制の終結のしるし」について預言し,裁きが近づく時期にどんなことが起きるかを教えました。(マタ 24:3)この預言は,マタイ 24章と25章,そしてその並行記述であるマルコ 13章とルカ 21章に書かれています。
2. この記事ではどんなことを考えますか。そうすることはどのように私たちのためになりますか。
2 イエスは警告を与えるため,3つの例え話をしました。羊とヤギ,思慮深い乙女と愚かな乙女,タラントの例え話です。こうした例え話を調べていくと,イエスが一人一人の行いに基づいて裁きを行うことが分かります。学べる教訓を振り返り,どのように実践できるか考えましょう。まずは羊とヤギの例え話です。
羊とヤギ
3. イエスが裁きを行うのはいつですか。
3 イエスは人を羊とヤギに分ける時,良い知らせに応じ,天に行くよう選ばれた兄弟たちをサポートしたかどうかに基づいて裁きます。(マタ 25:31-46)イエスは「大患難」の期間中,ハルマゲドンの少し前にこの裁きを行います。(マタ 24:21)天に行くよう選ばれた兄弟姉妹を忠実にサポートした人たちを,そうしなかった人たちから分けます。ちょうど羊飼いが羊をヤギから分けるかのようにです。
4. イエスが公平に裁くことは,イザヤ 11章3,4節からどのように分かりますか。(写真と挿絵も参照。)
4 聖書の預言によると,イエスはエホバから裁きを行うよう任命され,正しい裁きを行います。(イザヤ 11:3,4を読む。)人の言葉や態度や行動を観察します。天に行くよう選ばれた兄弟たちにどう接したかにも注目します。(マタ 12:36,37; 25:40)イエスは誰が選ばれた兄弟たちとその活動をサポートしたかを知っています。 a 選ばれたキリストの兄弟たちをサポートする上で特に大切なのは,伝道活動を行うことです。そのようにする人たちは「正しい」人として裁かれ,地球での「永遠の命」を受けます。(マタ 25:46。啓 7:16,17)本当に素晴らしい報いです。大患難の間もその後もエホバに従い続ける人たちは,「命の書」に名前を残してもらえます。(啓 20:15)
5. 羊とヤギの例え話からどんな教訓を学べますか。それは誰にとってためになりますか。
5 ずっと忠実でいる。羊とヤギの例え話は特に,地球でいつまでも生きる希望を持つ人たちのために語られました。その人たちは,伝道活動を行ってキリストの兄弟たちを助けます。それだけでなく,イエスによって選ばれた「忠実で思慮深い奴隷」の指導に忠実に従います。そのようにして信仰を表します。(マタ 24:45)とはいえ,天で生きる希望を持つ人たちも,この例え話から学べる警告に従う必要があります。イエスはその人たちの言葉や態度や行動にも注目しています。それで,天に行く希望を持つ人たちもずっと忠実でいることが大切です。これから,マタイ 25章にある別の2つの例え話を考えます。その中でイエスは特に,天に行くよう選ばれた人たちに警告を与えています。思慮深い乙女と愚かな乙女の例え話から何が学べるでしょうか。
思慮深い乙女と愚かな乙女
6. 5人の乙女の思慮深さはどんなことから分かりますか。(マタイ 25:6-10)
6 イエスは例え話の中で花婿を迎えに出た10人の乙女について話しました。(マタ 25:1-4)乙女たちはみんな,花婿の結婚の披露宴に参加したいと思っていました。イエスはそのうちの5人を「思慮深い」乙女,残りの5人を「愚かな」乙女と呼びました。思慮深い乙女たちは注意を怠らず,準備ができていました。花婿の到着が夜遅くになっても大丈夫なように用意をしていました。ランプを持っていくだけでなく,花婿が遅れたときに備えて予備の油も持っていきました。それで,ランプをともし続けることができました。(マタイ 25:6-10を読む。)花婿が到着すると,思慮深い乙女たちは披露宴のために花婿と一緒に中に入りました。同じように,天に行くよう選ばれたクリスチャンたちは,キリストが来るまでずっと注意を怠らず,準備ができている状態でいるなら,花婿であるイエスと一緒に天の王国に入ることができます。 b (啓 7:1-3)一方で,愚かな乙女たちについてはどんなことがいえますか。
7. 5人の愚かな乙女にはどんなことが起きましたか。どうしてですか。
7 思慮深い乙女たちとは違い,5人の愚かな乙女たちは,花婿が到着した時に準備ができていませんでした。ランプが消えそうでしたが,予備の油を持っていませんでした。花婿の到着が近づいたことを知り,油を買いに行くことにします。でも花婿の到着に間に合いませんでした。その時,「用意ができていた乙女たちは結婚の披露宴のために花婿と一緒に中に入り,戸が閉められました」。(マタ 25:10)愚かな乙女たちが中に入ろうとすると,花婿は「あなたたちのことは知りません」と言います。(マタ 25:11,12)愚かな乙女たちは花婿の到着を待つための十分な準備ができていなかったのです。このことから,天に行くよう選ばれた兄弟姉妹はどんなことを学べますか。
8-9. 天に行くよう選ばれた兄弟姉妹は,乙女たちの例え話からどんなことが学べますか。(写真と挿絵も参照。)
8 注意を怠らず,準備をしている。イエスは,天に行くよう選ばれた人たちの中に,今の体制の終わりが来るまで待ち続ける用意ができている人たちと,そうでない人たちの2つのグループが存在するようになる,と言っていたのではありません。選ばれた人たちが終わりまで忠実に忍耐する準備ができていないならどうなるかということを説明していました。準備ができていないなら,天に行くことができなくなってしまいます。(ヨハ 14:3,4)身の引き締まる警告です。天に行く希望を持っているとしても,地上で生き続ける希望を持っているとしても,私たちは皆,この例え話から学べる教訓を心に刻む必要があります。終わりまで耐え忍ぶための準備をして,ずっと見張っていましょう。(マタ 24:13)
9 イエスは乙女たちの例え話から,注意を怠らずに準備をしていることの大切さを教えた後,タラントの例え話をしました。そこから,一生懸命働くことの大切さが学べます。
タラント
10. 2人の奴隷が忠実だったことはどんなことから分かりますか。(マタイ 25:19-23)
10 イエスはタラントの例え話で,主人に忠実だった2人の奴隷と,そうでなかった1人の奴隷について話しました。(マタ 25:14-18)2人の忠実な奴隷は主人のお金を増やすため懸命に働きました。2人は外国に旅行に出掛ける主人から大金であるタラントを託されました。そして,一生懸命働き,そのお金を賢く使いました。主人が帰ってきた時には,託されたお金を2倍に増やしていました。2人は褒め言葉をもらい,「主人……と共に喜び」ました。(マタイ 25:19-23を読む。)もう1人の奴隷はどうだったでしょうか。託されたお金をどうしましたか。
11. 「怠惰」な奴隷はどうなりましたか。どうしてですか。
11 3人目の奴隷は1タラントを受け取りましたが,「怠惰」でした。タラントを賢く使うことが期待されていたのに,地面の中に隠してしまいました。主人が帰ってきた時,この奴隷は利益を上げていませんでした。さらに,態度も良くありませんでした。財産を増やせなかったことを謝るどころか,主人のことを不当にも「厳しい方」と呼びました。この奴隷は主人から良いと見てもらえず,タラントを取り去られ,主人のもとから追い出されました。(マタ 25:24,26-30)
12. 忠実な2人の奴隷は誰を表していますか。
12 2人の忠実な奴隷は,天に行くよう選ばれた忠実なクリスチャンを表しています。その人たちはイエスから,「主人である私と共に喜びなさい」と言われます。そして第一の復活を経験し,天に行きます。(マタ 25:21,23。啓 20:5後半)一方で怠惰な奴隷は,天に行くよう選ばれたクリスチャンにとって警告となっています。どういうことでしょうか。
13-14. 天に行くよう選ばれた人たちは,タラントの例え話からどんなことを学べますか。(写真と挿絵も参照。)
13 一生懸命働く。乙女たちのときと同じように,イエスはタラントの例え話の中でも,選ばれた人たちが怠惰になることを予告していたわけではありません。イエスが言いたかったのは,選ばれた人たちが熱意を失うならどうなってしまうかということです。「招かれ選ばれた者であり続け」ることができず,天の王国に入れなくなってしまうのです。(ペテ二 1:10)
14 乙女やタラントについてのイエスの例え話からはっきり分かるように,天に行くよう選ばれたクリスチャンは皆,注意を怠らず,準備をしていて,一生懸命働く必要があります。イエスはほかにも,選ばれたクリスチャンたちにとって警告となることを話しました。マタイ 24章40,41節に注目してみましょう。
誰が「連れていかれ」るか
15-16. マタイ 24章40,41節は,天に行くよう選ばれた人たちがずっと見張っていることの大切さをどのように強調していますか。
15 イエスは3つの例え話の前に,畑で働く2人の男性と,引き臼を回す2人の女性の話をしました。どちらの場合も,2人の人が同じ仕事をしているように見えますが,イエスは,「一方は連れていかれ,他方は捨てられ[る]」と言いました。(マタイ 24:40,41を読む。)続けて弟子たちにこう勧めます。「それで,ずっと見張っていなさい。主がどの日に来るかを知らないからです」。(マタ 24:42)イエスは乙女たちの例え話の後にも同じような警告を与えました。(マタ 25:13)これらの警告にはつながりがあるのでしょうか。恐らくそうでしょう。イエスは,天に行くよう選ばれた人たちのうち誰が良いと認められているのかがやがて明らかになるということを言っていました。本当に選ばれ,最後まで忠実を貫いた人たちだけが「連れていかれ」,イエスによって天の王国に迎えられるのです。(ヨハ 14:3)
16 ずっと見張っている。天に行く希望を持つクリスチャンであっても,ずっと見張っていないなら,「選ばれた者たち」と一緒に集められることはありません。(マタ 24:31)地球で生きる希望を持つ人たちも,イエスのこの言葉を警告として受け止め,忠実に見張り続ける必要があります。
17. エホバが天に行く人たちをいつ選ぶかについて心配する必要がないのはどうしてですか。
17 私たちはエホバをよく知るようになったので,エホバが行うことは正しいと信じています。それで私たちは,最近になって誰かが天に行くよう選ばれるとしても心配しません。 c イエスがブドウ園の例え話の中で,午後5時に働き始めた人たちについて言ったことを思い出しましょう。(マタ 20:1-16)その日の遅い時間にブドウ園で働くよう招かれた人たちも,朝早くから働いていた人たちと同じ賃金を受け取りました。同じように,天に行く希望を持つ人たちは,いつ選ばれるかに関わりなく,最後まで忠実でいるなら報いを受けます。
警告に注意を払う
18-19. この記事で考えた例え話からどんなことが学べましたか。
18 復習してみましょう。羊とヤギの例え話から,地球で永遠に生きる希望を持つ人たちは,今も,そして大患難の間もエホバにずっと忠実でいる必要があるということを学びました。ずっと忠実でいるなら,将来「永遠の命」を受けるのにふさわしいとイエスに判断してもらえるでしょう。(マタ 25:46)
19 さらに,天に行くよう選ばれた人たちにとって警告となる2つの例え話を考えました。思慮深い乙女と愚かな乙女の例え話で,5人の乙女は賢く行動しました。その5人の乙女は注意を怠らず,準備をしていたので,花婿の到着を待ち続けることができました。でも,愚かな乙女たちは準備ができていませんでした。そのため,花婿は愚かな乙女たちが結婚の披露宴に参加することを許しませんでした。私たちも,イエスが今の体制を終わらせる時までずっと待てるように準備している必要があります。そして,タラントの例え話では,一生懸命働いた2人の忠実な奴隷について考えました。2人は主人のために頑張って働いたので良いと認められました。でも,怠惰な奴隷は主人のもとから追い出されました。ここから,私たちは終わりが来るその時までエホバへの奉仕を精いっぱい行う必要があることが学べます。最後に,選ばれたクリスチャンたちは,天での報いを受けるようイエスに「連れてい」ってもらうため,ずっと見張っている必要があるということも考えました。その人たちは,天にいる「イエスのもとに集められる」ことをとても楽しみにしています。そして,ハルマゲドンの戦いの後,子羊であるイエスの花嫁となります。(テサ二 2:1。啓 19:7,9)
20. エホバは警告に注意を払っている人たちのためにどんなことをしてくださいますか。
20 裁きの時が近づいていますが,心配する必要はありません。ずっと忠実でいるなら,優しい天のお父さんエホバは「普通を超えた力」を与え,私たちが「人の子の前に立つことができるよう」にしてくださいます。(コリ二 4:7。ルカ 21:36)天で生きる希望を持っている人も,地上で生きる希望を持っている人も,イエスの例え話から学べる警告に注意を払っているなら,エホバの心を喜ばせることができます。エホバは惜しみない親切を示してくださり,私たちの名前はずっと命の「書に記され」ることでしょう。(ダニ 12:1。啓 3:5)
53番の歌 一致して共に働く
a 「ものみの塔」2024年5月号の「エホバがこれからどのように裁くかについて分かっていること」という記事を参照。
b 詳しくは,「ものみの塔」2015年3月15日号の「あなたは『ずっと見張って』いますか」という記事を参照。
c 塔研20.01 5:11-14を参照。
d 写真や挿絵: 天に行くよう選ばれた姉妹が,伝道で出会った女性と聖書レッスンをしている。
「ものみの塔」(研究用)